3.プラリア パート
「待ち伏せ」
「すっかり暗くなっちゃったじゃない。」
レイラは、謎の石へ急いでいた。彼女は訳あってマ
イージャを追っているのであったが...。
「貴殿、名は何という」
暗闇の中からレイラに向かっていきなり声が。男の
低い声。時は深夜、他に人っこ一人いない暗闇の中
でいきなり声を掛けられたのだ。これは怖い。喧嘩
慣れして、ある程度肝の座った不良娘のレイラでも、
これは別の意味で怖い。
「何なの!」
レイラはとっさに鬼火を出した。すると、レイラが
探すまでもなく、暗闇の中から、ぬっと、体格の良
い若い男の姿が浮かび上がった。男は重ねて問う。
「名を名乗られよ。」
男はシャムシールを構え、今にもレイラに切りかか
らんとしていたが、相手が人間だとわかると、レイ
ラは少し落ち着きを取り戻した。
「人に名前を尋ねるんならまず自分から名乗りな!」
内心冷や冷やしながら、レイラは言い返した。あっ
さり脅しに屈するのは性に合わない。右手を背中に
廻し、アサシンズナイフをぎゅっと握りしめる。し
かし、男はあっさり自分の名前を名乗った。
「拙者はブライアン・スティード。さあ、名を名乗
れ。」
男の殺気が強まり、間合いがじりじりと詰まる。
「あたいは、レイラ。レイラ・ファンファさ。」
すると、男の殺気が急速に消える。
「なんだ、貴殿もマイージャではなかったか。もう
行っていいぞ。」
あの目付きの悪さ、今度こそ当たりだと思ったんだ
が。などと呟きながら男はまた元の現れた場所に戻
っていく。そう、彼はマイージャを狙っていた。こ
の方法なら、正々堂々とマイージャとやり合う事が
できる。いかにも名誉を重んじるアルバトゥール人
らしい作戦である。
マイージャを探すという所はレイラも目的は同じ。
そして、レイラには特にこれと言ったいい考えがあ
るわけでもない。レイラは立ち去らずに、男に協力
を申し出た。
「あたいもマイージャを探してるんだ。手伝わせて
よ。いいだろ。」
こうして二人は何時間かを共に過ごす事になる。
「貴殿、名前はなんと申す。」
ブライアンが声を掛け、レイラが鬼火で相手を照ら
す。
「お、俺の名はギルバート...。」
「なんだ、行っていいぞ。」
「今のは声を掛けるまでもなかったんじゃ...。」
通りかかった男が去っていくと、レイラは言った。
「ん?なんでだ?」
男にまで声をかけるな〜。心の中で呟くと、レイラ
はまた砂の上に身を伏せた。
「また来たようですな...。」
「今度はちゃんとやりなよ。」
「拙者がいつ失敗したと。」
「し!来たよ。」
...それからさらに数時間。結局成果はなかっ
た...。
(おしまい)
み:といわけで、今回は、第2回の個別の中で、一
緒に通行人を襲っていた...違う、マイージ
ャを探していたブライアンさんと、レイラの出
合いを想像して書いてみました。ブライアンさ
んについては、リアの感じからのみ推測しまし
たので、キャラのイメージが全然違うかもしれ
ません。もしそうならすみません。
af5k-myzw@asahi-net.or.jp 宮澤 克彦