競落不動産の買受人と賃借人の優劣/引渡命令
(平成16年3月31日まで)

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2015.12.1mf更新

ご注意
民法395条が改正され、平成16年4月1日から、不動産競売において、短期賃貸借人の権利は弱くなりました。
ここに書いてあることは旧制度(平成16年3月31日までに締結された短期賃貸借契約)の場合です。 新制度、平成16年4月1日以降に締結された短期賃貸借契約 の場合は違います。

相談:不動産
建物を借りています。貸主が銀行からの借入れの返済を怠り、建物が差押えられ、競売になりました。
借主は、引続き借りていることができますか。契約終了の場合、敷金は返してもらえますか。契約は2年で、契約書もあります。

弁護士の回答
差押前に建物を借りていた場合の優劣(差押さえ後の賃借人は保護されません)
注意短期賃貸借とは、建物の場合、期間が3年以内の賃貸借契約です。建物の場合、期間の定めのない賃貸借契約も入ります(民法602条)。
短期賃貸借が差押前に期間満了し、法定更新した場合はB(期間の定めない賃貸借)に当たります。
短期賃貸借が差押前に期間満了し、契約更新した場合は、そのときに期間を決めれば、期間の定めある短期賃貸借、期間が決めていない場合はBに当たります。


関連相談
裁判所の競売に入札しようと考えています。 入居者がいますが、立ち退かせることができますか。

回答
競売で 不動産を買う 場合は、 上記基準で、引渡命令が出るか、チェックしてください。
平成8年の民事執行法83条の改正により、(平成8年9月1日以後に申し立てられた)改正法適用事件については差押後に期間が満了した場合、短期賃借人に対して、引渡命令が出るようになりました。

判例

参考文献
判例タイムズ921号118頁


民法第602条〔短期賃貸借〕
処分につき行為能力の制限を受けた者又は処分の権限を有しない者が賃貸借をする場合には、次の各号に掲げる賃貸借は、それぞれ当該各号に定める期間を超えることができない
樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借 10年
前号に掲げる賃貸借以外の土地の賃貸借 5年
建物の賃貸借 3年
動産の賃貸借 6箇月


現行:民事執行法第83条(引渡命令)
執行裁判所は、代金を納付した買受人の申立てにより、債務者又は不動産の占有者に対し、不動産を買受人に引き渡すべき旨を命ずることができる。ただし、事件の記録上買受人に対抗することができる権原により占有していると認められる者に対しては、この限りでない。
買受人は、代金を納付した日から6月(買受けの時に民法第395条第1項に規定する抵当建物使用者が占有していた建物の買受人にあつては、9月)を経過したときは、前項の申立てをすることができない。
執行裁判所は、債務者以外の占有者に対し第1項の規定による決定をする場合には、その者を審尋しなければならない。ただし、事件の記録上その者が買受人に対抗することができる権原により占有しているものでないことが明らかであるとき、又は既にその者を審尋しているときは、この限りでない。
第1項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
第1項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。

旧:民事執行法第83条(引渡命令)
執行裁判所は、代金を納付した買受人の申立てにより、債務者又は事件の記録上差押えの効力発生前から権原により占有している者でないと認められる不動産の占有者に対し、不動産を買受人に引き渡すべき旨を命ずることができる。ただし、事件の記録上差押の効力発生後に占有した者で買受人に対抗することができる権原により占有していると認められるものに対しては、この限りでない。
買受人は、代金を納付した日から6月を経過したときは、前項の申立てをすることができない。
執行裁判所は、債務者以外の占有者に対し第1項の規定による決定をする場合には、その者を審尋しなければならない。ただし、既にその者を審尋しているときは、この限りでない。
第1項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
第1項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。


以下、作成中

登録 2002.8.11