物上保証人の責任/銀行員の謀略

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2017.11.9mf

相談:無担保債務

私は、会社を経営しています。 この度、不動産を売却して債務を整理しようと考えています。
今、時価約7千万円の不動産(アパート、無担保)を売る計画を立てています。
銀行にこの話をしたところ、A銀行は、「一部の債務に担保を付けてくれ。売却には協力する」と言ってきました。A銀行には、400万円の債務、300万円の債務、3500万円の債務と、3本の債務があります。全部無担保です。
A銀行は、「400万円の債務だけに抵当権を設定して欲しい。売却時に、400万円だけを払ってくれればいい」と言います。
7千万円の使い道は、計画を立てていますが、売却の際、売却代金から、400万円だけをA銀行に支払うことで済むなら、認めようと考えています。いかがでしょうか。
相談者は、友人に紹介された弁護士事務所を訪れました。

回答:抵当権抹消の委任状をもらえないおそれ

あなたが自分の所有する不動産(土地や建物)に抵当権を設定し、担保提供した場合、不動産によって、担保された債務(被担保債務)を弁済すれば、その不動産の負担(抵当権)はなくなり、自由に売却できます。これが法律の回答としては正しいでしょう。

ただし、売却の際、銀行が、他の無担保債務の弁済を求め、抵当権抹消登記の委任状を発行しなかったら、どうでしょう。
所有者は、事実上、不動産を売ることはできなくなります。実際、売却の際、銀行が、「被担保債務(抵当権を設定した債権)だけではなく、他の無担保債務も支払ってくれ」と要求し、抹消登記の委任状を発行しなかった例がありました。抵当権を抹消するには、裁判をする必要が出てきます。そんな時間的余裕はないでしょう。

あなたのケースでも、あなたが、「担当者は、『売却時に、400万円だけを払ってくれればいい』と約束してました」と主張した場合、銀行は、「担当者は、転勤しましたので、わかりません」と答える可能性があるのです。さらに、この約束が書面にしてあっても、銀行が、抵当権抹消登記の委任状を発行しなかったら、事実上、あなたは、窮地に追い込まれます。
400万円の債務に、抵当権の設定することは、危険と言えます。

そこで、妥協案として、担保を設定せず、不動産売却時に、400万円を弁済すると約束したら、いかがでしょう。


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2006.3.31