ヨーク鉄道の旅

3 日目

 午前中は、ヨーク市内観光をすることにする。「鉄道の旅」とはいえ、美しい ヨークの街、見ずに帰らぬわけにはいかない。城壁の上に登り、ヨーク大聖堂の すばらしい建築に感心し、古い街並を見て歩く。このあたりは、どの観光ガイドにも 触れられて居るであろうから、ここでは詳しくは述べず、一気に午後の部、 「国立鉄道博物館・後編」へと筆を進めさせていただきたい(手抜き ともいう)。

 鉄道博物館では、1 日目に見られなかった、Station Hall 側を中心に 見ることにする。こちらにある展示の目玉は「Royal Train」、日本で言えば、 お召し列車の車両に相当するものである。その美しい車内は、一見の価値があった。

 裏手のヤードに出ると、蒸気列車の体験乗車を行っていた。せっかくだから 乗ってみるが、短い距離を往復するだけで、乗車時間はほんの 5 分ほどである。 前日、あれだけの規模の保存鉄道を見てしまうと、物足りないのは否めない。 これ以外に、乗れるものとしてはミニ列車があったのだが、本日は運行して いないようだ。

 体験学習コーナーの建物もあった。ここはなかなか面白い。車輪のフランジに 傾斜が付いている理由を、実際に線路上に車輪を転がすことによって示したり、 流線形が空気抵抗の軽減につながる、という実験模型があったり、また、 実際に転てつ機の「てこ」を操作してみて、信号係がどれほど重労働であるかを 実感したりなど、実に盛りだくさんである。幼児期からの「鉄」教育に うってつけで、この国に、鉄道ファンが多い理由が、なんとなくわかる気がする。

 Station Hall 側をひととおり見た後、もう一度 Great Hall 側に行ってみる。 ここの奥の方は、前々日には踏み込んでいなかったからである。ピットがあり、 機関車を下から見ることが出来るようになっていた。シリンダが車輪の内側にある 機関車の構造がよくわかった。流線形の機関車「Mallard」のところにもう一度 行ってみると、今日はなぜか、前面のカバーが開いている。あまり見られない 光景だったので、しっかり写真に納めた。

 そうこうしているうちに、帰りの列車の時刻が近づく。帰りの列車には、York 始発のインターシティ「The White Rose」を選択していた。この列車が、ロンドン− パリを結ぶ有名な国際列車「Eurostar」と同じ形式の車両(Class 373)で 運行されることを知っていたからである。乗り心地はきわめて快適で、やはり London Kings Cross まで乗り通してしまった。帰りも少々遅れたのだが、 乗り心地が良かったので大目に見よう。しかし、この国に来て、30 分程度の遅れでは 驚かなくなってしまったのは、はたして良いことか、悪いことか……。

LNER 4468 Mallard GNER Class 373
前面のカバーを開けた「Mallard」と、インターシティ「The White Rose」。


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