訴 状


                            岡山県倉敷市〇〇
                                  原      告        B                  子
                            右原告訴訟代理人の表示  別紙目録記載のとおり
                            東京都渋谷区松濤一丁目1番2号
                                  被      告        世界基督教統一神霊協会
                                  右代表役員        藤  井   みち 雄
            損害賠償請求事件

                             請  求  の  趣  旨
  被告は原告に対し金9,285,200円と平成4年8月1日から完済に至るまで
年5分の割合による金員を支払え
  訴訟費用は被告の負担とする
  との判決並びに仮執行宣言を求める。

                             請  求  の  原  因
はじめに
  1989年11月、岡山地方裁判所に対し一青年が世界基督教統一神霊協会を相
手に不当な手段によって同協会に入教させられ、霊感商法という違法行為に加担す
ることになり、巧妙なマインドコントロールによって貴重な青春時代を反社会的団
体に帰属して財産的にも精神的にも多大な損害を被ったとしてその違法性を問うい
わゆる「青春を返せ訴訟」を提起した。その当時、全国的に同種の裁判が数件しか
係属していなかったが、現在同様の訴訟を提起した原告数は全国で120名を超え
ている。
  1992年8月、被告は韓国において合同結婚式を挙行した。被告はこのイベン
トに桜田淳子・山崎浩子ら芸能人を参加させて宣伝活動に利用しようとしたが、逆
に被告の霊感商法の実態をさらけだす結果となり、被告内部にも大きな動揺を与え
脱会者が相次ぐようになった。各地での青春を返せ訴訟において、マインドコント
ロールのシステムが明らかにされつつあり、米国で統一協会のナンバー2の地位に
あった元信者で心理学者スティーブン・ハッサン著「マインドコントロールの恐怖」
(恒久出版刊、浅見定雄訳)がベストセラーとなっている。
  一方、被告は自ら4000億円(内800億円は天地正教分)の借金を抱えてい
る旨言明している。統一協会の最前線にいる信者(食口−シック)達は、激しいノ
ルマを課され、睡眠時間まで制限され人格的にもずたずたになりながら今なお街頭
でのニセ募金、珍味売り、その他の霊感商法の実働部隊へとかりだされている。
  本裁判は、原告の被った著しい人格破壊による精神的損害、復帰原理の名の下に
多額の金員を拠出させられた財産的損害の回復を求め、被告のマインドコントロー
ルの違法性を問い、新たな被害者の発生の防止と今なお被告組織にいて苦しい毎日
を送っている人達が一刻も早く誤りに気づいて救出されることを願って提起するも
のである。

第1  当事者
 1  被告
  被告世界基督教統一神霊協会(以下、統一協会という)は、1954年ソウルで
設立された宗教団体で、教祖は文鮮明(韓国人)である。
  日本には1958年、密入国した韓国人崔翔翼(チェ・サンイク 日本名西川勝)
によりもたらされ、1964年東京都知事の認証を得て同年7月16日付けで宗教
法人として設立登記をしている。同年に、元立正校成会の信者久保木修己が会長に
就任し、その後神山威、藤井 雄と交替し、現在に至っている。
  信者〔統一協会内では「食口」(しっく)と呼ぶ〕は、統一協会の発表では日本
で30万人、全世界で300万人とされている。しかし、元統一協会最高幹部の副
島嘉和氏が雑誌『文芸春秋』1984年7月号で暴露したところによれば、日本で
8,000人、アメリカ合衆国と韓国にそれぞれ2,000人、ヨーロッパ全体で二
百数十人であり、浅見定雄東北学院大学教授によれば、多めに見て日本が数万人、
アメリカ合衆国と韓国にそれぞれ2,000人から5,000人、ヨーロッパ全体で
1,000人そこそこ、その他の国では殆ど無視してよいという状況である(以上、
浅見定雄「統一協会=原理運動その見極めかたと対策」)。
 2  原告
  原告は、路傍アンケートを契機として、被告施設であるビデオセンターに通うよ
うになり、その後統一協会に在籍するようになったものであるが、家族等の努力に
より統一協会の実態を知り、自ら脱会したものである。

第2  統一協会の教理と霊感商法への必然性
 1、統一協会は、1954年ソウルで創立された宗教団体で、その教祖は韓国人文
鮮明である。統一協会は国際勝共連合との結びつきが密接であり、その初代会長に
就任した久保木修己は、国際勝共連合の会長でもあった。
 2、統一協会の目的は神と人間の究極の理想である人間完成と地上天国を実現する
ところにあるとしている。そして、統一協会の教理は統一原理で、大きく分けると、
創造原理、堕落論、復帰原理の3つであり、その教理の書は原理講論である。
(1)  創造原理
  統一原理の根本は、神が人間と万物をどのように創造したかということを明らか
にする創造原理である。
  人間は、永遠なる神が最も愛し、喜ぶことのできる対象として創造した。そのた
め、人間には永遠の生命が与えられており、神の愛が人間の生命と幸福の根源とな
っている。人間は肉身と共に霊人体をそなえた霊肉の統一体であり、愛による善き
行いによって人間は霊肉共に完成することができる。被造世界は肉的な5感で感知
することのできる世界(現実世界)と、霊的な5感によってしか感知できない世界
(霊界)とから成り立っている。人間は肉身の寿命が尽きると肉体の衣を脱ぎ、霊
界においては霊人体として永遠に生きるように創造されたものである。神は、神と
喜怒哀楽を共にする人間が天国を造って喜ぶときに一番喜ばれる。人間を中心とし
て被造世界の目的は神を喜ばせることにある。人間の完成とは神性をなして神と一
体となり、完成に共鳴することにより喜怒哀楽を共にすることをいうが、そうなる
ために他の万物と異なり、人間だけは5パーセントの自己責任がある。
  その人の霊人体が天国へ行けるか地獄へ行くかは、肉身であるその人の地上生活
が神の創造目的を成就するためにプラス(善)かマイナス(悪)であるかによる。
人間の本当の幸せとは永遠の世界である霊界での永遠の幸福のために地上で善の生
活をすることである。
(2)  堕落論
  神は善の主体であり、永遠なる理想の本体であるから、その神の意思によって創
造された人間が善の理想体としてすでに完成されていたならば、善悪や苦痛や矛盾
があり得るはずがない。しかし、現実の世界は、あまりにも創造の理想とかけ離れ
た状態にある。個人、家庭、氏族、民族、国家、世界に不幸は絶えず、罪悪に苦し
む人類の歴史が連綿と続いてきた。このような人間の本性では善を希求しているに
もかかわらず、現実には悪に傾きやすいという矛盾した状態は、結局、人間が神の
子としての本然の位置と状態を失って堕落したため生じたものである。
  人間が創造本然の目的を離れて右のような罪の歴史を繰り広げてきたのは、人間
の始祖であるアダムとエバがその未完成期に善悪の実を食べてはならないとの神の
御言を守らず、サタンとなった天使長ルーシェルとエバが不倫な肉体関係を持ち、
その結果エバはルーシェルの要素をそのまま受け継いだからである。そして、エバ
がアダムを誘惑してアダムと夫婦の関係を結んだためエバがルーシェルから受けた
すべての要素をアダムがそのまま受け継ぐことになり、この要素はその子孫に連綿
と遺伝されるようになった。すなわち、罪の根は、人間始祖が蛇に表示された天使
と不倫なる関係を結んだところにある。従って、人類は神の善の血統を繁殖するこ
とができず、サタンの血統を繁殖するようになった。従って、この世界はサタンの
支配する世界(地上地獄)となってしまったのである。そして罪には前記のごとき
原罪の外、子孫が血統的因縁によって引き継いだ先祖の罪との連帯罪、自分が犯し
た自犯罪とがある。原罪を清算しない限り他の罪を根本的に清算することができな
い。
(3)  復帰
  堕落して罪悪に陥った人類は、神の恩恵による救いの道を行かなければそこから
脱することはできず、統一原理ではこの救いの意味を復帰として理解する。そして、
人類に対する神の復帰摂理がどのような原則に基づいてなされているかを明らかに
する救いの全般の原理が復帰原理である。
  イエスは、メシアとして地上に降臨された。その目的は地上天国を創ることであ
った。ところが、ユダヤ人がイエスを信じないで彼を十字架に付けたので、彼の肉
身はサタンの侵入を受けた。従って、彼と一体となった信徒の肉身は同じようにサ
タンの侵入を受けるようになった。従って、いくら篤信者であっても、イエスの十
字架の贖罪では肉的救いを完成することができず、アダム以来の血統的原罪は清算
することができず、原罪のある子女を産むようになるのである。それゆえ、メシア
は十字架で清算できなかった原罪をあがなって肉的救いを完成し、霊肉共の救いの
摂理の目的を完遂するために地上に再臨されなければならない。
  終末とは、サタン主権の罪悪世界が神主体の理想社会に転換される時代をいう。
メシアの再臨の時が終末である。現在は、聖書に予言された終末現象が顕著に現れ
ており、まさに人類歴史の終末を迎えている。今や人間社会は、天の側の主権を立
てようとする民主主義世界とサタンの側の主権を立てようとする共産主義世界との
2つの世界に分立している。人類歴史の終末に至れば、これらは必ず一点において
交叉し、理念を中心として肉的に衝突し、それが原因となって軍事力を中心とする
外的な戦争が行われ、結局サタン主権は永遠に滅び、天の側の主権のみが永遠なる
神の単一主権として復帰される。
  メシアは再臨されていた。韓国に文鮮明として。「神は既にこの地上にこのよう
な人生と宇宙の根本問題を解決されるために一人の御方を遣わし給うたのである。
その御方こそ即ち文鮮明先生である」と。人類は文鮮明を中心とした地上天国を創
るために、その責任分担である5パーセントの責任を果さなければならない、とす
る。
  統一協会による霊感商法等の経済活動は「万物復帰」と言われ、サタン側にある
万物(お金等地上にあるすべての財物)を神(再臨のメシアである文鮮明のこと)
の下へ取り戻すという教えに基づくものである。協会員は、天法は地法にまさると
教えられ、マインドコントロールされた結果、違法な詐欺的商法を地上天国実現の
ために「復帰した金」を用いるのであるから、人を騙して売ってもむしろその人の
罪滅ぼしになり、その人のためにもなるのでかまわないと自らの正しさを盲信し、
違法な販売活動に狂奔するのである。
  また、統一協会では神の祝福による結婚という名の下に結婚式直前まで面識さえ
ない相手、文鮮明の組み合わせた相手と集団(合同)結婚式を挙げさせられるので
ある。合同結婚式によって原罪のない子供を産むことができると教えられ、合同結
婚の有資格者となるために、食口達は新たな会員獲得を目指して勧誘をし、霊感商
法にいそしむことになる。合同結婚が決まっても一定の金額を拠出しなければなら
ず、これは資金集めのためのイベントでもある。

第3  統一協会と経済活動
 1  霊感商法及び献金の実態
一  霊感商法は、統一協会関係者が全国に多数の販売会社を設け、右関係者、販売
会社販売担当者が一体になって組織的に行われているものであり、典型的な手口は
次のようなものである。
(1)  霊感商法に関与する販売担当者は、いずれも統一協会関係者である。
  担当者は、日頃から「手相や印相を見てあげる」とか「姓名判断をしてあげる」
等の口実で一般市民を家庭訪問したり、街頭でアンケート調査の口実で接近し、販
売対象者の年齢、職業、対象者との関係、経済状況、性格などを克明にチェックし
た対象者名簿を作成する。
(2)  販売担当者は、右対象者名簿をもとに他の統一協会関係者と綿密な販売計画
を練り、「家系図を見てあげる」等の口実で販売対象者の先祖や身内の死亡原因や
不幸等を詳細に聞き出し、あわせて販売対象者の財産状態を克明に調査する。
  販売担当者は、このようにして被害者の「ウイークポイント」を詳細に調査し、
さらに対象者に対して、「あなたの先祖には殺傷因縁があり、これがあなたの身内
の不幸を招いている。このままでは大変なことになり、救われない」等と虚偽の害
悪を告知し、不安と恐怖に駆り立てる。
  続いて販売担当者は数日後に対象者に連絡を取り、「今度、霊界のことに詳しい
偉い先生が来られる。あなたは今、人生の転換期にさしかかっているから、是非、
先生と会ってみてはどうか」と述べ、対象者を展示会の会場(霊場)に誘い出す。
(3)  販売担当者は、対象者名簿をもとに対象者の住所、氏名、信頼度、経済力、
人柄、関心事、信仰心、動員トーク、トークポイント等を詳細に記入した「動員カ
ード」を作成し、展示会を運営するタワー長に渡しておく。
  展示会は、これまではほぼ毎月1回開催され、開催の前日、タワー長、販売担当
者、トーカー(霊能者)団が一緒になって結団式をする。
  タワー長やトーカー団はいずれも統一協会の熱心な会員である。販売担当者は個
々に販売目標を宣誓し、さらに動員カードや家系図をもとに個々の対象者に対する
販売戦略が検討される。これらの準備を経て、販売担当者は対象者を霊場に連れて
来る。
  対象者はまず霊場の控室で、霊界の話、不幸を背負った人たちが大理石壷や多宝
塔の霊力で幸せになったという内容のビデオを見せられる。しばらくして先生と呼
ばれる自称霊能者が現れ、対象者と面談する。
  霊能者は、霊界について詳細に述べ、予め作成してある動員カードを念頭に置き
ながら対象者から先祖や身内の死因や不幸を聞き出す。さらに家系図を手元に置き
ながら長時間にわたり、「あなたの先祖には殺傷因縁や色情因縁がついている」、
「あなたの家系は短命だ。このままでは子孫が絶えることになる」「あなたの先祖
が霊界で苦しんでいる。これを救うのはあなただけだ。あなたは先祖の霊を救うた
めに選ばれた人であり、出家して先祖の霊を救う使命を持って生まれた人だ」等と
述べ、対象者を一層不安と恐怖に陥れる。
  さらに霊能者は、「あなたが出家できないのなら、先祖を救うために財産を投げ
出し、壷や多宝塔を授からなければならない」等と述べ、対象者の不安と恐怖につ
けこみ、執拗に壷や多宝塔の購入を勧誘する。
(4)  霊能者や販売担当者は、展示会場(霊場)で、タワー長の指示を受けながら、
対象者のウイークポイントを指摘し、セールストークを駆使し、ほぼ迷信に近い脅
し文句で対象者に長時間にわたって執拗に迫り、対象者の不安、困惑、恐怖を煽り
たてる。そして対象者の心理的動揺に付け込み、脅迫的ないし催眠的な話術により、
大理石壷や多宝塔を「授ける」という口実で、押し付け販売を行い、最終的には対
象者と販売担当者との間で販売契約を締結させ、あたかも適正な売買が行われたか
のように糊塗する。この段階で対象者は、はじめて本件売買に販売会社が関与して
いることを知るのである。
二  このような霊感商法は昭和50年代始め頃から行われてきたが、昭和61年暮
以降、霊感商法に対する世論の非難が厳しくなるや、統一協会はこれまでの霊感商
法のやり方から、対象者に直接、統一協会へ献金させるという方法を取るようにな
った。それは対象者をビデオセンターに通わせ、直接、統一協会に対して献金を迫
るやり方であり、霊感商法の究極的なやり方であるといってよい。
  この献金の方法による被害者は、ビデオセンター等で統一協会の教典である原理
講論の研修を受けた後、メシアが文鮮明であるとの証を受け、さらに被害者のウイ
ークポイントを指摘される。即ち、担当者は「献金しなければ子供が授からない」
「献金をしなければ先祖の霊が救われない」等と言って、被害者の心理的動揺に付
け込み、「献金」をするよう強要するものであり、そのやり方は霊感商法の場合と
同様である。
  また、現金は有していないが土地を所有しているという被害者に対してはその土
地を処分させ、その代金(多くは数千万円に昇る)を献金させる事例も多く、これ
を特にFD又はサニーと呼んでいる。また、霊感商法の批判が高まり、思うように
資金が獲得できなくなって、信者自身が借金をして利息を被告が払うというHGの
被害が拡大している。
三  以上から明らかなように霊感商法は、統一協会関係者が組織的、計画的に壷や
多宝塔を販売するために、一般市民に対して先祖に悪い因縁がついている等と虚偽
の事実を告知して脅迫し、かつ欺罔するものであって、通常の商品販売の方法をは
るかに逸脱した違法な脅迫的押し付け販売である。しかも商品を購入することによ
り、運が開けるとか、先祖の霊を救うといった内容は、科学的根拠も裏付けもない
無責任極まりないものであり、いやしくも商品販売に際して話すべき内容ではなく、
社会的には全く許容されないものである。
  また勧誘の当初において商品販売の目的や、身分を秘して、単に「手相や印相を
見る」と偽っている点は、訪問販売等に関する法律第三条に違反するものである。
  この霊感商法で売られる大理石壷、多宝塔、高麗人参濃縮液等は、極めて高額で
あり、一般に被害者に対して原価の数十倍から数百倍の倍率で販売されている。つ
まり商品の価値そのものよりも、「不幸から救われる」といったセールストークで
右価格が押し付けられるのであって、その暴利性は明白である。
  なお、昭和62年7月の日本弁護士連合会の調査によれば、昭和55年以降同6
2年4月末までの間、各地の弁護士会と消費生活センターに持ち込まれた霊感商法
の被害者は合計1万4579人、被害総額は317億円におよんでいた。平成4年
中における弁護団及び各地の消費生活センターへの相談は2,611件73億3,4
73万5,636円となっている。
 2  定着経済の実態
  右のような霊感商法、献金が社会的な問題になるのと相前後して統一協会は壷、
多宝塔、念珠等の宗教的色彩の強い商品の販売に代えて着物、貴金属、絵画、毛皮
等の一般商品の販売に乗り出した。これらが定着経済と呼ばれるものであり、特に
統一協会では「1985年(昭和60年)からは定着経済の時代である」と位置付
けている。
  しかし、これらの販売方法は基本的に上述の壷、念珠等の販売方法と少しも異な
るところはない。即ち、これらの商品の販売を行う販売員は全て統一協会関係者で
ある。そして、霊感商法の手口によって印鑑、壷等を購入させ、ビデオセンターに
通わせ、半ばマインドコントロールされている被害者を対象として、「今度、〇〇
の展示会があるので誰か誘って出席するように」と指示し、展示会場では複数の販
売員が被害者を取り囲み、長時間にわたって「この〇〇を買えばメシア(文鮮明)
を受け入れることができる」、「この〇〇を買えばあなたも家族も救われる」等と
説得して購入させるのである。そして、絵画、貴金属、着物等高価な物については
その場でクレジット契約を締結させ、後に被害者が解約を申し出ても既にクレジッ
ト契約が成立している等として解約に応じないのが通常である。
  これまで統一協会が行っている定着経済は多種多様に昇り、前記の着物等のほか
に羽毛布団、家庭用常備薬、脱臭剤、自動車、墓石、化粧品、清涼飲料水、サウナ
風呂等が販売されている。
 3  その他の経済活動
一  統一協会は以上のような霊感商法、献金、定着経済の他にも様々な経済活動を
なしている。
  古くから現在に至るまで引き続きなされているものとしては、インチキ募金があ
る。「恵まれない子らに愛の手を」「難民のために」等と言って街頭や各家を回っ
て募金を集めるものであり、勿論これらの募金は最終的には全て統一協会に集めら
れる。また、数人の協会員をマイクロバスに乗せ、全国各地で珍味、花、ハンカチ
等を販売させる(マイクロ部隊と言われている)方法も一貫して行われている活動
の一つである。そして、この活動は資金獲得の手段としてだけでなく、マインドコ
ントロールの主要な方法ともなっている。
二  一方、近時は協会員或はビデオセンターに通っている者から名義を借りて金融
機間から借入をするという方法で資金調達を図っている。HGと言われる方法であ
る。即ち、統一協会の指示で会員(信者)が銀行やクレジット会社から借金し、借
りた金は全部統一協会に入る。返済は毎月統一協会が本人に金を渡し、本人名義で
借入先に支払うようになっている。しかし、利息分は本人の自己負担となったり、
「献金」を勧められて名義貸しをした本人が統一協会のために全額借金をかぶって
しまうことも多い。HGの勧誘は献金からはじめ、献金をする資力がない場合にさ
らにHGを勧めるのである。つまり、もともと献金をする資力がなかったり、霊感
商法で金員を使いはたした勤労青年から金員を巻き上げる最後の手段としてHGが
導入され、終極的なねらいは名義を貸した本人に統一協会の借金を「献金」の名目
で自己負担させ、統一協会の支払い業務を本人に押しつけることにある。そのため
献金しそうにない人に対しても、「とりあえずHGをしてほしい」と頼み、最後に
は献金を迫るのである。
 4  結語
  以上のように、統一協会は宗教団体とは名ばかりで、むしろ設立当初から様々な
経済活動をなし、利益を上げることを目的としている団体であると言える。そして、
会員が以上のような方法で上げた利益は会員自身には全く帰属させず、全てを統一
協会が吸い上げている。会員にはその売上高に関係なく、1カ月に約1万円程度の
金員を与えているに過ぎず、ほとんど無償で経済活動に従事させているのである。
そればかりでなく、後述のように、会員自身にも商品を購入させ、或は献金を強要
する等して、会員からも金員を吸い上げているのである。
  そして、一方では販売活動自体は会員個人または会員が代表取締役となっている
個々の法人による経済活動であるとして統一協会自身の利益としては計上せず、脱
税を図っているのである。税法という地上の法より、統一協会の目的のため天の法
が優先されるべきであるとして販売員個人個人は全て統一協会の指示するままに住
居を変え、また販売会社も短期間の内に解散と別法人の設立を繰り返し、課税され
ることを防いでいるのである。

第4  マインドコントロールの実態
 1  正体を隠した接近
  入教者(「献身」者)獲得のための伝道活動は、統一協会の組織拡大と前記経済
活動要員獲得のため必要不可欠のものである。しかし、統一協会が行っている違法
な経済活動や伝道活動については、社会やマスコミの批判が厳しいため、違法な経
済活動を行っている団体であることについてはもちろん、そればかりか統一協会の
名前さえも徹底的に隠して行われる。
  「路傍伝道」といって街でのアンケートをきっかけに接近する方法、「F・F伝
道」といって家族関係や友人関係を利用して接近する方法、統一協会の主要な経済
活動である霊感商法で壷などを買わせるのをきっかけに接近する方法、一人住まい
のアパート、寮へ訪問する「訪問伝道」、学校時の卒業名簿を使い電話をする「イ
ナズマ伝道」等によって接触が始まる。
  「路傍伝道」では、街頭で「聖書研究会」「青年サークル」などと称して、若い
人を対象としてアンケートをとりながら「心情交流」を行う。その青年が家庭や社
会の矛盾や問題を感じていたり人生の目的は何かなどと悩んでいたりするのを知る
と、「一度話を聞きに来ませんか」「キリストや聖書のことが良くわかるビデオを
見てみませんか」「人生の目的が分かりますよ」などと言って教会やビデオセンタ
ーに誘う(最近はビデオセンターに誘うことが多くなっている)。
  「F・F伝道」では、通常はまず、友人、家族、親戚等の名前を思い付く限りす
べて紙に書き出したうえで、一人一人の状況についてアベル(上司)に報告して対
象者を絞り、手紙や電話で対象者と親交を温めておき、対象者の状況を詳しくF・
Fカードに記入し、それをもとに、さらに手紙や電話で右のアンケートの場合と同
様に心情交流をはかり、教会やビデオセンターに誘う。
  霊感商法をきっかけとする方法というのは、例えば次のようなものである。統一
協会員である販売員が、その身元を隠して家庭を訪問し、印相や手相を見てあげる、
あるいは姓名判断と称して話のきっかけを作ったうえで身内の不幸を聞き出し、そ
れは先祖に悪い因縁(色情因縁、殺傷因縁など)があるからだなどと不安に陥れ、
今度霊界に詳しい霊能者(実は霊能者を装った統一協会員)が来るからと言って、
会ってみることを勧め、その霊能者は、販売員からの情報をもとに、先祖の悪い因
縁や霊界などにつき執拗に話していっそう不安や困惑に陥れ、悪い因縁のために霊
界で苦しんでいる先祖を救うため(時価の何十倍何百倍の)壷や多宝塔などを授か
りなさいと迫ってそれらを買わせる(霊感商法)。そのうえで、壷などを授かって
これで救われると喜んでいる人で二十代位の若い人には、「それにはもっと大きな
意味があるのだけれど、それを知りたくありませんか」「真理の業を積みなさい」
などと言ってビデオセンターに行くことを勧める。最近では、これらの商品が絵画
とか貴金属とかに変わってきている。
  「献身」(入教)させるためには、とにかくまずビデオセンターで「原理講論」
(統一協会の教典)のエッセンスのビデオを見せることや教会でその講義を聞かせ
ることが有効なのである。きっかけのいかんを問わず、もっと詳しい話を聞いてみ
ようかとビデオセンターに行ってみようという気持ちになる者は、十代後半から二
十代半ばまでの青年、とりわけ純粋な心を持って家族や社会の矛盾について真面目
に悩んでいる青年がほとんどである。勧める者は、微笑みをたやさず話をし、その
ように問題意識を持ったり悩んだりしている青年の話を親切に聞いてあげるので、
その青年は、勧める者がいかにも親切で信頼できるように思い、勧めに従う気持ち
になるのである。いつしか心を許し、誰にも打ち明けることのできない悩みまで話
してしまい、後にこの弱みをつかれて統一教会の教えに引きずり込まれてゆくので
ある。
 2  ビデオセンター
  ビデオセンターでは、やはり統一協会の違法な経済活動はもちろん、通常は統一
協会という名前さえも隠したまま、ビデオを見せる。ビデオセンターは、たいてい
近代的なビルの中にあり、LIC(人生情報センター)、NLC(ニューライフセ
ンター)、文化センターなどと呼ばれており、文化講座教室を装い、統一協会など
宗教団体とは全く感じさせないようにしている。
  そしてここでも、統一協会員である担当者が、連れて来られた人に対して、終始
優しく笑顔で接し、喫茶店のごとく軽い音楽を流しコーヒーやお菓子を出してくれ
る。そして何を話しても誉めてくれる。とにかくとても居心地の良い場所であるよ
う印象付けるのである。ビデオの後はその感想文を書かせたり、なごやかに話し合
いをする。たいていの青年はまずもってその温かい雰囲気にひかれる。
  ビデオは、最初は宗教とは関係のない誰でもが興味を持つようなものから入り、
やがて講師が「原理講論」の講義を進めていく形をとっている。原理講論のビデオ
は総序、創造原理 と 、堕落論、メシア論、復活論、終末論、アダム・ノア家庭
における復帰原理、アブラハム家庭における復帰原理、モーセ路程、イエス路程、
摂理的同時性、再臨論の13巻である。しかし、これらのビデオが統一協会の教理
である原理講論であることは明かされない。
  ビデオの中の講師は、自信を持ってすべてを断定的に言い切るのである。ビデオ
は、いうまでもなく、視覚と聴覚の両方に訴えるものであり、しかも選挙の投票所
のように一人ずつ仕切られた状態で集中的に見せるので、非常に効果的である。目
的を隠し、しかも、一度に全部を見せてしまわないで、少しずつ見せ、興味をつな
いで、何日もビデオセンターに通って来る気にさせるのである。内容についての疑
問も、「次回のビデオを見れば分かります。次のは素晴らしいですよ」などと、次
回も通って来させることに結び付けてしまう。帰りには、必ず玄関まで送り、手紙
を渡したりして親密感を生じさせる。
 3  修練会
  この修練会こそが、短期間で急激に、過去の価値観を捨て、文鮮明が再臨のメシ
ア(救世主)であり、この地上に天国を実現するためには、万物を神(文鮮明)の
もとに復帰することが大切であり、そのためには、人を騙し、違法な経済活動をし
ても構わないと信じる若者を作りだすのである。
  何回もビデオセンターや教会に通った人には、その人に応じて、「合宿に行けば
もっと良く分かりますよ」などと言って、あるいは執拗に「決断するのは今しかな
い」などと迫って、合宿の研修会である修練会に参加させる。これは、「原理講論」
などの研修会であり、「ツーデイズ」とか「スリーデイズ」と呼ばれている1泊2
日あるいは2泊3日のコース、1〜3週間コース、さらに1カ月、2カ月のコース
のものまで、いろいろ用意されており、最初はツーデイズ、つぎにスリーデイズ、
そして新生トレーニング、実践トレーニング、青年実践部等を経て「献身」させる
という一応の基本的パターンはあるが、対象者の状況に応じて、最初にスリーデイ
ズに参加させたり、新生トレーニングに繰り返し参加させたりというように、多少
のパターンの変化がある。
  ビデオセンターもそうだが、右の各種修練会に共通しているのは、隔離(なるべ
く一人で通って来させ、家族、友人などから引き離しておく)、反復(同じ講義を
反復継続して教え込む。初・中・上級とも内容は基本的に同じであり、量が違うだ
けである)、精神・睡眠管理(睡眠時間は極端に短くし、感想文、自己分析の日記
を書かせ、心理状態を把握する)ということである。
  前記の基本的パターンについて少し詳しく述べる。
一  ツーデイズ
  最初はツーデイズ(2日間修練会)に参加させる。これは各地の研修センターに
各20名前後の青年を集めて毎月、土、日あるいは祭日に行われる。中国地方では
広島県の可部にセンターがある。早朝の起床、洗顔、歯磨き、ランニングと班単位
に行動させられる。その後ほとんどぶっ続けで深夜まで講義が行われる。トイレに
立つことまで管理される。受講生仲間で話すこと(「横的に流れる」といわれる)
もサタン(悪魔)が働くとして固く禁止されている。受講生は、一人個別に班長と
「縦的」に結ばれていて、班長は受講生である班員の心理状態を把握する。講義の
内容である「原理講論」は、自分でその本を読んでみても、意味不明の言葉が羅列
してあり、何だか訳が分からず、さっぱり頭の中に入ってこないし、何の感動も起
きない。それが、講義という形で講師から冗談を交えながら覇気迫る激烈な調子で
説明されると、無批判に頭の中に入り込んできて何となく分かってくるのである。
とくに講義の切れ目には「ソーレ、ソーレ」という合いの手の入った勇ましい聖歌
と熱烈な祈りがあり、受講生はいつのまにか異様に盛り上がった雰囲気にのまれて
いく。
  このツーデイズの段階でも、受講生は、通常はまだ統一協会の名前も教祖の文鮮
明の名前も知らない。その違法な経済等の活動のことについてはもちろん知る由も
ない。ただ、「今は世界を救う再臨主の来る摂理の時代である」と教えられ、何と
なくそれを信じ、期待を持ち始めるようになる。
  ツーデイズが終わると、迎えの車が来て、地区(教会)ごとの歓迎会に招かれる。
御馳走が並び、「ご苦労様、おめでとう」「素晴らしかったでしょ」と口々に言わ
れ、握手を求められ、美しい絵とお祝いの言葉が書かれた記念色紙が贈られる。最
初は戸惑うが、次第に自分がいかにも素晴らしい体験をしてきたかのような気分に
なってくる。
  ビデオセンターでの講義やスリーデイズの終わりが近づく頃、文鮮明のビデオテ
ープを見せられ、これが再臨主文鮮明であり、統一協会を名乗る宗教であることが
初めて明かされる。受講生は、これまでの講義などにより再臨主の話を聞かされて
おり、一体再臨主とは誰なのか早く知りたいという心理状態になっている。それで
ビデオの文鮮明が再臨主であると教えられると、「ああそうなのか」と簡単に文鮮
明をメシアとして受け入れてしまう。
二  スリーデイズ
  スリーデイズは、早朝から深夜まで私語の厳禁、熱烈な祈祷などツーデイズと同
じだが、すでに再臨のメシアを知らされているので、緊迫感がある。講義が3日間
も続くので、極度の興奮で肉体は疲れ果てる。講師は壇の上を駆け巡り、跳びはね、
全身で講義する。睡魔に襲われるが、「重要なところに限ってサタンは聞かせまい
と眠気を起こさせるのだから、眠いと感じたところこそ一番肝心なところです」と
励まされ、また、文鮮明の写真に手を置いて祈ると眠くならないというお呪いを教
えられたりする。班長は、深夜、講義終了後、班員である受講生一人ひとりと個別
に面接し、心理状態を把握し、献身(入教)の決意を迫る。再臨のメシアと共に生
きれる緊迫感と一人ひとりの責任感を強調される。違法な経済等の活動をさせられ
ることになることなどはまったく知らされるはずもなく、ほとんど3日目には「献
身の宣誓」をさせられる。そして、「新生トレーニング」、「実践トレーニング」
(経済、伝道のトレーニング)へと引き継がれていく。
三  新生トレーニング
  新生トレーニングは、約1カ月間にわたって毎日夕方から夜にかけての修練会の
ことである。キリスト教の映画を見せることもある。また、国際情勢、マルクス主
義、資本論、勝共理論、統一理論等の講義が加わる。さらに、経済活動、伝道活動
の実践もさせられる。考えてもみなかった「珍味売り」でためらいを見せる青年た
ちには、「珍味売りこそ自己否定の訓練の場である」「自己否定は堕落性を脱ぐ道
である」等と教える。それでも疑問を抱いたり実践の辛さにつまづく人は、再度ス
リーデイズに戻して、「リメンバー・ダンベリー」を合言葉に受難のメシア文鮮明
をしのばせ、すべての苦しみに耐えられるように叩き込まれる。
 4  修練会における講義内容
  講義の内容はどの修練会でも基本的に同じである。「創造原理」から「復帰原理」
に至り、弱者から金銭を騙し取ることさえ悪と感じさせない精神構造へと変えられ
ていく基本的な考え方が 3記載の状況で徹底的に教え込まれる。
  講師は、まず、「創造原理」というところでは、受講者である青年に対し、一人
ひとりが神に造られた唯一の存在であり、一人ひとりの価値が非常に高く素晴らし
いものであるということを分からせる。一人ひとりの素晴らしさ、尊厳を皆に植え
付ける。次に、「堕落論」の講義に入り、ここでは、皆が自分は最高の存在だと思
わされている状態から一転奈落の底に突き落とすのである。神に造られた、神が愛
する人間なのに、この世の中には様々な悪や矛盾がある。その原因はどこにあるの
か。聖書のアダムとイブの話になる。イブがサタンの化身のルーシェルと性関係を
結んでしまった。そのために、この世に悪がはびこるようになった、と講義される。
ここでは性的な問題にからめて人間の根源的な汚さを徹底的に強調する。たいてい
の若い男性は自分の中に性欲があるから、皆、思い当たる節がある。泣き出す者も
出てくる。他の者も連鎖的に泣きだしたりする。こうして罪意識を徹底的に植えつ
けられ、とにかく、大変苦しく落ち込んだ状態になる。聖書と異なり、イエスキリ
ストも人間を救うことができなかったと説明される。こうなると受講生は、すがる
ものがなくなり、ますます落ち込んでいく。
  「復帰原理」では、人類の六千年の歴史を説明し、その中で、人類の歴史が始ま
って以来、人間が「5%の責任分担」を果さなかったので、神が泣いている。その
ために、この世はますます悪くなっている。悲観的な話をこれでもかこれでもかと
していく。ほとんどの受講性はますます落ち込んでいく。しかし、それと同時に、
自分がその責任を果して何とか悲しんでいる神を慰めてあげたいと思うようになる。
そこで、今度は、この人類を救わなければならない。人類を救うには、精神だけで
はなく肉体的にも罪の遺伝のない人でなければならない。その様な再臨のメシアを
中心に責任を果し、この地上に天国を築かねばならない。と続くのである。
  しかも、講義はまわりにはほとんど人家もなく店もない山の中の修練所で、とき
には講師の絶叫のもとに、繰り返し何度も行われるのである。講義の質問や自由な
ディスカッションは絶対に許されない。とにかく、修練所の側で一方的に講義を受
講生の体の中に詰め込んでいく。ときには精神異常をきたす受講生も出てくる。こ
のようなことで、参加の際には文鮮明どころか宗教に帰依するつもりさえなかった
受講生でも、それまで全く知らなかった文鮮明を再臨のメシアと信じ、地上天国実
現のため、万物復帰の名の下に違法な経済活動に抵抗なく励むに至るという価値観
の全面的な変換が生じるのである。主体的に求めていくことが宗教の本質でなけれ
ばならず、不当な外圧によって人格の破壊をもたらす違法なマインドコントロール
である。
  このような多様な修練会による巧妙、かつ徹底したマインドコントロールの結果、
容易に説得されて、最終的には受講生のほぼ全員が統一協会に献身(入教)させら
れる。

第5  統一協会の「マインドコントロール」の違法性
 1  思想及び良心の自由は、人間の尊厳を支える根源的なものであり、民主主義存
立の基盤となるものであって、内心の自由として絶対的に尊重されなければならな
い。宗教を信じない自由、特定の宗教を信じる自由はこの内心の自由の1つである。
このような信教の自由には単に内心の信仰の自由だけでなく、宗教団体に入教を強
制させられない自由や宗教活動の自由も含まれるが、行為が単に内心にとどまるこ
となく他人に対して具体的害悪を及ぼす等の場合は制約を受けるのは当然であり、
他人の人格権を侵害する「宗教活動」は損害賠償の責任を負わなければならない。
 2  本件において、原告は前記のとおり、高度に組織化された環境と手法の中で、
統一協会員として資金集めのための違法な経済活動に従事させる目的をもって「マ
インドコントロール」して統一協会に入信させられたものである。そして、その後
は、新たな「信者」のリクルート活動、資金を集めるための違法な霊感商法へと駆
り立てられた。
 3  右「マインドコントロール」の違法なメカニズムを簡単に要約すると以下のと
おりである。
  第1に、統一協会はその実態を隠し、単なる「青年サークル」等と偽って社会的
経験も宗教的知識も乏しい若者を高度に組織化された環境の中に引き込み、家族、
友人等とのこの問題についての相談の機会を奪う。
  第2に、若者の入信への説得は、数日間にわたる集中講座を睡眠不足と集団心理
の中で拒否できない状態で行う。
  第3に、入信をためらう者には、先祖の因縁を説き、入信、「献身」して自ら「
氏族のメシア」とならないと先祖や家族、子孫に災難、危害が及ぶと畏怖せしめて
入信を迫る。
  第4に、この結果入信した若者に入信の事実を家族や友人に口止めさせたうえ、
若者本人及び事態を知らない両親に多額の献金や金員の支出を迫り、更には入信、
献身した若者に自ら違法かつ反社会的な霊感商法=資金集め活動に従事させる。右
各行為は一連として、入教に関する自由な意思決定を阻害し、会員に対して善悪の
価値判断を喪失させ、違法行為や犯罪行為に追い込む人格的破綻をもたらす不法行
為を構成し、統一協会は原告の損害を賠償しなければならない責任が存する。
 4  原告が「マインドコントロール」を受けて被告の組織の一員として活動し、退
会をするまでの経過及び精神的及び財産的損害は別紙記載のとおりである。
  よって、原告は被告に対して請求の趣旨記載のとおりの財産的精神的損害とこれ
に対する不法行為の日よりも後である平成4年8月1日から完済に至るまで民法所
定の遅延損害金の支払いを請求する次第である。

                              添  付  書  類
                  1、委  任  状    1通
                  2、登記簿謄本    1通

  平成5年7月14日
                                        原告訴訟代理人    石  田  正  也
                                        同                嘉 松 喜佐夫
                                        同                河  田  英  正
                                        同                近  藤  幸  夫
                                        同                谷      和  子
                                        同                清  水  善  朗
                                        同                山  本  勝  敏
                                        同                種  田  和  英
                                        同                的  場  真  介
                                        同                佐  藤  知  健
                                        同                火  矢  悦  治
岡山地方裁判所  御中

                           原  告  の  被  害  等
   入会に至った契機
  1990年1月、街頭での青年意識調査アンケート(路傍アンケート)をきっか
けとして、ビデオセンター「岡山カルチャーセンター」のビデオ会員へ入会の勧誘
を受け入会した。被告であることは隠されていたし、宗教とは関係ないということ
であった。統一協会に入会させ、献身し、霊感商法の実行部隊となっていくことは、
全く示されなかった。このことが示されていれば決して入会することはなかった。
   因縁トークによる恐怖感の植えつけ
  カルチャーセンターへ入会後、被告の企画によってビデオを鑑賞してきていた。
1990年2月、カルチャーセンターに通っている間に姓名判断、家系図による運
勢判断がなされ、殺傷因縁、絶家の相等と言われ、原告が救いにつながらなければ
弟の生命に危険があると言われる。
  1990年3月、カルチャーセンター小会議室に通され、421万円の献金を迫
られ、恐怖のうちに決断する。
   セミナー等によるマインドコントロール
  教養講座としてのビデオセンターに通い始め、2月には岡山農業会館での1DA
Yセミナー、親族の生命が危ないなどの因縁トークを受けた。
  同年月16日から18日は、広島可部修練所において3daysセミナーに参加。
統一協会への入信を決意し献身への決意を表明、次の新生トレーニングへの参加を
決断させられる。こうしてアベル(霊の親)への絶対服従と「報・連・相」の生活
となる。
90年4月  新生トレーニングに参加。
同  年5月  ソウル3daysセミナーに参加。
同  年6月  実践トレーニングにはいる。新しい会員勧誘、展示会への勧誘等を行
            い、自らクリスチャンベルナールの商品を購入。同年8月には両親に
            210万円の献金を出させる。その他様々のセミナーに参加する。
91年2月  青年実践部の所属となり、津倉荘のホームでの共同生活にはいる。
  3daysセミナー、新生トレーニング、実践トレーニングの状況は本文に述べ
たとおりである。
   統一協会員としての生活
  UCグループの展示会に友人らを誘い数珠、仏像を売り、さらにビデオセンター
につなげていく勧誘活動、UCグループ・ワコム、世一観光等での生活等を行った。
そして合同結婚を目ざしてセミナーへの参加等をした。1992年7月、家族らに
よって保護され、被告にだまされていたことに気づき脱会した。
   被害
  献金  90.3.2特別献金  4,210,000円
        月例献金           227,000円
        特別献金           141,200円
  セミナー参加費           334,000円
  絵画購入  90.12.17       300,000円
  印鑑購入  91.1.31         28,000円
  宝石購入  90.6.24       135,000円
  毛布購入                 110,000円
  慰謝料                3,000,000円
  弁護士費用               800,000円
  以上合計              9,285,200円


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