婚姻費用、養育費請求事件の弁護士費用

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2015.5.15mf

相談:養育費、婚姻費用請求事件の弁護士費用

家を出た夫から、離婚調停の申立がありました。私も弁護士を依頼しました。弁護士の勧めで、婚姻費用の調停を申立、離婚調停と同時進行してもらうことになりました。
離婚調停の申立は、着手金30万円、報酬30万円と取り決めました。婚姻費用の調停は、着手金なし、報酬は、経済的利益の15%となっていました。 この場合の、経済的利益とは何でしょうか。

回答

養育費請求事件、婚姻費用請求事件で、報酬を経済的利益の15%と決めた場合、基になる経済的利益の額を決める必要があります。

(経済的利益は、7/10、あるいは、70%)

弁護士会が決めていた(廃止された)報酬会規では、継続的給付の場合は、経済的利益は総額の10分の7、あるいは、7年分の額となっていました(17条3号)。
これを参考にすると、月額20万円の婚姻費用の場合は、経済的利益は1680万円(7年分)となります。
この金額を基準に(経済的利益とし)、252万円を請求した弁護士が、実際、いました。依頼人が相談に来ましたので、考えましたが、常識的に金額が多すぎる感じがしました。

(法テラスの基準は2年分)

他方、法テラスの基準を見ると、扶養料(婚姻費用、養育費)については、総額の2年分を経済的利益とし、報酬割合は、1割(消費税は別)としています。相手が、暫定的に、養育費を支払った場合は、その金額の1割をプラスします。
これを参考にすると、20万円の婚姻費用の場合、経済的利益は480万円(2年分)になります。報酬は、48万円(消費税別)となります。

(結論)

養育費などは、最高20年間に支払われるものですから、2年分は、少なすぎる感じはします。しかし、婚姻費用、養育費は、生活費ですから、 ここから、多額の弁護士報酬を受けるのは、妥当ではないでしょう。
結論として、3年分の1割、2年分の1.5割くらいが適正でしょう。
養育費、婚姻費用は、将来にわたって、分割して支払われるものなので、事件終了時には、依頼人に現実の給付がなされていないのです。現実に給付がなされなくとも、現実の給付を受ける権利を取得したとの意味で、調停成立、審判確定の際に、経済的利益があったといえます。
しかし、現実的給付がないので、依頼人は、弁護費用を支払うことができません。
法テラスでは、他に慰謝料など給付があれば、そこから、養育費などの報酬を支払う。慰謝料などがない場合は、養育費などが現実に支払われた際に、報酬を支払うとの扱いをしているようです。
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2013.8.6
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