「青春を返せ裁判」

99.7.23 証人調書−浅見定雄−

(控訴人側は、11月に調書に対する異議の申立を行っています。)
平成一〇年(ネ)第一五八号

        証  人  調  書
(この調書は、第三回口頭弁論調書と一体となるものである。)裁判所書記官印
期 日  平成一一年七月二三日午後二時
氏 名  浅 見 定 雄
年 齢  昭和六年  月  日生
住 所  宮城県仙台市
 裁判長は、宣誓の趣旨を説明し、証人が偽証をした場合の制裁を告げ、別紙宣誓書
を読み上げさせてその誓いをさせた。

        陳 述 の 要 領
控訴代理人(河田)質問
一        私の履歴及び業績は、添付別紙のとおりです。
二        日弁連の人権委員会が今年の春作った宗教活動に関する消費者問題
        についての判断基準について、宗教問題及びカルト研究をしている私
        に意見を求められたため、この業績表を提出しました。
三        旧約聖書学が私の第一分野であり、カルト宗教に関する研究が第二
        分野となっています。
四        「統一協会=原理運動」は、いわゆる洗脳についてと題して、日本
        で最初にマインドコントロールを論じた論文です。一九八七年に出版
        したところ、たいへんな反響がありました。訳書の「マインド・コン
        トロールの恐怖」は、山崎浩子さんが、統一協会を脱会するきっかけ
        になったものです。マインドコントロールというものが活字になった
        最初のものだと思います。
五        「ニューレリジョンズインジャパントゥデイ」は、外務省の外郭団
        体が、外国人記者に対して、日本の宗教についてレクチャーをしたも
        のです。
六        地下鉄サリン事件の四か月前に、ロシア正教から要請があって、日
        本基督教協議会の代表として会議に参加し、カルト対策のような話も
        したことがあります。
乙第三二号証を示す
七        こういう会議にも出席しています。カトリックからプロテスタント、
        いわゆるコンサバと呼ばれる人たちや浄土真宗等の人たちのところに
        も、宗教、宗派に関係なく呼ばれて行っています。
八        レジュメに書いてあるカルトの問題点についての認識は、現在も変
        わりません。信仰が違うというような宗教上の理由でカルとよばわり
        はできず、人権問題がある場合にカルトと呼ぶのです。
九        私は、宗教上の理由での違いでは異端と呼ばないので、このセミナ
        ーについても、ここで使われている「異端」ということに賛同したの
        ではなく、違った視点で聞いてくださるのならということで講演をし
        たのです。これは主催者とも事前に話合っています。
一〇       マインドコントロールの定義について原審の判決に記載があります
        が、こういう定義は、どの学者も使っていないと思います。一定の行
        為を繰り返すことによって思想を植えつけるというのなら、反復して
        覚えることが全てマインドコントロールということになってしまいま
        す。強いて言えば、マインドコントロールの最終段階で、もとあった
        人格を変えて新しい人格を植えつけるために繰り返し同じ布教行為を
        することには、マインドコントロールの効果があると言われています
        が、これもマインドコントロールのほんの一部でしかありません。
一一       カルトとかマインドコントロールは、世間でそういう言葉が言われ
        てから、学者が研究を始めたものですが、名称の違いということだけ
        であり、実質的には社会心理学とか心理学一般で研究されてきていた
        ものです。
一二       南山大学の渡辺教授は、非常に慎重な人であるし、アメリカでは異
        なる宗教について寛大であるため、あのような論文を書くことも自然
        だと思いますが、日本の霊感商法の実態や、ヨーロッパの議会や政府
        レベルでまでマインドコントロールが検討されていることを研究すれ
        ば意見も変わると思います。
甲第一二三号証の一ないし一五を示す
一三       こういう企画のときは事前準備に参加しています。
甲第一二三号証の七を示す
一四       セクト対策については、特にドイツでは文部省にあたるところがき
        ちんと出版しています。
甲第一二三号証の四を示す
一五       心理操作というのが、まさにマインドコントロールです。
一六       西田教授の論文についてですが、同教授は人間の信念体系の研究の
        若手の草分けであり、日本で初めて博士論文を受理された人物であり、
        日本社会心理学会総会でもマインドコントロールというテーマでシン
        ポジウムを行っていますし、日本心理学会でも同テーマで三回も学会
        が行われています。これはたいへんなことです。心理学者や社会心理
        学者がどこかで係わっている法則が使われていることに、非常に責任
        を感じたからだろうと思います。
甲第一二二号証の一、二を示す
一七       マインドコントロールを否定しているかのようですが、世間であい
        まいに使われているから、こういう用語を使うのをやめようというこ
        とで、むしろ私たちがマインドコントロールということで言ってきた
        事柄のいくつかを、この点とこの点というように問題にしようという
        趣旨です。
甲第一二二号証の二を示す
一八       四つの観点から論じていますが、こういうことがマインドコントロ
        ールだということです。
一九       一番目は、入り口で統一協会と言わずに誘うこと等ですが、偽りの
        情報を与える情報コントロールの典型だと思います。
二〇       二番目の点について、原審でも物理的身体的な強制力の指摘があり
        ますが、これは洗脳であり拷問だと考えます。島薗教授は、睡眠時間
        を減らしたり、自分で考える時間を奪うとか、アベル、カインの絶対
        的上下関係の教育等ということを長期に渡ってする事が精神的暴力で
        あると言っているのであり、マインドコントロールの一番強固な部分
        であるということを事柄として言っています。物理的暴力支配は論外
        ですから、論じていません。
二一       三番目は一番目と重なりますが、人間はいろいろな情報に接しない
        と正常な判断ができなくなるということです。マインドコントロール
        と曖昧に言わずに、このように言えばいいということです。
二二       四番目は環境コントロールであり、人権侵害をやってもいいという
        教義があったら大変だということを言っています。その意味では教義
        に踏み込まざるをえないということです。
二三       これらは、曖昧な言葉を使わずに、こういうふうに言えばいいとい
        うことで、マインドコントロールを否定しているわけではありません。
二四       統一協会についての相談は、一九六九年大学紛争終焉直後に統一協
        会のメンバーと出会い、相談に応じたのが始まりでした。三〇年間で
        六〇〇人くらいは相談を受けています。
二五       原判決で裁判所の認めた事実については、マインドコントロールの
        プロセスをを認めるのと同じだと思いました。
二六       ビデオセンターへの勧誘ですが、アンケート名目で声をかけるとい
        う行為は入り口の段階で嘘をついており、一回ビデオセンターで繋が
        りを作ったあと、手紙や贈り物を送るのですが、健全な社会生活を送
        っている者からすれば、お返しをしなければならなくなるという状況
        を作るのです。とても大きなマインドコントロールの問題です。
二七       終始にこやかにしてゲストとの間に信頼関係を作っていくというの
        は、テクニックとしてやっているのです。
二八       スリーデイズセミナーの音楽の演出ですが、たくさんの元女性信者
        から、さくら役で泣いたということも聞いています。
二九       一審で認定した行為のそれぞれがマインドコントロールのエッセン
        スです。
三〇       一九八〇年以前にあったかどうか覚えていませんが、現在はこうい
        う画一的なものがプロセスとして整えられています。
三一       マインドコントロールは、即物的には主婦や老人が土地を担保に献
        金をしたり、霊感商法で壺や印鑑を買わされるという点で問題ですが、
        この事さえなければ絶対狂わなかった人生が狂わされて、青春時代を
        奪われてしまうという目に見えない被害を被るということが一番の問
        題です。
被控訴代理人(鐘築)質問
三二       私は、一九八〇年から一〇年間日本基督教団で教師検定委員をつと
        めていました。学力の方を受け持っていました。
三三       日本基督教団の中に統一原理問題全国連絡会があります。一〇年く
        らい前に日本基督教団の定期総会で、たくさんの牧師が相談を受けて
        いるということが話題になり、統一協会は広い意味で見てもキリスト
        教の仲間とも見られないし、何より人権を侵害しているということで、
        相談を受けた場合は必ず見捨てないで引き受けるという決議をして、
        それに基づいて作られたものです。
乙第二九号証を示す
三四       これは桑原さんから要請があって参加しました。
三五       私は牧師でないので、連絡会に所属していません。事実上の相談役
        です。
乙第三七号証の二を示す
三六   こういう声明には賛成なのですか。
         はい。
三七   日本基督教団の清水牧師と黒鳥牧師は、統一原理問題全国連絡会に所属して
    いるのですか。
         委員会制度をとっていないので、牧師は全員会員です。
乙第三七号証の一を示す
三八   カルトカウンセリングとは何ですか。
         信仰の違いでなく、人権を侵すような行為を組織的継続的に行って
        いる宗教について、脱会するようにカウンセリングしています。
三九   献金も霊感商法だということですか。
         はい。
四〇   他の牧師を指導することがありますか。
         講師として頼まれればします。
四一   清水牧師や黒鳥牧師を指導したりしましたか。
         指導したということはありません。講演に出席していたことはある
        と思います。
乙第三二号証を示す
四二   このようなことを講演したのですか。
         はい。
四三   山の中のロッジやマンションの一室に閉じこめてでも信者を隔離しなければ
    ならないと言ったことがありますか。
         ありません。
乙第三五号証を示す(被控訴代理人は録音テープを再生した。)
四四       このグループの人は監禁をするが、私はそうはしないと言っていま
        す。
四五   ある程度こういった拘束を認めているのではないですか。
         そうではありません。元信者からそういう拘束を受けたという報告
        があったので、私のやりかたとは違うという意味でこのように言った
        だけです。
四六       統一協会の経験がエホバの証人の関係でも役立つので、このセミナ
        ーに参加して、私が実践するもっとソフトな方法を紹介して、反省を
        促そうと考えたのです。
四七   神戸の高澤守牧師と連絡を取っていますか。
         いいえ。
乙第三四号証の一を示す
四八   六頁ですが、これはどういうことですか。
         会合で会っているということです。
四九   一〇年以上前から、ドアとか窓に鍵を掛けて信者を拘束して統一協会を脱会
    させているという事実を知っていますか。
         はい。弁護士がこの問題について立ち上がって、急に相談に乗るよ
        うになって失敗例も多くなったのも事実です。
五〇   高澤牧師が包丁を使って脱会を説得したことを知っていますか。
         知りません。
五一   清水牧師は窓が開かないようにしたり、見張りをつけたりして信者を拘束し
    たということを知っていますか。
         これは清水牧師にも反論があると思います。私はこういうことをす
        るなと言っている人間ですから。
乙第三三号証を示す
五二   五、六、一八頁ですが、こういうようなこともあるということを知っていま
    すか。
         関わりのないことですから、知りません。
五三   控訴人もマンションに拘束されたということを知っていますか。
         知りません。
乙第三四号証の一を示す
五四   京都田丸事件を知っていますか。
         船田先生から聞いています。
五五   判決理由で、成年者である信者を拘束して棄教を迫るのは違法であると言っ
    ているのを知っていますか。
         そういう文言では知りません。
五六   あなた自体が信者を拘束して脱会させてもやむをえないという考えを持って
    いるということは事実ですね。
         親の真心でということでは、そうですが、そういう方法がないほど
        いいと言っています。
五七   脱会させるために信者を精神病院に入れた例がありますか。
         私がそういう濡れ衣を着せられたことがあります。
五八   全国霊感商法対策研究会を知っていますか。
         世話人をしています。
五九   偽装脱会の防止策を話すのですか。
         それについては日ごろから、目を見ればわかるとか、親の本能で見
        ればわかると言っています。
六〇   弁護士の被害弁連には参加していますか。
         よく参加します。
六一   「マインドコントロールの恐怖」を書いたスティーブンハッサンは心理学者
    ですか。
         はい。
六二   あなたは心理学者ではないですね。
         はい。
六三   マインドコントロールについて、いつから研究していますか。
         七〇年の中頃にはしていたと思います。
六四   マインドコントロールの定義は何ですか。
         ある人が自分自身の欲望や野心のために、自分と違う主体である他
        者の心を、本人には自発的納得的に思わせて操作するテクニックです。
六五   他律性によって行う教育ですか。
         健全な社会生活をする市民なら当然反応するような法則を系統的に
        使うのがマインドコントロールであり、自立性があってもするのです。
六六   西田教授が、マインドコントロールという概念は仮説だと言っていることを
    知っていますか。
         全ての科学は仮説です。
六七   控訴人に実際に会って、脱会まで心の変化を検証したのではないのですね。
         はい。
六八   控訴人はマインドコントロールされたと考えているのですか。
         はい。典型的なプログラムに乗せられたと思います。
六九   控訴人は自分でビデオセンターに行くのをやめるのを決心した後、占い師の
    講演会に行くことを自分で決めていますが、この点はどう考えますか。
         誰かが知らせないと行くわけがないでしょう。
七〇   その後再び控訴人は自発的にクリエイトに言っていますが、この点はどう考
    えますか。
         フラッシュバックというのですが、それまでに受けた影響を整理し
        ていないとよく起こることです。
七一   控訴人は、吉田という占い師や鈴木と会って、疑ってみてそれでもだめなら
    またクリエイトに行ってみようと考えたと言っていますよ。
         ガイガルニック効果というのですが、未解決で引っ掛かっているほ
        ど相手をつなぎ止めることができるのです。
七二   控訴人が六〇万円献金したのもマインドコントロールなのですか。
         はい。
七三   修練会の場所が人里離れたところにあるかどうか知っていますか。
         わかりません。
七四   スリーデイズの睡眠時間が実際にどれくらいか知っていますか。
         知りません。
七五   スリーデイズの講義は難解ですか。
         人それぞれなので一口には言えません。
七六   繰り返しの講義をするというのもマインドコントロールですか。
         はい。
七七   体系的なことを理解するためには繰り返すことが必要なのではないですか。
         それでも構いません。
七八   控訴人は講義中に講師の話に感動して、クリエイトに通っていてもわからな
    かったことがやっと理解できたと言っていますが。
         そういう体験は何百人も聞いています。
七九   控訴人については入会から脱会までに物理的な拘束があったのですか。
         知りません。
八〇   勧誘されてクリエイトに入会する人は何パーセントくらいですか。
         かなり少ないと思います。
八一   勧誘された人で研修まで行く人は二パーセントくらいですか。
         それは、聞いているより多いと思います。
甲第一八号証を示す
八二   文鮮明の次男の文興進が事故死したことですが、実際は免許もあり、相手の
    過失であったということは、あなたも認めていますね。
         はい。
八三   文鮮明が糖尿病というのは噂ですね。
         はい。
八四   これらは裏付けがないのに活字にしたのですね。
         はい。
乙第二八号証を示す
八五   聖酒の中に文鮮明の体液が入っていると言ったことがありますね。
         はい。少しでも間違いがあると訴える統一協会が、訴えることも何
        もできなかった本にそういう記載がありました。
八六   原理講論は一般書店で売られていますか。
         売られていません。
                                   以  上
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