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2022.12.18mf
弁護士河原崎弘

抵当債務の弁済後の求償

相談

8年前に2世帯住宅を購入しました。家族構成は、義父、義母、夫、私の4人です。 土地建物合わせて9000万円で、頭金3000万円を義父が現金で、残りの6000万円を夫がローンを組みました。ローンにつき義父が連帯保証人です。土地建物に抵当権がついています。 土地、建物の登記上の持分は、義父が 3/9、夫が 6/9です。
ところが、親たちが、私たちと住むのは「嫌だ、2世帯の意味もない、家を売りたい」と言い出しました。私と夫は、売却を考えています。不動産屋に尋ねると、土地建物の売却値は約7000万円で、私達の抱えるローン残高分約6000万円を支払って、仲介手数料(約200万円)などを支払うと、残りはほとんどありません。
それなのに、義父母は、売るときは頭金を返せと言ってきます。返せないなら訴訟までも考えているようです。
自分たちが、2世帯住宅を提案し、勝手に2世帯住宅は止めて頭金を返せとは身勝手で、納得できません。義父たちの言い分は当然と判断されるのでしょうか。
相談者は、弁護士事務所を訪れました。

弁護士の回答

購入資金を負担したとおりに登記をして、義父の持分は 3/9、あなたの夫の持分は 6/9は、当然です。 家を売却した場合は、本来は、代金をこの割合で、分けます。そうすると次のようになります。
義父の取り分 (7000万円−200万円)×3/9≒2266円
夫の取り分 (7000万円−200)×6/9≒4533円

しかし、土地建物には抵当権が設定されているため、売却代金全額をローン返済に充てます。抵当権者(銀行)には優先権があり、抵当権者の同意がないと抵当権の抹消ができず、売れません。
義父は、自分の受取るべき代金を受取れず、その部分もローン返済に充てられます。義父は他人(ローンの借主)の債務を弁済することになります。 義父は、夫に2266万円請求できることになります。
今、現実には、残ったお金は、7000万円−6000万円−200万円=800万円です。

義父は、他人(夫)の債務(ローン)につき、自己の不動産(持分)につき、抵当権を設定した物上保証人なのです。ローンは、義父の債務ではないのです。
従って、義父は、この800万円を取得し、さらに、夫に対し残り1466万円を求償できます。 ローン借主(夫)は、その分を義父に返済する義務があります。残念ですが、義父の言うとおりですね。
弁護士宛メール
2010.12.8