【山域山名】 宮之浦岳(屋久島)
【山行形態】 縦走
【山行日程】 1998年2月24日(火)〜28日(土)
【メンバー】 住吉 匡 

 今回は天気待ちが出来るように十分な日程(11日間)をとった。今年は天気が悪く、昨年の12月から雨続きで先月は2日しか晴れていないとのこと。週間予報を見ると週末まで雨模様であるが、それまで待っても屋久島においては好天の保証があるわけもなく)、モチベーションが下がらないうちにと、結局屋久島上陸後すぐに入山することにした。

2月24日(火) 雨のち曇り

宮野浦港──楠川(バス停)──楠川歩道入口──林道出合──白谷山荘(825m) 【4:45】
10:10
11:10
12:25


14:55

屋久島は2月でも暖かいので、腕まくりをしています。
 前日は船の欠航で、鹿児島で足止め。朝一番の船(トッピー)に乗り、10:10屋久島宮之浦港着。港でポリタンに水を汲んでいたら、バスが行ってしまった。次の便は1時間30分以上後なので、仕方なしに歩く。歩き始めるとすぐに雨が降り出す。気温が高くカッパを着たら暑そうなので、傘をさして歩いた。途中暑くてアンダーシャツ一枚になり、更に腕まくりをした。1時間で楠川のバス停。ここの待合室でスパッツを装着。しかし、ここを出発するころ雨は止んだ。しばらくアスファルトの道を歩き、12:25楠川歩道入口。その後あまり面白くもない樹林帯を歩く。ピンクのテープが非常に短い間隔で付いる。14:55白谷山荘着。ここまで誰にも会わなかった。小屋の入り口のドアは開いているが、誰もいない。小屋の周りにはゴミが結構捨てられていて残念。その後、雨が降り出す。なんか作りの良くない小屋だ。一人だからまー良いか。小屋を挟んで沢が2本流れているので水汲みは楽。


greenbal2月25日(水) 雨のち曇り

■白谷山荘(825m)──辻峠──楠川別れ──ウィルソン株──縄文杉──新高塚小屋(1,480m) 【6:15】
6:50




9:40
11:30
13:05

 夜中に外に出ると満点の星。しかし、次に見たときは真っ暗闇に戻っていた。4:00起床。6:00には出発の準備が出来たが、鬱蒼としたこの小屋の周りは真っ暗。仕方がないのでラジオを聞いて時間を潰す。この日は屋久島の多雨、高温対策としてジャージは脱いで、股引の上に直接カッパを履いた。スパッツもつける。6:50頃なんとか出発する気になるくらい明るくなった。辻峠に行く途中で2回、鹿に出会う。立派な角が生えている奴もいる。楠川別れからトロッコ道を歩く。ここで初めて他の登山者(といっても縄文杉までだが)に出会う。トロッコ道から屋久島らしい?森の中を歩く。苔とそこら中から湧き出る水。そして杉の大木(こういう森が上部まで続くと思ったが、そうではなかった。)。9:40ウィルソン株。でっかい切り株の内部はすっきり穴が開いている。この中に入るとなんと水が湧き出ている所がある。この先何人もの縄文杉見学散策者に出会う。こんなに人がいるとは驚き。11:30縄文杉。この周囲には階段や展望台が作られており、近づくことや触ることは出来ない(昔は出来たそうだ)。ここで大休止。団体の人の声が聞こえてきたので、出発する。5分程で高塚小屋。覗いてみると寝袋が一つ広げてあったが、人は居なかった。新高塚小屋の手前に昭文社の地図にはない正規の水場がある。小屋にある水場は水量が少ない。しかし、ここから小屋まで水が引かれていたのでとても便利だった。13:05新高塚小屋着。小屋全体に苔が生えた感じで随分と古い小屋に見えるが、建てられたのは数年前だ。湿気が異常に高いために小屋全体の腐食が進んでいるような感じで、小屋の中もなんだかカビ臭い。軽微な雨漏りの跡も見受けられる。ここの小屋の周囲にも結構ゴミが捨てられていてがっかり。この日もまた、雨が降り出す。


2月26日(木) 雨のち氷雨のち曇りのち晴れ

■新高塚小屋(1,480m)──第一展望台──第二展望台──焼野三叉路──宮之浦岳(1,935m)──
7:30






10:25

──黒味岳分岐──黒味岳(1,831m)──黒味岳分岐──花之江河──淀川小屋(1,360m) 【7:50】







14:00
15:20

宮之浦岳山頂にて。
屋久島でも山の上は寒かった・・・。
 昨日から降ったり止んだりだが、4:00頃、風雨強く、今日の出発を悩む。5:10起床。7:30頃雨は小降りになる。雨具上下+スパッツを装着して出発。樹林帯の中を歩く。第一展望台付近では風が当たる。かなり強い風が吹いていて気が引き締まる。ガスも出て視界は効かない。笹が出てきて登山道をすっぽり覆っている。非常に解りづらい所もある。メジャーな山なのでこれは予想外。これらの笹にはびっしりと露が付いていて、カッパの撥水はすぐに効かなくなり、ナイロン地にしみ込み冷たい。
 平石から上はふきっさらしで、氷雨が降り出し顔を叩く。それほど濃くないがガスも出ていて、結構シビアな感じになってきた。登山道を完全に被っている笹もバリバリに凍っている。この辺で濡れた軍手を交換して、オーバーグローブも付けようとしたのだが、フリースの換え手袋は着替えと共にザックの奥にしまっていることに気が付いた。仕方ない(凍傷になるような気温でもないし)ので、濡れた軍手を絞ってその上からオーバーグローブをはめた。途中頭上まである笹が体ごとぶつかっていってもビクともしない箇所があり、一瞬引き返そうかと思った所があった。ここは、ザックを下ろして、地面にひざまずき、下からくぐって通過。この辺はもう全身氷片まみれである。上に行くに従って笹に付いている樹氷も見事に発達している。山頂直下の大きな岩にはびっしりとエビのしっぽが付いていて、まるで八ヶ岳やアルプスのようだ。10:25宮之浦岳山頂。風、ガスがあり、展望なし。時折青空が除くが、頭上のみで永田岳方面が見えるという気配もない。ここからの下降もしばらく凍った笹の中を歩くことになりそう。20分待ってガスが切れそうもなく、寒いので下ることにする。
 濡れた笹がうっとうしい。スパッツまでしているのに、靴の中まで濡れてきた。下るにしたがい、ガスも晴れる。見晴らしの良い所で、休憩していると登山者が見える。彼らは「あっ人だ。」なんて言ってるのが聞こえる。どこか(前回の南アルプス)で聞いたセリフだ。鹿児島大学のパーティー(男2女3)だった。彼らは旧安房歩道のトロッコ道を利用して登ってきたそうだ。ここから正面に見えるのが黒味岳。靴の中びしょ濡れだし、登るの止めようと思っていたけど、日当たりが良く暖かそうなので、分岐で登ることにした。荷物をここに置き、カメラと三脚をもって山頂へ。風は強め。宮野浦の方(北側)からガスが流れてくる感じで肝心の部分は見えない。南側はよく見えて、海も見えた。風が強いので結構寒く残念。風が強いので三脚も立てられず、自分で自分を写した。14:00花之江河。ここにしかない植物とかあるそうだけど、良く解らない。普通の湿原。ここからの下りは階段が付けられていて、結構疲れる。小屋手前の淀川が薄いエメラルドグリーンの穏やかな川で、すごくきれい。15:20淀川小屋着。この小屋は一番まとも。
 小屋に着いて装備を干していると、がやがやと話し声が聞こえてくる。おじさんパーティー(5人)が登ってきた。鹿児島大パーティーもやって来た。彼らは明日沢登りに行くそうだ。


2月27日(金) 晴れ

■淀川小屋(1,360m)──淀川入口──鯛之川出合──ハイキングコース分岐──尾之間温泉 【7:30】
7:10


9:55
13:20
14:40

 5:20起床。まず鹿児島大パーティーが出発。外を覗くと、円陣を組んで何かやっていた。少し不気味。続いておじさんパーティーが出発。7:10最後に出発。7:50林道出会。鯛之川の徒渉は、増水時不可能なんて書いてあるので、少々気がかりだ。そこで引き返すにしても2時間以上の登り返しが待っているし。南斜面は平成3年の台風の影響か倒木が多いが、最近人が入った跡(チェーンソーによる木の切りくず)がある。気にかけていた鯛之川出合に9:55着。楽勝で渡れる。といっても少し大回りしたけど。やっぱり増水時はすぐ渡れなくなりそう。下るにしたがい、南斜面ということも手伝って、暑さが増す。ほんと暑い暑い。途中海が見える所で休憩する。13:20ハイキングコース分岐。疲れたので、蛇ノ口滝はパスする。尾野間温泉に14:40。ベンチに装備を広げた後、温泉で疲れを癒す。とても良い湯で、ここに下りて来た甲斐があった。


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