No.17「映像作品集を楽しみながら学ぶ」 

(稿:三石あき)



 ほかの人の作品
 ビデオマンのとって、自分のビデオ作品を見て、感想を述べ、批評してくれる人がいることはありがたいことです。このモニターの大切さについては前号に書きました。今回は、「ほかの人の作品を見ることについて」。作る立場のビデオマンとして、他人の作品を見て何を感じとって、それを自分のビデオ作りにどう生かすかです。それも同じ条件の中で撮影した作品をどう見るかです。


 撮影旅行作品集に注目
 ビデオクラブに所属している方は、仲間と撮影会(旅行)に参加することがあると思います。JVA日本映像ネットワークでも、全国交流会のたびに『参加作品集』を制作しています。6月の「全国交流会・軽井沢の集い」でも、作品集作りを予定しています。
 ビデオグループの「撮影旅行作品集」の特徴は、同じ土地へ一緒に行って、そこで撮ったビデオを作品にする、そして同行者の作品をつないで一つの作品集にすることです。おもしろいのは、同じところに同じ仲間が出かけて撮影したものでありながら、出来上がった作品が一人ひとり異なることです。当たり前のことと言えばそれまでですが、注目して欲しいのはここです。
 仲間たちの作品を見るとき、注目する一つは「目のつけどころ」。平凡なもの、意外なものを被写体にして絵になっているのを見て「ホー!」と感心することがあるでしょう。
 もう一つは「撮る目」。魅力を感じず通り過ぎた道端の石像をローアングルでメルヘンタッチに表現した映像にやられたと思うことがあるかもしれません。
 そして「作り方」。単なる老人会の親睦旅行の素材映像から社会性豊かなドキュメンタリー作品に構成した「作るくふう」に目を見張ることがあるかと思います。
 おおぜいの仲間たちで作るビデオ作品集には、このような自分では気がつかない作品、ヒントになる撮り方、作り方の魅力がいっぱい詰まっています。問題は、あなたが「同じ旅行ばかり見てもたいくつだ」ち思うか、それらの作品の中に何かを発見してビデオ活動に生かすかどうかです、です。
 何気ない被写体になにかを見る
 私の関わるビデオグループで立山黒部を旅行した時のことです。『立山黒部アルペンルート撮影旅行作品集』に収められた中に目をひく作品があります。黒四ダムの下流の河原、そこで撮った岩石の映像から作品『黒部の自然・石の美』(細川ふさえさん)です。自然の力が作り出した岩石のいろんな形に目をつけ、その特徴の一つひとつに立山黒部の景色を思い起こさせる、という着眼です。
 もう一つは別の『名曲のふるさと・おぼろ月夜撮影旅行作品集』、この中の『啓の“おぼろ月夜”撮影旅行』(中島 啓さん)。唱歌『朧月夜』や『故郷』の作詞で知られる高野辰之ゆかりの地を回った時に中島啓さんが注目したのは高野辰之記念館で見つけた昔の小学校の写真。そこには幼児を背負って教室に座る少女が写っています。かつて中島さんも背負って母を助けていた姉とふるさとを思い出すという作品です。
 素直に言って、ふたつの作品とも完成度はそれほどではありませんが、そこにあるものをビデオ作品に結びつける着想に感心しました。
 テーマをもって撮る→作る
 撮影現場で即座に何かを発見すると良いと言われても難しい、と思われる方もあるでしょう。ならば撮影の旅にでる時に、テーマを持ったらどうでしょう。『1999JVA全国交流会<広島大会>作品集』にある松下弘雄さんの作品は、瀬戸内海の旅を平家物語とダブらせるビデオ。平清盛絶頂期の宮島と音戸の瀬戸、那須与一の伝説を生んだ屋島、滅亡へと至る壇ノ浦…と平家物語を軸にした旅を続けます。こうしたタイプの作品は企画力がカギです。当然ながら事前の下調べと撮影構成案作りが必要です。そんな面倒なことをと思われるのなら、普通に旅行する前を思い出してみてください。どこを回ろうか、何を見ようか、どんな服装にしようと、美味しいものを食べたいな… そんなことをあれこれ考えることも旅の楽しさではありませんか。撮影旅行も同じです。要はその人の考えかたしだいです。
 次に仲間と撮影旅行をする時には、この稿のことを思い出してもらえるなら幸いです。


以上