リムジンバス・バリアフリー車両
三菱 エアロエース エレベーター付きバス(M06)


バリアフリー車両として日野セレガのリフトバスが2016年4月から運行を開始し、2018年12月時点で4台の陣容となっているが、2018年12月から三菱エアロエースのエレベーター付きバスを導入。バリアフリー車両が拡充された。

初代リフトのセレガは車椅子部分も座席があるため52席表示
2台目セレガはリフト部分に座席がないため、リフトを1と数え、座席38+車椅子1の39席表示
1台目のエレベーター・エアロエースは37座席+補助3席+車椅子1だが、なぜか42席表示になっている。

エレベーターバスはバス車内にエレベーターを設置。路線バスのようにスロープで車内に入り、そこからエレベーターで客先に上がる仕組みのため
・リフト乗降に比べ、雨の日に濡れない
・スロープによる乗降のため狭い場所での乗降が可能
・周囲の視線を気にしなくて良い
・エレベーターが小型のため、エレベーターの奥に荷物室を設置できる
というメリットがある。

逆に車内にエレベーター装置が設置されるので
・正座席数が減る
というデメリットもある。

東京空港交通(リムジンバス)のエレベーターバス フェーズ1

2018.12.21〜羽田空港国際線〜TCAT間で運行を開始。
これに先立ち2018.11.30頃から日野セレガ・リフトバスで運行していた羽田〜TCATのダイヤの一部を箱崎から昭和島に移管。
TCAT発8:45、10:45、13:45、15:45。(リフト利用の場合15分前)
HND発9:40、11:40、14:40。(リフト利用の場合20分前)
羽田空港のリフト乗り場は国際線ターミナルの降車エリアに設置された0番乗り場。
羽田空港0番乗り場を出発時間の5分前に発車後、2番乗り場へ向かう。
羽田空港到着後は0番乗り場で待機。

先行導入となったL970は社番から判断するに10月には納車。11月14日にTCATでのお披露目後、さらに1ヶ月訓練等経た上で実運用に投入された。リフト車両は箱崎に投入されたのに対し、エレベーターバスは昭和島への投入となった。

主な仕様
・エレベーター:メイキコウ製ポールねじ支柱式(シザーリフト)
・エレベーターサイズ:800mm*1300mm
・許容積載質量:230kg

・昇降時間:約60秒
・乗降時間:約5分30秒
・エレベーター部分の奥に荷物室設置(3番・スライド付)
利用者団体のアドバイスによる改良(試作車から改良)
・エレベータ部分:照明・鏡付

・車椅子固定の変更(エレベーター部分→4列目)
 
2018.12.21から運行を開始したエレベータ付きバスのL970。
バリアフリー車両としては初の昭和島所属となった。
3番トランクの位置にエレベーターが設置されている。

品川230あ9522
970-81042M06
 
エレベーター部分は、窓の位置までが乗降部となっている、トランク(荷物室)より高さが高いことがわかる。

L970 

東京空港交通・リムジンバスのエレベータ付きバスの車内。
右側11列(写真左)
左側7列(写真右)
補助席3席(1、2、8列目)
最後部中央1席
計40座席。
なぜか社番上は42席(81042M06)表示。
セレガは車椅子を1席とカウントし39表示だったのでセレガ同様のカウントなら41のはず・・
カタログ上では左側前方に4列あるため補助席なしでは42席となる。

L970

エレベーター部分。そのまま床が下に下がる仕組み。
正面には利用者団体からのアドバイスによる鏡が設置されている。
このスペースで車椅子を転回できるようになっており、その際にも鏡が活用できる。
右側の黒い部分は扉の上部になる。

L970

エレベーター装置の後方。かなり大きな装置となっており、この装置の後ろが8列目となる。
走行中は運賃箱を設置しているようなガタガタ音がしてしまう。
エレベータースペースの前にはカタログ上は4列だが、L970は1列取り外し3列しか設置されておらず、車椅子利用の際に座席移動をしなくて良いようになっている

L970

エレベーターの前方が車椅子スペースとなっている。
当初試作車ではエレベータースペースにそのまま設置する形だったが、側壁が邪魔で設置に苦労する点や介助が難しい点から前方にスペースを作った。車椅子スペースの窓際にはUSB給電装置も装備。


L970
エレベーター・車椅子スペースにはエアコン・読書灯ユニット間にウォームランプのユニットを使った照明がついている。
白いプラズマクラスター装置の横にはPanasonicのインターホン・テレビドアホンが取り付けられている。

L970
エレベーター部分を開口した状況。
開口部左側の部分に開口装置がついている。エレベーターは降りてきていない状態のため、ロゴ下付近の黒い板の部分が車内の床の位置。
エレベーター部分の奥にはスライド式荷物室もあり、スペースは小さくなったが3番荷物室も確保されている。
照明もかなり明るい照明が設置された。乗降中のロールカーテンも取り付けられている。

L970
エレベーターの操作部分。
エレベータ開口部の右側に設置。
丸いボタンでロックを解除した後、リモコンで上下操作をする。

後方の荷物室にスライド板(スロープ)が見える。

L970
東京空港交通(リムジンバス)のエレベーターバス フェーズ2
 
2019年5月に運行開始したエレベーター・エアロエースの2台目。トイレ付でさらに乗車定員が減ってしまった。
L970の運用から多少改善がされドアホンが固定式に変更された。またエレベーター周辺部分で多少の変化があった。
専用ダイヤは増えず、L970と同じダイヤに交互で運用される形がとられている。
2019年4月にL971がトイレ付の仕様で増備。5月初旬から運行を開始した。
リフトダイヤを離れ、羽田新宿に突発的に充当され、新宿駅西口に到着。
納車が遅れたせいか、L985-988と希望ナンバーが入れ子になっている。
残念ながらMC後のフロントデザインで入らず、旧顔(平成顔)での納車となった。

品川230あ9547
971-90434M06
ランプチェッカーの下にエレベータバスならではの、中扉ロックとエレベータロックのランプが2つ並ぶ。

L971
エレベータ部分はL970と比べ、窓側(壁側)の作りが異なっている。
試行錯誤といった段階なのだろうか。
エレベータ側は前3列、後2列しかなく、座席数は32席となっている。
L971
エレベータ部分上に設置されているインターホンも変更となった。
車外のエレベータ開口部にある相手側が備え付き式になり、電池不足で使えなくなることに対しての対策が施された。
車椅子スペースのUSB給電装置もL970も1つから2つに変更になった。

L971
東京空港交通(リムジンバス)のエレベーターバス フェーズ3
〜エアロエース・エレベーターバス 解体新書〜
 
大阪空港交通では令和顔(新顔)エアロエースのエレベーターバスが2019年9月に運行開始していたが、東京空港交通では2019年11月のメトロファミリーパークで公開された。
メトロファミリーパークではエレベーターの実演が行われたため、なかなか見る機会のないエレベーターバスの細かい動きを見ることができた。

歩道(縁石)がない状態でのスロープでは車椅子が重く、現実を垣間見ることができた。今回はバスにパレットが積んであり歩道に見立てた高さで車椅子の実演を行っていた。JBUSリフト車両はスロープを使わないので縁石がない路上でも問題はないが、外へはみ出すスペースが必要になってしまう。
雨の日はエレベーターバスは濡れずに乗降できるが、JBUSリフト車両は車両の外で昇降するため濡れてしまう可能性が高い。

JBUSのリフトバスのリフト昇降が10秒程度に対し、エレベーターの昇降時間は実測45秒程度と時間はかかるが揺れはなく、動き出し含め動いていることもわからないレベルであった。

車椅子の方には非常に細かい配慮がなされた車両だが、乗務員の方には装置が多く習熟が必要な構造となっている。

車椅子はエレベーター部とその前のエリアに2台搭載可能だが、スペース的に先に乗った場合、最後まで降りれないのもネック。

エレベーター部分の鏡やドアホンなど東京空港交通ならではのアレンジもされている。
エレベーター以外ではドライバー異常時の非常ブレーキ装置(EDSS)や左巻き込み防止レーダー(アクティブ・サイドガード・アシスト)が装備され安全性も高まった車両となった。
令和顔のエレベーター・エアロエースがメトロファミリーパーク2019でお披露目となった。走行距離も600kmに満たない状況だったため、運行もしてないと思われる。
2019年10月改正で出来たTCAT・新宿・池袋の行先を早速表示。会場ではJRバス関東のアストロメガとも並んだ。

品川230あ9574
973-90934M06
L973のコックピット。
JBUSに続きドライバー異常時対応システムEDSSを装備。
バックアイモニタの左に赤色の丸いJBUSと同じボタンを装備。

L973
ドライバー異常時対応システムEDSSの乗客側の非常ブレーキ装置は最前列に取り付けられている。

L973
メトロファミリーパークでは何度かEDSSが操作されてしまうことがあり車内で赤ランプが点灯。
それほど派手な点滅ではなかった。
車体の横にミリ波レーダーをつけ左折時の巻き込み防止となるアクティブサイドガードアシストが搭載。
標準では運転席内部左側についている警告ランプはリムジンバスでは視認性を考えサイドミラーの部分にとりつけ、ミラーをみながら判断が可能となっている。障害物を検知すると黄色。ウィンカーやステアリング操作で赤点灯となる。シートバイブレーターとも連動している。
エレベーター部の前に4列分のシートがある状態。
営業運行に入っているL970/971は1列抜かれ3列になっているため、運行前ならではの貴重な状態。

L973
第一回目のエレベーター実演に向け椅子を折りたたんでいた。
椅子についている紐をひっぱり折りたたむ。

L973
椅子を動かすために専用の金具を使う。金具は椅子がロックされないと抜けない仕組みになっている。
ロックされる位置がなかなか難しい模様。専用金具でなくペダルなどで簡単に動かせ、ロック位置もはっきりさせる構造になると便利ではないか。
椅子を移動させると車椅子2台分のスペースが確保できる。

L973
メトロファミリーパークに合わせ、リムジンバスではこんなサプライズも。
小さなアイテムだがイベントを盛り上げていた。


L973
エレベーター乗降部とバゲージをあけた状態。
エアロエースはバゲージサイズ均一に変更されたが、エレベータ車両は左の1番バゲージが小さい初期使用のまま。
エレベーター部分の奥にもバゲージルームが確保されており、バゲージはJBUSリフト車より容量がある。

L973
エレベーター部左側にあるエレベーター部分の扉開閉装置。
スイッチで開けた後は手でスライドをさせる。
閉める際も手でギリギリまで閉めると緑のランプが点灯するので、その後はスイッチにより自動的に閉まる。

L973
エレベーター操作部。
右上は車内のエレベーター部と連動したドアホン。映像と音声で確認が可能。右下はリフト奥のバゲージとの仕切板を上下させるスイッチ。左下はエレベーターを動かす前にロックを解除するオレンジのボタン。
扉を閉める際ロックを解除する緑ボタン。左上のリモコンはエレベーターを上下させる装置。安全のためボタンを押しっぱなしにしないと動かない。
L973
エレベーター奥の3番バゲージ。可動式バゲージになっており、可動式バゲージ内の右側にはローラーがついており、ここにスロープを格納する。

ローラーがついておりスロープも出しやすい構造になっている。

L973
エレベーター部分を下まで降ろした状態の車内。
手前にしっかりした仕切りがあるとさらに安全かと思われる。
運行時は乗務員さんとバス停の旅客係さんで取り扱うため、リムジンバスでは車内の安全は人により確保している。

L973
エレベーター部分の上部にはLED照明もついており、読書灯とともに点灯する模様。
夜間でも明るさは確保されるだろう。

読書灯とプラズマクラスターイオン発生機の間の黒い装置がドアホンの車内側。

L973
ドアホン使用時にはドアホンも点灯する仕組み。

L973
車椅子を乗せ、奥のバゲージルームとの間に白い仕切板が出てきた状態。
スロープからの乗降時は車椅子の回転ができないため仕切板は出ていない状態で、車椅子を回転させたあと、巻き込み防止のため仕切板を出す仕組み。
狭いエレベータ部分にも色々と工夫がある。

L973
エレベーター部上部から黒い仕切板を出した状態。
白い仕切板同様、エレベーター稼働時に外側との巻き込みを防止する装置。
白い仕切板と違い、手動で上から下に降ろしてくる仕組み。

エレベーターで乗降している状況を見えなくするために白いカーテンが設置されている。雨や風よけにもなる。
操作する側からは中が見えなくなるため、ドアホンで確認しながら操作をする。

L973
エレベーターの扉部分。
ローラーがついた奥の装置が扉のロック装置。
手動で開放するとこのロック装置がでてきて固定される。
閉める時は緑のスイッチで扉固定を解除するとロックが外れ、手で動かせる状態になる。

L973
エレベーター操作時にはリアのみ、行先と交互に車椅子乗降中の表示がされる。

L973