現場では表面的なことだけでなく、より深くより多く取材したい。ナレーションで喋る量が「3」とすれば「10」の取材が必要です。「3」の取材で「3」を喋ると無理がくる。「3」の取材で「10」を喋ろうとすると論理が破綻します。中身の濃いコメントを伝える、そのためには意識的に現場では「物分りを悪くして」、いろんな角度から多くの質問を重ね、疑問を解いていきます。
インタビューで気をつけることは、「ハイ」「イイエ」で答えられる質問はダメ。たとえば「今日は天気がいいですね」→「ハイ」、「こんな天気ですと気持ちが良いですね」→「ハイ」。これでは、テレビ(ビデオ)では使い物になりません。相手に「天気が良い」と言わせたいなら、「今日の天気はどうなんでしょうか、昨日と比べると……?」といけば、「昨日はあの辺に雲がかかっていたのに、今日は日差しが差し込んで本当に良い天気ですね」といけそうです。
-
-
言葉の表現は、ほんとうに分かっていることを噛み砕いて伝えたい。私の場合は、小学校5年生にも、そして私の祖母(今は亡くなったが)にも分かるように喋ります。自分でもよくわからないことを伝えようとすると、難しい言葉、専門用語、外来語などを使い勝ちですが、そうすると分かりにくいことになります。ナレーションをする場合には気をつけたいところです。
そのナレーションの文章については、まず文は短いほうが良い。そのためには主語と述語の位置を近づけると理解しやすくなります。「私は…こう思います。それは…だからです」というように。
形容詞、形容動詞については、なるべく使わないほうが望ましい。「浅間がきれいだ」ではなんとなく分からない。ここはディテール(具体的な細かいこと)で語ると分かりやすくなります。「浅間はこういう形の山で、青い空に形がくっきりしていて、切り絵で抜いたように見えます。その頂には少し白い雪があり、バックの青い空と見事なコントラストを作っています」とすれば、浅間のきれいさはビデオを見ている人に伝わります。もうひとつ、ナレーション文章の語尾は素直にするのが良い。「私はこうだと思わないではありません」というよりも、「私はこう思います」のほうがすっきりします。
-
-
テレビ番組で気を付けていることがあります。それは言いたいこと、伝えたいことは一つだということです。短い番組でもNHKスペシャルのような番組でも言いたいことは一つ。その伝えたいメッセージがぶれると見る人は、作品が何を言いたいのか分からなくなります。皆さんが映像を撮って作品にしていくときも、同じだと思います。言いたいことは一つです。じつは、この私の話でも言いたいことは一つです。それは現場で見ること、聞くこと、考えることが大切だということです。
◇◇◇◇全国交流会・山崎登さんの講演要旨◇◇◇◇