切手で見るリュート、ギターの歴史 その3

ロマン派から現代ギター音楽へ


ロマン派の音楽は音域とダイナミズムの拡大により、大型化しギターは、その表現にはどちらかと言うと不向きでした。それでも民衆楽器と細々と息づいていたギターを蘇生させてのは、フランシスコ・タルレガ(1852−1909)でした。

 
フランシスコ・タルレガ(1854-1909) スペイン1977.2.22

彼が生きた時代は、グスタフ・マーラ(1860−1911)と同時代でした。この時代は、演奏に2時間を要するような巨大交響曲、ワーグナーの楽劇等ロマン主義は後期に入り極限まで肥大していました。一方で、小市民的なサロン音楽もフレデリック・ショパン(1810−1849)のピアノ作品の様に隆盛しており、タレルガもギターに弦への右手のタッチ、左手の運指の工夫により、ピアノ音楽以上に多彩で繊細な表現を可能にして、サロンの音楽としてギターを人々に新たに認識させたのです。また、民族音楽の勃興により、スペイン音楽の特色を強烈に作品に引き込みました。



セゴビアの登場




 アンドレス・セゴビア(1893−1987)は、20世紀を代表する巨匠ですが、これの功績は、タレルガの音楽がサロン音楽の域にとどまっていたのを、特に右手の指のタッチの工夫により、豊かな音量と多彩な音色を可能にし、さらに巧妙な編曲や作曲家への作品委嘱により作品のレパートリーの拡大した事です。モダン・スパニッシュギターの採用(トルレスに始まり、ホセ・ラミレスで完成された)とテクニックの駆使により大オーケストラとの共演も可能になりました。

 

アンドレス・セゴビア(1893-1987) スペイン 1993.2.19

 

ヴィラ・ロボスが開いた新しい境地





ヴィラ・ロボス(1887−1959)は20世紀前半を代表するブラジルの作曲家で生涯で3000曲を作曲し、作品の数では大バッハに匹敵すると言われています。ギター音楽では、自らギターを演奏した事もあり、楽器をしりつくしており、5つの前奏曲、12の練習曲、ブラジル民謡組曲、ギター協奏曲を作曲しました。多彩で斬新的な作品は、ギターに新しい命を吹き込んでいます。セゴビアとも密接な交流があり、作品も彼に捧げられたものがあります。

ヴィラロボス生誕100年記念  1987年ブラジル



ヴィラ・ロボスとブラジルの音楽家達 1977年ブラジル



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