平成元年(ワ)第七九八号

                    原    告                      A
                                              外一名

                    被    告  世界基督教統一神霊協会
                                              外一名

  平成二年九月一二日

                   原告ら代理人  河  田   英  正

岡山地方裁判所  御中



               準  備  書  面

一、組織と活動実態

1  統一協会の教祖「文鮮明」
(一)  統一協会の教祖は文鮮明であるが、その戸籍上の本名は「文龍明」という。
しかし、統一協会の教えで龍はサタンということになっているので、本名を使わず
「鮮明」という名を使っている。
  文鮮明は一九二〇年朝鮮半島の北側、今の朝鮮民主主義人民共和国、正確に言え
ば、当時日本統治下にあった朝鮮平安北道定州郡徳彦面上思里二二二一番地に生ま
れた。
(二)  統一協会内部では文鮮明は、メシアの再臨としている。ところで、統一協
会の教えでは北朝鮮はサタンの国であって、メシアは南の韓国に生まれなければな
らない。そのため、統一協会の宣伝パンフレット「私達の統一協会」の三ヘージの
創立者略歴の第一行目にも「一九二〇年韓国生まれ」と記載されている。
(三)  統一協会の教えによれば、文鮮明は、人間の始祖アダム・エバ以来の罪の
「血統」又は「遺伝」を持たない人間であるとしている。
  しかし、
   文鮮明は統一協会のいうサタン側で出生し、一〇代半ばまで  育ち、その後ソ
 ウルに行き、いかがわしいセックス教(混淫教)にふれていた。
   一九四一年文鮮明は「早稲田高等工学校」に入学したが、統  一協会は、その
 経歴を詐称して、早稲田大学理工学部と信者に教えていた。
   文鮮明は、一九四六年八月に「混淫」による社会秩序混乱の  容疑で大同保安
 所に三ケ月収容され、一九四八年二月には実業家の人妻との「強制結婚」で、懲
 役刑の実刑に処せられた。その後も、南朝鮮で「梨花女子大学事件」というセッ
 クス事件を引き起こした。
   文鮮明は数多くの女性を「淨め」たとされる外、正式に結婚した妻二人(すな
 わち雀先吉と金明姫)を離婚している。
    文鮮明は三人目の妻韓鶴子の外に、雀元福なる女性と家庭生活を共にしている。
 信者たちは雀を「雀お母様」と呼んでいる。韓鶴子は一八才で当時四一才の文鮮
 明に選ばれ現在までに一三子を産んでいる。
   文鮮明は、韓国内に広大な土地を持つ外、多数の関連事業を自分と自分の一族
 の名義で持っている。
    また、文鮮明はニューヨーク郊外にも豪邸を有し、一九八四年七月には、巨万
 の富をめぐる脱税事件でアメリカで懲役一年六月の実刑判決を受け服役した。
(四)  このように、統一協会の文鮮明は、メシアの再臨どころか数々のいかがわ
 しい経歴を持ち、統一協会のいうサタンとしての生活を送っているものである。

2  統一協会の組織と活動実態
(一)  国際組織としての統一協会の実態
   その組織的実態の全容は必ずしも明らかではないが、一九七八年一一月一日、
 米下院国際関係委員会国際機構小委員会(委員長の名をとりフレーザー委員会と
 呼ばれている)は韓米関係の調査を公表し、その報告書C編「調査結果」第五章
 「教育・情報・文化活動」の中で「文鮮明機関」として統一協会を論じている。
    右最終報告書は、敢えて「文鮮明機関」という用語を使用している。
    その理由は、同報告書によると以下のとおりである。
「明らかになったことは、文鮮明が経済的、政治的、宗教的活動に従事する国際的
な諸組織の網の中心人物だということであった。文鮮明が関係している多数の教会、
企業、委員会、財団その他の集団は文の中央集権的な指導と統制下にある実質上単
一の世界的機関の一部分であることが判明した。この機関は、一九五四年に韓国で
文によって創始された小規模な運動として始まった。
  今では、それは、その機関の多様さと基本的な組織構造の点で、製造業、国際通
商、国際受注、金融その他の営業活動に従う多国籍企業に類似したものになってい
る。しかしながら、それは、宗教、教育、文化、思想及び政治上の事実をも含んで
いるという点で、多国籍企業を上回る存在である。それは、下級構成員の訓練と利
用の点では準軍事組織ににており、その他の点では厳格な規律をもった国際政党の
特徴を備えている。
  これらの多数の組織の間には、主として諸組織間の人事移動や財政の混合の点で、
あれこれの諸要素を一体であるかのように使用する点で、そして、もちろん文とい
う人物において、絶え間ない、緊密な交流がある。様々な組織間のこの緊密な相互
関係を考えて、当小委員会は、それらは単一の団体だという見解に到達したのであ
って、本報告書ではそれらを総称して文鮮明機関と呼ぶ」
   フレーザー委の「結論及び勧告」
    文鮮明についてのフレーザー委員会は調査結果を以下のように要約した。
   文鮮明が主催する統一協会その他多数の宗教、非宗教団体は、実質的に一つの
 国際組織を形成している。この組織は、その関連団体を相互に交流させることが
 できること、および人的・財的資産を国境をこえて、また、営利事業と非営利団
 体の間で、自有に移動することができることに大きく依拠している。
   文鮮明は文鮮明によって描かれた目標の達成を企画しており、文鮮明は、それ
 らの目標追求のために文鮮明が企てる経済的、政治的、宗教的諸活動に対して実
 質的な統制力を握っている。
   文鮮明の目標の中には、教会と国家の分離が廃止され、文鮮明とその信徒によ
 って統治される世界政府の樹立が含まれている。
   これらの目標追求のために文機関は、成功の度合はまちまちだが、米国や他国
 の企業及び他の非宗教的諸機関に対する運営権の獲得ないし確立を企てるととも
 に、米国において政治活動を展開してきた。
   文機関は、米国の上院議員や下院議員、大統領、その他の著名人の名前を広範
 に利用して募金活動を行い、文機関自体と韓国政府のための政治的影響力を醸成
 した。
   文機関は、協会員の名前で株式を買うのに使う資金の出所と見せかけて、ディ
 プロマット・ナショナル・バンクの過半数の株式を手に入れようと企てた。
   文機関は、自らの政治・経済活動を支えるために教会その他の免税団体を利用
 した。
   文機関は、米国の税、移民、金融、通貨関係の各法規、外国人代理人登録法、
 並びに慈善事業を装った詐欺行為に関する州または地方の法律を計画的に犯して
 いたこと、またこれらの法律違反が俗世界の権力の獲得という文機関の全目標と
 関係があることを示す証拠があった。
   組織図
    韓国、日本、米国を含めた統一教会の別添図(一)のとおりである。
(二)  日本における文鮮明機関の実態
   先にフレーザー委最終報告書にあるとおり、文鮮明機関の実態は単一の人格で
 あり、日本においても統一教会をはじめとして、多数の日本における文鮮明機関
 の中核は、何と言っても統一教会である。
 
   統一教会本部の組織は別添図(二)のとおりである。
   統一教会は、全国を八ブロック(北海道・東北・関東・中部・関西・中国・四
 国・九州)に分け、各ブロックにブロック本部設けている。
    但し、統一教会はしょっ中、組織の部署の名称を変えたり、改廃をするので、
 常に同一とは限らない。
 
   人の不幸、弱みにつけ込んで、安価な印鑑、壷、多宝塔、人参液を高価に売り
 つけた霊感商法の販売体制は別添図(三)のとおりである。
    もちろん、統一教会の経済局の事業であって、末端委託販売員は全て食口であ
 る。岡山地区は世界のしあわせ広島を経て、有限会社岡一商会などという販社に
 よって販売されていた。
    これら食口は、別添図(三)の経済(店舗ともビラとも呼ぶ)に所属し、店舗の
 ホームに起居して霊感商法に励んでいる。
    毎日市民を騙して、得たお金は、ホームの会計担当の食口に渡す。
    法形式上、委託販売員は末端販売会社の社員ではなく、儲けの最終帰属者は委
 託販売員となる形をとって末端販社に対する税務署の目をごまかしている。販社
 の経理上の扱いは、食口に対して優良企業並の給与を支払っている形態をとり、
 源泉徴収もしているようになっているが、実際には一ケ月に食費も併せて数万円
 しか渡されていない。
    会計担当食口のところに、定期的に各ブロックの経済担当巡回師が集金に来る。
    経済担当巡回師が集金したカネは、個人献金の形で被告協会に入るか、他ルー
 トを経由して韓国の統一教会本部か米国の統一教会本部へ吸い上げられて行く。
    日本の税務当局の宗教法人への調査及び課税姿勢が弱く、又統一教会幹部の個
 人献金の形で被告協会へカネが吸い上げられて行く形をとっているので、霊感商
 法に対する税務署の目は全く届かない。
    稼いだ巨利が易々と韓国や米国の文機関に蓄財されていくのである。
   一九八七年二月、全国霊感商法被害対策弁護士連絡会の準備会の結成、五月同
 連絡会の発足、同会を中心としての救済活動、マスコミの取り上げ、日弁連の二
 度にわたる調査報告の発表等があって、世界のしあわせ八社は商号を変更し、か
 つ公式的には霊感商法からの撤退を発表した。世界のしあわせ広島はパシフィッ
 ク産業に商号が変更された。
   しかしながら、日本の文鮮明機関の中核である被告協会は、壮婦の会(主婦の
 信者の会)を中心とする霊石愛好会なる団体を組織させ、被害弁連に対する弁護
 士業務妨害活動、及び被害者に対し弁護士、消費者センターへ行かせない諸活動
 を展開し、事態の沈静化に努めた。
   そして、この霊石愛好会を母体として北海道の十勝支庁で一九八七年一一月「
 天運教」なる宗教法人の認証を得て、法人登記も得た。
    翌八八年二月「天地正教」と名称を変更し、全国各地に「公認天地正教〇〇道
 場」と看板を出し、ビルを借りて、主婦、お年寄りを引っ張り込んでいるのであ
 る。岡山・倉敷にも天地正教の看板を掲げ、被告協会員によって運営されている。
   弥勒信仰を唱えているが、「霊妙慈経」なるお経は、統一協会の経典「原理講
 論」を要約したものであり、「霊妙慈経」の解説書なるものも、随所に「再臨の
 メシア」が登場する代物であって、「原理講論」の要約を裏付けている。
   そして、被告協会の壮婦の会のメンバーが中心となってお年寄り、主婦を天地
 正教の道場へ連れ込み、献金と安価な弥勒仏、念珠、お墓等を高価に売りつけて
 いるのは、形を変えた霊感商法である。
   仏や仏具を売る会社は全国各地に設立され、「天地正教道場」とセットになっ
 て、新たな霊感商法を展開して資金集めをしているのである。
   これら霊感商法の末端販売企業群は、全国各地で設立後二、三年で次々と解散
 し、遠隔地に住所移転されている。
   定着産業
    前述した狭義の霊感商法企業群に対し、扱う商品が配置薬(廣鶴堂)、着物(
 創美、丸扇)、絵画(アート創和)、健康器具(パシフィック産業)、宝石(ク
 リスチャンベルナール)、化粧品(男女美等)等であって、宗教的装いが狭義の
 霊感商法で扱う商品に比し希薄であり、又、霊感商法における末端販社が二、三
 年のサイクルで解散しているのと違い、定着型であるから、内部では定着産業と
 呼ばれている。
    新聞折り込み、マスコミ等の宣伝方法はとらず、統一協会の組織(伝道ホーム、
 経済ホーム、壮婦の会であるふじの会等)を挙げて、顧客の動員をかける。
    ターゲットにされる客はVCに通い出した若者や霊感商法で印鑑等買わされた
 人達に多い。
    その時の勧誘文句には、これらの商品を買うことが蕩滅(罪の償い)につなが
 るとか、家族の復帰(神に近づくこと)等、荒唐無稽、神がかりの表現がとられ
 ることは霊感商法の場合と同様である。
    定着産業の展開する商法は、霊感商法の延長上のものであって、霊感商法ほど
 の凄さ酷さはないにしても、社会的許容の範囲を超えている。
    霊感商法や、定着産業の商法が、統一協会の組織ぐるみで展開されていること
 は、事実である。
   その他の日本における主な文鮮明機関
   国際勝共連合
    一九六八年一月文鮮明によって韓国で作られ、日本では同四月に作られた。
    被告久保木日本の国際勝共連合の総裁を兼ねる。
    末端で「勝共連合」として働いている若者達は全員、統一協会=原理研の若者
 達である。
    スパイ防止法制定運動、核武装、憲法九条破棄、教科書問題等の政治的活動を
 主としている。
    自民党議員、民社党議員との関係を保ち、職口たちはそれら議員の選挙応援に
 駆り立てられる。反共議員の手伝いをすることによって勝共連合の社会的認知を
 狙っている。
   世界平和教授アカデミー
    雑誌「知識」を編集発行している。同アカデミー主催の講演会に反共を売り物
 にする著名な学者、文化人、マスコミ人を登場させ、文鮮明の原理運動を賛美さ
 せて、文鮮明、統一協会の社会的認知を狙っている。
   世界日報
    文鮮明機関の 世界日報社が発行する日刊の統一協会の御用機関紙である。何
 かにつけてソ連の諜報機関「KGB陰謀説」を展開するのが特色である。
   全国大学原理研究会(原理研)
    統一協会が大学生獲得のために作った組織を言う。
   国際ハイウエイ建設事業団
    一九八一年一一月、文鮮明が「国際ハイウエイ」を提唱し、世界を高速道路で
 つなぐ「国際ハイウエイプロジェクト」の第一歩として日本と韓国をトンネルで
 結ぼうとしいうのが「日韓トンネル構想」で、この構想の推進団体が「国際ハイ
 ウエイ建設事業団」である。
    一九八八年五月末現在、調査用工事もストップしたままである。しかしながら、
 「日韓トンネル」をダシに霊感商法の被害、献金被害が出ている。
   その他の営利事業
   その他、ホテル、レストラン、建設会社、コンピューター、病院、不動産会社、
 スーパーマーケット、魚行商、家庭配置薬、あらゆる事業分野に進出し、食口を
 使用して事業を展開し巨利を上げている。さらに、難民救済等をうたってコーヒ
 ー豆の販売等もしている。

二、原告らの被害について

1  原告らの被害に関しては一般的に述べた訴状第五洗脳の実態に記載と全く同じ
経過であり、訴状添付の別表に記載しているとおりである。そのことの違法性につ
いては同第六に記載のとおりである。被告らは正体を隠して原告に接近し、家系図
を書かせたりしながら先祖の因縁を説き、スリーデイズに参加させ、「洗脳」をし
て入会を決意させたものである。そして、様々のものを購入させ、さらに第三者へ
のリクルート活動を行わせている。本件は、こうした反社会的組織に参加させられ、
善意のうちに違法行為に加担させられ、脱会までの苦しみの精神的損害及び財産的
損害の回復を求めて請求しているものである。

2  原告Aの場合
(一)  原告Aは、昭和六二年九月、突然同人の寮に統一協会員二名が正体を隠し
たまま「アンケート」と称して訪問してきた。そして、「クリエイト」でビデオを
みることをすすめられ、その日のうちに「クリエイト」を訪問する。アンケートの
際には資産内容・給与等についてもきかれている。
(二)  絵画展に誘われたりして高額な絵を買わそうとすることに不信を覚え、し
ばらくクリエイトに通わなくなる。
(三)  昭和六三年四月はじめごろ、再び有名な占いの先生講演会があると誘われ、
クリエイトに出かけるようになる。後日、この占いの先生は統一協会員であること
が判明する。その後、他の占い師(統一協会の本部長であった)から家系図を書か
されたりするうちに先祖の因縁を説かれはじめ、原理講論のビデオを見るようにな
った。
(四)  そして、六月中旬に広島可部でのスリーデイズ、九月には深夜にわたって
独身者宅をねらって伝道する新生トレーニング等を経て献身の決意をするまでにな
った。

3  原告Bの場合
(一)  原告Bにおいても右Aと大きな違いはない。昭和六四年五月に友人からの
誘いでビデオセンター(クリエイト)に通うようになった。アンケートに答えたり、
手相をみられたり、家系図を作成したりしていくうちに先祖の因縁を説き、自ら氏
族のメシアにならなければならないと言われた。そのための方法として念珠の購入
を勧められ、水行をしたりしながら時を過ごした。
(二)  原理講論などのビデオを次々と見て抵抗力がなくなっている原告に対して
メシアが文鮮明であることが明らかにされ、統一協会であることを知らされた。そ
して、七月の終わりごろスリーデイズに参加し、献身の決意をするようになった。
CB展の準備に参加したり、献金や化粧品を買ったりして、統一協会の違法な活動
を支えてきた。


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