back next list random home back next list random home back next list random home

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

BBC SHERLOCK / アヤシゲ翻訳
  Season 2 Episode 1 「ベルグレーヴィアの醜聞」

おことわり
 英国版DVDの字幕をもとに、アヤシゲ翻訳しています。
 ですから、ネタバレされたく無い方は、けってし読まないで下さい。
 また、訳者は英語の専門家ではありません。よってかなりイイカゲンですが、あしからず。
 さらに、台詞のみを記載し、場面や動きの説明はまったくしていません。つまり、DVDで画面を見ないと全く分からない箇所もたくさんありますので、ご了承下さい。

(注:ベルグレーヴィア Belgravia : ロンドンの高級住宅街。本作品登場人物の居住地)

 はじめに プールにて

シャーロック:誰だ?
モリアーティ:ジム・モリアーティ。バァイ!
シャーロック:犯罪コンサルタント。
モリアーティ:いいねぇ。このちょっとしたゲーム。
シャーロック:人が死んでいるんだ。
モリアーティ:人はだれでも死ぬもんだ!
シャーロック:ぼくが止める。
モリアーティ:邪魔するなら、お前を焼き殺す。心臓を焼き尽くしてやる。
シャーロック:いつか、捕まえるからな。
モリアーティ:無理だね。…ごめんね、お二人さん!気が変わりやすいんだ。これがぼくの弱点でね。
     でも、弱点はこれだけ。ゲーム継続はなし。無理。言ったのになぁ。
     まぁ、ぼくが言いたいことはもう分かっているよね。
シャーロック:ぼくの答えだってわかっているだろ。
(携帯呼び出し音 "Stayin' Alive" が鳴る)
モリアーティ:出てもいい?
シャーロック:いいよ。生きてるうちに出ろ。
モリーアティ:電話に出る。もしもし?そりゃもちろん。なんだって?もっかい言ってみろ!もう一回言ってみろ。
     嘘だったら、見つけ出して生皮剥ぐぞ。待て。(シャーロックに)悪いね。
     今日は、死ぬにはふさわしくない日らしい。
シャーロック:ほかに優先すべきことでも?
モリアーティ:そのうちわかるさ、シャーロック。(電話に)ああ、本当持っているなら、ぼくが金持ちにしてやる。
     嘘なら破滅だ。(退場)
ジョン   :なんだったんだ?
シャーロック:誰かがあいつの気を変えたんだ。問題は、それが誰かだ。

アイリーン:さてと…ワルイ子にしてた?お姫様…
女性:ええ、アドラーさま。

(オープニング)

 ベーカー街221B

シャーロック:何打ってるんだ。
ジョン   :ブログ。
シャーロック:何の?
ジョン   :ぼくらの。
シャーロック:ぼくのだろ。
ジョン   :なんで。
シャーロック:書くべき内容があるからさ。(ドアベルが鳴る)おっと、さぁ、どんなのかな。

依頼人1:うちの妻が、オフィスに居る時間が長すぎるんです。
シャーロック:つまらーん。

依頼人2:夫が浮気していると思うんです。
シャーロック:してるでしょ。

依頼人3:あれは叔母ではないと思うんです。すり替えられたんだ。間違いない。遺灰を見分けることができるんです。
シャーロック:はい退場。

依頼人4:そのファイルを修復してくれるなら、幾らでも払うつもりだ。
シャーロック:つまらーん!

依頼人5:ぼくら、サイトやってて、あの、マンガの本当の意義ってのをやってて…
    だってみんな、本質ってものを見落としているでしょ。あ、でも、どんなマンガだって事実から発しているし…
シャーロック:面白い。
ジョンのブログ:オタク解者者(The Geek interpreter)。三人の若者がベーカー街にやってきた。
シャーロック::オタク解説者?なんだそりゃ。
ジョン    :タイトル。
シャーロック:タイトルがどうして必要なんだ。

(調査現場)
シャーロック:ほんとにみんな、きみのブログなんて読んでるのかね。
ジョン    :どうして依頼人がきみのところに来ると思う?
シャーロック:ぼくのサイトからだろ。
ジョン   :240種類のたばこの灰の違いの羅列だろ。あんなサイト誰も見ない。…
      よし、金髪に染めてる。死因に不審な点なし。ただ、三つの不審なアザ…かなんかだな。
(ベーカー街221B)
シャーロック:おーい、よせよ。
ジョン   :なに。
シャーロック:まだらのブロンド?(The Speckled Blonde)

依頼人6:おじいちゃんが死んだとき、みんなあたしたちをおじいちゃんに会わせてくれなかったの。
     それって天国に行っちゃったから?
シャーロック:死んだら天国に行くわけじゃない。特別室に連れて行かれて燃やされるだけ。
ジョン   :シャーロック…

(事件現場)
レストレード:昨日、デュッセルドルフで飛行機事故があった。全員死亡。
シャーロック:テロの疑いあり。ぼくらだってニュースくらい見る。
ジョン   :きみが「つまらーん」とか言って消しただろ。
レストレード:フライトの記録によれば、この男は登場手続きまでは完了している。
      (車のトランクの中を見せる)この男のコートのポケットには、搭乗券の半券があった。
      さらに、飛行機のナプキンに、機内で配られるビスケット。パスポートはこれ。
      ベルリンのスタンプがおされている。この男は、昨日ドイツで飛行機事故死してなきゃいけないのに、
      サザークの車のトランクで死んでいた。
ジョン   :よくも脱出したもんだ。
レストレード:どうだ?
シャーロック:八つくらいは。オーケー、四つだ。…二つかな。

(ベーカー街221B)
ジョンのブログ:シャーロック困惑す
シャーロック:待て待て、未解決のなんて書くな。
ジョン   :みんな、きみだって人間だって知りたいだろ。
シャーロック:なんで
ジョン   :面白いから。
シャーロック:そんなわけないだろ。なんだってそんな…
ジョン   :見ろよ。ほら、1895アクセス。
シャーロック:はぁ?
ジョン   :ゆうべカウンターをリセットしたんだ。夕べの8時間だけで、2000近くのアクセスがあったってことは、
      みんなこっちに興味津々なのさ、シャーロック。240種類のたばこの灰なんかにじゃなくね。
シャーロック:243だ。

(劇場)
シャーロック:それで、これはなんてタイトルにする?オヘソ殺人とか?
ジョン   :臍帯痕治療とか。
レストレード:外はマスコミでいっぱいだ。
シャーロック:ぼくらが目当てじゃないだろ。
レストレード:お前がネット上の超人だったころはな。中には、おたくらご両人の写真を撮りたいって連中もいる。
シャーロック:ほらみろ。ジョン。(楽屋から帽子を取る)これで顔かくして、速足。
レストレード:好感度ってのも大事だ。これほどの大事件ともなれば、なおさら。
シャーロック:ぼくは私立探偵だ。好感度なんて知らん。

新聞紙面:ハット-マン&ロビン:ネット探偵
雑誌誌面:シャーロック ネット探偵
新聞紙面:シャーロック&ジョン ブロガー探偵
新聞紙面:シャーロック・ホームズ ネット超人

アイリーン:もしもし。そろそろじゃない?

 ベイカー街221B

ハドソン夫人:(冷蔵庫の中を見て)なにこれ!親指?
(男が入ってくる)
運転手   :ドアが、ドアが開いていて…(卒倒)
ハドソン夫人:ちょっとあなたたち!またよ!

シャーロック:最初から説明して。話をつまらなくしないように。

(14時間前。の回想。車が故障した草原で、ハイカーの男性が倒れる)
運転手   :おい、あんた!大丈夫か?もしもし?大丈夫か?

(草原に捜査員が散らばる)
巡査:警部、お電話ですよ。
カーター:(電話に出る)カーターだ。
レストレード:シャーロック・ホームズの名を知っているか?
カーター:誰だって?
レストレード:まぁいい、今に会うことになる。これはきみの事件だから任せるが、友人からのアドバイスだ。
      シャーロックに5分だけ現場を見せろ。彼が言うことを全部よく聞け。
      なるべくなら、こいつを殴らないで済むと良いんだが。
巡査:この人が、お話したいと言っています。
カーター:ああ、わかってる。シャーロック・ホームズだな。
ジョン   :ジョン・ワトソンです。Wi-Fi使えます?

ジョン   :そのしょうもない格好、わかってんのか。
シャーロック:わってる。これでいい。じゃぁ、その小川を見せてくれ。
ジョン   :あのさぁ、言いたかないけど…
シャーロック:レベル6程度だろ。でくはレベル7以上の事件じゃないと出て行かないってないって取り決めだろ。
        じゃぁ、もどって。草地を見せて。
ジョン   :いつそんなこと決めた。
シャーロック:昨日…そこ!寄って。
ジョン   :昨日は家にすらいなかったんだ。ぼくはダブリンに居たんだぞ。
シャーロック:そりゃぼくのせいじゃない。きみが聞いてないのが悪い。(ドアベルに)うるさい!
ジョン   :ぼくがいないところで、あれこれ勝手に決めてるのか?
シャーロック:どうだったかな。きみ、居ないことあったっけ?その、バックファイアーを起こした車を見せてくれ。
ジョン   :あれだ。
シャーロック:その、大きな音を立てたやつか?
ジョン   :うん。射殺を想像してるんだったら違うぞ。被害者は撃たれていない。一発強打されたんだ。
     鈍器のようなもので後頭部をやられてる。不思議なことに、凶器は犯人とともに消え失せている。
     これってレベル8くらいじゃないか?
カーター:あと2分。みんな、ドライバーのことを知りたがっている。
シャーロック:彼のことは考えないでいい。頭の悪い奴だ。なんだって、彼が怪しいと思うんだ?
カーター:容疑者だろ。
シャーロック:論外!
ジョン:わかった、わかった。でも、ミュートした方がいいだろ。
シャーロック:音あげろよ!話せないだろ!
ジョン   :わかったよ。(カーターに)これ、ちょっと持って。いいぞ。
シャーロック:完全に孤立した状態で車でやってきて、犯罪を成功させているんだ。ただ一人の目撃者もなしに。
      それに彼が警察に電話して、しかもコンサルタント探偵のところにまで来るなんて、
      そんなやり手の犯人だって言うのか?
カーター:うまくやってるつもりなんだ。自信があるんだろ。
シャーロック:彼に会ったか?異常に肥満体で、すさまじく口が臭い一人暮らしの独身男で、
      右袖を見ればネットポルノ中毒者だって分かるし、呼吸からして心臓に疾患があって、
      自信喪失、IQは貧弱、人生にこれといった希望もなし、この手の男に、こんな大胆な犯行が可能だと思うか?
      …心配すんな、こいつアホだ。
運転手   :なんだって?心臓がどうとか…
シャーロック:小川の方に行って。
カーター:小川になにがあるんだ?
シャーロック:見りゃわかる。
ハドソン夫人:シャーロック!なんでドアベルに出ないの?
エージェント:寝室はあっちだ。服を取ってこい。
シャーロック:あんた誰だ。
エージェント:失礼、ホームズさん。
ジョン   :シャーロック、どうかしたのか?
エージェント:いっしょに来てもらいます。
ジョン   :切れた。どうしたんだろう。
巡査   :ドクター・ワトスン?あなたに…
ジョン   :ああ、ありがとう。
巡査   :電話じゃなくて、ヘリコプターです。

エージェント:ホームズさん、着てください。これから行くところでは必要ですから。
シャーロックの分析:スーツ700ポンド。銃は携帯していない。マニキュア。
             オフィスワーカー。右利き。屋内仕事。小型犬が…二匹…三匹。
シャーロック:どこに行くかは分かってる。

 バッキンガム宮殿

ジョン   :パンツはいてる?
シャーロック:はいてない。
ジョン   :オーケー。…バッキンガム宮殿か。灰皿をくすねるのを我慢するのに苦労した。
      …それで、どうしてぼくらはここに?シャーロック。いや、まじで。
シャーロック:さぁね。
ジョン   :謁見の間かな?
(マイクロフトが入ってくる)
シャーロック:どうやらそうらしいな。
マイクロフト:大の大人が何をやっているのかね。
ジョン   :ぼくらは犯罪捜査をして、ぼくはブログをアップし、シャーロックはパンツを忘れたようです。
      ぼくは高望みしないので。
シャーロック:捜査中だったんだぞ、マイクロフト。
マイクロフト:ハイカーと、バックファイヤーの事件か。警察の報告はちらっと見たがね。
シャーロック:お見通しか。
マイクロフト:状況は常に変化する。ここはバッキンガム宮殿だぞ。英国の心臓部だ。シャーロック・ホームズ。ズボンをはけ!
シャーロック:なんのために?
マイクロフト:お前の依頼人のためだ。
シャーロック:依頼人って?
ハリー  :きわめて著名ではあるが、名前は完全に伏せさせてもらう。マイクロフト。
マイクロフト:ハリー。弟がこのざまだ。お詫びするよ。
ハリー  :お忙しいようだな。こちらは、ドクター・ジョン・ワトスンだね。第5ノーサンバランド歩兵連隊だった。
ジョン   :ええ、そうです。
ハリー  :私の雇い主もあなたのブログの大ファンです。
ジョン   :雇い主?
ハリー  :特に、アルミ松葉づえのあれはお気に入りでした。
ジョン   :ありがとうございます。
ハリー  :そして、こちらが弟さんのホームズ氏。写真よりは背が高く見えますな。
シャーロック:いいコートを着て、背の低い友人を連れるように気を付けてますから。
      マイクロフト、匿名の依頼人はお断りだ。こっちは事件解決するところだったんだ。二つは無理だ。では失礼。
マイクロフト:これは国家にかかわる問題だ、いい加減にしろ!
シャーロック:シーツから足をどけろ!
マイクロフト:どけなかったら?
シャーロック:そのまま出ていくだけ。
マイクロフト:やれるもんならやってみろ。
ジョン   :お二人とも、ここではやめましょう。
シャーロック:依頼人は誰だ?
マイクロフト:状況を見て推理しろ。この国において、もっとも高貴な筋からの依頼だ。いい加減、服を着ろ!

マイクロフト:いまだに母親役だよ。
シャーロック:勝手に子供だと思ってろ。
ハリー  :私の雇い主は、今難しい状況にあります。
マイクロフト:この件は非常にデリケートな問題だ。ある意味、犯罪でもある。その中で、お前の名前があがったわけだ。
シャーロック:どうして。警察も、シークレットサービスも意のままだろ。それなのに、どうしてぼくに?
ハリー  :だれもが助けを求めに来るのでしょう、ホームズさん。
シャーロック:海軍さんとデートするよりはね。
マイクロフト:これは最高機密にかかわることで、信用できる者でないと。
ジョン   :シークレット・サービスは信用できないと?
マイクロフト:できないね。連中は金でスパイ行為をはたらく。
ハリー  :順を追って説明した方が。
マイクロフト:この女を知っているか?
シャーロック:ぜんぜん。
マイクロフト:知っているべきだったな。この女は、いままでにも二つの政治的スキャンダルを起こしている。
      去年は、著名な作家の結婚生活を破壊した。夫と妻、両方と関係を持ってな。
(アイリーンの携帯の受信:お菓子をあげよう)
シャーロック:そういうどうでもいいことには、興味ないね。何者なんだ?
マイクロフト:アイリーン・アドラー。プロとしては、「ザ・ウーマン」で通っている。
ジョン   :プロとしては?
マイクロフト:いろんな呼び名があってね。彼女自身は「支配者」がお気に入りだ。
シャーロック:支配者…
マイクロフト:怖がることはない。セックスの話だ。
シャーロック:セックスがどうということもない。
マイクロフト:それはどうかな。彼女はなんというかな…快楽的な罵倒や屈辱を好み、金を払う連中を相手にしている。
     彼女のサイトに載っている。
シャーロック:このアドラーって女が、まずい写真を持っているってわけか。
ハリー  :さすがですね、ホームズさん。
シャーロック:別に難しい推理でもない。誰の写真だ?
ハリー  :非常に需要な、私の雇い主だ。この時点で、これ以上は。
ジョン   :何も言えないと?
マイクロフト:若い方だ。若い女性。
シャーロック:写真は何枚?
マイクロフト:膨大な数だ。
シャーロック:アドラーと、その若い女性が、いっしょに映っている写真?
マイクロフト:そうだ。
シャーロック:名誉を傷つける恐れのあるシチュエーションで?
マイクロフト:想像ではそうだ。
シャーロック:ジョン、カップを皿に置けよ。
ハリー  :手を貸してもらえますか?
シャーロック:どうやって?
ハリー  :この事件をやってもらえますか?
シャーロック:どの事件?金を払えばいいでしょう。彼女が言うままに。かなりの額だろうが、言うなりになるんですね。
マイクロフト:彼女は何かが欲しいわけじゃない。彼女はこちらに接触してきて、写真の存在を知らせた。
      写真をどうこうするというのはなく、金もそのほかのものも要求しない。
シャーロック:ああ、力試しってわけか。英国随一の力を持つ一家との、勝負だ。そして支配者になる。
     これはいい、面白そうだ。
ジョン   :シャーロック。
シャーロック:あー、彼女はどこに?
マイクロフト:今はロンドンにいる。住所は…
シャーロック:詳細はメールしてくれ。今日中に接触してみる。
ハリー  :今日中になにか結果がでますか?
シャーロック:いや、でも写真は手に入りますよ。
ハリー  :あなたの思い通りになればいいのですが。
シャーロックの観察:犬好き。乗馬。パブリックスクール。ベッドは左側。早起き。父親。タバコは吸わない。
      血の半分はウェールズ人。紅茶好き。読書好き。
シャーロック:もちろん、いくらかの物は必要だ。
マイクロフト:なんでも必要なものを送ろう。
シャーロック:マッチあります?
ハリー  :なんですって?
シャーロック:そうでなきゃ、ライター。どちらでも。
ハリー  :私は吸いません。
シャーロック:分かってる。でも、雇い主は吸うでしょ。
ハリー  :このことは誰にも口外しないように言っているのですがね、ホームズさん。
シャーロック:ぼくはべつに愛国主義者でもないんで。
ジョン   :あれは謙遜ですよ。では、失礼。
マイクロフト:また会おう。

 車内

ジョン   :オーケー。タバコはどうして分かった?
シャーロック:証拠は目の前にあったよ、ジョン。見ただろ。観察が足りないけど。
ジョン   :何を?
シャーロック:灰皿。

アイリーン:ケイト。お客様がくるわ。準備しなきゃ。
ケイト:時間かけます?
アイリーン:たっぷりね。

(ベーカー街)
ジョン   :なにやってんだ?
シャーロック:戦場に向かうんだ、ジョン。それなりに武装しなきゃ。ちがった。

アイリーン:だめ。
ケイト:いいと思うけど。
アイリーン:あんたはどれでもいいと思うんでしょ。

(車内)
ジョン   :それで、作戦は?
シャーロック:住所はわかってる。
ジョン   :呼び鈴鳴らしてはいるのか?
シャーロック:そのとおり。ここだ。止めて。
ジョン   :着替えてたんじゃないのか。
シャーロック:カラー(襟)をちょっと加えた。
(路上)
ジョン   :ここ?
シャーロック:二本むこうだ。でもさきにここでやることがある。
ジョン   :なに。
シャーロック:ぼくの顔を殴って。

ケイト:何色にする?
アイリーン:血のような真っ赤に。

ジョン   :殴る?
シャーロック:そう、殴るんだ。顔を。聞こえただろ?
ジョン   :きみがしゃべると、いつもぼくには「殴れ」って言ってるように聞こえるけど、それは脚注であって…
シャーロック:ああ、もう!(ジョンを殴り、殴り返される)ありがとう、これでよ…わぁ!
      …オーケイ、もう十分じゃないかなぁ、ジョン!
ジョン   :ちゃんと覚えとけ、ぼくは軍人だったんだぞ!人も殺してんだからな!
シャーロック:医者だろうが!
ジョン   :そういう時もあるんだ!

ケイト:何を着ます?
アイリーン:勝負服。
ケイト:ラッキーなお客様ね。
(ドアベルが鳴り、ケイトが出る)
ケイト:はい?
シャーロック:あ、すみません。あの、実は襲われまして、どうやら財布を盗られて、それから携帯も、
      あの、すみません、えーと、助けてもらえます?
ケイト:警察に電話しますか?
シャーロック:ありがとう!お願いします。あの、えーと、こちらで待たせてもらっても良いですか?
      すみません、(ジョンと入ってくる)ありがとうございます。
ジョン   :ぼくは目撃しましたよ。大丈夫、ぼくは医者です。応急セットありますか?
ケイト:キッチンにありますから、どうぞ。

(客間で待っているシャーロックのところに、アイリーンが入ってくる)
アイリーン:こんにちは。お怪我をされたんですって?ケイトがお名前を聞き損ねたようですが。
シャーロック:ああ、ぼくは…
アイリーン:怖い目に遭った時は、誰でも犯人のことなんて覚えていませんわね。でしょ?
      さて私たち二人とも、くつろいだ格好と行きますか。シャーロック・ホームズさん。
シャーロック:アドラーさんですね。
アイリーン:その頬。私がそんな風にしてあげられたのに。試してみる?
(ジョンが入ってくる)
ジョン   :よし、これでいいや。これ、何かの間違いかな?
アイリーン:お座りになって。お茶でもいかが?メイドに持ってこさせます。
シャーロック:宮殿で頂きました。
アイリーン:知ってるわ。
シャーロック:そう。
ジョン   :一応言いますけど、ぼくも頂きました。
シャーロックの分析:アイリーン,分析不能。
      ジョン。シャツは二日目。電動髭剃り。今夜はデート。姉には電話していない。歯ブラシをかえた。
      スタンフォードと飲み明かした。
      アイリーン。解読不能。
アイリーン:ホームズさん、変装の大きな問題点をご存じ?と言っても、結局は自画像っていうのは最悪なものだけど。
シャーロック:ぼくが顔から出血した牧師さんだとでも?
アイリーン:いいえ。いくらかダメージを受けていて、やや思い違いがあり、もっと強い力を信じている。
      あなたの場合、あなた自身でしょうね。ああ、それからあなたを愛している人がいるわね。
      私がその人なら、顔を殴るとき鼻と口元は避けるから。
ジョン   :ははは…何か着てくれません?なんでもいいけど。ナプキンとか。
アイリーン:どうして?見えすぎ?
シャーロック:目のやりどころにこまっているんですよ。
アイリーン:あら、そんなことないと思うけど。…まぁ、あなたはどうかしらね。
シャーロック:裸の女が見たければジョンのラップトップを借りる。
ジョン   :いつも使ってるだろ。
シャーロック:没収したんだ。
アイリーン:まぁいいわ。(シャーロックのコートを着る)この方が話しやすそうね。さぁ、教えてもらえる?どうやったの?
シャーロック:なにが?
アイリーン:頭をつぶされたハイカー。どうやって殺されたの?
シャーロック:その件で来たんじゃない。
アイリーン:そりゃそうでしょうよ。写真のことで来たんだわ。でもあれはどうにもならないから、おしゃべりでもして…
ジョン   :あの事件はまだニュースになってない。どうして知ってるんです?
アイリーン:警察に知り合いがいるの。彼の好みは分かってるし。
ジョン   :なるほど。警官は好みのタイプ?
アイリーン:探偵小説も好きだし、探偵もね。切れ者っていうのは、新しいタイプのセクシーでしょ。
シャーロック:車の位置が…つまり、車の場所だ。バックファイヤーを起こした時と、ハイカーが関連している。
      これは間違いない。死因となった一撃は背後から加えられている。必追うな事実はこれだけ。
アイリーン:オーケーそれで、どうやって殺したの?
シャーロック:殺されたんじゃない。
アイリーン:殺人ではないと?
シャーロック:殺人ではない。
アイリーン:どうして?
シャーロック:被害者はかなりのスポーツマンで、最近海外旅行から帰ってきている。
      そしてぼくがこの部屋で探しているのは写真だ。
アイリーン:オーケー、どうやって探すの?
ジョン   :なるほど、この部屋にあるわけだ。
シャーロック:そういうわけ。ジョン、誰も入ってこないようにドアを見張ってて。
(ジョンが退室)
シャーロック:二人の男が田舎の野外に、数ヤード離れていた。一方は車の中だ。
アイリーン:あら、写真を探しているのかと思った。
シャーロック:違う。そのうちみつかる。でも、きみはなかなか頭がいい。だから話につきあってもらう。
      二人の男と、車。それだけだ。ドライバーは車を直そうとしていたところで、どこへもその場を離れていない。
      一方、ハイカーは立ち止まって、空を眺めていた。鳥を見ていたのか?その時、何かが起きた。何が起きた?
アイリーン:ハイカーが死ぬのね。
シャーロック:いや、それは結果だ。何が起きたか。
アイリーン:どういうこと?
シャーロック:考えて。
アイリーン:どうして?
シャーロック:きみは哀れなほど気まぐれで、強烈に印象付けてやろうと、服を脱いだ。
      つまらんことはやめて、考えろ。それが新たなセクシーってやつなんだろ。
アイリーン:車のバックファイヤーは?
シャーロック:大きな音がする。
アイリーン:それが?
シャーロック:ああ、大きな音は大事だ。音がすべてを語っている。たとえば…(火災報知器が鳴る)…
      どうも。火災報知器が鳴ったら、母親なら子供がどこにいるか探す。
      驚いたことに、火事となると、一番大事なものが何かがわかるものだ。(金庫の扉が現れる)
      まさか、この中に赤ん坊とか居ないでしょうね。もういいよ、ジョン。音止めて。止めろってば。

ジョン   :ちょっと待ってて。(階上から報知器を止め、ジョンに銃をつきつけた男たちに)助かったよ。

シャーロック:この手の物を扱う時は、手袋をするべきだな。最初の数字のところに、いちばん手の油がつくものだ。
      最初はわかるが、あとは読み取れない。このつくりなら、6ケタの暗証番号だ。誕生日じゃないな。
      失礼ながら、あなたは80年代生まれだろうが、8は使われていない。
アイリーン:番号ならを教えたわ。そうでしょ?もう言ったわ。考えたら?
(銃を持った男が二人入ってくる)
ニールソン:手を頭の後ろに!床に跪け、動くな。
ジョン   :ごめん、シャーロック。
ニールソン:アドラーさん、床に膝をついて。
シャーロック:ぼくにもそうしろと?
ニールソン:いや、あんたには金庫をあけてもらう。
シャーロック:アメリカ人か。これは面白い。気を付けた方がいいぞ。
ニールソン:いいから、金庫をあけろ。
シャーロック:暗証番号を知らない。
ニールソン:彼女があんたに言うのを聞いた。
シャーロック:聞いたんだったら、言ってないのを知ってるだろ。
ニールソン:どうかな、聞き損ねた。あんたの評判からすれば、開けられるはずだろう。
ジョン   :ちょっとまて、番号を知っているのは彼女だ。彼女に訊け。
ニールソン:そうだろうな。彼女が知っている番号は、自動で警察に連絡が行くやつだろ。
      経験でこの女は信用しちゃならんと知っている。
アイリーン:ホームズさんは本当に知らないのよ。
ニールソン:黙れ。一度しか言わないぞ。黙らないと脳味噌吹っ飛ばして壁にたたきつけてやる。別にたいしたことじゃない。
      アーチャーくん、三つ数えたら、ドクター・ワトスンを撃て。
ジョン   :え?
シャーロック:暗証番号を知らないんだ。
ニールソン:いち…
シャーロック:知らないって言ってるだろ。
ニールソン:にぃ…
シャーロック:彼女は言ってないんだ!知らない!
ニールソン:いや、そうはいかない。さん…
シャーロック:よせ、撃つな!(ボタンをおして、ロックを解除する)
ニールソン:ありがとう、ホームズくん。開けて。
シャーロック:ヴァチカンのカメオ!(訳者注:ジョンに危険を知らせる合い言葉)…(アイリーンに)やりたくない?
アイリーン:全然。(男を殴り倒す)
ジョン   :死んでる。
アイリーン:ありがとう。かなり鋭いわね。
ジョン   :鋭い?
アイリーン:嬉しいわ。
シャーロック:よせ。
ジョン   :嬉しい?
シャーロック:まだ奴らがいるかも知れない。この建物を見張っているんだ。(ジョンとドアのそとへ)
ジョン   :警察を呼ぼう。
シャーロック:そうだな。(発砲)そのうち来るよ。
ジョン   :あのなぁ…
シャーロック:うるさい。急いでいるんだ。(部屋にもどる)他の部屋も確認して。やつらがどうやって入ったのか確認しよう。
      ああ…騎士道精神はひとまず置いて(カメラフォンを見せる)
アイリーン:それ、私のよ。
シャーロック:(カメラフォンを操作する。ロックされている "I AM _ _ _ _ LOCKED" )写真はこの中だろう?
アイリーン:もちろん、コピーを取ってあるわ。
シャーロック:うそだな。外部接続や通信機能を、完全に破壊してある。
      少なくとも、この携帯に入っている内容は完全に一つ切りということだ。これで売ることもできなくなった。
アイリーン:売ると思ったの?
シャーロック:この連中はどうしてこれを欲しがったんだ?つまり、この携帯の中には、
      単に写真だけが収まっているわけではないってことだ。
アイリーン:そのカメラフォンは私の命よ、ホームズさん。あなたに取られるくらいなら死ぬ。それは私の防御装置なの。
ジョン   :シャーロック!
シャーロック:さっきまではね。

(階上)
ジョン   :ここから入ったんだ。
シャーロック:そうだな。
ジョン   :大丈夫、気絶しているだけだから。
アイリーン:よく気絶するから。裏口があるの、ドクター・ワトスン、見てきた方がいいわ。
ジョン   :(シャーロックを見てから)分かった。(退室)
シャーロック:落ち着いているな。きみが仕掛けた罠で、男が一人殺されたんだぞ。
アイリーン:あっちは私を殺そうとしていた。正当防衛だわ。(シャーロックを刺す)
      さあ、それをよこしなさい!はやく。
シャーロック:断る!
アイリーン:さぁ、手を離して!…ああ、ありがとう。さぁ、大事な、素敵な写真はこれで安心。
      脅迫するためじゃないの。保険よ。それに…あの子にはまた会いたいし。あら、だめだめ、楽しいじゃない。
      台無しにしないで。あなたには、私のこの振る舞いで私を記憶しておいて欲しいわ。
      あなたを叩きのめした女…お休みなさい、シャーロック・ホームズさん。
ジョン   :おい、何をしたんだ。
アイリーン:しばらく寝てるだけよ。吐いて窒息しないように気をつけて。あれで死ぬと見られたもんじゃないわ。
ジョン   :なんだって?シャーロックになにをしたんだ?シャーロック!
アイリーン:大丈夫よ。いろんな人にやったけど大丈夫だったから。
ジョン   :シャーロック、聞こえるか?
アイリーン:そういえば、私、誤解してたわ。ホームズさんは目のやりどころになんか困ってなかった。
ジョン   :何の話だ?
アイリーン:金庫の暗証番号よ。
ジョン   :それが?
アイリーン:私が言うの?私のスリーサイズでしょ。

(事件現場の草原)
アイリーン:わかった。
シャーロック:え?
アイリーン:だめよ、起きちゃだめ。私が説明する。車はバックファイヤーを起こす。
      ハイカーは、空を見上げていた…いや、鳥を見ていた?でも、そうじゃない。
      別の空飛ぶ物を見ていたのよ。背後でバックファイヤーの音。ハイカーは振り返る。
      それが大間違いのもと。悪いことに、ドライバーが見たとき、ハイカーはもう倒れていた。
      ドライバーは何がハイカーを打ち倒したのかを見ていなかった。
      「それ」はもう小川に落ちて流れて行ってしまったから。
      かなりのスポーツマンで、最近海外から戻ってきたばかり。ブーメランを持ってね。
      一目見ただけで分かったの?これぞ新しきセクシーってものね。
シャーロック:ぼくは…
アイリーン:おとなしくして。大丈夫よ。コートを返しに来ただけ

 ベーカー街221B

シャーロック:ジョン?…ジョン!
ジョン   :大丈夫か?
シャーロック:どうしてここに?
ジョン   :覚えていないんだろ。ほとんど意識がなかったから。
      あ、一応言っておくけど、レストレードがぶっ倒れてるきみを動画で撮ってたぞ。
シャーロック:彼女はどこだ?
ジョン   :彼女って?
シャーロック:あの、女。あの女だ。
ジョン   :どの女?
シャーロック:ザ・ウーマンだ!
ジョン   :アイリーン・アドラーね。消えたよ。ここには居ないよ、シャーロック。ちょっと、なにやってるんだ。
      寝てろよ。朝になったら良くなるから。それまで寝てろ。
シャーロック:もーちろん大丈夫。大丈夫だ。完璧大丈夫。
ジョン   :そりゃ結構。隣りに居るから。用があったら呼べよ。
シャーロック:用なんてあるわけないだろ。
ジョン   :そりゃそうだ。
(シャーロックの携帯から、メール受信の着信音がするが、アイリーンの声になっている。)
アイリーンのメール:また会いましょう、ホームズさん。

 ベーカー街221の居間

シャーロック:写真は問題ない。安全だ。
マイクロフト:セックスを売り物にする逃亡犯の手にありながら?
シャーロック:彼女は脅迫には興味が無い。何か…身を守る手立てが必要なんだ。何らかの理由で。
     彼女の家での発砲事件について、警察の捜査を止めさせたって?
マイクロフト:彼女が写真を持っている以上、何もできないだろう。両手を縛られたも同然だ。
シャーロック:その表現、彼女が喜びそうだな。どう思う?あのカメラフォンの存在は、刑務所送りになることを防いでいる。
      あんたはどうにもできない。まるで高貴な筋にでも接するようだな、マイクロフト。
ジョン   :彼女が高貴な筋にどう接するかは別にしてね。
(アイリーンの着信音が鳴る)
ジョン   :なにこれ。
シャーロック:メール。
ジョン   :でも、あの音はなんなの。
(メール:おはよう、ホームズさん)
シャーロック:マイクロフト、あんたがジョンとぼくをあそこにやる前から、
     彼女を付け狙っていた連中がいたことは、知っていたんだろ。思うに、CIAの凄腕の殺し屋だ。
ジョン   :ありがたいですね、マイクロフト。
ハドソン夫人:まぁ、なんてことでしょ。自分の弟をそんな危ない所にやるなんて。
     最後は家族が一番大事なんですよ、マイクロフト・ホームズ!
マイクロフト:うるさい、ハドソンさん!
ジョン   :ちょと!
シャーロック:マイクロフト!
マイクロフト:申し訳ない。
ハドソン夫人:どうも。
シャーロック:まぁ、…黙ってて。
(アイリーンの着信音)
ハドソン夫人:なんなのよ、そのいやらしい騒音は。
(メール:お元気?)
シャーロック:とにかく、ぼくが見た限り、何もすることもないし、彼女もなにもしない。
マイクロフト:彼女に最高レベルの監視をつける。
シャーロック:そんな必要あるか。ツイッターやってるんだぞ。たぶん、ユーザーネームは「鞭打ち」だな。
マイクロフト:それは大したもんだ。失礼。(携帯に出る)もしもし?
ジョン   :なんで着信音をあんなのにしたんだ?
シャーロック:あんなのって?
ジョン   :あの音さ。何かあるんだろ。
シャーロック:メールの着信音さ。メールがくれば鳴る。
ジョン   :きみのメール着信音は普段、あんな音はしない。
シャーロック:誰かが携帯をいじって、いたずらしたんだろ。特定の人物からのメールがくると、あの音が鳴る。
     つまり、メールが来るたびに…
(アイリーンの着信音)
シャーロック:そうらしいな。
ハドソン夫人:それ、切れないの?こんなの…
(メール:お訊きにならないようだけど、私は元気よ。)
ジョン   :なぁ、いったい誰がきみの携帯をいじることなんて出来る?コートに入っていたんだろ?
シャーロック:きみに推理させてやる。
ジョン   :ぼくだってそこまで馬鹿じゃないさ。
シャーロック:どうしてそう思う?
マイクロフト:(電話に)ボンド・エアーはもう決まっているんだ。コヴェントリーの方を確認しろ。後でな。
シャーロック:彼女は何を持っているんだ?
シャーロック:アイリーン・アドラーだよ。アメリカは彼女が持っているやばい写真に興味があるんじゃない。
      もっと他の、重大なものだ。なには非常に重大なことが起こるんじゃないか?
マイクロフト:アイリーン・アドラーは、もはやお前とは関係ない。もう、この件からは手を引け。
シャーロック:手を引くと思うか?
マイクロフト:手を引くだろ、シャーロック。さて、失礼するよ。
     我が親愛なる友に、長々と、お詫び申し上げなければならないからな。
シャーロック:彼女によろしく。

 クリスマスのベーカー街221b

ハドソン夫人:素晴らしいわ、本当に!
ジョン   :大したもんだ。よかったよ。
ハドソン夫人:トナカイの角でもつければいいのに。
シャーロック:想像にとどめておいてください、ハドソンさん。
ジョン   :さぁ、どうぞ。
シャーロック:(ジャネットに)ああ、ぼくはいいんだ、サラ。
ジョン   :あ、あ、あ、シャーロックは名前を覚えるのが苦手なんだ。
シャーロック:そんなことないだろ。そっか、サラは医者で、あっちは鼻のところにほくろが会ったな…
     ええと、その後の退屈な教師は誰だっけ。
ジャネット:さぁね。
シャーロック:ジャネットだ!消去法だな。うわ…まいったな。
モリー  :こんばんは、あら、ごめんなさい。こんにちは。ドアのところにお入り下さいって書いてあったから。
シャーロック:ずいぶん集まってこんにちは、楽しいねぇ。
ジョン   :わぁ、素敵だね。
モリー  :お祝いの一杯、やります?
シャーロック:止めてもやるんだろ。
ハドソン夫人:この二人が私にこんなに良くしてくれるのなんて、クリスマスだけだわ。それだけに本当に嬉しいわ。
ジョン   :さぁ、座って。
シャーロック:ジョン、きみのブログのカウンター。1895で止まってる。
ジョン   :ええ?クリスマスだから?
シャーロック:この帽子の写真アップしたのか?
ジョン   :評判いいんだぜ。
シャーロック:そんなことない。
レストレード:モリー、一杯飲む?
モリー  :ありがとう。(ハドソン夫人に)腰の調子はいかが?
ハドソン夫人:それが良くないのよ。でも、大丈夫よ。ありがとう。
モリー  :もっと酷いのも見たことあるけど。じゃぁ、私が解剖してあげる。あら、ごめんなさい。
シャーロック:モリー、ジョークは禁止。
モリー  :そうね、ごめんなさい。
レストレード:どうぞ。
モリー  :ありがとう。警部がいらっしゃるとは思わなかったわ。クリスマスはドーセットにいらっしゃるんじゃ?
レストレード:妻と一緒に朝行って、戻ってきたら別行動なんだ。
シャーロック:いや、奥さんは体育の先生と寝てるところだ。
モリー  :ジョン、お姉さんと疎遠になってるって、そうなの?
ジョン   :まあね。
モリー  :シャーロックが文句を…いえ、そう言ってたから。
ジョン   :初めてだけど、酒を飲むのをやめたらしいけどね。
シャーロック:うそばっか。
ジョン   :黙れ、シャーロック。
シャーロック:きみこそ、新しい彼氏ができたんだろ。君の方はかなり真剣みたいじゃないか。
モリー  :え?なんのこと?
シャーロック:彼に会うんだろ、まさに今夜、プレゼントをあげるんだ。
ジョン   :今日はよせよ。
レストレード:黙って飲んでろよ。
シャーロック:いいじゃないか。買い物袋の一番上に、プレゼントの箱がある。リボンつきの、完璧なラッピング。
      他は適当につめこんであるのに。つまり、これは特別ってわけ。口紅の色とよく合うように、赤いラッピングにして。
      無意識にそうなったんだな。いや、勇気を奮って自らそうしたのかも。とにかく、ミス・フーパーには意中の人が居る。
      彼女が真剣なのは、明白だ。とうとう彼にプレゼントを渡すことにした。いままでずっと孤独だったけど、
      今夜、彼に会う。化粧と言い、ドレスといい、間違いない。口元と胸の大きさをカバーするために…
(プレゼントのカード:親愛なるシャーロックへ。愛を込めて)
モリー  :あなったってそうよね。いつもそう。
シャーロック:悪かった。許してくれ。メリー・クリスマス、モリー・フーパー…
(アイリーンの着信音が鳴る)
モリー  :ええ?あ、違う、私じゃなくって。
シャーロック:ぼくだ。
レストレード:はぁ?
シャーロック:携帯。
ジョン   :57回目かな。
シャーロック:なんだって?
ジョン   :そのメール、57通目だ。
メール:マントルピースを見て
シャーロック:数えてたのかよ。(マントルピースの上にあった赤い箱を取る)ちょっと失礼。
ジョン   :どうしたんだ、シャーロック。
シャーロック:ちょっと失礼。
ジョン   :返信するのか?

マイクロフト:(電話に出る)一体どうしたんだ。クリスマス・コールはしないってことになっているだろ。
      新しい法律でもできたのか?
シャーロック:今夜、アイリーン・アドラーが発見されるぞ。
マイクロフト:どこにいるのかは分かっている。ご注進いたみいるが、必要無い。
シャーロック:そういう意味じゃない。彼女の死体を発見するって言っているんだ。
ジョン   :大丈夫か?
シャーロック:ああ。

 聖バーソロミュー病院

マイクロフト:特徴が一致する遺体はこれだけだ。簡易宿泊施設から運ばれてきた。
シャーロック:モリー、きみはよかったのに。
モリー  :いいの。誰もクリスマスで居ないから。顔はつぶされていて、判別は難しいと思う。
マイクロフト:彼女か?
シャーロック:体を見せて。…彼女だ。
マイクロフト:ありがとう、フーパーさん。
モリー  :誰なの?顔を見ずに、どうしてシャーロックには分かったの?

マイクロフト:一本だけ。
シャーロック:どうして?
マイクロフト:クリスマスプレゼントだ。
シャーロック:屋内で喫煙。法律がどうたらこうたら…
マイクロフト:ここは死体安置所だ。お前が参ってしまうのはここくらいだろ。どうして彼女が死んでいると分かった?
シャーロック:彼女には絶対に手元から離さないものがあった。命がかかっていると。それを手放した。
マイクロフト:それは今、どこに?
シャーロック:見ろよ。(泣いている家族をみやる)あの人達は、こだわり過ぎなんだ。
      ぼくらってどこかおかしいと思ったことがあるか?
マイクロフト:どんな人生にも終わりは来る。鼓動もいつかは止まる物だ。こだわりは何にもならん。シャーロック。
シャーロック:これ、低タールだな。
マイクロフト:お前は彼女のことをほんの僅かしか知らなかったはずだ。
シャーロック:メリー・クリスマス、マイクロフト。
マイクロフト:よいお年を。(シャーロックが退出すると、電話をかける)今、帰ったところだ。何かみつけたかね?

 ベーカー街221B

ジョン   :いいえ。シャーロック、タバコを吸いましたか?
マイクロフト:ああ。
ジョン   :くそっ。(ハドソン夫人に)10分以内に帰ってきます。
ハドソン夫人:寝室には何もなかったわ。
ジョン   :何もないようですよ。考えられるところは全部見たけど。
      本当に、今夜シャーロックがなにか危ないことをしでかすと思いますか?
マイクロフト:いや。しかし絶対にとは言えん。シャーロックと一緒にいてくれたまえ、ジョン。
ジョン   :あの、約束があるんですが。
マイクロフト:だめだ。
ジョン   :マイクロフト…(電話を切る。ジャネットに)ほんと、ごめん。
ジャネット:友達が、あなたはよせって。
ジョン  :え?
ジャネット:あなたって、本当に素敵なボーイフレンドだわ。
ジョン  :あ、じゃぁいいじゃん。ぼくはいつでもきみを…
ジャネット:シャーロック・ホームズは本当にラッキーね。
ジョン  :ジャネット、違うったら。
ジャネット:そうでしょ。ほほえましいわね。彼のためなら何だってするんでしょ。
     彼ときたら、あなたのガールフレンドの見分けもできないし。
ジョン  :まてよ、きみのためなら何でもするさ。ぼくがしてないことって、何だい、言ってみてよ。
ジャネット:私とシャーロック・ホームズを比べないでくれる?
ジョン  :犬の散歩も引き受けるよ。
ジャネット:犬なんて飼ってない!
ジョン  :なんか、間違えたらしい。オーケー。
ジャネット:最悪!
ジョン  :電話するよ。
ジャネット:お断り!
ジョン  :オーケー。
ハドソン夫人:あれはまずかったわね。

(シャーロックが帰ってくる)
ジョン   :ああ、お帰り。大丈夫か?
シャーロック:ぼくのソックスの並びをめちゃくちゃにしてないだろうな。

ハドソン夫人:(ヴァイオリンを弾いていたシャーロックに)素敵な曲ね。いままで聞いたことがないわ。
ジョン   :自分で作ったのか?
シャーロック:思考の助けになる。
ジョン   :何考えているんだ?
シャーロック:きみのブログのカウントが、まだ1895で止まっている。
ジョン   :うん。不具合があるらしいんだけど、直せないんだ。
シャーロック:不具合化、もしくはハッキングされて、何かのメッセージになっているのか。
      (アイリーンの携帯ロックに1895と入れるが、外れ。あと3回)ただの不具合だ。
ジョン   :そっか。ぼくはちょっと出てくる。
      (ハドソン夫人に)ねぇ、シャーロックには今まで、彼女なり、彼氏なり、そういうのはいなかったんですか?
ハドソン夫人:さぁね。
ジョン   :わからないものかな。
ハドソン夫人:シャーロックだもの。あのちょっとおかしい頭の中のことなんて、分かるもんですか。
ジョン   :じゃぁ。

 ベーカー街

黒い服の女性:ジョン?
ジョン  :はい?…どうも。
女性   :大晦日の夜は、何か予定でも?
ジョン  :いや、特に何も。冷たくあしらわれたので。何かいいアイディアでも?
女性   :ひとつあるわ。
ジョン  :(車に気付く)あのさ、マイクロフトは一本ぼくに電話すればいいと思うんだけど。
     何もこんな権力を見せびらかすようなマネをしなくても。

 廃工場

ジョン  :カフェとかで会えば良いんじゃないかな。シャーロックはついてきたりしないから。
女性   :あっちよ。(ジョンを行かせる。電話に)そっちに向かいました。
      あなたが言った通り、マイクロフトだと思い込んでいます。

ジョン  :シャーロックは悲しい音楽を作り…食欲なし。ほとんどしゃべらないし、テレビをみるくらいかな。
      やや落ち込んでいるようだけど、まぁ、シャーロックのことだから。ああ見えて…
アイリーン:こんにちは、ドクター・ワトスン。
ジョン  :生きてるって知らせたら?
アイリーン:彼は後れを取ってるようね。
ジョン  :あなたが知らせないなら、ぼくが言う。
アイリーン:あなたを信用しているから。
ジョン  :死んで、死体置き場で発見されたはずだ。あれは、あなただったはずだ。
アイリーン:DNAテストの記録だけを信用していたわけね。
ジョン  :なるほど、DNAの記録係のことを知っているわけだ。
アイリーン:彼の好みもね。私は消える必要があったの。
ジョン  :それで、どうしてぼくをここに?ぼくは会いたくもなかった。
アイリーン:わかったわ。ひとつ、しくじったの。シャーロックに、私の安全を保障するものを送りつけたんだけど、
      それが必要になったの。だからあなたの助けが必要ってわけ。
ジョン  :断る。
アイリーン:彼の安全のためでもあるのよ。
ジョン  :かもね。自分で、自分は生きているとシャーロックに言えよ。
アイリーン:無理。
ジョン  :わかった。ぼくが言う。そして、きみに手は貸さない。
アイリーン:どう言えばいいわけ?
ジョン  :いつもどう言ってるんだ?シャーロックにやたらとメールしていただろう?
アイリーン:べつに、普通よ。
ジョン  :この場合、普通なもんか。
アイリーン:おはよう、あの変な帽子、いいわね。今夜はさびしいから、ディナーでも一緒にどう?
      「クライムウォッチ」に出てるあなた、セクシーね。ディナーに行きましょう。おなかはすいてないけど。
      いっしょにお食事しましょう。
ジョン  :きみ、シャーロック・ホームズと…
アイリーン:はずれ。彼は返信してきたためしがないわ。
ジョン  :いや、シャーロックはいつもすべてに返信する。自分で締めないと気が済まない。
      最後の審判でも、神様のあとに何か付け加えるだろうさ。
アイリーン:返信しないってことは、私の扱いが特別ってこと?
ジョン  :さぁね。そうかも。
アイリーン:妬いてるの?
ジョン  :シャーロックとぼくは恋人同士じゃない。
アイリーン:あら、そうでしょ。さてと、「私は死んでません。ディナーに行きましょう」(送信する)
ジョン  :とにかく、シャーロック・ホームズのことはとにかく、DNAの記録に関してもどうでもいいや。
      とにかくぼくは同性愛者じゃない。
アイリーン:あら、私はそうよ。私たち、ふたりともそうじゃない?
(アイリーンの着信音が聞こえる)
アイリーン:違うわよね。

 ベーカー街221B

(シャーロック、ハドソン夫人が人質に取られた居間に入ってくる)
ハドソン夫人:シャーロック…
シャーロック:ぐずぐず言わないで、ハドソンさん。泣いたところで銃には何の効果もない。
      これはまたずいぶん、ご丁寧なことだな。
ハドソン夫人:ごめんなさい、シャーロック…
ニールソン:我々が求めているものを、持っているだろう、ホームズくん。
シャーロック:どうして訊くんだ。
ニールソン:彼女に訊いたが、何もしらないようだったのでな。でも、きみは分かっているだろう、ホームズくん。
シャーロックの分析:頸動脈,頭がい骨、目、動脈、肺、肋骨…
シャーロック:そう、分かっている。まず、取り巻きを外に出せ。
ニールソン:どうして?
シャーロック:そっちの方が人数が多い。室内でこの状況は不利すぎて話にならない。
ニールソン:二人とも、車で待ってろ。
シャーロック:そのままどっかへ失せろ。はめようって言ったって無駄だぞ。ぼくを知っているだろう。
      何をやっても無駄だ。(部下二人が出ていく)さぁ、次は銃を向けるのはやめてもらおうか。
ニールソン:かわりに銃をむけるつもりか?
シャーロック:持ってない。
ニールソン:確認するぞ。
シャーロック:持ってないって言ってるだろ。(シャーロックを調べるニールソンを一撃で倒す)まぬけ。
ハドソン夫人:ありがとう…
シャーロック:大丈夫、もう大丈夫。

(ジョンが戻ってくると、ドアに張り紙がある「犯罪進行中。邪魔しないでください」)
ジョン  :どうしたんだ?うわ、なんだこれ。何があったんだ?
シャーロック:このアメリカ人にハドソンさんが襲われたんだ。ちょっとぶち切れてやりすぎたかも。
ジョン  :ハドソンさん、大丈夫?なんてこと、こいつが?
ハドソン夫人:私がばかだったのよ…
シャーロック:下に連れて行って、手当てしてやってくれ。
ジョン  :大丈夫、大丈夫みてあげるから。
ハドソン夫人:大丈夫、大丈夫よ。(退出)
ジョン  :何が起きたのか、話せよ。
シャーロック:話すから、行けよ。(電話に)レストレード?ベーカー街に押し入られた。
      おたくのムカつく警官たちと、救急車をよこしてくれ。いや、ぼくらは大丈夫。いや、そうじゃなくて、
      強盗の方が…ひどく怪我をしていて。
      あばら骨が折れて、頭がい骨も砕けて、肺が破裂したかも。窓から落ちたんだ。

(キッチンでジョンがハドソン夫人に手当てしている)
ハドソン夫人:しみる。
(窓の外に、上から物が落ちてくる)
ハドソン夫人:あらやだ、ごみ箱が。

レストレード:一体、何回窓から落ちたんだ?
シャーロック:混乱していたからさ、警部。数えていられなかった。

(シャーロック、キッチンに入ってくる)
ジョン  :ハドソンさんは今夜、上のぼくらの所で寝た方がいいよ。いっしょの方がいいだろ。
ハドソン夫人:大丈夫よ。
シャーロック:大丈夫だろ。
ジョン  :大丈夫じゃない、見ろよ。ベーカー街からしばらく離れていた方がいい。妹さんのところに行って。医者の命令です。
シャーロック:バカ言うな。
ジョン  :あのなぁ、ショック受けてるんだぞ。あのアホらしいカメラ・フォンのせいで。
ところで、居間はどこにあるんだ?
シャーロック:完璧に安全な場所さ。
ハドソン夫人:二番目にお気に入りのガウンのポケットにいれたままにしたでしょ、バカね。
      私がただ叫んでいるだけだと思っている間に、隠しておいたわ。
シャーロック:ありがとう。恥を知れよ、ジョン・ワトスン。
ジョン  :恥?
シャーロック:ハドソン夫人がベーカー街を離れるようなことがあったら、それこそ大英帝国もおしまいだ。

 居間

ジョン   :それで、今はどこに?
シャーロック:誰にもわからないところ。
ジョン   :とにかく、あの携帯には写真だけが入っているわけじゃないんだな。
シャーロック:そういうこと。
ジョン   :そして、彼女は生きている。どう考えればいい?(鐘が鳴る)
シャーロック:ハッピー・ニューイヤー、ジョン。
ジョン   :また彼女にあうことになる思うか?

(アイリーンの携帯にメールが届く)
メール:ハッピー・ニューイヤー。SH

 聖バーソロミュー病院

モリー  :電話?
シャーロック:カメラ・フォン。
モリー  :それをレントゲンで撮ってるの?
シャーロック:そう。
モリー  :誰の?
シャーロック:ある女性の。
モリー  :ガールフレンドの?
シャーロック:持ち物をレントゲンで見ると、それがガールフレンドのだと思うの?
モリー  :まぁ、バカみたいね。
シャーロック:ああ。…そう、そうだ。バカみたいだな。彼女はぼくの住所に送って来たんだ。
      その上、ゲーム好きだ。(アイリーンの携帯ロックに、221Bと入れる)
モリー  :そうなの?
携帯画面:コード不一致。あと2回。

 ベーカー街221B

(シャーロックに続いて、ジョンが帰ってくる)
ジョン   :ああ、シャーロック。
シャーロック:依頼人だ。
ジョン   :きみの寝室に?…ああ。

シャーロック:誰がきみをつけてるって?
アイリーン:私を殺したい連中でしょ。
シャーロック:誰。
アイリーン:殺し屋。
ジョン   :もっと詳細が分からないと。
シャーロック:連中の目をくらますために、自分は死んだことにしたんだろ。
アイリーン:しばらくはそれで安全だったんだけど。
シャーロック:きみがジョンに生きていると知らせた以外は、ぼくしか知らない。
アイリーン:あなたたちは誰にも言わなかったでしょ。
シャーロック:きみはどうかな。
アイリーン:あなたが言ったのね。私のカメラフォンは?
ジョン   :ここにはないよ。ぼくらも馬鹿じゃない。
アイリーン:あれをどうしたの?連中が、あれをあなたが持っていると知ったら、あなたを監視するわよ。
シャーロック:連中が監視しているんなら、何か月も前にストランドの銀行の、金庫に保管してあることも知ってるだろう。
アイリーン:私はあれが必要なの。
ジョン   :でも、監視されてるなら、ぼくらは行けないだろ。モリー・フーパーなら。
      彼女ならとってきてバーツに持ってこれるし。きみのホームレス・ネットワークの一人に運ばせて、
      カフェにおいといてもらうとか。もうひとりが上に持ってくればいい。
シャーロック:いいぞ、ジョン。すばらしい。実に用心深い。
ジョン   :ありがとう。じゃあ、電話を…
シャーロック:(アイリーンの携帯を取り出す)さてと…要するに、これには何が入っているんだ?
アイリーン:写真に情報、私には重要なものばかり。
ジョン   :脅迫用に?
アイリーン:身を守るためよ。どこでも私のやりかたを通すわ。礼儀知らずなものでね。
      私が必要とするとき、私の味方になる人を知っておきたいの。
シャーロック:その情報をどうやって手に入れたんだ?
アイリーン:私は礼儀知らずだって言ったでしょ。
シャーロック:しかし、きみは身を守るどころか、もっと危険なものを手に入れてしまった。それが何だか分かっているのか?
アイリーン:ええ。でも理解不能だわ。
シャーロック:そうだろうな。見せてくれ。…いや、暗号を言うんだ…(アイリーンに渡す)
アイリーン:(暗号を入れる)だめだわ。
シャーロック:そうじゃない。ぼくが二重ロックをかけたから。どうやら、きみは1058と入れたようだが…
      もっと特別なものだと思ったけど。まぁ、いいや。ありがとう。
(シャーロック、1058と入れるが、解除されない。あと1回)
アイリーン:言ったでしょ。カメラ・フォンは私の命なの。触った時に、あなたがやったことには気づいたわ。
シャーロック:なかなかやるな。
アイリーン:あなたこそ。
ジョン   :ヘイミッシュ。ぼくは、ジョン・ヘイミッシュ・ワトスンだから。
      もし赤ちゃんの名前を考えているんだったら、どうぞ。
アイリーン:防衛相に、私が彼の好みをよく知っている人がいるの。彼のお気に入りは、みせびらかすこと。
      彼、私にこのメールは、世界を救うんだって見せてくれたわ。彼自身はなんだか分かっていなかったけど、
      私、写真に撮っておいたの。彼はそのときあっちで夢中だったから。画面、小さいけど見える?
シャーロック:ああ。
写真の内容:007割り当て確認4C12C45E13G60A60B61.....
アイリーン:暗号よね。この国で最高の暗号学者に見せたわ。ほとんど大混乱だった。全然わからなくて。
      どう?ホームズさん?さぁ、女の子にアピールするチャンスよ。
シャーロック:これは、空白部分が抜け落ちているんだ。でも、747型機に違いない。
      明日の朝、6時30分にヒースローから飛び立って、夜のボルティモア行いだ。
      たしかに、世界を救うのかもな。どうやってかは知らないが。8秒あればわかる問題だ。
      おいおい、これは暗号じゃない。これは座席表だ、ジェット機の。見ろ。"I" が一回も出てこない。
      これだけなら、何かのミスかもしれない。でも、"k" もない。飛行機の幅には限りがあるからな。
      番号は常にランダムにでてきて、連続性がない。でも、ひと塊になって、連続しているところはある。
      家族や、カップルはかたまって座るからだKまである座席や、55列もあるはジャンボしかありえない。
      二階席があるから。ほかの迷信深いエアラインなら、この13列は外すが、
      この場合は、フライトナンバーは、007ってことになる。イギリスから飛ぶ飛行機だということも明白だ。
      このもともとの資料が、差し迫った状況にあるとしたら、1週間以内ということで、この手の飛行機が飛ぶのは、
      明日の6時半、ヒースロー発、ボルティモア行き。
      べつに素晴らしいとか最高とか言わなくても構わないだぞ。
      ジョンは頭の中であらん限りの英語で表現しているんだろうけど。
アイリーン:今すぐ、この場であなたをモノにしたいわね。この机の上で、あなたが跪いて許しを2回乞うまで。
シャーロック:ジョン、フライトスケジュールを確認してくれ。合ってたか?
ジョン   :え、ああ。うん。
シャーロック:今までに許しを乞うたことなどない。
アイリーン:2回。
ジョン   :ああ、あった。合ってる。フライト007だ。
シャーロック:なんて言った?
ジョン   :合ってる。
シャーロック:そうじゃない、そのあとだ。そのあと、なんと言った?
ジョン   :007。フライト007。
シャーロック:007、007…なんだ?
(アイリーン、背中でメール送信)
メール:747 明日 6時半 ヒースロー
シャーロック:007って…
マイクロフト:(回想)ボンドエアは飛ぶんだ。

(モリアーティがメールを打っている)
(メール:ジャンボジェット。ホームズさん。やれやれ。)

マイクロフトの声:ボンド・エアは飛ぶ。これはもう決まったんだ。コヴェントリーを調べろ。
シャーロック:コヴェントリー
アイリーン:行ったことないわ。いいところ?
シャーロック:ジョンは?
アイリーン:何時間も前に出かけたわよ。
シャーロック:ずっとジョンに話していたんだ。
アイリーン:彼も、あなたはそうだって言ってた。コヴェントリーで何かあるの?
シャーロック:とあるお話さ。たぶん、本当の話じゃない。第二次世界大戦中、連合軍はある情報を入手していた。
      ドイツ軍がコヴェントリーを爆撃するつもりだという暗号を解読したんだ。
      でも、連合軍としては、ドイツ軍の暗号を解読したことを、あちらに知られたくなかった。
      だから、爆撃はされるままにした。
アイリーン:だれかから聞いたの?
シャーロック:なんだって?
アイリーン:私はみだらにふるまってきたって言ったのも、ちゃんと聞いてた?
シャーロック:意味がわからない。
アイリーン:今度は、上品にいきましょう。ディナーをご一緒に。
シャーロック:どうして。
アイリーン:おなかがすいてるでしょ。
シャーロック:すいてない。
アイリーン:それでもいいわ。
シャーロック:空腹でもないのに、どうしてディナーなんだ?
アイリーン:ホームズさん、こうしている間も、毎晩世界は終わっていくのよ。そう、今夜が最後になるかも知れない。
      私といっしょにディナーに行ってくださる?
ハドソン夫人:シャーロック?
アイリーン:遅かったみたいね。
シャーロック:世界の終わりじゃない。ハドソンさんだ。
ハドソン夫人:シャーロック、この方がドアのところにいらして、あの呼び鈴、まだ直らないの?
      あの人が撃って壊したのよ。
シャーロック:またぼくを連れて行くつもりか?
エージェント:そうです、ホームズさん。
シャーロック:お断りだ。
エージェント:どうでしょうね。(エアチケット入りの封筒を渡す)

 車内

シャーロック:飛行機に爆弾か。イギリス、アメリカ双方の政府は知っていたんだ。
      情報元を明らかにするよりは、放っておくことにした。飛行機は爆破される。
      またコヴェントリーだ。なにもかも繰り返し、繰り返し。新しいことは何もなし。

 ヒースロー空港

シャーロック:やぁ、良くなったみたいだな。ご気分は?
ニールソン:頭の中に弾がはまったみたいですよ。やりおおせていれば、勲章がもらえたらしい。

 機内

マイクロフト:コヴェントリーのなぞなぞだ。私の解決策をどう思う?死者のフライトだ。
シャーロック:もし飛行機が空中で爆発すれば、テロリストにっとって、任務成功裏に完了だ。
      数百人が負傷。しかし誰もその爆破で死ぬわけじゃない。
マイクロフト:巧妙だろ?お前だって、ここ一年ほど、この件の切れ端を目にしていたはずだぞ。
      それとも、つまらなすぎて気が付かなかったか?

依頼人6:おじいちゃんが死んだとき、みんなあたしたちをおじいちゃんに会わせてくれなかったの。
      それって天国に行っちゃったから?

依頼人3:あれは叔母ではないと思うんです。すり替えられたんだ。間違いない。遺灰を見分けることができるんです。

マイクロフト:私たちは、ドイツ軍の時と同じようなプロジェクトを進行させていた。
      乗客の一人が、飛行機に乗せられなかったとしてもな。あの死体だよ。まぁ、どちらにしても手遅れだ。
シャーロック:どうやって飛行機を飛ばすんだ?ああ、ちろん、無人操縦だな。別に目新しくもない。
マイクロフト:飛ばないよ。プロジェクトは全面的にキャンセルされた。
      テロリストの方が、われわれが爆弾について感知したことを知ったのだ。
      こうなったら、もう意味がない。すべて台無しだ。あるメールの存在のせいで、
      何か月、何年にもおよぶ計画を、終わりにした。
シャーロック:あんたの…国防省の人間だろ。
マイクロフト:それは織り込み済みだ。「ある寂しくて繊細な男」が、ひとに見せずにはいられなかった…
      見せられた女の方は、彼が特別にされているとおもうに十分なほど、頭をはたらかせて、立ち回った。
シャーロック:あんたはもっと計画を注意深く扱うべきだな。
マイクロフト:国防省の人間のことじゃない、シャーロック、お前のことを言っているんだ。
      災厄の女。もう終わりだ。おまえ、本当に分かっているのか?こんなこと、教科書にだって書いてある。
      愛の約束、失う苦しみ、償いの喜び。男に謎を提供して、そいつを躍りまわるのを眺めている。
シャーロック:ふざけるな。
マイクロフト:ふざける?あのメールを、彼女のためにどれくらいで解読してやったんだ?1分かかったか?
      それとも、もっと格好つけたかったか?
アイリーン:5秒ほどだったわ。
マイクロフト:私がお前を彼女のところやってしまったことになるんだな。悪かった。知らなかったのだ。
アイリーン:ホームズさん、お話しませんとね。
シャーロック:そうだな。全てがぼくにとってクリアになったわけでなない。
アイリーン:あなたじゃないわよ、ぼうや。あなたはもういいの。用があるのはこっち。それこそ、たくさんの用がね。
      秘密や、写真、スキャンダル、全てがこの携帯に入ってる。あなたの大事な世界もひっくり返せる。
      私がどれほどの大騒ぎを起こせるか、想像もつかないでしょうね。私を止められる方法はただひとつ。
      あなたの弟が重大な秘密をリークしたことを、上に報告しない限りは…

 オフィス

マイクロフト:我々の力をもってすれば、この携帯を解体することだって出来る。
アイリーン:その点なら解決済みよ。シャーロックに6ヶ月預けて、確認させたもの。
      シャーロック、このカメラ・フォンをレントゲンで見たら、何が分かった?
シャーロック:ケースの内側に、四つの追加部品がある。劇物か、小型の爆弾だ。
      どんな方法にしろケースを開ければ、ハードドライブを焼き尽くす。
アイリーン:爆発するの。まだあるわ。
マイクロフト:データのどれかは修復可能だ。
アイリーン:リスクがあるわね。
マイクロフト:ロックを解除する暗号があるんだろ。残念だが、あなたからそれを聞き出す手段を実行せねばなるまい。
アイリーン:シャーロック。
シャーロック:暗号は二つ。一つは解除し、一つはドライブを破壊する。拷問にかけたところで、
      どっちの暗号を言うかはわからない。失敗したら次は無しだ。
アイリーン:いい子じゃない?縛り上げてやりたいわ。まぁ、そうしたも同然ね。
マイクロフト:破壊しよう。情報は誰の物にもならない。
アイリーン:どうぞ、いい考えね。あなたが破壊する情報に、英国市民の命がかかっているけどね。
マイクロフト:どうかな?
アイリーン:正直言って、私はもうこのゲームを続ける気はないの。これが、私の要求のリストよ。
      それに、私の安全も保証してもらうわ。国費に穴をあけるほどのもんじゃないって言ったけど。
      あれは嘘。枕を高くして眠りたいでしょう?
マイクロフト:ええ、そのとおり。どうも。
アイリーン:あらまぁ。もう大口はたたけないわね。
マイクロフト:なんとも、徹底的なものだ。我々のスタッフもあなたほ半分ほども優秀ならね。
アイリーン:それほどのことでもないわ。ちょっと助けてもらったの。ああ、ジム・モリアーティがよろしくですって。
マイクロフト:ああ、彼は注視している。実に興味深いし。こっちにもやりがいがある。
アイリーン:彼の助言がなければ、ここまで出来なかったわ。犯罪コンサルタントには感謝してる。
      ホームズ兄弟をもてあそぶ方法を色々アドバイスしてもらったわ。
      彼があなたたちのこと、なんて呼んでるかご存じ?アイスマンと、純潔くん。
      頼まれもしないのに、トラブルを起こすことが楽しいみたいね。ああいうの、タイプだわ。
マイクロフト:そして、きみは国家をも跪かせる支配者となったわけだ。よくやったもんだ。
シャーロック:いいや。
アイリーン:なんですって?
シャーロック:いいやと言ったんだ。惜しかったな。でも失敗だ。何もかも手にしたつもりだろうが。
      しかし、ゲームは巧妙すぎるし、きみ自身が楽しみ過ぎた。
アイリーン:そんなことはないわ。
シャーロック:追いかけられるスリルを味わうのは結構。ゲームで気晴らしをするのは、大いに共感するがね、
      しかし、センチメンタルなのはどうかな。センチメントは、負けた側に作用する欠点だ。
アイリーン:センチメント?なんのこと?
シャーロック:きみさ。
アイリーン:まぁ、なんてこと。可哀想な人ね。まさか、私があなたに入れ込んでるなんて思ってるんじゃないでしょうね。
      どうして?あなたはあのシャーロック・ホームズよ。変な帽子をかぶった賢明なる探偵でしょ?
シャーロック:違うな。きみの脈をみた。どんどん上がっていた。瞳孔も見開いていた。
      ジョン・ワトスンは、愛はぼくにとっての謎だと考えているんだろうけど、
      しかし化学は実にシンプルで、破壊的だ。最初に会った時、きみは言っただろう。
      最悪なのは自画像だって。なるほど、真実だな。金庫の暗号はスリーサイズ。
      でも、これはもっと、はるかに深い深い意味がある。きみの心の問題だ。頭で理解することは決して出来ない。
      まったくランダムな数字に設定して、さっさ終わらせて消えることだって出来たはずだ。
      でも、そうはしなかった。そうだろう?ぼくはいつも、愛は危険で、不便なものだと思ってる。
      ありがとう、その最後の証を見せてくれ。
アイリーン:私が今まで言ったことは、どれも嘘よ。ただ、ゲームをしていただけ。
シャーロック:そうだろうね。そして勝負に負けたんだ。(ロック解除画面 "I AM S H E R LOCKED")
      ほら、兄さん。この大迷惑なシロモノで、手数をかけることになるがね。
マイクロフト:そうだろうな。
シャーロック:親切心ってものがあるなら、彼女をこのまま行かせずに、拘束するんだな。
      彼女がその携帯という防御装置無しに長生きできるかどうか、疑わしいからな。
アイリーン:私に許しを請えっていうの?
シャーロック:そうさ。
アイリーン:…お願い。あなたは正しいわ。6ヶ月も命がもたないでしょうよ。
シャーロック:ディナー、ご一緒できなくて残念だ。

 ベーカー街221b隣りのカフェ

ジョン   :吸わないじゃないんですか?
マイクロフト:カフェにもめったに寄らないよ。
ジョン   :アイリーン・アドラーのファイル?
マイクロフト:永久に封印だ。私から弟に言おうか、それとも君から言ってもらった方がいいか…
      彼女はアメリカで証人保護プログラムに入っている。新しい名前に、新しい人格。命をながらえ、安全。
      しかし、シャーロックが彼女に会うことは二度とない。
ジョン   :構わないでしょ。最終的には軽蔑してた。名前すら言わない、ただ「あの女」とだけ。
マイクロフト:嫌っているから?それとも崇拝しているから?それとも、いわゆる「女」として?
ジョン   :シャーロックはそういうのは好きじゃない。そうでしょ。
マイクロフト:弟の頭脳は、科学者や、哲学者向きだが、選んだのは探偵だ。私たちはあれの感情をどう推理すればいい?
ジョン   :わかりません。
マイクロフト:私もだ。あれでも、小さい頃は海賊になりたがっていた。
ジョン   :シャーロックは大丈夫ですよ。その、証人保護プログラムで、二度と会えない。それでいい。
マイクロフト:同感だ。だから私も弟にそう話すことにした。
ジョン   :ほかに何か?
マイクロフト:彼女は死んだんだ。2ヶ月前に、カラチのテロリストに拘束され、首を切り落とされた。
ジョン   :本当に彼女ですか?前にもやっている。
マイクロフト:今回は徹底的に調べた。シャーロック・ホームズはともかく、私はな。
      あいつはあのとき、いつもとは違ったと思うのだが、どうだろう。さて…シャーロックに何と言おうか?

 ベーカー街221bの居間

シャーロック:ニュースがあるようだな。リーズの三連続殺人なら、犯人は庭師だ。なんで誰もピアスに気付かないんだ?
ジョン   :やぁ、あの、そうじゃなくて。アイリーン・アドラーのことなんだ。
シャーロック:へぇ。何だって?何か起きたか?戻ってきたとか?
ジョン   :いや、ただマイクロフトに下でつかまって。電話すりゃいいのに。
シャーロック:彼女、ロンドンに戻ってきたのか。
ジョン   :いや。その…アメリカにいるって。
シャーロック:アメリカ?
ジョン   :うん、どうやら証人保護プログラム下にあるらしい。なにがどうしたのかは分からないけど…分かるだろ。
シャーロック:何が。
ジョン   :きみがまた彼女に会いたいかなって。
シャーロック:どうしてまた会いたいんだ。
ジョン   :そう言わなかったか。
シャーロック:それ、彼女のファイルか。
ジョン   :ああ、マイクロフトに返してこないと。その…見るか?
シャーロック:いや、いい。
ジョン   :あのさ、実は…
シャーロック:ただ、そのカメラ・フォンだけくれ。
ジョン   :もう何も入ってないよ。調べ尽くされて。
シャーロック:わかってる。それでも持っていたいんだ。
ジョン   :マイクロフトに返さないと。…シャーロック、これはマイクロフトのだs、政府のものでもある。だから…
シャーロック:頼む。…ありがとう。
ジョン   :じゃぁ、これ返してくる。
シャーロック:うん。
ジョン   :あの後、彼女からメール来たか?
シャーロック:何ヶ月か前に一回だけ。
ジョン   :なんだって?
シャーロック:「さようなら、ホームズさん」
ジョン   :そっか。(退出)
(シャーロック、「あの女」からのメールを見直す。)
(メール:おなかがすいたわ。ディナーに行きましょう。ホテルで暇にしてるの。こない?一緒にディナーでも。
     ジョンのブログ、とても面白いわね。彼、私があなたが好きな以上に、あなたのことが好きなのよ。
    一緒にディナーに。部屋からタワーブリッジと月が見えるわ。ディナーをご一緒に…
     マントルピース…私は死んでないわ…さようなら、ホームズさん。

(カラチ アイリーンがメールを送ると、例の着信音が鳴る)
剣の男:逃げろと言ったら、走れよ。

シャーロック:あの女。あの女か。

(エンディング)