TeaTime(1)
作成日:1997/02/01

相鉄線沿線事情

1月の終わりの相鉄線での出来事。
平日10時過ぎの横浜方面行きの電車の車内は立つ人もまばらで,話し声もなくただただ電車の音だけが響いていました。
いつもと何ら変わりありません。

それがある駅を離れたところで,雰囲気が一変しました。
二人の女子高生がドカドカと社内を歩いてきます。
「なんだよう,どこも空いてねぇじゃん」
「しようがねぇなぁ」(このイントネーションはマネできない ^^; )
歩きながらそんなことを言い合ってるようです。
二人は立ち止まると,もう一度辺りを見回してから,
「しょうがないっか」
...普通の場合,しょうがなければ立ってるんでしょうが,この二人は違いました。
いきなりドッカりとドアの前に座り込んだのです。
一人は横座りで,もう一人はあぐらで。
この一瞬,車内はざわめきました。
いまさらと思っても,目の前で実際にやられると,なかなかショックなものです。
彼女たちは一向に気にならない様子で,学校のことを話し込んでいるようです。
「...でねぇ」
「あぁ〜チョウかっこわるい」
次の駅は反対側のドアが開いて何人かが乗り降りしますが,それもどこか別な世界の出来事のようです。
もっとも乗ってきた人は,そうは思わなかったようでしたが。
また電車が動き始めました。
車内は既に彼女たちの独演会場のようです。
さて宴会は中盤にさしかかり,よっぽど話しが面白くて熱中してきたのか,こちらに背を向けてあぐらを組んでいた子が,いきなり片膝を立てて話し始めたのです。
当然のことながら普通の格好(ミニですねぇ)な訳ですから,背中の方から見ても相当衝撃的なシーンでした。
いやぁ〜この時の時の車内の様子は,文章表現の範囲を超えています。
憤慨した人,顔をそむけた人,喜んだ人,気づかなかった人,哀しかった人,いろいろじゃないでしょうか。
でも,彼女たちはそんなのは気になりません
一生懸命に話し込んでいます。

次の駅は降りる駅です。
今度は彼女たちが座り込んでいる方のドアが開きます。
この駅はそれなりに利用者数が多いので,彼女たちの回りに人垣のような物ができました。
ドアが開き始めると,それまで片膝で話していた方の子がチラッと回りを見回して,空いてる席を見つけると,「座ろう,座ろう」と言って素早く立ち上がります。
まだ何やら話しているその子たちの声を後ろに聞きながら電車を降りました。
たぶん車内は横浜駅に着くまで,まるで何事もなかったような雰囲気になっていたことでしょう。
それとも,初めから何事もなかったのかもしれません。

でも,何故かその日一日少しだけ元気になったような気がしました。

注1)相鉄線はJR横浜駅から小田急線海老名駅を結ぶ私鉄です。
注2)わずか3駅,時間にして15分も経ってない間の出来事です。

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