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            | 【公正証書原本不実記載等】 |  
            | 第157条(公正証書原本不実記載等) |  
            | 1 | 公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 |  
            | 虚偽の申立をし、登記簿、戸籍簿などに虚偽の記載をさせた場合です。
 
 
 
              ・・・・名義の養子縁組届一通の偽造を遂げた上、同月一四日、東京都台東区東上野《番地略》台東区役所において、同区役所係員に対し、これを真正に成立したかのように装い提出行使して、BとIとの養子縁組が成立した旨の虚偽の申立てをし、そのころ、同所において、情を知らない同区役所係員をして、公正証書の原本であるBの戸籍の電磁的記録にその旨記録させた上、即時同所において、これを備え付けさせ、もって、公正証書の原本としての用に供した。・・・縁組意思を欠く無効な養子縁組をした被告人が、縁組後の氏名により消費者金融業者借入基本契約書申込書等を作成提出して、キャッシングカードの交付を受けた事案について、 有印私文書偽造、同行使、電磁的公正証書原本不実記録、同供用、詐欺、窃盗の罪が成立するとされた(東京地方裁判所平成15年1月31日、判例時報1838号158頁)
 
                他人名義の養子縁組届一通の偽造は有印私文書偽造罪
                それを区役所に提出する行為は、有印私文書行使罪
                同時に、これによって、戸籍に虚偽の養子縁組を記載させるのは電磁的公正証書原本不実記録罪
                キャッシングカードの交付を受ける行為は詐欺罪
                キャッシングカードを使って現金自動入出金機から現金を引出す行為は窃盗罪
               罪数
 金融会社に対する申込書の有印私文書偽造、同行使、詐欺については順次手段結果の関係(牽連犯)があるので、それぞれ一罪として最も重い詐欺罪の刑で処断。ただし、短期はいずれも偽造有印私文書行使罪の刑のそれによる。
 区役所に対する養子縁組届けの有印私文書偽造、同行使、電磁的公正証書原本不実記録及び同供用については、順次手段結果の関係(牽連犯)があるので、一罪として刑及び犯情の最も重い偽造有印私文書行使罪の刑で処断)
 両者は併合罪の関係
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