No.4「企画から構成・撮影台本作りへ(後編)」

(稿:三石あき)

1】撮影台本を書いてみよう

 「シナリオの書き方を習得したい(教えて欲しい)」と言われることがあります。
 そんな時、筆者は最初に「ウーン」とうなります。前回にも書きましたように、ビデオ作品のジャンルの違い、例えばフィクションかドキュメンタリーかによってもシナリオ(台本)は大いに異なります。また作業の進み具合によっても書き方は違ってきます。今回は、その中で市民ビデオマンが取り組むことの多い映像記録(ドキュメントからホームビデオまで)の撮影台本作りwp具体例で見ていきます。
 その意味で、今回は「例題」をじっくりと読みこみ、検討することを期待します。



2】例題研究

狙い:
 中学校の同窓会[同級会]の案内がきた。時は来年3月28日(日)。会場は生まれ育った待ちにある民宿OF。かつて「私」はMSさんに淡い気持ちを抱いていた。打ち明けられないままに故郷を離れて35年。「私」はこれまで欠席し続けてきたクラス会に出席することにした。会場が民宿OFならMSさんも出席するだろうという期待もある。

  • チャンス? 私はビデオカメラを持参することにした。ひょっとして感動の記録ができるかもしれない・・・・ というのはカッコをつけた妻への言い訳。あのMSさんの姿をしっかりと私の映像ライブラリーに残したいというのがホンネである。

    構成要素
  • クラス会の案内   
  • →「数えで還暦を迎える年、仕事を休んで集まろう」
  • 会場は民宿「OF」
  • →10年前オープン。じつはMSさんの実家である。
  • 35年ぶりの友だち 
  • →同学年生3クラス、1100余人。合同のクラス会。
  • 「我が家」の今  
  • →道路拡張で転居になった我が家。その跡を訪ねたい。
  • 中学校再訪    
  • →母校の中学校(その後改築)を仲間と見に行きたい。
  • 級友たちとの宴  
  • →集まったクラスメートの今をもれなく記録したい。
  • MSさんとの語る 
  • →このチャンス。MSさんと話したい。ビデオの被写体にもしたい。これが私的には出席する大きな目的。
  • 再会を約して   
  • →会の終了がもうひとつのヤマ場。チャンスを逃すな。


    撮影台本案/検討のために

    撮影台本の中で「シーンを作る」場合の参考として書きました。それぞれのシーンを検討してください。

    タイトル「35年ぶりのクラス会」

    1):オープニング  ◎感動のカットを短く重ねて(フラッシュ風な)コールドオープニングとしたい。
    項目/映像音声内容時間備考
    オープニング「再会の感動」

    • 再会のフラッシュ5〜6C
    00:20

    • タイトルTを入れる
    TW「35年ぶりのクラス会」              
    2)懐かしの我が家[跡]  ◎我が家(実家)は道路拡張のため30年前に転居し、町外に出た。クラス会の会場に行く前に私は久しぶりに「我が家」のあった地区を訪ねてみることにした。
    項目/映像音声内容時間備考
    懐かしの我が家は・・・/
    SE02:00

    • 走り去るバス→集落へPN
    私は会場に行く前に「我が家」のあった地区へ向かう。

    • 集落を歩く
    20年ぶりの新旧のムラ風景。

    • 新しい家
    見違えるばかりの新しい家。友だちの家はどうなったか?

    • 公民館
    木造の公民館も3階建てのきれいな造りになっていた。
    お互いに遠慮のなかった交際は今どうなっただろうか?

    • 古い寺
    昔のままの寺、境内で遊んだ昔のことが思い出される。

    • 老人が歩いてくる
    「こんにちは」という私に老人が立ち止まって見る。

    • おばさんとはなす
    • 丘に立つ私
    • 写真(我が家のあった頃)
    「あれ、プータちゃんじゃないの・・・?」
    老人は級友ZAの母親だった。この女性が子供ながらにきれいだと思っていた人・・・・、年月の流れを感じる。

    • 伸びる道L
    目の前は我が家があったところ。2車線の道路が伸び、車が走る光景に私はしばし立ち尽くす。

    • 丘に立つ私

    春ユリやキキョウの芽が出るのを心待ちした庭、大きな実をつけた柿の木、昔の戦の犠牲者を祭った荒神さま、いろんなことが思い出されて私は・・・。

    • 写真(我が家のあった頃)
    3):みんなで中学校へ
    項目/映像01:30
    43年ぶりの中学校/

    • 川べりをぞろぞろ歩く
    SE時間もある。会が開かれる前、先着の有志で母校を訪ねることになった。MSさんが一緒なので気持ちがはずむ。

    • 路地を歩く
    43年ぶりの通学路。格子戸のある酒屋が懐かしい。

    • 酒屋続いてラーメン屋
    名前は当時のままながら大きくなったラーメン屋に驚く

    • クリーム色校舎近づく
    .見えてきたクリーム色の4F建てが中学校だった。あの頃の木造2F建て校舎は消えていた。すっかり変わった周りに戸惑う。これが43年の歳月なのだろうか。

    • 校舎UP

    • 周辺の建物ぐるり

    • 新しい教室
    校舎に入り、教室を見てまわる。しかし感動はない。

    • 校庭のクスノキ
    校庭の一角に大きな楠を見つけた。私にとって忘れられない思い出がある。

    • 大木を見上げる

    • 級友たちの顔々
    昼食の時間、級友のTNくんはここにいた。弁当を持参できなかったのだ。その彼を私はいじめたことがある。

    • 自分の顔
    成長するにつれて私は「自己嫌悪」に陥った・・・。 今もそのことが頭から離れられない・・・・。

    • 揺れるクスノキ(枝葉)
    4):MSさんと話したい  ◎会は進んで談笑の輪ができる。私はどうしてもMSさんと話したい、そして彼女の姿を我がビデオに残したい。そのシーンができれば私にとってのクラス会は成功である。
    語らいの輪/2:30

    • 会場の談笑グループ
    ひととおり挨拶が終わり、飲食が進むと会場にはいくつかの輪ができ、昔話に花が咲き始める。

    • MSさんの輪へ

    カメラを持ったまま、私はさりげなくMSさんのいる輪に近づいた。

    • 級友たちのPN
    同録「やあ、カメラはダメよ」「うまく撮れよ・・・。」
    「Sちゃんですよね、全然変わらないねー」「エー?」

    • MSさん
    日頃愛想のない私には珍しい言葉が飛び出し、我ながら驚いた。


    • MS→男たちへPN
    「俺たちも撮ってくれよ」「MSが好きだったのか?」
    内心を見透かされたようで私は慌てた。

    • ひとりづつUP
    「違う違う、初恋の人は他にいたよ・・・」(私)
    「エー、私じゃなかったの? がっかりねー」(MS)

    • MSさんUP
    どうも私の思惑から外れてしまった。 「いやー、Sちゃんも好きだったよ」と挽回にこれ努めるも、冷やかしと茶化しの声が飛び交うお互いの初恋談義の中にかき消されてしまった。

    • グループで記念写真風に
    以上
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