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アヤシゲ翻訳 テレビシリーズ2 エピソード4 / 若返りの泉 Fountain of Youth


 今エピソードには「アミュレット amulet」という物が登場します。日本語訳としては「お守り,魔よけ,護符」という意味ですが、ちょっとそぐわないので、アミュレットのままにしました。いっそのこと「ペンダント」にしても良いかもしれません。


 惑星ズーベロン 1978年

(夜の砂漠に、人影が現れ、反対側から来た人に合図をする。)
王様:ここで会えて嬉しいぞ。貴重な時間は、ほんの少ししかない。
   思いもよらぬほどの危険を伴う使命を、そちに与えねばならぬ。そちはそれが出来る唯一の人間だと信じておる。
   やってくれるか?
ナブー:刻限は?
王様:お前が生きている限り、ずっとだ。
ナブー:まぁ、いいや。やりましょう。
王様:これを持ってゆけ。聖なるアミュレットだ。
(王様、ナブーに緑色の丸い石のついたアミュレットを渡す。)
王様:もしこれが敵の手に落ちるような事があったら、この惑星の命運も尽きるであろう。
   これを携えて遠くへ落ち延び、隠すのだ。
ナブー:ところで、あんた誰?
王様:我こそはキングなり!
ナブー:すごいね。ちょっと家に戻って、用を済ませたいんだけど。
王様:いかん、時間がないのだ。地球と呼ばれる惑星へ逃れるのだ。
ナブー:どうやって?
王様:アミュレットのボタンを押せ。そうすればお前を地球に連れて行ってくれる。
ナブー:サンキュ、王様。あんたのことは忘れないから。
王様:私もそちの事は忘れぬぞ、バヌー。
ナブー:ナブーなんだけど。
王様:は?
(ナブー、ボタンを押して消えうせる。バヌーが飛び込んでくる。)
バヌー:できる限り急いで参りました、陛下。この任務のために、30年間もの修行にも耐えてまいりました。
     私こそ、この世で最も強く、素早く、適任の戦士。アミュレットはこの身に変えてでもお守りします。
     どうぞこに控えます私にお命じ下さい、このバヌーに。
王様:しまった。


 共同部屋の居間

(ハワードとヴィンスがライブから帰ってくる。)
ヴィンス:お茶でも飲む?
ハワード:何なんだ、一体。
ヴィンス:まぁまぁ。今日のよりもっとまずいライブだってあったろう。ちょっと柄の悪い客だっただけだよ。
ハワード:あいつらが言ってたの聞いたか?「きみ、なんでお父さんとステージに居るの?」
ヴィンス:機材係さんの事かもよ。
ハワード:俺とお前の話だろうが。「あれ誰?きみの理科の先生?」
ヴィンス:お前、いつも俺より大人びて見えるからさ。
ハワード:俺たちゃタメだ!
ヴィンス:分かってるよ。小学生のころからこの調子さ。


 回想シーン ハワードとヴィンスの小学生時代

(ハワード、隣りの席のヴィンスに小声で尋ねる。)
ハワード:おい、ヴィンス。これ、わかんない。
(ヴィンス、回答をハワードに見せる。)
ハワード:サンキュ。
同級生:おい、ヴィンス。そいつ、お前のパパ?
ヴィンス:違う!
ハワード:俺たちゃタメだ!
ヴィンス:行こう、ハワード。サボっちまようぜ。
(ハワードとヴィンス、教室から出て行く。)


 再び居間

ハワード:俺はいつだってデカブツ扱いだ。
ヴィンス:確かにな。みんなお前のそういう所が好きなのさ。お前、みんなになんて呼ばれているか知ってるか?
ハワード:何だ。
(鏡を覗き込む)
ヴィンス:バッファロー・マン!
ハワード:でかいバッファローがバンドで何しようとしてるんだ、ってことか?若者にはついてけないよ。
      もう四つも目じりに小じわがある。フェイスリフトできればな。
ヴィンス:特別料金。荒療治だぞ。もっと他にもやるべきことがあるだろう。
ハワード:例えば?
ヴィンス:そうだな。その服装。なんだってそうなるんだ?
ハワード:これが俺のスタイルなの。いいだろう、強靭っぽくて。
ヴィンス:そりゃ「私立探偵マグナム」ならな。でもハワイアン短パンかよ?
ハワード:そうだよ。おれの脚にばっちり似合う。スリムで若々しい脚だってよく言われる。
ヴィンス:それじゃNMEの表紙は飾れないぜ。
ハワード:下手な批評すんなよ、オーケー?この服装はそのうち流行になる。
ヴィンス:なぁ、ハワード。お前、もっとアクセサリーを研究した方が良いと思うぞ。
ハワード:なに?
ヴィンス:だからさ、グローブとか、ベルトとか、バッジとかさ。服装から新たな人生が開けるぞ。
ハワード:アクセサリーは無用。俺はハワード・ムーンだぞ。シンプルさこそが信条。ごてごて飾りたてる必要ない。
ヴィンス:好きにしろよ。
(ハワード、鏡の中に向かって歌い始める。)
ハワード:♪時の流れが俺の名を呼ぶ “ハワード!” 
       ゲームの最終局面を戦っている “チェス!” 
       俺の希望 夢が塵と砕けていく 若さという武器がさび付いてしまったのだ♪
(ボロが居間に入ってくる。)
ボロ:
(ヴィンスに)あいつ、どうしたの?
ヴィンス:年齢的に悩める時期なんだよ。
ボロ:なるほど、若さを謳歌していたからな。
ヴィンス:そうだな。お前、いくつ?
ボロ:本当の年齢?それとも公称?
ヴィンス:本当の年齢。
ボロ:40。でもDJだから29ってことにしてる。
ヴィンス:なるほど。ナブーはいくつだ?
ボロ:406歳。
ヴィンス:まじかよ!12歳くらいにしか見えないぞ!
ボロ:そうだな。
ヴィンス:どんな手を使っているんだ?ユーレイ・オイルに違いない。
ボロ:別の手もあるよ。
ヴィンス:まじで?
ボロ:うん。ナブーは若返りの泉への行き方を知っているんだ。


 ナブーの寝室

(ハワードとヴィンスが必死に家捜しをしている。)
ハワード:どこかに隠してあるに違いないぞ。
ヴィンス:見つけたらすごい事になるなぁ。
(ハワードが手にしたビンのラベル「人魚の母乳」)
ヴィンス:俺たち、大人の頭が若い顔に納まることになるんだぜ。
(ハワードが手にしたビンのラベル「ゾンビのゲロ」)
ハワード:何だ、これ?
ヴィンス:
(黒い箱を手にする)なんか見つけたぞ。地図が入ってる。
ハワード:見せろ。俺はここらの地図製作者だからな。
ヴィンス:俺が見つけたんだけど。
ハワード:こいつはお前のな。お前向きだろう?ピカピカして。
(ヴィンス、箱の中から聖なるアミュレットを取り出す。)
ヴィンス:いいじゃん。
ハワード:「若返りの泉を見出すには、まず悪夢砂漠へ行け。」
(ヴィンス、アミュレットのボタンを押すと、砂漠へ瞬間移動する。もう一度押すと、ハワードのところに戻ってくる。)
ヴィンス:何か言った?
ハワード:悪夢砂漠にさえ行ければ良いんだ。
ヴィンス:これ、見てみろよ。
(ヴィンス、ハワードの腕を掴んでボタンを押し、二人で砂漠に瞬間移動する。再度押すと、またナブーの寝室に戻る。)
ハワード:ナブーからしばらくこれ借りても、構わないよな?
ヴィンス:だろうね。
ハワード:よし、行こう。
(ハワードとヴィンス、再び砂漠へ瞬間移動する。)


 悪夢砂漠

ハワード:よし、若返りジュースをゲットするぞ。
ヴィンス:行こうぜ。
(ハワードとヴィンス、砂漠を歩き始めるが、もと居た所に戻ってしまう。)
ハワード:なんだ、こりゃ。俺たち、ぐるぐる回っているだけじゃないか。
ヴィンス:本で読んだ事があるな。何の目印も無い砂漠を歩き回る時、脚の片方が片方より短いとすると、
     同じところをぐるりと回る事になるって。
ハワード:俺の脚のことを言ってるのか?
ヴィンス:お前の脚の事じゃないよ。
ハワード:お前、いつも俺の脚にケチつけんのな。
ヴィンス:別にそんなんじゃ…だから、その…変じゃん。
ハワード:俺の脚はぜんぜん変じゃない。
ヴィンス:なんか、袋詰め用のホースみたいじゃねぇ?
ハワード:これは俺のスタイルなの!お前、嫉妬してるんだ。俺みたいな脚になりたいって、夢に見てるんだろ。
      柳のようにしなやかで、アンテロープのようにスマートな脚をさ。
ヴィンス:何とでも言えよ。
(日焼け止めを塗る)なぁ、このファクター3000の効き目は凄いぞ。
      こいつはゴスの連中とか、アルビノの人も使ってるんだぜ。エドガー・ウィンター並みの白さに保てる。
ハワード:そうか。じゃあよこせよ。
(ハワード、ヴィンスから日焼け止めを取り上げ、塗ろうとするが出てこない。)
ハワード:残ってないじゃん!
ヴィンス:ごめん、全部使っちゃった。
ハワード:あっそうかい。俺は丸焼けだな。
ヴィンス:いいじゃん。お前、日焼けした方が格好良いよ。俺は白い方が合ってるだろ。
      ショアディッチ・ヴァンパイアとしてはさ。
ハワード:俺は今、お肌に関しては神経質なんだ。ここに来た目的を覚えているか?小じわが四つもあるんだからな。
ヴィンス:五つだろ。
ハワード:なんだって?
ヴィンス:目の下にもうひとつみっけ。
ハワード:冗談はよせ。
ヴィンス:そっちにも、もうひとつ。
ハワード:やめろ!
ヴィンス:六つ。
ハワード:黙れ。
ヴィンス:七つ。
ハワード:やめろったら。
ヴィンス:高速増殖炉。
ハワード:全然笑えないぞ。
(突然、青い小人の声がする。)
青い小人:動くな!
ハワード:は?
青い小人:この悪夢砂漠で、何をしているのだ?
ヴィンス:実は、若返りの泉を探しているんだ。
ハワード:通り過ぎただろう。
青い小人:ああ、自意識過剰の連中が随分と若返りの泉を探して来たものだ。自意識過剰野郎の多くは殺されたがね。
ハワード:なんで?
青い小人:私が殺したからさ。
ヴィンス:へぇ。あんたとあんたの軍団とか?
青い小人:私と私の軍団だ。カッシュンゴ!
(合図と共に、周囲から武装した青い男たちが現れる。)
青い小人:見よ!


 ナブーの寝室

(ナブーが散らかった部屋を片付けているところに、ボロが入ってくる。)
ナブー:信じらんない!あの二人、また家捜ししたんだ。
ボロ:たぶん、若返りの泉を探しているんだよ。
ナブー:本当?ボロ、どうしたあの二人がそんな事知ってるの?
ボロ:さぁ…
ナブー:お前がまたペラペラ喋ったんじゃない?
ボロ:えーっと、ボロはちょっと用が…
ナブー:あの二人、アミュレットまで持って行っちゃった。探し出して取り返さないと。
ボロ:どこ行っちゃったんだろう?
ナブー:遠い、遠いところさ。僕が生まれたところ。
ボロ:ストリータム?
ナブー:違う。惑星ズーベロンだよ、お馬鹿。
ボロ:ああ、ズーベロンね。なるほど。


 惑星ズーベロン 夜の悪夢砂漠

青い小人:評決が下ったぞ。首から下を砂に生め、日中の太陽にさらしてやる。
      そして生きたままコンガリ焼き上げられるがいい。何か言う事は?
ハワード:
(ヴィンスに)お前、あのアミュレット持ってるよな?
ヴィンス:ああ。逃げる?
ハワード:ちょっと待て。
ヴィンス:どうするんだ?
ハワード:
(小人に)ええ、ちょっと言いたいことがあるのだがね。
青い小人:何だ?
ハワード:その、なんであんた、こんな事をするのかと思って。つまり、あんたがちっさくて、俺があんたとは全然違うからか?
青い小人:私は小さくなど無いぞ!
(兵士たち、中腰になって姿勢を低くする。)
青い小人:見ろ、私は大きいぞ。
ハワード:あのな、こいつらはあんたが大きく見えるように、膝を曲げただけだぞ。
青い小人:私は大方の物より大きいぞ。
ハワード:例えば何より?
青い小人:椅子とか。ビーチボールとか…その周りの女の人とか。
ハワード:厳密に言えば「小物」だよ。言っちゃ悪いけど。
青い小人:私は靴なしでも、4フィート6インチはあるぞ。
ハワード:その帽子も入れてだろう。なんだってそんなの被っているんだ?身長水増しの為だろう?
青い小人:中までちゃんとはいてるぞ!
(青い小人が長い帽子を脱ぐと、長い頭部が現れる。)
青い小人:ほらな?バカめ。
ハワード:あのなぁ、このアオアオおっさん。その髪型はどうなってんだ?その髪じゃでかい頭を全然カバーできて無いじゃん。
青い小人:この野郎め、ぺちゃんこにぶっつぶしてやる。
ハワード:何で?その頭で?
青い小人:ザンター!
(青い小人が手を叩くと、棍棒を持った巨人がやってくる。)
ハワード:
(ヴィスの腕を掴む)ボタン、ボタン押せ、ヴィンス!
ヴィンス:動かない!
ハワード:なんだって?動かない?
ヴィンス:電池切れだ!
(アミュレットの中に乾電池が入っている)
ハワード:そんな!
(巨人がハワードだけを殴り倒す。倒れた後も何度も殴り続ける。)
青い小人:よし、いいぞザンター。あとでおやつをあげるからな。ザンター、
       A little on the short side but he packs a wallop. 
(*求助!)
(青い小人、ヴィンスがアミュレットをいじっているのに気づく。)

青い小人:見よ!アミュレットを持っているぞ!我らの新しき指導者を迎えるのだ!
(青い小人、兵士たち、巨人がヴィンスに向かって跪く。)
ハワード:
(立ち上がる)よし、やれやれ。やっととんでも無いことをしでかしていた事に気づいたか。
青い小人:お前はアミュレットを持っていないだろうが!
(再び巨人がハワードを殴り倒す。)

*求む、お助け!
 青い小人のこの台詞は何と訳すべきでしょうか? a little on the shortとは何を指し、hisとは「ザンターの」でしょうか?「ハワードの」でしょうか?意外に簡単な一文のような予感もするのですが...



 怪しげな城

(ヒッチャーが水晶玉で、ハワード、ヴィンス、青い小人、兵士たちが移動するのを見ている。脇では手下が水晶玉を操作している。)
ヒッチャー:もっと寄れるか?
手下:やってみてますよ、ボス。
ヒッチャー:またクラッシュするんじゃないだろうな。
手下:いえ、マウスが効かないだけです。
ヒッチャー:あの爆発トリ頭にズームしろ。
手下:右クリック、右クリック、ズーム。
(水晶玉の映像がヴィンスの首から下がっているアミュレットをズームアップする。)
ヒッチャー:バンバンザイだ!見つけたぞ。今朝起きたときから、腹のそこからこうなるんじゃないかという、
       強い予感が湧き上がっていたんだ。ぱっと見はカニ爪かと思ったが、ようやく見えてきたぞ。
       アミュレットだ!とうとう戻ってきたぞ!あのアミュレットを手にすれば、若返りの泉を手にしたも同然だ。
       俺こそ世界の支配者だ!緑色軍団が行進し、コックニーに目覚めると同時にすべてを破壊するのだ!
手下:愛してまっせ、ボス。
ヒッチャー:うっさい。お茶を入れて来い。
手下:分かりました。あと、モルト・ローフもいかがですか?
ヒッチャー:うん、一切れ。
手下:了解。♪リンゴに洋ナシ、沢山の果物〜♪


 夜の悪夢砂漠 テントの中

(ヴィンスが青色軍団と青い小人にかこまれて、くつろいでいる。)
ヴィンス:そう、基本的に逆毛を立てるようにしているんだ。めったに崩さないね。
     そうすれば、こういう風に一日じゅう髪型をキープできる。
(兵士たち、拍手をする。)
青い小人:ブラーヴォ!いや、素晴らしい!あの、うちのカミさんのためにサインしていただけますか?
(ヴィンスにヴィンスのブロマイドを渡す。)
ヴィンス:いいよ。
青い小人:アランへ、ってお願いします。
(ヴィンスがサインしているのを、隣りの兵士がじっと見詰めている。)
ヴィンス:もうすこし場所を開けてくれるか?息が詰まるよ。
青い小人:ご主人様にもっとスペースを差し上げろ、ブタ犬ども!
(兵士たち、ヴィンスから少し離れる。)
青い小人:他に何かありますか、可愛い果実ちゃん。
ヴィンス:そうだな、喉が渇いた。
青い小人:しもべ!水だ!いますぐ!
(半裸に鎖を巻かれたハワードが現れる。)
ヴィンス:いいパンツじゃん。
ハワード:ぜんぜん嬉しくないぞ、こら。
(青い小人、扇でハワードを殴る。)
青い小人:選ばれしお方の御前で、なんたる口のきき方だ!
ハワード:選ばれしお方?
(殴られる)
青い小人:言ったろう。
ハワード:やめろ。
(殴られる)
青い小人:貴様、ぜんぜん聞いていないな。
(ヴィンスに)殺してしまいましょうか?
ヴィンス:あー。まぁ、生かしておけよ。ちょっとこいつに、内々の話があるんだ。
青い小人:
(兵士たちに)全員出て行け、極小タマども!
(兵士たち、テントから出て行く。)
青い小人:私は居ても良いですよね、選ばれしお方のお気に入りですあから。私の素敵な御主人さま〜
(青い小人、ヴィンスに触ろうとする)
ヴィンス:何やってんだ?
青い小人:ああ、一線を越えてしまいました。お許し下さい。この手を切り落としてお詫びを!

      (自分の左手を刀で切り始める)
きゃぁ〜!痛い〜!ちょっと気持ちいい〜!
(青い小人、テントから出て行く。)
ハワード:おい、ここから抜け出してアミュレットの電池を手に入れるんだ。
ヴィンス:こんな所で、どこへ行こってんだ?地元のディクソンズか?
ハワード:どこで手に入るかはわからないが、とにかくそうしないと戻れないぞ。
ヴィンス:何をそんなに焦っているんだよ。
ハワード:暢気な事言うな!俺たちはあの小人に監禁されているんだぞ?!
ヴィンス:俺は違うね。
ハワード:いいか、よく考えろ。俺たちは若返りの泉を捜しに来たんだったな?!
ヴィンス:そりゃそうだけど、今はどうでも良いな。
ハワード:どうでも良いって何だよ。
ヴィンス:俺は『選ばれし者』って事が分かったからさ。
ハワード:ヴィンス、お前どうかしてる。
ヴィンス:俺はいつも思っていたんだ。俺こそ『選ばれし者』じゃないかって。
ハワード:なんだと?
ヴィンス:宿命ってやつだよ、ハワード。俺がアミュレットを持っていたのも、宿命さ…
ハワード:じゃぁ、俺がそのアミュレットを身につければ良いわけだな。
ヴィンス:お前、アクセサリーはつけないんだろ。シンプルさが信条とか言ってさ。
ハワード:このクソッタレ!アミュレットをよこせ。
(ハワード、ヴィンスからアミュレットを奪おうとする。)
ヴィンス:守衛!
(兵士たちがテントに入ってきて、ハワードを捕らえる。)
青い小人:こいつをどうしますか?
ヴィンス:見えないところに追いやって。
青い小人:まことに結構ですな、カップケーキちゃん。


 夜空の月

ムーン:♪流れ星〜 きみを見つめてる〜 流れ星〜 きみは光り輝くボールのようにきれいだね 流れ星〜
      …失せやがれ、みえねーじゃねーか!
      You’re all in my periferins. You’re in my periferins visual. 
(*求助!)
      ええと、どうやって集中しよう… きみってヤグルマ菊みたいだね おいで、おいでよここへ〜♪
      …空に浮かぶおバカでした。

*求む、お助け!
 ムーンの歌の意味が全然分かりません!いや、もともと大した意味はないのでしょうが...
 そもそも、periferinsとは何でしょうか?薬の名前のような語感ですが、辞書はもちろん検索でもうまく探せません。ドイツ語あたりで引っかかりそうな気配はあるのですが...



 夜の悪夢砂漠

(突然、砂嵐が吹き荒れる。)
青い小人:砂嵐だ、サンドストームだ!砂嵐だぞ、砂の嵐、サンドストームだ!
(兵士たちが身の回りの物を慌てて片付ける。ヴィンスがテントから出てくる。)
ヴィンス:うるさいな。今、ヘアアイロンを使っているところなんだぞ。
青い小人:みんな、身を守れ!
ヴィンス:どうしたんだ?みんな何処へ行くんだ?
青い小人:これぞ、あなたに課される最初のテストです。
ヴィンス:テストって?
青い小人:選ばれし者は、邪悪な砂の野獣を倒さねばらぬと、書かれていますから。
       何十年、何百年と我々部族はヤツに苦しめれているのです。あなたが選ばれし者でないとしたら、どうでしょうね。
ハワード:いやいや、彼こそ選ばれし者ですよ。
(ヴィンスに)頑張れよ。(退場)
青い小人:幸運を、可愛い角砂糖ちゃん。じゃあね。
(青い小人も退場し、砂漠にヴィンスだけが残される。そこに、全身紙やすりのサンドストームが現れる。)
サンドストーム:俺がサンドストームだ。
ヴィンス:俺はヴィンス。
サンドストーム:会えて嬉しいよ。
(握手しようとする)
ヴィンス:痛ぇッ!
サンドストーム:我が手のひら電動紙やすりの威力を見よ!
ヴィンス:いてぇじゃねーか、このケツ拭き野郎。
サンドストーム:まだまだ序の口だぞ。お前を紙パルプ原料に削ってやるぞ、カウボーイ。
ヴィンス:なんで?
サンドストーム:は?そりゃサンドストームだから。
ヴィンス:だから何?
サンドストーム:うっさいぞ。すりおろしの準備をしろ。
ヴィンス:お前、どっかおかしんじゃねぇの?
サンドストーム:いや、全然。
ヴィンス:不機嫌でさ。
サンドストーム:確かに不機嫌だ。
ヴィンス:魅力も、カリスマ性もないじゃん。なんも無いのな。ただの暴力道具ベルトだ。
サンドストーム:何様のつもりだ?むかつくな。
ヴィンス:なんで?
サンドストーム:そりゃ、俺は愛する事ができないからさ。またく地獄のようなものだ。
ヴィンス:何が?
サンドストーム:人生が!俺は紙やすりで出来ているんだ。
ヴィンス:うん、そうだろうね。
サンドストーム:何にも触れる事が出来ないんだ。触ったとたんに、削ってしまう。
          気づかないうちにまっ平らに削ってしまっている。自分自身に触れる事さえ出来ない。
          ちょっとイカした「エッチな本」とかあるのに。
ヴィンス:うーん。なぁ、アクセサリーをつけようとか考えた事無いか?
サンドストーム:何?
ヴィンス:だからさ、手袋とかはどうだ?
サンドストーム:手袋?手袋って何だ?
ヴィンス:こいつを使えよ。
(自分の手袋をサンドストームに渡す)手にはめるんだ。
サンドストーム:
(手袋をはめる)ああ、手の鞘だな!顔の輪郭がこんなに柔らかだなんて、初めて知った。
          
(上から順に自分の体を触り始める)この角ばった形が、これほど滑らかな胴体だったなんて!
          凄いぞ!これなら「自愛」もできるぞ!
(サンドストーム、深窓の令嬢たる管理人にはかなり辛い、「自愛」を始める。)
サンドストーム:おおぅ!ラブラブ!ラーブラブ!
(ヴィンスに手袋を見せる)これ、もらって良い?
ヴィンス:いいよ。
サンドストーム:ありがとう!今までこんな贈り物をしてくれた人は居なかったよ!
ヴィンス:良かったね。
サンドストーム:何か日曜大工でお手伝いが必要なら…その、俺は削るのが得意ですので。
          この角笛を吹けば、あなたのご親切に必ず報います。
(ヴィンスに角笛を渡す)バイバイ!(退場)
ヴィンス:またなー。


 宇宙空間

(ナブーとボロが空飛ぶ絨毯で移動している。)
ムーン:土星、木星、冥王星、火星、金星…ジョージ…グ、グレシー…
     僕の友達の順番リストです。好きな人順ね。


 夜の悪夢砂漠

(兵士たちと青い小人が、ヴィンスを囲んで宴会を開いている。青い小人、右手がなくなっている。)
歌い手:♪選ばれしお方を愛しております♪
青い小人:♪あの方を愛するのは喜びです♪
歌い手:♪だれもが愛しております♪
青い小人:♪私ほどではないけどね〜♪
歌い手:♪選ばれしお方を心から愛しています♪
青い小人:♪体の一部のように愛してる〜♪
歌い手:♪みんな選ばれしお方を愛してる♪
青い小人:♪みんなお黙り!♪
(歌が止まる)よし、もう決まったぞ。私こそ一番選ばれしお方を愛しているのだ。
      さて、あの砂の化け物を殺した事であなたの真価が証明されましたので、私から贈り物をいたします。
(青い小人、箱をヴィンスに差し出す。)
ヴィンス:わぁお、ありがとう。
(箱の中から、青い小人の右手が出てくるが、すぐに箱に戻す)サンキュ。
青い小人:包むのに難儀しました。
ヴィンス:他に何かある?贈り物って好きなんだよね。
追い小人:ええ、ございます。ペッポ!
(手を叩く)いてっ!ペッポ、ここに来い。
(ペッポが進み出る。)
ヴィンス:やぁ、ペッポ。
青い小人:ペッポは我が種族が生み出した中でも、もっとも偉大な絵描きです。
      あなたがここにいらしてから、ずっとあなたを拝見しておりました。
ペッポ:お気に触ったかと思い、恐縮ですが、これはこれまでの私の作品の中でも、一番の出来と存じます。
(ペッポ、ヴィンスに大きなヴィンスの肖像画を渡す。)
ヴィンス:すげぇ。大変だったろうね。完璧じゃん。前髪だけはもうちょっと短いけどね。
ペッポ:お許し下さい。
(刀を抜いて自分の胸を刺す)
ヴィンス:その、前髪を直せるかもねって事で…
ペッポ:なるほど。
(倒れる)
青い小人:オーケー…。音楽だ!
歌い手:♪選ばれしお方を愛しています♪
青い小人:♪あの方を愛するのは喜びです♪
歌い手:♪だれもが愛しております♪
ペッポ:♪私ほどではないけどね〜♪


 物陰

(ハワードが遠巻きに宴会を眺めている。そこに、黒いベールを被った女が近寄ってくる。)
ベールの女:ドンチャン騒ぎに参加しないの?
ハワード:俺の出る幕じゃない。
ベールの女:私もよ。あいつなんて、選ばれし者じゃないわ。
ハワード:どういう意味だ?
ベールの女:あなたよ。
ハワード:俺が?でも俺は…そうだな。でも、どうしてそんな事を知っているんだ?
ベールの女:あなたのパンツの中をずっと見ていたもの。あなたはスリムで素敵な足をした、パワフルな男。
ハワード:お気づきで?
ベールの女:見逃すものですか。それほどの脚を。あなたがここに居る理由も知っているわよ。
        若返りの泉を探しているんでしょう。
ハワード:どうして知っているんだ?
ベールの女:あの友達って自称してるヴィンスが、あなたを捨てて泉を独り占めしようとしてるって事も知ってるわよ。
        そうして、もっと若い連中とバンドを組む気だわ。
ハワード:なんだと?
ベールの女:ええ、あいつは力に溺れているのよ。でも私には、あなたの瞳に特別なものが見えるわ、ハワード。
        アミュレットを手に入れるべきよ。
ハワード:ああ。どうやって?
ベールの女:あなた、あいつの奴隷なんでしょう?
ハワード:従者といって欲しいな。でも、そんなところだ。
ベールの女:彼の服を持ったり、グレープの皮をむいたり。
ハワード:ああ。
ベールの女:タマを洗ったり。
ハワード:そこまではしない。でもたしかにあいつの私生活にかかわる仕事をするな。
ベールの女:つまり、彼のテントに近づける。
ハワード:確かに。
(ベールの女、ハワードに小声で話しかける。)
ハワード:聞こえないんだけど。
ベールの女:あら、ごめんなさい。まず、彼が寝ている間にテントに入って、上掛けを外して、アミュレットを盗んで…


 真夜中の物陰

(待っているベールの女のところに、ハワードがやってくる。)
ベールの女:アミュレットは?
ハワード:大丈夫、大丈夫。あいつ、赤ん坊みたいに眠りこけてた。
ベールの女:いいから、アミュレットを!
ハワード:ああ、はい。ところで、上手く行くだろうから、そのあと飯でも一緒に行かない?中華料理は好き?
(ハワードがアミュレットを渡すと、女がヒッチャーになっている。)
ヒッチャー:そうでもないな、おっさん。
(ヒッチャー、ハワードを殴り倒す。)
ハワード:じゃぁ、イタリアンは?
(気絶する。)


 真昼の悪夢砂漠

(ハワードが目を覚ますと、ヴィンスと一緒に首まで砂に埋められているのに気づく。)
ハワード:ここはどこだ?どうなっているんだ?
ヴィンス:誰かが夕べ、俺が寝ている間にアミュレットを盗んだんだよ。
ハワード:ありゃ。だれがそんなこと…
青い小人:黙れ!お前はアミュレットをなくした。我々の大事な宝をだ。この落とし前はつけてもらうぞ。
      真昼までには、お前ら二人とも、こんがりボールに焼きあがるだろう。神に祈るが良い。
ハワード:帽子をかぶせるとか、検討の余地はないわけ?
青い小人:だまらっしゃい。
(青い小人、兵士たちと共に歌いながら立ち去る。)
ハワード:完璧だな。
ヴィンス:ハワード、どうにかなると思うか?
ハワード:思わない。この世でもっとも残酷なやり方で、死ぬだけだ。
ヴィンス:でも、楽しく人生を送っただろう?
ハワード:そうだな。
ヴィンス:そうだよ。
ハワード:スープを食った時のこと、覚えているか?
ヴィンス:ありゃすごかったな。
ハワード&ヴィンス:♪スープ、スープ おいしいスープ スープ スパイシーなニンジンにコリアンダー 
              チリチャウダー クルトン、クルトン ブイオンスープにカリカリさん 
              ぼくはガスパッチョだぞ オゥ!真夏のスープだ 
              ミソー味噌! 道場で戦う ミソー味噌! スープの国のオリエンタル王子♪
ヴィンス:いい時代だったな。
ハワード:いかれた毎日だった。
ヴィンス:なぁ、大丈夫だよ。どうにかなるだろう。いつもそうじゃん。

(字幕:2時間後)

(ヴィンス、サングラスをして平気な顔をしている。)
ヴィンス:要はさ、エドガー・ウィンターの日焼け止めは物凄い効き目ってことさ。
     ちょっとつけただけなのに、まるで山の中の小川のほとりで涼んでるみたいだ。お前はどう?がんばってる?
(ハワード、煙をあげて黒こげになっている。)
ハワード:うん。大丈夫。お前、そのサングラスどっからゲットしたんだよ?
ヴィンス:通りかかりのコヨーテがつけてくれた。
ハワード:あの野郎、お前には情けをかけて、俺には小便をかけやがった。
ヴィンス:あいつなりのやり方だよ。お前を冷やしてやろうとしたのさ。
(ナブーとボロが空飛ぶ絨毯でやって来る。)
ヴィンス:おい、ハワード。ナブーだ!
ナブー:ここで一体なにやってんの?
ヴィンス:ちょっと面倒な事にはまっちゃってさ。
ボロ:ハワードはどこだ?
ハワード:何だと?ここに居るだろ!
ボロ:これ、どうしちゃったんだ?
ハワード:なに、日焼けしてる?
ボロ:なんか皮付きポテトフライみたい。
ハワード:うわぁ…
ナブー:ボロ、引っ張り出して。僕は絨毯を準備してくる。
ボロ:大丈夫だよ、ヴィンス。すぐに行くから。
ハワード:なんでそっちからにすんだよ!俺を先に出せ。
ボロ:手遅れだろ。ヴィンスは大事なお花だぜ。
ハワード:ボロ、俺の顔をどうにかしてくれよ。
ボロ:マメか、コールスローサラダを添える?


 森の奥深く

(ヒッチャーと手下が歩いてくる。)
ヒッチャー:ああ、あれだ!この光景が信じられん!確かに存在したのだ。みよ、スチュ。若返りの泉だ。
(木々の向こうに、バスルームにしか見えない水場がある。)
手下:わぁお、なんだか随分見た目が違いますね、ボス。
ヒッチャー:きれいにしたんだろうさ。こいつは全部イケア家具だぞ。
(ヒッチャー、シャワールームのつまみに、アミュレットをセットする。)
ヒッチャー:ぴったりだ!魔法の二酸化水素がこのシャワーヘッドから降り注ぐぞ。
       わが痩せ衰えた体に盛大に降り注ぎ、かつての素晴らしい肉体に戻してくれよう!しかも美しくな。
手下:凄いですね。


 森の中

(ハワード、ヴィンス、ナブー、ボロが泉を探して歩き回っている。)
ナブー:近くなってきた。もうすぐだよ。
ボロ:なんだか嫌な予感がする。
ハワード:お前、いつも嫌な予感がしてるじゃないか。
ボロ:うるさい、クルミ頭。


 若返りの泉

手下:おや、連中が来ますよ、ボス。
ヒッチャー:一体どうやって?いや、心配するな。取っておきのランベス作戦があるからな。
       さあ!悪魔の樹木よ!お前の邪悪な任務を遂行するが良い!
(樹木悪魔が動き出す。)
樹木悪魔:我こそは樹木悪魔なり…!
(ハワード、ヴィンス、ナブー、ボロに襲い掛かる)
樹木悪魔:身の破滅の時が来たのだ…!
ナブー:みんな、落ち着いて!みんなだ固まっていれば、大丈夫!
(ハワード、逃げ出してしまう。)
ヴィンス:まったく有難いね、ハワード!よし、俺に任せろ!
(ヴィンス、角笛を吹く。)


 悪夢砂漠

(サンドストームが、木製家具の雑誌を見ながら「自愛」の最中。)
サンドストーム:いいぞ、綺麗なドレッサーちゃん!素敵な戸棚、可愛い引き出しまでつけちゃって!
(角笛の音が聞こえる。)
サンドストーム:なんだよ、もう。
(走り出す。)


 森の中

(樹木悪魔が、更にヴィンス、ナブー、ボロに迫る。)
樹木悪魔:さあ、破滅の時だ…!
(サンドストームがやってくる。)
ヴィンス:サンド!
サンドストーム:ほら、来たでしょう。これ、持ってて。
(手袋を外してヴィンスに渡す)
ヴィンス:あ…
(サンドストーム、樹木悪魔に迫る。)
サンドストーム:さぁ、覚悟しろ!
樹木悪魔:待て、俺たちはあながちまったく違うというわけでは無さそうだぞ。
サンドストーム:何?
樹木悪魔:つまり、俺は木で出来ておる。
サンドストーム:それで?
樹木悪魔:お前は紙やすりでできているんだろう?
サンドストーム:だから?
樹木悪魔:紙は木からできているんだ。
サンドストーム:はぁ?
樹木悪魔:俺を殺すという事は、自分を殺すという事だ。
サンドストーム:…まぁ、努力は認める。
(サンドストーム、手のひらの電動紙やすりを起動させ、樹木悪魔に襲い掛かる。)
樹木悪魔:わぁー!待った!
サンドストーム:すべすべにしてやる!
(凄い勢いで樹木悪魔を削る)
樹木悪魔:ぎゃー!待ってくれ、あ、そこもっと左!
サンドストーム:俺は日曜大工の鬼だぞー!
(樹木悪魔、木製のテーブルになってしまう。)
サンドストーム:後でニスがけしてやるかららな、松材くん。
(ヴィンスから手袋を受け取る)どうも。
ヴィンス:じゃぁな、サンド!
サンドストーム:バイバイ!
(立ち去る)
ナブー:なんなの?あの「自愛」君。


 若返りの泉

(ヒッチャーがシャワーを浴び、手下が外で待っている。)
ヒッチャー:ふーぅ!いいぞ〜!おいらはコックニー・フラワー!シャワーの雨を受けてご機嫌!
       おお、若返っていくのが分かるぞ!一滴一滴が青春時代に戻してくれる!
(そこにボロを先頭に、ナブー、ヴィンス、ハワードが駆け込んでくる。)
手下:わぁ、こちとらコックニーでぃ!
(逃げ出す)
ハワード:手遅れだ!
ナブー:まだまだ。
(ナブー、トイレの水を流す。)
ヒッチャー:うわぁ!燃えるようだ!溶けてしまう!燃え尽きてしまう!
(ヒッチャー、緑色のドロドロになってしまう。)
ヒッチャー:よくも液体にしてくれたな、バカヤロー!
ハワード:やたな、ナブー。
ナブー:サンキュ。王様がいたら、喜ぶだろうに。
王様:
(背後から現れる。)お前が思うよりも、近くにいるかも知れぬぞ。
ハワード:この人、だれ?
王様:我こそはキングなり!
ナブー:どうも、王様。
王様:ナブー。
ヴィンス:いい髪型じゃん。
王様:どうも。きみは何を使っているんだ?
ヴィンス:ルート・ブースター。
王様:私のはシーウィードだ。
ハワード:俺は自然なままにしてるんだ。ハワード・ムーンだからね。
王様:よくやったぞ、ナブー。邪悪なコックニーを倒し、巨大な災いを回避させた。
    さぁ、この私と共に君臨しようではないか。毎晩毎晩、
    できうる限りのマメ料理で埋め尽くし、フォークソングを聴いて楽しむのだ。
ナブー:いや、ほかにも色々とり込んでますので。
(ハワードとヴィンスに)逃げ出そう!
(ハワード、ヴィンス、ナブー、ボロ、立ち去る。)
王様:ああ、そ、そうか。さらばだ、ナブー。
(バヌーが飛び込んでくる。)
バヌー:できうる限り急いでまいりました。森で何かが起こっているような音を聞きましたぞ。
王様:時計にもう少し金をかけたらどうだ?
バヌー:今、何時ですか?
王様:4時だ。
バヌー:しまった、子供たちを迎えに行かなきゃ!
(バヌー、立ち去る。)
王様:役立たずめ。


 宇宙空間

(ハワード、ヴィンス、ナブー、ボロが空飛ぶ絨毯で地球へ向かっている。)
ヴィンス:こんな散々騒いでおいて、若返りジュースの一つも手に入らなかったなんて、信じらんねぇ。
ハワード:
(小さなボトルを見せる)これなんだと思う?
ヴィンス:なぁんだ!
ハワード:何年か分か巻き戻せるんじゃないか?
(一口飲む)
ヴィンス:やったじゃん。俺にもくれ。
(一口飲む)
ハワード:味はどうだ?
ヴィンス:うまいよ。
ハワード:もういいだろ、もういいだろ。俺は焼きクルミにされちまったんだから。
ヴィンス:いいよ、キンタマ頭。
ナブー:やめたほうがいいよ。
ヴィンス:なんで?
ナブー:馬鹿だな、飲むものじゃないんだよ!


 共同部屋の居間

(ボロがミルクを温めている。)
ナブー:ミルク、温まった?
ボロ:よく分かんない。肘が毛でぼうぼうでさ。
ナブー:あーあ…
ボロ:なに?
ナブー:ハワードがオムツの中でしちゃったみたい。
(ソファに赤ん坊が居る。)


 エンディング・クレジット

(悪夢砂漠で、兵士たちがヴィンスを囲んで宴会をしている。)
歌い手:♪選ばれしお方を愛しております♪
青い小人:♪彼こそナンバー・ワン♪
歌い手:♪選ばれしお方を愛しております♪
青い小人:♪愛して差し上げるのは我が喜び♪
歌い手:♪夜通し愛してます♪
青い小人:♪ぴったり寄り添っていましょう♪
歌い手:♪選ばれしお方を愛しております♪
青い小人:♪アタシの指をあの方に…♪
ヴィンス:今夜はもういいよ、音楽は十分!
青い小人:音楽やめ!
(手を叩く)いてッ!


(終)
 
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