3.プラリア パート
「再び天使が舞い降りた日」
●港西街 三月某日
その日もいつものごとく、いつものメンバーが、
日下家に集まっていた。もちろん、美音を元気付け
るために、であるが...彼らがいつも夜も遅くま
で日下家に留まっているのにはなにやら別の目的も
あるようである...。匠くんの作るおいしい夕食
とかねっ。
「おや、そういえば今日は匠君はいないようですな?」
急に思いだしたように、哲山が言った。頃は夕焼け
が暗闇に変わろうとする時刻である。
「まあ、彼にだって用事がある日もあるだろうしね。」
矢作誠史が答える。
「じゃあそろそろ...。」
オレ達帰るよ。と宮内鎮が言い終わる前に、美音が、
「そろそろ夕飯時だな。今日も夕飯を食べて行くの
だろう?大した物は出せないが。」
と切りだした。
「いつもいつも悪いから、今日は帰るよ。」
と、鎮が言うが、
「気にするな。まあ、食費を出しているのは私では
ないが...。」
そう言われて美音に視線を向けられた浅野も、
「いや、そんな事はよいのだが...。」
と歯切れが悪い。しかし、これで夕飯をここで食べ
ない訳にはいかなくなったようだ。
「だめだよ、美音さん。心配事を抱えながら料理な
んかしたらあぶないよ。」
誠史が最後の抵抗を試みる。
一人ですごしてる朝と昼は自分で作ってるぞ、という美音に、
「最近真乃さんに教わってるっていう、写真の話を
聞きたいなぁ」
と、鎮も必死だ。
え〜、せっかく美音さんの手料理食べられるのにぃ。
と言いたそうな虹野と五十嵐は、哲山が無言でにら
みつけて抑えている。その隙に、遠矢真乃が、
「あ、私が用意やります。」
と言って、台所へ向かった。
〜約30分後〜
運ばれてきたのは、大きな鍋で湯気を立てる雑炊
だった。あった材料が、残り物の冷や飯や野菜位で
あることを考えると、妥当な献立だろう。春とは名
ばかりでまだ冷え込む今日のような日には丁度いい。
雑炊がよそられた茶碗を前にして、哲山は何か忘
れているような気がしていた。何かが心にひっかか
る...気になる。もう少しで思い出せそうな...。
『ぐ〜〜ぅ。』
誰かのおなかが鳴った。みんな腹を空かせていた。
もちろん哲山も。
「いただきま〜す。」
一斉に雑炊をかきこむように口に運ぶ一同。そして、
哲山はついに思いだした!真乃が料理が不得意だっ
た、という事を...。
「なんだ真乃、料理うまいじゃないか。」
そんな美音の言葉は、男どもは誰一人として聞こえ
ていなかった...。
(おしまい)
み:すみませ〜ん。なんかこんなことが起きてるよ
うな気がして。勝手に出演させてしまった皆様、
すみません。イメージ違いますよね。それに、
この話の中には、明らかに間違いもあるし。例
えば、鎮君や誠史君が、美音の手料理を(例えど
んな物か知っていたとしても)断るはずないしね。
それに、真乃さんの料理が、いくら何でも美音
並に凶悪だとは思えないし。
あ:ふむ、それについては彼らに今度直接私が聞い
てみよう。
ハ:ねえねえ、コンカイあたしのハナシはナいの?
み:ないっ。
ハ:ぶ〜。
み:そういえば、哲山と艶がどこかで出会うっての
も話としては面白いかもしれないな。頭の隅に
置いておこう。
af5k-myzw@asahi-net.or.jp 宮澤 克彦