マンションの収益事業に課税
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2012.3.25mf
相談:不動産
私は、マンションの管理組合の役員をしています。このマンションには、管理費および修繕積立金の外に、区分所有者用駐車場(年800万円)、来客用駐車場(年500万円)、屋上看板(年1200万円)などの収入があります。
最近、隣のマンションが、税務署から収益事業として約1000万円の課税をされました。
そもそも、マンションの管理組合に課税されるものでしょうか。当マンションの場合はどうでしょうか。
以下は、管理を頼んでいる管理会社の顧問弁護士の回答です。
回答
マンションの管理組合は登記されると法人ですが、登記されない段階では権利能力なき社団です。権利能力(人格)なき社団は、法人税法上では法人とみなされます(法人税法3条)。
権利能力なき社団の場合、収益事業以外の収入には課税されません(法人税法7条)。従って、収益事業は原則的に課税されます。
マンションの場合、内部からの収入(区分所有者からの駐車料金収入)は、課税されません。しかし、外部からの収入は課税されます。
内部の人と外部の人に貸している場合は、従来は、全体が収益事業と見られ、課税されていました。
今後は、駐車場については、内部の区分所有者に対する賃貸の収入は、区分所有者が優先されている場合には、課税されません。国税庁の見解はここにあります
駐車場業(法人税法施行令5条1項31号)、不動産貸付業(同令5条1項5号)は収益事業にあたります。この場合、法人税が課税されるのは、来客用駐車場収入(外部の者に対する貸出し)、屋上看板収入です。その外に、消費税が課税されます。
裁決例
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国税不服審判所平成25年10月15日
裁決
(3)争点3 本件団地の共用部分の賃貸は、収益事業(不動産貸付業)に該当するか否か。
イ 法令解釈等
人格のない社団等は、収益事業を行う場合に限り、当該収益事業から生じた所得についてのみ法人税が課される(法人税法第4条第1項)ところ、収益事業とは、販
売業、製造業その他法人税法施行令第5条第1項に掲げられた34事業に該当する事業で、継続して事業場を設けて行うものをいう。そして、当該34事業の一つであ
る「不動産貸付業」(同項5号)とは、不動産を他の者に利用させ、対価を得る事業のことであり、賃貸借契約に基づいて土地や建物の一部を他の者に使用させる行為
なども、これに当たることがある。法人税基本通達15−1−17が、同項の不動産貸付業には、店舗の一画を他の者に継続的に使用されるいわゆるケース貸し及び広
告等のために建物その他の建造物の屋上、壁面等を他の者に使用させる行為なども含まれるものとしているのは、かかる趣旨を明らかにしたものであり、当該通達の取
扱いは、当審判所においても相当と認める。
ロ 判断
上記1の(4)のロのとおり、請求人は、本件団地の共用部分である塔屋の一部を賃貸して本件賃貸収入を収受しているところ、上記イのとおり、法人税法上の不動
産貸付業とは、不動産を他の者に利用させ、対価を得る事業のことをいい、建物の屋上や壁面等不動産の一部を他の者に使用させて対価を得る行為も不動産貸付業に含
まれ得る。そして、請求人の行った当該共用部分の賃貸は、営利目的で、建物の一画である塔屋の一部を、本件団地建物所有者以外の第三者に賃貸し、継続的に電気通
信事業に関する基地局等の設備設置のために使用させて、対価を得るものであると認められるから、不動産貸付業に該当する。
また、貸付けの対象である本件共用部分である塔屋の一部が、上記不動産貸付業の事業場に当たることは明らかであり、上記不動産貸付業は法人税法第2条第13号
にいう収益事業に該当する。
虎の門3丁目(神谷町駅1分) 弁護士河原崎弘 3431−7161
2004.11.14