形成外科Q&A (12)その他


Q1:わきがを根本的に解決する方法はありますか。

A1:いまのところ手術に頼るほかにはありません。現在広く行われている手術は、剪除法(せんじょほう)と呼ばれるものです。この方法は、わきの下に横の小さな切開を1〜2本いれます。そして皮膚の下をはがして皮膚を反転させて、裏の方からアポクリン腺のありそうなところを出来るだけ取り除いてしまいます。この方法であれば、傷跡も小さくかつ目立たないですみます。ただわきの下は皮膚と皮膚とがはがれやすく、しかも伸び縮みしてよく動かすところなので、手術後は患部を固定して安静にすることが必要になります。(約1週間から10日ぐらい)この方法ですと、臭いと同時に汗に量も少なくなります。そのほかの手術法として、掻爬吸引法、超音波破砕法などもあります。

Q2:わきがの件でお尋ねします。健康保険の適用にはなるのでしょうか。もしなるときはいくらぐらいかかりますか。 
            
A2:保険診療の規定によりますと「悪臭甚だしく他人の就業に支障を生じる事実が明らかであって、客観的に医療を加うべき必要がある場合は給付(=適応)して差し支えない。軽度のものは給付外。」とあります。従ってひどいものは保険の対象であるが、軽いものは対象外ということです。これはかなり主観的なものですが、治療をする医師の判断にて決めることになります。
 保険でいくらかかるかということですが、3割負担の健康保険で手術料金としては両側で34,380円です。これは、純粋に手術代のみですので、他に手術前の検査、麻酔、薬代などがかかりますので総額としては、4万〜5万円位かかると思われます。これは外来で行った場合で、数日入院すれば入院費用としてあと3〜4万円ぐらいはかかります。わきがで入院まで必要なのかと思われるかもしれませんが、高い治療効果を得てかつきれいに治すには、安静が守られなければなりませんので入院をすすめることもあります。

Q3:私は1週間少し前に腋臭の手術を片脇だけ受けました。今、傷が5ミリほど口をあけています。2日前に抜糸し、担当の先生は、
「血と膿が出るので、ガーゼを当てておくように」
とはいいましたが、あまりにも傷が大きくすごく不安です。少し壊死しているようで、傷を見ると暗い気持ちになります。
自分の状態を聞きにくく、このまま傷が残ったらとかもう片方もこんなになるのか等思うと、どうしていいかわかりません。どうか良いアドバイスをお願いします。

A3:腋臭症の手術の場合、傷が開き気味になることはそれほど珍しいことではありません。しかし大概の場合、そのまま根気よく消毒を続けていると完全に治ります。今の段階では、あわてずにそのままその先生の指示に従って治るまで治療を続けることをお奨めいたします。半年とか、1年とか経過して傷痕がひどく目立つようであれば、その時点で形成手術を検討するのが良いと考えます。

Q4:1年半ほど前に地元の美容外科で、わきがの手術を受けました汗の量、匂いともに完治していません。半年くらい前から時々、わきの下をつねると油が固まって白くなったようなものが毛穴からムニュムニュ出てきます。私はよく制汗剤を使っているのでそのパウダーが毛穴に詰まっているのでしょうか?それともわきの下の皮膚がおかしいのでしょうか? もうひとつ質問なんですが、わきの下の中心から2センチ下の部分が両方はれて膿や血が出て切って縫ってもらったのですが傷が気になります。この傷はもう一度わきが手術をするとき一緒に直せるのでしょうか?この傷を治すのには保険は適用になりますか?

A4:わきがの手術後に脂肪の小さな袋ができる場合があります。表皮嚢腫と言われますが、多分それでしょう。その部位を切除するしかありません。後者の質問には、診察しないと簡単にはお答えできません。推測ですが、わきがの手術と同時に治すのは困難と思われます。基本的には、保険適応はありません。

Q5:23歳、女性の者です。左頬の目の下3センチくらいのところに、鉛筆のささった跡があります。この跡を消したいのですが、美容外科になるのでしょうか?それと、どちらにしても治療する場合、大体の費用や治療の仕方などを、教えていただけないでしょうか?鉛筆の跡は、6か7歳の時に当時のいじめっこに刺されてしまいました。病院で、正確には覚えていませんが、1〜2針縫いました。鉛筆の芯はどうなっているのかわかりませんが、一生跡が残ると言われました。

A5:形成外科ないし美容外科になります。治療方法は、少し周囲の皮膚を含めて切除・縫合することになるでしょう。Qスイッチルビーレーザー等のレーザーが有効な場合もあります。手術の傷跡は最初のうちは赤く目立ちますが、半年ぐらい時間がたつと白くなってかなり目立たなくなってきます。費用としては、保険を適応すればたぶん1〜2万円位なのでしょうが、美容外科では、保険を適応してくれないところもあります。その場合には、5〜10万円ぐらいかかる可能性もあります。保険適応ですが、保険を適応するかどうかは、病院(クリニック)の方針や担当医の考え方で決まります。

Q6:刺青(入れ墨)は消すことが出来ますか。出来るとすればどのような方法がありますか。

A6:刺青は、主に腕から肩にかけて行われることが多いものです。これを跡形なく消しさることは不可能ですが、傷跡は残ったとしても色と模様を消してそれとわからない様にすることは出来ます。その方法には
1)単純縫縮術
縫い寄せる方法です。縫い寄せ可能な程度の小さいものに限って可能です。
2)連続縫縮術
2回〜3回ぐらいに分けて、時間をあけて縫う寄せを繰り返す方法です。周囲皮膚に余裕があるときには、刺青が比較的広くてもこの方法で可能です。
3)エキスパンダー法
刺青の隣の正常皮膚に風船のような袋を入れて、徐々に生理食塩水を入れて引き延ばし刺青の皮膚を切除して引き延ばした皮膚でおおうという方法です。2)と同じように比較的広い刺青に対し、この方法が適応になります。
4)植皮術
1)から3)の方法では切除できない広範囲な場合などには、他の正常皮膚にも傷跡が残りますが皮膚移植を行いやけどなどで移植をしたかの様にみせる方法です。
5)レーザー療法
最近の新しいレーザーでは有効な場合があります。しかしすべての入れ墨が消えるとは限りません。

Q7:私は両肩にワンポイントの刺青が入っています。消したいと思いこのホームページを見ました。質問の所に刺青の消し方がのっていましたが、傷跡が残ると書いてありましたがどれくらいの程度の傷跡なのでしょうか?火傷のようなかんじで残ってしまうのでしょうか?

A7:傷跡は、手術方法によって異なります。
比較的小さな刺青であれば、切除して縫い寄せます。その場合には、線状の傷跡になります。
縫い寄せるのが難しい場合には、削るのみにするか、皮膚移植をします。削るのみの場合には、やけどのあとのようになります。皮膚移植をすると、パッチ状(つぎあての様な)の傷跡が残ります。

Q8:母が、高いところから転落し、前歯がかけ、その歯で唇が裂け救急病院で縫ってもらったところ、まだ痛くて口腔外科に行きました。レントゲンで破片がまだ入っているとのことで2つまでは見つかったのですが、後ひとつ残っているようだったのですが、探してもみつからず、大丈夫だろうと閉じました。しかし、3ヶ月たっても腫れがひかず、痛みがとれません。まだ入っているようです。最近またほかの病院で見てもらったところ、みつかるか保証できないとのこと。一体どうしたらいいか途方にくれています。先生のところでは、そのような手術は可能でしょうか?お答えいただけることをお待ち申し上げております。

A8:一つには、レントゲンで歯が残っているかどうかの確認が必要です。
もし確認できている場合、その大きさによります。小さいものの場合には、見つけることが困難な場合があります。(やや曖昧ですが)ある程度の大きさがあれば、手術すればまず見つかると思います。レントゲンで歯が確認できない場合には、摘出するべきものが見つかっていないので難しいと思います。