<ひまわり通信 50> 2022.7月 認知症のケアのあり方 雑感

 
 このところの、認知症とともに生きる人の『ケア』を大切に考えていこう!という時代の流れはとても素晴らしいと思う。

 パーソン・センタード・ケア

 ユマニチュード

 ケアのあり方を変えると良い、との啓発本もたくさん出ている。

 しかし…ケアのやり方は間違っていなかったのに、うまくいかない時…
 
あると思うんですよね。

 例えば認知症の原因疾患からの症状の出方の違いもあるし、
  
 それこそ抗認知症治療薬の副作用で荒々しくなることもあるし、

 ほかの科の(内科や整形外科などの)処方薬によるせん妄かもしれないし、

 ガンが併発していてリモートエフェクト(体の腫瘍が遠隔的に作用を及ぼしている状態)による精神症状かもしれないし(傍悪性腫瘍症候群)、

 うつ病だったら、単なる心の問題ではなく薬物療法が必要になってくるし…

 便秘、口内炎、発熱のせいかもしれないし、

いろいろ検討すべき事柄が医学的にたくさんあることを念頭に置く必要がある!!と今だからこそ!最近特に思います。


 何か、ケアでうまくいかない時、特にまじめで心優しいご家族、スタッフが、自分たちのケアのせいで悪くなっていると自分たちを責めたり追い詰められたりしないように…。


 ケアのあり方で変わることもあるし、そうでないときもあるし。


 認知症の医療・介護にかかわるものとしては、患者さん(ご自身)の命や幸せを尊重することが第一命題なのですが、その周りの家族やスタッフを追い詰めず、大切に考えていくことも大事に大事にしていきたいと思っています。


 先日、おだわら・はこね家族会で少しお話をさせていただきました。
そしてそのあとのお話し会で、ご主人様を介護なさっている奥様が質問されました

「主人はお散歩とか運動したがらないのです。のんびり横になっていたいとばかり言うんです。これでいいんでしょうか?どこまで本人の気持ちを尊重すべきなのでしょうか?」と。

 私はとても難しいな、と思いました。ご主人思いの奥様が、何とかご主人を傷つけずにどうやってあげたら正解なのかを一生懸命考えていらっしゃるのです。
もちろん、運動したほうがいいかもね、と思いますし、
例えば「ごはんはいらない、アイスだけがいい。」と言われたとしたらそれは体に良くないよね、とわかるけど…
運動となるとご本人の意欲と行動力が必要だし…お互いにヒートアップしてけんかになったら気まずいし…本当に難しいと思いました。

正しい答えなんてないかもしれません。
どうにか楽しい気持ちで体が動かせると良いのですが。
同じような患者さん(特に男性の方が多いように思いますが)はたくさんいらっしゃいます。私の大きな宿題でもあります。

私がまごまごとしていたら、介護専門職の方が「一緒に地域のカフェや運動とかに参加されてはいかがですか?」と提案してくれた。
さすが!!頼りになる!!あまり悩まずに楽しんでみる、がお勧めかもしれませんね。