その日の仕事もようやく終わり,当時住んでいたJR相模原(小田急線の相模原ではありません)に帰るために,横浜線に乗り込みました。
時間はだいたい夜の10時を過ぎた頃だったでしょうか。
東神奈川始発の横浜線には,何とか座ることができました。
この電車,いつも東急東横線の菊名駅との乗り換えから新横浜,田園都市線の長津田駅あたりまでが混んでます。
さて,菊名駅を過ぎた電車の混み具合はというと,車内の両側の吊革グループの間にチラチラ人が重なってる(要は3列人が立ってる)程度です。
もうすぐ新横浜だというところで,なんだかくぐもった音が聞こえてきました。
ウバウバ,バシャッ,ウバウバウバ...
いきなり目の前で立っていた人が動きだします。
それなりに混んでいた電車の中に,いきなり巨大な空間が出現しました。
その中に一人残っている中年のオッサン。
ウッエロエロエロ〜
今度は,明らかにあの音だと分かる強烈な攻撃で,回りの人を更に立ち退かせます。
立ってる人だけでなく,座っていた人まで。
オッサンは膝に手をやった中腰の姿勢でしばらくの間喘いでましたが,若い二人組の女性が手を貸してあげて,座席に座らせました。
オッサンは何かゴニョゴニョと話してます。
お礼を言ってるようですが,あまり聞き取れませんでした。
電車が新横浜に着くと,ごっそり人が降ります。
そのオッサンも,その後を降りていきました。
新横浜を出発する時には,そのドアの付近だけ空いていて,3mくらい離れて座っていても,その現場が手に取るように分かります(手には取りたくなかったですが ^_^;; )。
さて,駅は進んでここは鴨居。
車内の様子は変わっていません。
鴨居駅での,そのドアの乗客は二人のカップル。
楽しそうに手を組んで乗ってくると,いきなり向き合って顔を近づけて二人だけの世界に入っていきます。
気がつけよなぁ〜おまえら,何で自分たちの回りだけ空いてんのか。
少しくらい回りを気にするってことがないのか。
彼らはその電車に出現した巨大な円の中心に立っているのです。
二人向き合って,幸せそうに。
回りはというと,まるで金縛りにあったかのように固まっていました。
確かに,あれは注意し難い。みんなを決して恨んじゃいかんぞぉ〜。
その二人は何も気づかないうちに,長津田駅で降りて行きました。
あぁあの幸せそうな二人に合掌...