作品の中で人物が大きなウェートを占める場合、よくある傾向が「ホメ過ぎ」です。主人公がいかに立派な人であるか、どんなに魅力がある人か、ホメ言葉が連発されます。作品を作っている方は、それだけ思い入れがあるのでしょうが、見ている(聞いている)方はかえって気持ちが退いていきます。
例で説明しましょう。子供たちと保母さんがなんとなく遊んでいる保育園の映像をバックに、次のようなナレーションが入るとします。
(1)『保母になって20年、◇山○子さんはとてもやさしい人です。 (2)泣いている子には子供の気持ちになって優しく接します。 (3)しんけんに話を聞いてあげます。 (4)広場で子供たちと遊ぶ時は元気いっぱいです……。』
このナレーションコメントは、間違いというわけではありません。
問題は、ビデオを見る人がどのように受け取るかです。具体的に検討します。「優しい人」と言われても、それを具体的に示すものがなければ説得力がありません。「とても」と言われても比較するものが見えなければ時間がわきません。次に「子供の気持ちになって」とは、どんな気持ちでしょうか。言葉が極めて抽象的で、分かったようでもイメージできません。「優しく接します」とはどんな接し方でしょうか。さらに「しんけんに話を聞いて」も、なんとなく分かった気になりますが、どんなことをさすのでしょうか。「遊ぶ時は元気いっぱい」も、「ああそうですか」で終わりです。
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このナレーションでは、「とても」と強調するよりも、「優しい人」は、映像でそれらしきものを撮ること、編集で生かすこと。次の(2)のコメントは、できたらそのもようを映像化したい。例えば子供と目線が合うようにしゃがみこんで、泣き声にうなづきながら、そっと涙をふいてやる映像があれば「子供の気持ちになって優しく接します」のコメントは、なるほどと思ってもらえるでしょう。「しんけんに話を聞いて」は、どうしますか。子供の手を引いてすぐに立ち上がるのではなく、手を握ったままじっと話を聞き続けるような映像が欲しい。「遊ぶときは元気いっぱい」は、ばくぜんと広場にいるのではなく例えば、一緒になってかけっこをする、張り合うように木登りをする。逆立ちをして見せる。そんなショットを現場で探しましょう。
そういう映像が撮れれば、コメントが生きてきます。それでOKです。撮れない時には、上に書いたようなことを具体的にコメントすることが大切です。大切なのはディティール。ホメ言葉だけ並べてもビデオを見る人を納得させることは難しいと思ってください。