灰色の狭い空が、レトロスペクティブと呼ばれる港町に良く似合う。
プロムナードから続く跳ね橋に、行く手をさえぎられている僕がいる。
たとえば、
僕がこの町で暮らすとするならば、海の見える部屋を借りるだろう。
休日には、
コンチネンタルハンドルの自転車で、町の雑貨屋へ出かけるだろう。
仕事は、
門司港駅から電車に乗り、小倉まで行こうか?
白い定期船で、海峡を渡り、下関まで行こうか?
かなえられそうもない空想の中、跳ね橋は静かに降り始めた。