共有地に対する固定資産税の負担

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2015.5.27mf
弁護士河原崎弘
相談
父の遺産相続の結果、私と妹は土地を共有しています。私の持分は55/100、妹の持分が45/100です。ところが、市役所からは、私にだけ固定資産税の納税通知がきて、妹には来ていないようです。
私に来る税金は年約24万円です。私が24万円を支払えば、その45/100は妹に請求できるのでしょうか。

回答
不動産を共有している場合、固定資産税については、各自治体は、代表者に納税通知を送ります。代表者が決まっていない場合は、一番多く持分を持っている人に送ります。納税通知が来ると、受け取った共有者は、税金全額の納付義務があります。共有の場合、各共有者は、固定資産税全額について連帯して納付義務を負うからです(地方税法10条の2、第1項)。
相談者のケースでは、持分が一番多い相談者に全額の納税通知を送っているのですから、その45/100が、妹の負担部分です。相談者が全額を支払い、45/100の金額を妹に請求できます。共有者は、持分に応じて共有物の負担を負うからです(民法253条)。

なお、自治体によっては、「共有者全員の合意に基づく申請により、各共有者の持分に応じた納付書を送付する取扱いをする」所もあります。そうすると、持分に応じて各共有者(共有者全員)に納税通知を送ることになります。ただし、各共有者は、固定資産税全額について連帯して納付義務を負う原則は変わりません。

法律
地方税法第10条の2
共有物、共同使用物、共同事業、共同事業により生じた物件又は共同行為に対する地方団体の徴収金は、納税者が連帯して納付する義務を負う。
共有物、共同使用物、共同事業又は共同行為に係る地方団体の徴収金は、特別徴収義務者である共有者、共同使用者、共同事業者又は共同行為者が連帯して納入する義務を負う。
事業の法律上の経営者が単なる名義人であつて、当該経営者の親族その他当該経営者と特殊の関係のある個人で政令で定めるもの(以下本項において「親族等」という。)が事実上当該事業を経営していると認められる場合においては、前項の規定の適用については、当該経営者と当該親族等とは、共同事業者とみなす。
2010.6.27
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