麒麟山 (1999年7月18日 鹿瀬町で)


額から汗がしたたり落ち、首にぶら下げていたサブのF100をぬらした。
麒麟(きりん)山と阿賀野川を見渡せる、津川から三川寄りの線路端の小高い丘に三脚をセットした。
シゴナナが来るまでじっと待つ、昨日もここに三脚をセットしたが麒麟山がガスって良くなかった。
煙が良くても目的の麒麟山が悪くては納得出来ないとまた来たのだ。
なんと10分前になって太陽が雲に隠れた。
「ヴォー」津川を発車する合図の汽笛が山あいにこだました。
ゆっくりと真っ黒い煙をはきながらシゴナナがやってきた。
ななんと49Rを併走する車がいるではないか、SLの撮影は思うようにならないとあきらめながらシャッターを押した。
麒麟山は福島県との県境、鹿瀬町にそびえる標高195mの岩山。
阿賀野川から見る山容が、伝説上の天馬「麒麟」に似ていることからその名前が付けられた美しい山だ。
ここは「SLばんえつ物語」のキャッチコピー「森と水とロマンの鉄道」にピッタリの風景だ。




湿原のエゾシカ  (2000年1月28日 釧路湿原で)

朝出かけようと思ってレンタカーに乗り込むと、前日に買って置いたバナナがカチンカチンに凍っていた。
「バナナでくぎを打つ」という話を思い出した。

 明日からの「SL冬の湿原号」のロケハンをかねてタンチョウ鶴と、エゾシカを撮るのが今日の予定だ。
今年の釧路湿原は、零下20度を越える厳しい寒さと、1mを越える積雪が野生のエゾシカを苦しめている。
主食の笹が雪に埋もれてしまい食べられないのだ。
樹皮や木の芽を食べて飢えをしのいではいるものの、弱い子鹿は、春まで生きられないという。
1996年の大雪の時の子鹿の生存率は、20パーセントだったと聞いた事がある。
5頭に1頭しか冬を越せないのだ。
夕日で赤く染まる雪原の中に、エゾシカの親子がいた。
私を警戒しながら、ふらふらと雪原を歩く姿がとても痛々しく思えた。




SLと丹頂鶴  (2000年1月30日 釧網本線茅沼駅で)

朝からの雪が、午後からは吹雪になってきた。
定刻どうり蒸気機関車(SL)が黒い姿を現すと。
「コオー、コオー」親のタンチョウツルが鳴いた。
近くにいたタンチョウの子供も「コオー」と鳴き、ヒナ鳥を先頭にしてあわてて飛び立っていった。
タンチョウの親子はSLが苦手のようだ?

北海道の釧網(せんもう)本線、茅沼(かやぬま)駅は、タンチョウの来る駅で有名だ。
現在は無人駅だが、前の駅長がタンチョウにエサをあげてかわいがったところ、毎年冬になると来るようになったという。
2000年1月8日から3月20日まで、「SL冬の湿原号」(C11形)として、釧網本線の釧路ー標茶(しべちゃ)間に25年ぶりにSLが復活運転を始めた。

                                       

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