快速アクティは,東海道線を昼間走っている2階建ての快速です。
横浜から小田原・熱海あたりに出張する時に,よく使っています。朝のアクティは,9時44分横浜駅を出ます。
この時間帯の下りのアクティは空いています。ちょうど,直前に東海道線の 下りが来ることもあって,横浜で乗る人はちょっと遠めの人になるからです。
2階席は座れないこともありますが,地下(というか下の階)は,駅に停まると ホームから見下ろされることもあって,BOXに一人で座れることも珍しく ないです。その日は朝から小雨がパラついていて,コートなしでは外を歩くのは厳しい 寒々とした日でしたが,9時も過ぎると多少は暖かくなった気がします。
横浜駅でホームに並んだ列の前の方にいたオバサン達が,大挙して上に上がって 行くのを見て下に降りると,やはりこちらはガラガラでユッタリと座れます。
コートのポケットから取り出した文庫本をゆっくりと読み始めました。BOX席に一人で座っていると,発車間際になって学生(あるいはフリーター)風 の20過ぎの男性が飛び込んできて,ドカッとBOX席の対角に座りました。
服装は割と渋めなんだけど,視線が彷徨っていて,ちょっと落ち着きが無さそう にも見えます。でも,見た目は好青年といったところかな。
その好青年,しばらくすると腕を組んで目を瞑りウトウトし始めました。次の停車駅は,大船。何人か降りて,更に車内は空いてきました。
隣のBOXも空いたので,目を開けた好青年が席を移って,また腕組みをして 睡眠体制。...彼の座っていた後には,何やら丸まったものが。
手を伸ばして触ってみると,マフラーでした。
「忘れ物ですよ〜」と差し出すと,ちょっと焦点があってない顔で,「どうも」 と答えてくれる...あぁ1日1善だなぁ,と一人で悦に入る。電車は進んで,次は藤沢。
居眠りしていた彼は,目を開けると慌てて降りていきました。後に残されたのは,今度は床の上の傘...
彼の姿を目で追うと,もう既にホームの上に。
そこで,あまり追わなかったのは,その傘が一番安いビニール傘だったせい かもしれません。辻堂を過ぎて茅ヶ崎を出る頃には,彼が座っていたBOX席にも新しい 乗客が乗ってきました。
彼女は,床の上の傘を拾い上げると,自分の傘と一緒に窓際に引っかけて あげました。降りるときに,駅員さんにでも預けるのでしょう。さて,こんなことを書いてますが,書いてる本人も 傘はよく忘れます。
居酒屋,新幹線,新幹線の待合室,お客さんとこ,富士山の五合目,などなど。
数えるとキリがありません。まぁ,「傘は天下の回りモノ」と言うくらい なので(言わないって),倉庫に保管されるくらいなら,他の慌て者用に貸し出して くれるといいのになぁ。