管理費を滞納した区分所有者の倒産

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Last update 2016.2.17mf
弁護士河原崎弘法律事務所
相談:不動産
私はマンションの管理組合の理事長をしています。当マンションの1室を所有している会社が倒産しました。この会社は管理費と修繕積立金を6か月ほど滞納しています。
この度、この会社を整理するので、この会社の債権者委員会から、「債権者委員会に整理を委任するとの委任状に捺印すること」と「債権届出をすることを」を求める通知が来ました。
管理組合としてこの書類を出すべきでしょうか。
相談者は、市役所の法律相談室において、弁護士に相談しました。

回答
この会社は債権者委員会の管理のもとに残余財産を債権者に分配(配当)して消滅します。配当は、通常、債権額の 1 割以内です。マンションのこの室はいづれ競売されるでしょう。滞納している管理費と修繕積立金については、 競売 などで室を買い受けた新しい所有者が責任を負います(建物の区分所有等に関する法律 8 条)。
新所有者が払わない場合は管理組合に先取り特権がありますので、建物を競売して優先的に弁済を受けることができます(建物の区分所有等に関する法律 7 条1項)。従って、管理費などは、ほぼ、確実に回収できます。
債権者委員会に整理を委任するとの委任状を出した場合、債権者委員会は、これを使い、管理組合が持つ債権を自由に処分できます。例えば、「債権者委員会から配当を受けることと引換えに残債権を放棄する」との契約をされる危険があります。その場合は、新所有者に対し旧所有者が滞納した管理費を請求できなくなります。
債権届出はしても、委任状は出すべきではありません。
なお、管理費の滞納を防止するためには、規約の中に「管理費の不払いの場合には、支払い期日の翌日から支払済みまで年 15 %の遅延損害金を付加して支払う」との条項を入れるとよいです。

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