インドネシア・ポルトガル外相会談
コミュニケ要旨

日時:1998年8月4、5日
場所:ニューヨークにて
参加者:
コフィ・アナン国連事務総長
アリ・アラタスインドネシア外相
ジャイミ・ガマポルトガル外相


コミュニケ
(要旨)

(1)広範な自治にもとづく東ティモールの特別の地位に関するインドネシアの提案について、両国の原則的立場を前提とせず、深く議論する。
(2)解決を模索する上で、東ティモール人をより密接に関与させる。
(3)軍の段階的削減、東ティモール人政治囚の釈放などインドネシアのポジティブな変化をさらに考慮する。
(4)全東ティモール人包括対話を今年10月までに再開する。
(5)今年末までにそれぞれの首都(ジャカルタ、リスボン)にある友好国大使館内に利益代表部をおき、ビザ発給を相互に緩和する。
(6)次回高官協議を9月末までにニューヨークで行う。


東ティモールの特別の地位に関する国連提案
(この文書は公にされたものではありませんが、インターネット上で出回っています。)

1. 概要

 外交、防衛、通貨、財政、法律はインドネシアの権限。
 インドネシア政府の責任範囲として明確に規定されたものをのぞくすべての分野の立法、行政、司法は東ティモール地方当局の権限。
 東ティモールは教育、言語、文化振興など、文化的自治権をもつ。

2. それぞれの権限分野

A. インドネシア政府

(i) 外交

 インドネシアは東ティモールの外交に完全なる責任をもつ。東ティモールにとくに関連する問題については東ティモール地方当局と協議する。東ティモールは、インドネシア政府の同意をえて、定義された地位でもって、とくに関連する会議、および国際的活動に参加する。

(ii) 防衛

 インドネシアは東ティモールの対外防衛に責任をもつ。インドネシア軍は、東ティモールの対外的安全保障を確保するのにみあった兵力を東ティモールに維持する。例外的な状況において、東ティモール地方当局の要請にもとづき、インドネシア軍は [公共秩序の維持と] 災害救援を支援する。 [ ] は未決定。

(iii) 経済、通貨、財政

 全体的な経済政策はインドネシア政府が決定する。東ティモールはインドネシアの通貨・関税域にはいる。

(iv) インドネシアの法

 インドネシア政府の権限分野に関する法規ははインドネシア政府の責任範囲である。これらの東ティモールにおける解釈、適用は東ティモール地方当局の責任範囲である。

B. 東ティモール地方当局

(i) 立法権

 東ティモール地方当局はインドネシア政府の責任範囲と規定されたもの以外のすべての分野における立法権をもつ。
 立法権は、普通成人選挙にもとづいて東ティモールで選挙された議会がもつ。
 この議会は、この合意における権限分配に変更をきたす法律を制定することはできない。
 東ティモールの特別な性格に関係するインドネシア国内法の発布について、協議をうける。

(ii) 行政権

 行政府の長は、[ 直接選挙] [ 議会による選出 ] [ 議会の選出とインドネシア国家元首による認証 ] によって選ばれる。
 政策決定を行うポストは可能な限り、東ティモール人がしめる。

(iii) 司法権

 東ティモールは [ 最高裁を含む ] [ インドネシアの最高裁への控訴権を含む ] 独立した司法をもつ。

(iv) 公共の秩序

 東ティモールの法と秩序の維持は、地方当局の責任範囲である。このため、地方当局は [ 独立した ] [ 地方の ] 警察をもつ。

(v) 経済と財政

 インドネシア政府の関連省庁と協議しつつ、東ティモール地方当局は経済政策を行う。
 地方当局は課税権限をもつ。

(iv) 社会関連

 インドネシアと東ティモールの代表者から構成される協議会が、移民・移住関連の問題を管轄する。


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