雅子が庭先に出てきたのは、健司が荷物を積み込んだ後だった。

白いピックアップトラックの荷台には、いくつかのダンボールと

すこし大き目のスポーツバッグがあった。

「もう荷物を積んだのね」

雅子が言った。

「うん」

健司が、雅子に目をやった。

「父さんから電話があったの、がんばれって」

「うん」

「それから、荷台にシートを掛けたほうがいいって、もう夜露が降りるから」

「そうかな、父さんが言ったの」

「そう、さっき倉庫の前に出しておいたから使って」

「わかった」

健司は、そう言いながら倉庫の方へ歩きだした。

夕日が健司の着ているTシャツを紫色に変えていた。

「夕ご飯、食べてから行くわよね」

少し大きな声で、雅子が健二の背中に向かって言った。

健司は立ち止まり、半身の状態で雅子を見た。

「そうする」

しばらく間をおいて、健司はそう答えた。