〈ひまわり通信8〉 息は、はくべし! 2019.7.13




野良猫が散歩中の犬にあって、ものすごく体中の毛を逆立てて、背中を高く丸くして、精いっぱい威嚇しているのを見たことはありますか?
この猫の頑張っている姿こそ、まさに自律神経のうちで交感神経が働いている証なのです。

きっとその野良猫は、息は荒くなり、心臓はバクバクして、手(まえあし?)のひらは滑らないように汗ばみ、
瞳孔は開き、全身の血液が中心に集められ、ちょっと傷ついてもあまり出血しないように、末梢の血管は収縮されている。
まさに戦う神経、交感神経が勝っている光景です。
それは自然の摂理です。
自分の意志ではコントロールしにくい、それが自律神経です。

自律神経とは、交感神経と副交感神経というそれぞれ相対しながら、互いに協力して人間の体の営みをつかさどっている二つの神経系系統からできています。
交感神経は体を動かす神経、一方副交感神経はリラックスする神経です。
交感神経は(車でいうと)アクセル、副交感神経はブレーキと例えることもあります。

自律神経は、ほとんど意識しない間にもチキンと働いています。
寝ているときも心臓は全身に血液を送り続け、その他の内臓も自分の仕事をこつこつ頑張っています。
息だって、吸ったりはいたり、すったりはいたり、自分で考えなくても、私たちは呼吸しています。
自律神経は体の隅々まで私たちの意識しないところまで、気を付けてくれているのです。

しかし、その反対に、
さっき言った野良ネコちゃんのように、自律神経は、精神的影響を反映することも多くあるのです。
緊張すると、下痢しちゃったり、逆に便秘したり、自律神経は大いに乱れます。

それでは、自律神経様には勝てないのでしょうか?
実は、自分の意志で、コントロールする方法が・・・あります。

さすがに「う〜ん」「ぐ〜お〜」と頑張っても心臓の鼓動を早めたり遅くしたりは、相当の達人でなければできません。
内臓は不随意筋でできているからです(自分の意志ではコントロールできない筋肉を不随意筋と言います)。
でも呼吸だけは、自然に吸ったりはいたりしているのですが、意図的に深呼吸をすることができます。
呼吸を整えることで、自律神経を自分でコントロールできるかもしれないのです。

自律神経では、息を吸うというのが交感神経の働き、息をはくというのが副交感神経の働きです。
もっと言うと、息をはいているときには、心臓の拍動が少し遅くなり、息を吸うときには心臓の拍動がちょっぴり速くなっているのです。
短い時間で神経が切り替わって、吸ったりはいたり、交互に交感神経、副交感神経が協力しながら呼吸を続けていかれるのです。
(人間の体って、本当に精密に良くできていますよね!!!)
そこで・・・
副交感神経はリラックスする神経に繋がっているわけですから、息をはくということで逆に副交感神経を動かしてあげることができるのです。

それってすごくないですか?

なんか緊張してきて、自然と体が勝手に交感神経優位となってしまったとき、息を吐くということでリラックスする副交感神経を意志の力で優位に働かせてあげられれば、その緊張はすこ〜し緩まってくるかもしれません。
人間って、どうしても緊張すると、息を吸おう吸おうとしてしまうものなのですよ。
そこをあえて、息をゆっくりはいてみる。
ゆっくりゆっくり10秒ほど息をはいてみる。
その反動で5秒くらい静かに息を吸ってみる。
呼吸法としてきちんとやるやり方もあるとは思いますが、
簡単にまず・・・はくべし!
リラックスする気持ちとなり、口元がにへら〜とできたらしめたもの。
心の緊張はきっとほぐれてきますよ。

ほら、呼吸って、漢字でも「はく」→「吸う」という順で書いてありますよね?
まずは、はくべし!
緊張したら、はくべし。
あんまり、はくことに力を入れずに、リラックス〜という気持ちで、はくべし。

子供さんの受験の時にはぜひ言ってあげてください。
息は、はくべし、と。