親権と監護権の分属

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相談

1年前から別居し、私は、子供(3歳)を連れて、実家にいます。
夫から離婚調停を起こされました。離婚はいいのですが、夫も、私も、親権が欲しいので、もめています。最近、夫は、親権と監護権に分けて、「夫が親権を持ち、妻が監護権を 持ったら、いい」と主張しています。
この主張は、どのような意味を持ちますか。親権と監護権は、どのように違うのでしょうか。現在、依頼している弁護士に尋ねましたが、ピンときません。

回答

親権と監護権

親権は次の2つに分けられます。
 
@監護権
子の身上に関する権利(監護、教育をする権利、子の身のまわりの世話・教育・しつけ等の権利、民法820条)
具体的には、以下の権利です。
子に対する監護及教育の権利義務(民法第820条)
子に対する居住指定(民法第821条)
子に対する懲戒(民法第822条)
子に対する職業の許可(民法第823条)
A上記監護権を除いた親権
子の財産を子に代わって管理し、代理する権利および(養子縁組等)身分上の重要行為を代理する権利(子の財産管理権および代理権、重要行為代理権、民法第824条)
具体的には、以下の権利です。
子の取引行為の同意
子の取引行為の代理
子の財産の保存・利用・改良などの管理
子の代理人として身分上の重要行為をする  *下記東京高裁の決定参照

親権と監護権の分属

親権と監護権の分属とは、親権を、@監護権とA監護権を除いた親権に分けて、別人に与えることです。
具体的には、監護権者である母親が実際に子供を育て、父親が子供の財産の管理、代理および身分上の重要な法律行為をおこなうということになります。
親権と監護権の分属は、離婚に際し父母双方が親権を求めた場合の妥協の産物として、かっては、おこなわれていました。しかし、当事者が混乱する弊害があり、子のためにもマイナスですので、現在では、余りおこなわれておりません。
弊害が具体化した場合は、親権者変更の調停申立をすれば、監護者が親権者に指定されます。
従って、離婚に同意しても、親権と監護権に分けることには、同意しない方が良いでしょう。調停がまとまらなければ、手続きは審判に移行し、現在、母親が子供を監護していますから、母親が親権者に指定されます。

判決

2012.10.22
港区虎ノ門3丁目18-12-301(神谷町駅1分)河原崎法律事務所 03-3431-7161