出演合唱団に於いては、日本の第一正装の和服での出演となりなしたが、
東日本大震災の追悼の意味もあり、グレーのショールをまっとての演奏でしたが、
折角の美しい着物も見て戴きたく思い、アンコール“さくらさくら”で、ショールをはずしての
演奏に、会場は響めきに包まれ、演奏会翌日のイタリア国営放送ニュースでも取り上げられました。
(下記YouTubeにアップしました=ポール・マッカートニーのコンサートニュースの後16:32から)
http://www.youtube.com/watch?v=4jihgBqskXU
〜日本語訳〜
ミラノコンサートインタビュー
「指揮者金井氏:「東北大震災の犠牲者に捧げた公演です。」
文:ニコレッタ・スグーベン
金井敬氏に率いられたBe Beauty Chorus Japanのメンバー全員が今夜は正装の着物姿でヴェルディを歌う。BBCJはアマチュアの女性合唱団で、ヴェルディ合唱団からの20の男声を加え、ジュゼッペ・ヴェルディ管弦楽団の演奏で公演する。ソリストは佐藤康子、川崎やよい、笛田博昭、アルベルト・ロータ。
「金井先生、日本色豊かなレクイエムのアイデアはどこから?」
1年以上前から考えていました。私はもともとイタリア文化、特にヴェルディが大好きで、イタリア統一記念に東京で何かやりたいと思っていたのです。そして、ヴェルディの第2の故郷であるここミラノでヴェルディの名を冠するオーケストラと何かやれたら良いなと考えていました。そのような中、日本を打ちのめすような悲劇的な地震災害が起きたことで、この公演の持つ意味も変わりました。災害の犠牲者を悼み、被災した方々に私たちの歌を捧げたいと思います。
「それで、合唱団のメンバーは暗い色のショールで着物を覆っているのですね?」
そうです。あでやかな着物の色は、アンコールで桜の花の開花を謳う“サクラ″を歌う時になって初めて披露されます。
「どうして着物で歌うことが重要なのでしょうか?」
イタリアの観客の皆さんに対する敬意を表すためです。私たちの文化ではこれが正装なのです。着物に織り込まれた絹糸は手で染められたもので、一枚の着物を仕上げるためには千人もの職人が必要なこともあります。だからとても高額なもの、高級自動車に匹敵するぐらいの値段のものもあります。
「70人の女声に20人の男声。あまりバランスがとれていないのでは?」
日本女性の声ですから。我々の伝統では女性の声は小さく細いのです。音に厚みをもたせる必要があります。日本の混声合唱団では,男性より女性が多いことも珍しくありません。特にアマチュア合唱団の場合はそうなります。うちの合唱団は5年前から練習してきました。メンバーには日本各地の出身者がいます。一週間に一度、そして休みの時に東京に集まり練習しています。
「日本ではテクノロジーと伝統をどう両立させているのでしょうか?」
自分たちの歴史は大切です。子供たちは学校で歴史を学び、大切にするようになります。同様にテクノロジーの進歩も重要なことです。しかし日本ではそれが極端な形で体験されているわけではありません。毎日の生活をもっと便利にしてくれるあたりまえの発展プロセスとしてとらえられています。もしも価値を測れる尺度があったとしても、歴史を持つ寺院と先進的なテクノロジーの発見とでは比べようもありません。しかしイタリアも歴史豊かな国ではありませんか。あなたのお国でも同じではありませんか?