危機管理センター/バイオハザード/(掲示板)/エイズ/日本のHIVワクチン |
バイオハザード 〔AIDS〕 HIV克服=先進国の・・・重い使命と、重い責任!
= 来年にも臨床試験へ = センダイ・ウイルス に・・・ HIV・遺伝子を組み込んだワクチン! |
トップページ/Hot Spot/Menu/最新のアップロード 担当 : 夏川 清一/里中 響子 |
プロローグ |
・・・・・日本で発見されたセンダイ・ウイルス・・・・・ |
2010. 5.18 |
No.1 | 〔1〕 現在/AIDSは・・・どのような状況なのか? | 2010. 5.18 |
No.2 | 〔2〕 それは/・・・どのようなワクチンなのか? | 2010. 5.25 |
No.3 | <鼻から吸引する・・・ワクチン> | 2010. 5.25 |
No.4 | <国際エイズワクチン推進構想/ IAVI > | 2010. 5.25 |
参考文献 日経サイエンス /2010 - 06
フロントランナー/俣野 哲郎 (東京大学/医科学研究所 感染症国際研究センター.....教授) 日本のエイズワクチンを、臨床試験へ
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プロローグ 「ええ...《バイオハザード》/担当の、夏川清一です... “ワクチン後進国”と嘆かれることの多い日本ですが...世界が待望する“HIV(エイズウイルス)・ ワクチン”の実現へ向け...“日本開発のワクチン”が、臨床試験の運びとなっています。 これは...日本/東京大学/医科学研究所/俣野哲郎(またの・てつろう)・教授たちが...日本 で発見されたセンダイウイルスに、HIV・遺伝子を組み込み、開発したものです。 最有力だった、アメリカ/メルク社の“HIV・ワクチン”/候補は...アデノウイルスにHIV・遺 伝子を組み込んだものでしたが、2007年の臨床試験で失敗しています。さあ、その教訓も考慮 されているのでしょうが...臨床試験は、どのような結果になるでしょうか。 早ければ、来年にも...アメリカにおいて...治験(ちけん/治療の効果・・・臨床試験により、薬物の効果を 検定すること)が始まるということです。アメリカ/メルク社のワクチン候補と、基本的にはあまり違い はないようですが、違うところもあるわけですね。 良い結果を、期待しましょう。こうした努力の積み重ねが、いずれ“HIV・ワクチン”の確立につ ながって行くわけです...」
〔1〕
現在/AIDSは・・・どのような状況なのか?
「あ、おはようございます。響子です... 《エイズ・掲示板》も含めて、《エイズのページ》は、これで6つ目になるわけですね。“エイズ の・・・ワクチン療法”についても...“エイズの・・・薬物療法”についても...“狡猾な・・・HIV・ウ イルス”についても...そして、“本来・・・アフリカの1地方の風土病だった・・・起原”...につい ても...AIDS(エイズ)の全体像が、私たちにも見えてきたと思っています。 さて、現在...季節性インフルエンザなどを除いて...AIDS、結核、マラリア、コレラなどの 感染症が...世界的大流行/パンデミックの状態になっています。中でも...現代文明の様々 なひずみを反映しているAIDSは、克服することが、緊急の文明的課題となっています。 でも、夏川さん...実際のところ...今/現在...どのような状況なのでしょうか...?」 「そうですね... 私たちも、様々に紹介してきたわけですが...ここ20年で、“エイズ治療は・・・劇的に進歩”し ています。“発病を・・・長期にわたって防ぐことが可能となっている先進国”では...“感染者の 余命は・・・人口全体の平均寿命に迫る”...という状況になっています。 ただ、欧米の先進国とは違って...“日本は・・・現在も新たな感染者が増加”...しています。 先進国では異例の状況です。したがって、日本では...“一般社会に対して・・・さらなる啓蒙と ・・・予防・検査・治療システムの・・・改善”...が強く求められます...」 「うーん...」響子が、コブシを口に当て、頭をかしげた。「本当に、そうですね... 日本は、マスコミ等の影響で...“社会全体が・・・軽薄化の方向へ・・・流れて行く観”... があります...でも、あらゆる問題でそうですが、“国民自身が・・・社会に毅然と対峙”、する ことが、必須の時代になって来ました。 AIDS(エイズ)問題でも...“差別・偏見”がないように...“社会的リスクを・・・社会全体で 克服して行く・・・連帯意識”...を育てて欲しいと思います。 今...〔日本/日本国民〕は...非常に重大な岐路に、立っていますわ。国民自身が、歴 史的な日本文化を背景として...“毅然として・・・社会構成を維持”、しなければなりません」 「そうですねえ...」夏川が、白衣のポケットに手を入れ、宙を眺めた。
「ともかく...」響子が言った。「AIDS(エイズ)を克服して行くには... 文明構造的なリスクを...そして、その、感染症の実態を...詳しく知ることが大切ですわ。 その上で...“感染を防ぎ・・・差別をなくして行く”...ということが、大切になります。そのた めに私たちも...AIDSに関しては、特に力を入れ、様々に紹介して来ているわけですね...」 「はい...」夏川が、モニターを見た。「ええと... 現在...世界で...年間/270万人の新規・HIV感染者が発生しています。その大多数は、 いわゆる発展途上国です。 もともと、先進国が...歴史的にグローバル化を推進し...海を渡り、大陸内部を探検し、生 態系を撹乱して来たわけです。その歴史的なグローバル化のツケが...“HIVという・・・アフリ カの1地方の風土病”を、悪魔的な、パンデミック・ウイルスに変貌させてまったわけです。 ともかく、“先進国では・・・発病・・・感染を・・・抑えることが可能”、になっています。経済的弱 者/貧しい発展途上国に...そのシワ寄せが集まっている構図は異常です。本来、無辜(むこ/ 罪のないこと)の彼等は、何の責任もないはずです。彼等を、全力で支えなくてはなりません!」 「はい...」響子が、目を閉じた。「...私たちも、くり返し主張しているわけですが...
“ HIVの克服には・・・先進国の・・・重い使命と責任がある!”
...ということですわ。感染・爆発地域の制圧に、より一層の努力を、して欲しいと思います」 「そうですね... 感染・爆発地域では...2人を治療する間に、5人が新たに感染する、という状況だそうです。 当然、こうした状況下では、平均寿命も非常に短くなります。この状況を克服するには、どうして も、“HIV・ワクチン”が、必須なのだと言います...」 「はい...」響子が、唇に指を当てた。
〔2〕 それは/・・・どのようなワクチンなのか?
「ええ、夏川さん...」響子が言った。「あらためて、お聞きますが... HIVというのは...人間の免疫系では...排除できないウイルスなのですね...?」 「そうですね...今のところは...です、」 「あ、はい...」 「生物学的に言えば... “感染克服者(elite controller)”も存在するわけですから...“迷路を抜ける・・・正しい道”という のは...確実に存在するのでしょう...」 「“感染克服者”というのは...パンデミック(世界的大流行)が起こっても、必ず生き残る人々がでて きますが、それが“感染克服者”ですね、」 「そうです... HIV・感染者の場合も、希なケースですが、“感染克服者”というのは存在します。つまり、迷 路の中に、正しい道というのは存在するはずです。しかし、我々の医療技術というものが、まだ、 その水準に達していない、と解釈するべきでしょう」 「“HIVの狡猾さ”の方が、勝っていると...」 「まあ... 非常に難しい問題ですが...生態系のホメオスタシス/恒常性の智慧はというものは、我々 から見れば、“底無し”だということでしょうねえ、」 「そんなものと...生態系のホメオスタシスなどとは...戦うべきではない...と?」 「そうです...」夏川が、唇を引き結び、響子を眺めた。 「はい...」響子が、しばらく夏川の視線を受け止め、うなづいた。「分かりますわ... それよりも、私たちは...“文明の折り返し/反・グローバル化”/・・・〔人間の巣のパラ ダイム〕へ...“一刻も早く・・・舵を切って行くべきだ!”...ということですね。 “全ての大問題・・・難問の解決策”...は、“そこへ向かって・・・流れ下って行く!”... 様子だということですね... “文明の第2ステージ/エネルギー・産業革命”の時代から...“文明の第3ステージ/意識・ 情報革命”の時代へ...そして、“巨大/熱運搬エネルギー”の時代から...“微細/情報 運搬エネルギー”の時代へ... さらに...“機械科学の文明”から、“生体科学の文明”へ... “グローバル化/・・・大自 然の征服”から、“人間の巣/・・・大自然との融合”へ...また、“野生の喧騒”から、“真の 文明種族への脱皮”へ... そして、何よりも...価値観が...市場経済/競争原理/物質的欲望から...“悟り・・・存 在の覚醒”へと、シフトして行くものと思われますわ...」 「まあ...《危機管理センター》としての、戦略的課題ですね...」 「はい...」響子が、うなづいた。「でも、この方向へ動いて行くことは...ほぼ、間違いないと思 いますわ...」
「しかし...」夏川が言った。「話を戻しますが... いずれにしても...HIVは、ワクチンで免疫を誘導しても、完全阻止は難しいのが現状です、」 「はい...」 「...“感染防御を狙った・・・初期ワクチン”...は失敗しました... 現在は、次善の策...“感染細胞を破壊する・・・細胞障害性・Tリンパ球を・・・誘導する ワクチン”、の開発が進められています...戦略的に1歩後退し、作戦を立て直している状況で すかね...」 「うーん... “HIVの感染防御”は...しばらくは、諦(あきら)めて...“HIVの増殖を遅らせ・・・発病や感染 拡大の防止”に...戦略を切り替えた...というわけですね?」 「まあ、そういうことでしょう... そこで、最有力とされ...期待されて来たのが...アメリカ/メルク社の、アデノウイルス/ Ad5(5型アデノウイルス)/風邪ウイルスに...HIV遺伝子を組み込んだワクチンでした。しかし、こ れも、御存じのように...2007年の“臨床試験の打ち切り”で...失敗に終わっています。 この臨床試験では...“このワクチンを接種した人の方が・・・感染時に・・・むしろ、ウイルス が増えやすいことが判明”...したのです。 “原因は・・・まだ確定していない”ようですが...“HIV抗原を・・・体内に運び込む役割の・・・ アデノウイルスに問題があった”...との見方が強いようです」 「どういうことなのでしょうか?」 「複雑で...“原因は・・・まだ確定していない”わけですが... ひとことで言えば...“このアデノウイルスが・・・HIVが感染する際の・・・標的となるリンパ球 を活性化し・・・むしろ、ウイルス増殖を促進しているのではないか...?”...という意見です。 HIVは...免疫細胞を標的として感染するわけですが...アデノウイルスが、この感染細胞 を活性化している...ということでしょうかね」 「うーん...」響子が言った。「そこで、アデノウイルスに代わって... センダイウイルスを用いた...日本が開発した“HIV・ワクチン”が...臨床試験の運びとなっ ているわけですね?」 「そうです... ともかく...非常に微妙な領域です...何とか“・・・奇跡・・・”が起こって...突破口が開か れるのを、期待したいですねえ...まあ、こんなことを言うのも、“HIV・ワクチン”は、失敗/敗 北の連続でしたからねえ、」 「でも...“薬物療法”では、成果が上がっていますわ」 「うーむ... まあ...これまでのことも、無駄なものは、何1つありません。貴重な失敗例/ノウハウは、全 て記録・蓄積して来ているわけです。それに、免疫系全般のことも、詳しく分かって来ました。こ れは、アレルギーや“自己免疫疾患”などで、新しい治療法の開発にもつながっているわけです」 「でも...“HIV・ワクチン”は...1つも成功していない...というわけですね?」 「そうですね... ともかく、“参考文献”の...東京大学/医科学研究所/俣野哲郎・教授は...こう言ってお られます...
“HIVは・・・体の抵抗力を利用して・・・ 逆に増える・・・非常に巧妙なウイルス”
...だと、言うことです」 「はい、」響子が、うなづいた。
<鼻から吸引する・・・ワクチン>
「それで...」響子が言った。「俣野・教授たちの開発している、“HIV・ワクチン”というのは、ど のようなものなのでしょうか?」 「そうですねえ... “参考文献”によると...日本で発見したセンダイウイルスに...HIV・遺伝子を組み込んだ もの、ということです。アデノウイルスに比べ...“HIV・感染標的リンパ球・・・が活性化され にくい”..ことが期待されています。それが、メイン(主要なもの)となるようです...」 「あの...センダイウイルスというのは、どういうものなのでしょうか?」 「ああ、はい... ええ、これは...1953年/昭和28年...宮城県/仙台市で...最初のウイルスが発見さ れたことから、この名があるようです。 これは、“パラ・インフルエンザ・ウイルスの1種”です。パラ・インフルエンザ・ウイルスというの は...ええ...“密接に関連した・・・数種類のウイルス”を含んでいます。これらのウイルスは、 感冒、インフルエンザ様症候群、肺炎まで...多数の呼吸器疾患を引き起こします...」 「ふーん...はい...」 「センダイウイルスは... その、“パラ・インフルエンザ・ウイルスの1種”ですが...“種々の細胞融合能”を持つために、 雑種細胞の形成や...ガン細胞の研究などに...用いられているようです」 「はい...」響子が、うなづいた。「そして... 今回...ベクター(細胞または核内に、他のDNAを運び込む役をするもの)に、使われたということですね?」 「そうです... “センダイ・ウイルス・ベクター”という...学術用語がありますが、その方面では、良く知られ ているのでしょうか...ともかく、詳しく知りたいのなら、インターネットで簡単に調べられます」 「そうですね...」
「ワクチンについては...」夏川が言った。「これ以上の、詳しい説明はありませんが... この“HIV・ワクチン”は、これまでのワクチンとは違い、注射器は使わないのだそうです。“イ ンフルエンザ・ワクチン/リレンザ(ザナミビル水和物の商品名/・・・ドライパウダーを吸入投与)”のように...鼻 の粘膜にスプレーすることで、効果を発揮するものです」 「薬剤本来の特徴...というわけではないのですね?」 「まあ、そうですね... ええと...HIVの場合...患者の大半は、性交時に粘膜を通して感染するために...粘膜 で働くワクチンは...ウイルス増殖を、効率よく抑制できる可能性がある、ということです...」 「はい... “リレンザ”のように、鼻から吸引するわけですか...でも、何となく...これまでの皮下注射 法よりも...確実性/信頼性が、欠けるような気がするのですが、どうなのでしょうか...?」 「それは...」夏川が、モニターをのぞいた。「むしろ、逆ですね... 国立・感染症研究所が、現在、経鼻インフルエンザ・ワクチンを開発中のようですね。2010年 といえば今年ですが...臨床試験を始める計画のようです。 成功すれば...直接・鼻粘膜に噴霧するわけで...現在の皮下注射法よりも、高い感染予 防効果が、予想される...と言っています。ま...問題がないわけではありませんが...」 「鼻からの吸引が...まだ、慣れていないということでしょうか?」 「そうですね... 幼い子供などには、多少難しいのかも知れません...もっとも、大人でも、最初は失敗するこ とがあるようですから...はは、」 「はい...」響子が、口をすぼめて笑った。 「ええ、ともかく... この...日本が開発した“HIV・ワクチン”ですが...アメリカでの治験で安全性が確認された ら...次は、アフリカの感染・爆発地域で効果を調べる計画だそうです。ともかく、こうした感染 地域では、患者の増加に、治療が追い付かないのが実情といいますから...」 「それを断ち切るには...“特効薬/HIV・ワクチン”が...どうしても必要ということですね?」 「まさに、その通りです... いいですか...世界的に...患者が増え続ける状況を放置すれば...ウイルスが変異して、 “耐性ウイルス”が出てくる可能性が高くなるわけです...その先は、どうなることか...」 「あ、そうですね...」響子が、口に手を当てた。「“耐性ウイルス”の問題がありましたわ...」
「エイズの症状は様々ありますが...」夏川が、モニターから顔を上げた。「1つ、紹介しておきま しょうか...」 「はい...」響子が、顎を突き出し、手を当てた。 「エイズ用語に...“免疫再構築症候群”というのがあります... これは...“進行したエイズの・・・免疫不全症”が、“強力な抗HIV薬の・・・併用療法”によっ て、回復してきた後に...まだ、“残存している病原体”に対して...“思い出したように・・・免 疫反応が起こり・・・一時的に症状が強くなること”...です...」 「はい...」響子が、頬に手を当てた。 「これは...“エイズの発病で・・・HIV感染と判明した人の場合”に、起こりやすいようですね」 「はい... ともかく...早期の検診が...感染していた場合の治療にも...非常に重要になって来る、 ということですね?」 「そういうことです...」 <国際エイズワクチン推進構想/
IAVI >
「ええ...」夏川が言った。「日本が開発した... センダイウイルスによる“HIV・ワクチン”が...そもそも、世界レベルで治験が可能になった のは、“国際エイズワクチン推進構想/IAVI(International AIDS Vaccine Initiative/本部はアメリカ)/代 表:セス・バークレー博士”...というもの、があったからです」 「それは...医師らを中心に設立した...非営利団体だそうですね、」 「そうです... “ IAVI”は...世界中からワクチン候補を集め、アフリカなどの感染地域で、臨床試験の態 勢を築いています。“現在、25の候補があり・・・プログラムが進行中”のようです。日本が開 発したワクチンも...そのうちの1つになるようです」 「はい... アメリカでの臨床試験で...安全性が確認されれば...次は、感染地域のアフリカで、試さ れるわけですね?」 「そういうことです... ええ...“IAVI/国際エイズワクチン推進構想”は...“新しいHIV予防法への・・・持続 的かつ力強い投資を・・・世界に要請している” ...ということです。 私たちも、応援したいと思います。人類の英知を結集し、AIDS/エイズを克服して行きたい と思います」 「はい!」響子が、強くうなづいた。
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