管理組合で裁判するには誰が担当するか、手続きは
弁護士(ホーム)
>
不動産の法律相談 >
mf
相談:不動産
私は、マンションの管理組合の理事長をしています。このマンションの区分所有者で、管理費、修繕積立金を、ほぼ、5年分滞納している人がいます。
管理費などの時効は5年ですので、時効を中断しなければ、いけないと理事会で、もめています。
誰が、どのような手続きをしたら、よいでしょうか。
回答
管理費などの消滅時効は、5年であると、最高裁の判例でも確定しています。
マンションの管理費請求の訴訟は、団体としての意思決定ですので、当然、理事会あるいは区分所有者の集会の決議が必要です。
手続きの問題として、管理組合が法人登記してあれば、登記簿謄本を提出して原告になれます。
登記をしてなければ、権利能力なき社団としての実体があること、および、理事長に代表権があることを、集会議事録、理事会議事録等を提出して証明する必要があります(民事訴訟法29条、民事訴訟規則14条)。従って、法人登記をしていないと、若干、必要な書類集めが面倒です。
さらに、規約又は集会の決議で、「管理組合の理事長を管理者に決め、管理者が原告として訴え提起できる」と決めてあれば、管理者の名前で訴え提起ができます(建物の区分所有等に関する法律25条1項、4項)。
多くの規約では、理事長が管理者となっています。
そこで、誰が手続きをするかですが、
当事者(申立人、原告)となるのは、管理組合の理事長か、あるいは、管理組合です。管理組合が登記してない場合は、理事長が原告になる方が、手続き的に簡潔です。
- 管理者(通常は、管理組合の理事長)が当事者となる(建物区分所有権に関する法律26条4項)。管理者が原告として訴えを提起することにつき規約または集会で決まっていることが前提です。裁判所へ規約または集会の議事録を提出する必要があります(民事訴訟規則15条)。
- 管理組合が登記してあれば(管理組合法人)、管理組合法人が当事者となる(47条8項)。
登記していない場合は、規約などを出し、権利能力なき社団の実態があることを証明(規則14条)できれば、管理組合が当事者となる(民事訴訟法29条)。
手続きは次のものがあります。弁護士に依頼する方がいいでしょう。
- 先取特権に基づく競売申立て(建物区分所有権に関する法律7条)
これは、要件が厳しく、なかなか、認められません。
- 支払い督促(民事訴訟法383条)
簡便な手続きですが、相手が異議を出すと、通常の訴訟になります。
- 訴えの提起(民事訴訟法133条)
管理費などを決めた、総会の議事録を証拠として提出して、被告の支払い義務を証明します。
虎の門(神谷町駅1分) 弁護士河原崎弘 3431−7161
登録 2006.6.14