UP TeaTime(26)
作成日:2003/02/17

常磐線の落下物
(沿線事情:JR常磐線)

今から遡ること十n年前。まだCDとレコードの優劣が語られていた頃の話。
ひと夏のバイトを東北地方で終えた帰りの列車での出来事です。
当時、常磐線沿線(といっても千葉県)に住んでいた仲間4人と、バイトが終わった開放感からBOX席で騒いでいました。
その前のBOXには、帰省帰りと思われる大学生が、網棚に山のような荷物を載せて、こちらは爆睡中。
それ以外は人も疎らで、とにかくとにかく静かな車内に4人の馬鹿騒ぎが響いていました。

とある大き目の駅を過ぎたときに、それは起こりました。
たぶんポイントを越えたのでしょうが、ガッタン、ゴットンと大きな揺れが2発。
それで事を起こすのには、十分なようでした。
前のBOX席の網棚の大きな3つの紙袋から、滝を流れる水のように、滑らかにかつ重厚に、しかしかなり大きな音を立てて、色とりどりのジャケットのレコードが落ちて来たのでした。

紙袋いっぱいのレコードといったらかなりの重量があります。
それが1つではなく3つも(どうやって持ち歩いていたのかはともかく)。
割れ物なので、大事を取って手で運んでいたのでしょう。
しかし、ちょっとした気の緩み(って爆睡なんですが)から、自ら大きな危険を招いてしまいました。

ドス、パタ、ドスドス、パタ、パタタ
落ちる角度と落ちた場所により、いろいろな音となるようです。
時々、「うっ」という人の声のような音(って、そりゃ声か)もします。
滝が終わると、またあたりに静寂が戻ってきました。

しばらくして、前のBOX席で動きが無いので、そっと様子を見てみました。
まさか、昇天してしまったのでは、と思ったのですが、何のことは無い、レコードに埋もれて、未だに爆睡中なようでした。
ホントに幸運な人なんでしょう。
でも、さすがにレコードは無事では済まなかったと思います。
夜中に何か押し潰される夢を見なければ良いのですが。アーメン(って違うか)。


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