形成外科Q&A (1)目(眼瞼)


Q1:2歳の娘のことでご相談します。左眼が眼瞼下垂です。現在、某病院に半年に一度通院していますが、黒目は見えているので、このまま様子をみることになっています。3歳を過ぎてから、眼瞼挙筋を引き上げる手術をすることになっていますが、どれくらい引き上げるかが問題で、少なめに引き上げると一度では左右同じにならないのでもう一度手術するかもしれないし、完全に左右同じにならないかもしれないと言われています。左右、違和感のないようになるのでしょうか

A1:子どもでこの手術は、全身麻酔が不可欠です。そのためどのくらい眼瞼挙筋を短縮するのがよいか、手術中に目を開かせて確認することができません。ですので、手術する先生の経験によるところが大きいと思います。上げすぎると治すのが難しくなるので、やや控えめにする場合があるので、担当の先生はそのように言われたのではないかと推測します。完璧な結果を期待すると、ほんのわずかの左右差でも気になるという事になります。ですのでおおよそ違和感のない程度にはなるのであるが、手術というのは同じ事をやっても結果は人それぞれに異なることが起こりうるので完全に左右同じにならないこともあり得るととらえられたらいかがでしょうか。


Q2:私は先天性の左目だけ眼瞼下垂を持つ33才になる男性です。治療に当たっては、眼科もしくは形成外科の両方があるのですが、一般的にどちらへかかるのが良いのでしょうか?また、手術後瞼が閉じにくくなるといった事がおこるらしいのですが、このようなことはまれなことなのでしょうか?それとも、一般的な事象なのでしょうか?

A2:何科にかかるかに関してですが、病院の中にある形成外科であれば、一般的にはよくこの手術はやっているものです。眼科の場合、眼瞼や眼窩といった眼球以外の器官を扱う眼科形成という分野があって、その分野の手術をよくやっている眼科の先生ならば大丈夫だと思います。ですのでどちらが良いということはいえません。
 眼を閉じたときに完全に閉瞼できない(=兎眼といいます。)ということは一般的に起こり得ます。必ずというわけではありませんが、2〜3mm位あくことことはよくあります。通常の場合、眼を閉瞼するときに眼球が上転して角膜を保護する様になっています。(いわゆる白目になる)従ってそれにより眼には何も問題はおこりません。どのような手術を行うのか、下垂の程度がどのくらいかなどにもよって違います。一般的に下垂の程度が軽ければ、兎眼は起こりにくいと言えるでしょう。

Q3:私は、以前に挙筋短縮の手術をした先天性眼瞼下垂の32才の女性です。挙筋力がほとんどなくて、両目とも挙筋を2cm切除したのですが3mm程しか上がらなかったので、吊り上げ術という方法の再手術を考えています。詳しい手術方法、それに伴うリスク、後遺症などをおしえてください。

Q3:吊り上げ法についてご説明します。
大腿筋膜などのいわゆるスジ(自分のもの)を短冊状に採取します。二重のライン付近を皮膚切開して瞼板というまぶたの軟骨を露出します。また眉毛の上あたりを少し皮膚切開して前頭筋を出します。そのあいだに皮下トンネルを作成してその筋膜を橋渡しするようにして移植するものです。そして額の筋肉(前頭筋)を力源としてまぶたを挙げようとする手術です。
特にこの手術だからどうのというリスクは無いと思われます。危険な手術ではありません。後遺症といえるかどうかわかりませんが、目が完全に閉じられないことがあります。(兎眼といいます。)その場合にすこし白目をあけて眠ることになります。

Q4:35歳の女性です。左目が先天性の眼瞼下垂ですが、軽度で子供の頃は さほど気にならなかったのですが、高校時代からコンタクトを使用するようになったからか、最近以前より瞼が下がって左右の大きさが目立って違うようになってきました。手術は眼瞼の筋を縮めるものと聞きましたが、どのくらいの時間がかかるのでしょうか?また入院は必要ですか?術後傷痕はどのくらいで、目立たなくなりますか?

A4:通常、眼瞼挙筋の短縮術というものを行います。手術時間は、40〜50分ぐらいでしょうか。抜糸までの期間としては、1週間です。眼瞼の上がり具合を手術中にチェックする意味から局所麻酔で行います。
入院か通院かは、ケースバイケースです。いつでも通院ができる(ある程度融通が利く)という場合には、入院はいりません。遠方から来られる場合には、入院をおすすめすることもあります。(数日〜1週間ぐらい)
手術後の傷跡は、二重の線にあわせる様になります。一重の方で、二重にはしたくないという場合にはもちろん二重にすることはないですが、目を開けたときに二重によって線状の傷跡が隠れるということがありません。傷跡は、3ヶ月〜6ヶ月ぐらいで白くなってほとんど目立たなくなります。結膜側(裏側)より切開する方法もあります。ただし、皮膚のたるみがあるような場合には、皮膚切開をした方が結果が良いと考えます。
私が手術する場合のこととして書きました。他の施設では、異なる部分もあるかと思います。

Q5: 私の妻は、生まれ付き左目の先天性眼瞼下垂だそうですがどんな病気なのでしょうか?年齢と共に筋肉が衰えて瞼が下がって視力が低下してくるのではと 本人も気にしています。又、思い切って二重瞼の整形も受けたいとの事。今後の改善方法と注意する事。又、矯正などの手術が必要でしょうか?それから矯正手術の費用は、どの位いかかるのでしょうか?宜しくご指導お願い致します。

A5:生まれつき眼瞼をもちあげる筋肉(=眼瞼挙筋)の発育が悪く、萎縮して十分な筋肉の力がないために、眼瞼を十分に挙上出来ない病気です。
通常、眼瞼下垂によって視力が低下するということはありません。ただ、視野が狭くて上方が見づらい、額の筋肉(前頭筋)でそれを代用しようとするために額にしわを寄せたり、顎を前に出す様にしてものを見るなどが起こることがあります。
眼瞼下垂の治療は健康保険の適応ですが、もしそれがごく軽度で二重瞼にしたいなどの美容的な要素が強い場合には、自費になるケースもあると思われます。診察をしなければ、費用については何とも言えません。

Q6:私は先天性眼瞼下垂を持つ20代の者ですが、下垂の手術を行うことにより今よりも瞼が上がるようになる可能性は高いのでしょうか?手術がうまくいかず今より瞼が下がってきたり視力が低下したりすることはあるのでしょうか?また手術の際傷跡をかくすため二重にすることもできるとききましたが本当ですか?下垂の手術後に美容外科として二重にするよりも下垂の手術時に二重にしておいた方が良いのでしょうか?

A6:下垂の状態が悪化したり、視力低下を来すことはまずありません。
片側の下垂の場合に、過矯正とか低矯正など矯正の程度が適切でない場合に、正面視で左右のバランスが悪いということはあります。(完全な左右対称とならないこともあるという意味です。)また、兎眼(とがん)といって目を閉じても完全に瞼が閉まりきれず、細く白目があいているということはあります。
二重にすることはできますが、眼瞼下垂眼できれいな二重を同時期に作るのは、難しいとされています。眼瞼下垂の程度によって二重の出来かたが微妙に異なってくるからです。従って、よりきれいな二重を希望されるのであれば、眼瞼下垂の手術が終了して、数ヶ月経過して二重にするようにした方がよろしいかと私は思っています。ただ、そのあたりの考え方は、担当医によって異なる点もあると思われます。


Q7:生後3週間で、娘が両目とも先天性眼瞼下垂と診断されました。現在、生後一ヶ月(2500g)です。一週間後に「吊り上げ法」で手術する予定です。娘は、両目とも完全に閉じた状態です。(1mmぐらい開けることはありますが・・・)他には、眼球が普通よりひと回り小さいようです。
診察の内容はおおむね下記のとおりです。
・このままでは眼が見えなくなるので、早急な手術が必要。
・挙筋短縮は、手術時間が長く、体が小さいので無理。
・従って、吊り上げ法で手術する。
・ただし、瞼が小さいので上手く行くかは分からない。
(針が通るかどうか、やってみないと分からない。)
・眼球を傷つけないよう、手術は無理はしない。
(針が通らないなどの時は、手術は断念する。)
・全身麻酔は大丈夫だろう。
先生は、「早ければ、早いほど機能の成長が期待できる。」とおっしゃります。「ホントに、こんなに早い時期に(全身麻酔で)手術する必要があるのか?」と迷ったりしています。
「目の機能が育つ可能性は低くなるが、手術は1歳くらいまで待つべきだ」なんていう、別の意見は存在しないのか?と思ったりもします。

A7:子どもの視力は、毎日たえずものを見ていないと発達しません。この発達の途中で、何か障害があってものを見ることができないでいると、視力の発達が止まってしまうことがあります。これを「弱視」といいます。例えば、眼帯をしていても6歳以上なら大丈夫ですが、1歳前後では1週間でも危険です。弱視の目でも色や形はわかるのですが、たえずぼやけた状態でしか見えません。
貴殿のお子さまのように眼瞼下垂による弱視が心配される場合には、まずその状態をなるべく早期に改善させることが必要となります。その手術により必ず眼瞼下垂の改善を得られる保証はないというような説明を受けているようですが、とにかく今やれる可能性のある治療は、やっておくべきかと思います。

Q8:三ヶ月の息子が両眼瞼下垂症です。現在通院している病院では三歳前後の手術といわれたのですが気になって別の大学病院で聞いたところ、子供の症状(挙筋機能の有無)によって術式が異なると聞きました また手術を行っている病院によって採用している術式が異なる 最新の術式を行う病院はさらに限られるともききました。可能ならば症例数の多い首都圏の病院に通うのが望ましいということだったのですが、先天性眼瞼下垂に対する術式の種類がいまいちつかみきれません 私が伺ったのは挙筋前転術、腱膜移植法ですが他にどのような方法があるのでしょうか。大人に行うような単純な挙筋短縮ではないと繰り返し言われたのですが上記のような術式を採用している施設は少ないのですか。その医師は眼科でしたのでわかりかねるということでした、それぞれのメリットデメリットについてもお答えできる範囲でかまいませんのでお教えいただけますでしょうか。

A8:先天性眼瞼下垂の手術法としては、挙筋短縮術(=挙筋前転術)、筋膜移植による眼瞼吊り上げ術の2つとなります。
どちらを選択するかは、眼瞼挙筋の機能がどの程度あるかで決定します。一般的に挙筋機能がある程度残っている場合に前者の術式を行い、機能がほとんど無いと判断されれば後者の手術を行います。術者の経験や好みによっても判断が異なります。
前者は、残された眼瞼挙筋の機能を有効に利用するもので、より生理的で動的な眼瞼が再建できます。後者は、眼瞼挙筋と関係のない前頭筋という筋肉で眼瞼を挙上させるため静的要素が強く、前者に比較するとやや不自然な印象があるといえます。医療施設でどこがどうのという内容については回答できません。

Q9:30年ほど前にガラス戸にぶつかり左瞼をたてに切り形成手術を受けました。 その後、その傷を隠す為についた目尻から眉のほうにかけて切開した部分の形成手術を一回(この傷はきれいになりませんでした)、更に十年後にまぶたの部分の二重のラインを大きくして傷が目を開けた時に少し折り込まれるような感じになるような手術をしました。今、年を経て(現在46歳)瞼のあたりがだんだんはりがなくなって何となく傷が目立つような気になっています。縦の傷なので(まぶたの中央です)ひきつれています。
最後の手術から二十年経っています。また手術をして少しでも目立たなくなるのならと思いますが・・それともこれ以上望むのは無理でしょうか。

A9:診察をしないと形成手術により改善できるかどうかを結論するのは、難しいと思います。ひきつれているということですので、少なくともそれに関しては手術で何とかしようと一般的には考えますが・・・・。最後の手術から何十年たっているからというのは、手術できる、できないとはほとんど関係ありません。
また、ひきつれている場合には、健康保険が適応される可能性があります。傷痕の外見上の改善目的だけでは、保険を使うのは厳しいと思われます。

Q10:私は24歳の女です。実は4年程前からもともと二重だった目が一重の三角っぽい目になってしまいました。私は子供の頃からずーっと、アトピー性皮膚炎で治療しているのですが、薬のせいか、皮膚が厚くなったのか、はれぼったくなってるのかわからないのですが、
とにかくアトピーが原因なのではないかと思っています。アトピーの状態は二重のときが状態がよくて、今は悪いというわけではありませ
ん。同じぐらいです。もし原因がアトピーでないとしたら、二重の人がある日突然一重になることってあるのでしょうか。以前のような二重に戻りたいのですが、アトピーでも形成外科で二重の手術を受 けることはできますか?その場合、保険はきくのでしょうか。 教えてくださいお願いします。

A10:アトピー性皮膚炎が原因かどうかは判断しかねますが、通常でも二重が急に一重になることはあり得ます。手術により、それを二重にすることは可能です。「重瞼術」といいます。アトピーであるなしは関係ありません。健康保険の適応はありません。自費となります。料金に関しては、片眼なのか両眼なのかわかりませんし、手術法(切開法か埋没法か)によっても金額が違います。

Q11:3ヶ月ほど前から瞼が腫れてきました。内科でTSHの血液検査をしたところバセドウ病の疑いがあると言われました。(数値が低かった)しかし、アイソトープやエコーなどではっきりした所見がなく現在は薬も飲んでおりません。定期的に様子を見ていこうとのことです。瞼の腫れは誰が見ても明らかな腫れでまるで殴られたあとのようです。内科医からは眼球突出と言われました。もう精神的に参ってしまい外出も苦になってきました。形成外科で少しでも目立たなくする方法はありますか?

A11:本当に眼球突出があるのか、仮にあるとして、どの程度のものかを検査してもらう必要があるでしょう。眼科で眼球の突出度を計測できるところもあるので、それをまず検査してもらうことが良いでしょう。
眼球突出の治療は、手術による治療となります。その手術法としては、眼窩脂肪摘出術と骨壁開放術があります。
・眼窩脂肪摘出術
眼球の周りの脂肪の一部を摘除して、眼窩内の容積を少なくして眼球突出を改善させるという治療です。
・骨壁開放術
眼球の入っている眼窩という骨の壁に孔をあけて眼球の周りの脂肪をその孔の中に落とし込み、眼窩内の容量を小さくするというような治療です。
いずれの手術の場合にも、複視といってものが2重に見えるという合併症が一時的に生じる場合があります。また、2番目の方法では、頬部などの知覚障害が生じることもあります。

Q12:私の弟は、「先天性ホルネル症候群」というものにかかっているみたいなんですが、あまり例の少ない病気らしく、詳しく知りたくても解りません。弟は今12歳で、解っている限りでは、先天性眼瞼下垂、発汗障害、強い光に弱かったり、 動いているものの距離感がよく解らないらしいです。 先天性眼瞼下垂の方は、産まれて直ぐは、目がひらかなかったそうですが、母が、モノを見るようにビデオとか、動くものに興味を持たせていくうちに、開いていき、視力は1.0あるみたいです。しかし、一日中開け開けと命令するのは疲れるみたいで、疲れている日の夕方は、少し片方の瞼が下がって来てしまっています。
同じ病気を持っている人や、その他もっと詳しく知りたいのですが、 調べていただけないでしょうか、、、

A12:ホルナー(ホルネル)症候群
交感神経麻痺側の眼瞼下垂,縮瞳,無汗症.眼球陥没は実際よりも顕著である.障害された瞳孔は光を暗くするとかなりゆっくり散瞳する.頸部交感神経連鎖またはその中枢経路の障害による(ステッドマン医学大事典より引用)形成外科における治療は、眼瞼下垂に対する挙筋短縮術を行います。

Q13:私は、現在33才の女性です。生まれつきだと思うのですが、何か食べて口を動かすと、左の瞼が上下に動きます。何も食べなくても、口を大きく開けると、同じく瞼も動きます。子供の頃から、人前でものを食べるのがイヤでした。いろいろ調べてみたのですが、私にはどんな病気なのかわかりません。ただ瞼が上下に動くだけで、痛み、見づらいといった症状はありません。なんと言う病気なのか、治療方法や、手術などで治るものなのか、どうか教えてください。

A13:これは、Marcus Gunn徴候(マーカス・ガンちょうこう)ではないかと推測されます。これは、開口に際して患側の(この場合左側)の上眼瞼が挙上する現象であり、眼瞼下垂を合併することが多いです。やや専門的になりますが、外側翼突筋(物を咬む筋肉のひとつ)の支配神経である三叉神経第3枝と眼瞼挙筋の支配神経である動眼神経との間に何らかの異常交通があるためと考えられています。本症の治療としては様々な術式があり、またその治療の考え方は、形成外科、眼科、脳神経外科などで微妙に異なります。一般的には、眼瞼挙筋の切断、筋膜移植による眼瞼吊り上げ術が行われます。眼瞼下垂を仮に伴っているとしても、このケースで(眼瞼下垂によく行われる)挙筋短縮術を行うと、開口時にかえって瞼が大きく挙上される結果となり、良くないといわれています。
その他の治療として。脳神経外科では後頭部の開頭による三叉神経第3枝切断術があり、これは異常連合を神経レベルで切断するもので理論的には優れますが、実際の手術成績に関しては脳神経外科医でない私には分かりません。

Q14:右目の眼瞼下垂で悩んでいます。小さいときから左右の目の大きさが対称ではありませんでした。それと、あごを動かすたびに、右目がぴくぴくと動いてしまいます。左目はそういうことは全くありません。これに対処法はないものでしょうか?

A14:これは多分、マーカス・ガン徴候と呼ばれる先天的な異常だろうと推測されます。これについては、上のQ:13に書いていてありますので、ご参照ください。しかし、これだけでそうだとはっきりは申し上げられません。いずれにしましてもお近くの大きな病院の形成外科もしくは眼科を受診してご相談ください。

Q15:50歳の女性です。左右の眼腱下垂の手術を2000年4月に美容整形外科で受けました。特に右眼の下垂がひどかったのですが、医師の診察では、軽度の下垂なのでこの程度では健康保険は適用されないだろうと言われ、費用がかかるのを承知で美容整形外科でうけました。しかしその結果、右の瞼がかぶさりすぎて左右のバランスが悪く外見上の不満足から、3ヶ月後に右だけの再手術を受けました。このときの手術費はかかりませんでした。その後、ある程度の左右差は仕方ないものと過ごしてきましたが、最近になって今度は左眼の下垂が目立つようになり、まばたきの速度や視野、瞼の重さ、そして外見上も左眼にとても違和感を感じるようになっています。
あまりひどくならないうちに再度手術を受けることを考えているのですが、以前の美容整形外科をたずねる気にはちょっとなれません。眼科形成のある病院で診察を受けたほうが良いのでしょうか。また、このような手術の場合、健康保険は適用になるのでしょうか。また、加齢によって今後一層眼腱下垂が進んだ場合、手術は何回も繰り返して受けることは出来るのでしょうか。アドバイスをお願いいたします。

A15:細かいことですが「眼腱下垂」ではなく、「眼瞼下垂」です。診察をどこで受けるべきかは、ケースバイケースですので一概にお答えできません。ひどくならないうちに手術を受けたいとのお考えのようですが、一般的には軽度のものは手術をしない方がよいといわれる先生が多いです。特に一度手術をしている場合には、眼瞼挙筋が周囲の組織と癒着している場合もあり、手術が非常にやりにくくなっていることも考えられます。ですのでいくつかのところで診察を受けて、個別に相談をするしかないと思います。
健康保険ついては、軽度のものは美容的な要素が強くなりますので、一般的には適応されない傾向がありますが、そのあたりの判断は担当医が行います。ここでは決められません。何回も手術することは、上に書いたように一般的には困難といえるでしょう。

Q16:今4ヶ月になる子供がいるのですが、生まれつき目が半分位(黒眼が半分見える程度)にしか開いてない状況です。近くの眼科へ連れて行き診察を受けたのですが、眼球には異常が見られないが、瞼が開かないのはわからないので、県病の小児科へ連れて行ってくれと言われました。県病での診察では染色体、CTなどの検査でしたが異常はないと言われ、目の事については経過を見て行きましょうとの事でした。4ヶ月検診で他の小児科へ連れて行った時、眼瞼下垂だと言うことを告げられ大学病院に連れて行きました。そこでもハッキリとした回答が得られず、来週から検査入院することになりました。前歴がないのか?何処に病院に行っても曖昧というかハッキリとした回答を得られず困惑している状況です。そんな時、先生のホームページに出会いました!本当に眼瞼下垂なのか?その場合、手術が出来るのか?それとも他の病気の可能性があるのか?

A16:(写真は割愛)写真から判断する限りでは、「瞼裂縮小症(blepharophimosis)」だと思われます。これは、瞼裂狭小(瞼裂というのは、眼の横幅というように理解してください。眼の開き具合も瞼裂という場合もあります。)、眼瞼下垂、逆内眼角贅皮(目頭に下から上に向かってヒダがある)、内眼角間開大(左右の目頭が離れている)の4つの症状を伴うとされています。手術は、それぞれの症状に対して手術が行われます。すなわち、
逆内眼角贅皮・・・内眼角形成術
内眼角開大・・・内側眼瞼靱帯の短縮術
瞼裂狭小・・・外眼角形成術
眼瞼下垂・・・上眼瞼挙筋短縮術もしくは吊り上げ術
となります。
他に病気が特に合併しやすいとは特にいわれていませんので、小児科的に異常を指摘されていなければ、大丈夫だと思います。だだし、瞼裂縮小症だとすると常染色体優性遺伝といわれているので、遺伝的要因が考えられます。

Q17:32歳 女性です。コンタクトレンズ装用歴は17年(ハード・ソフト半分ずつ)です。半年ほど前、目に「グッ」と力を込めた時、二重瞼の下(内側)とまつげ間の一部に5mmぐらいのシワが出来ました。その後二重瞼がその新しいシワとつながり、結果として二重瞼の幅が細くなりました。二重瞼の幅が治らないかと触ったりしていましたが、元に戻りません。1週間ほど前より上眼瞼に鈍痛を認めます。眼を閉じると鈍痛は楽になります。これは眼瞼弛緩症、腱膜性眼瞼下垂症でしょうか?手術にて上眼瞼の鈍痛がなくなるのなら考えたいです。またネットで見たのですが、腱膜を瞼板に固定する術式になるのでしょうか?

A17:眼瞼弛緩症は、加齢的な変化によりまぶたの皮膚がたるんで眼に覆い被さって視野を狭くする状態であり、腱膜性眼瞼下垂は、眼瞼挙筋が瞼板に付着する腱膜部分が伸びてしまって眼瞼下垂が生じて、視野を狭くする状態です。通常は鈍痛のようなものはないです。
貴殿の状態が、上記のいづれか、あるいは該当しないのかは、これだけではわかりません。手術によって鈍痛がよくなるかどうかもここでは言えません。お近くの眼科、もしくは形成外科にて診察をお受けください。

Q18:私の目頭の辺りに先天性耳瘻孔のような穴が開いてます。1mmぐらいです。ネットで検索しても目頭に出来るという症例がないので気になります。耳瘻孔ではないのでしょうか?絞ると水分が出ます。

A18:「涙嚢瘻孔」と呼ばれる先天異常だと思います。眼科もしくは形成外科にて診察をお受けください。