No.2 (1998.7.7)
野党と与党の風景
<考察
No.2>
さて、選挙も近づいてきました。状況はあえて説明するまでもなく、絶望的な選挙
風景です。
<考察 No.1>
で、白票ということを考えてきましたが、こんな消極的なことで本
当にいいのでしょうか。かって日本新党で提唱したような、“政治家、総とっかえ”の
ような旗印はないのでしょうか。
しかし、現在、離合集散を繰り返す野党を眺めていると、かっての日本新党のイメ
ージはどこにもありません。何かを焦っているようで、地に足がついている感じがな
く、ただ、“思い込み”だけが空回りしています。しかし、その“思い込み”が、何故
空回りし、何故現実化してこないのでしょうか...現状打破を望む1国民として、ま
さにはがゆい思いです...
敵陣が瓦解しているのに、何故そこをあっさりと打ち破れないのか。ナポレオンな
ら、今からでも、敵陣中央を討ち抜けるのではないでしょうか...
一方、それでは与党の自民党に、平成維新が実行できるのでしょうか。うー
む...
最近マスコミから聞こえてくる“政治腐敗防止法”等の話からは、論理が何故か幼
稚化しているように思えます。自分たちが主役の斡旋収賄を合法化しようとしたり、
自分たちの株取引のことで国会論争をしたり、
「何をやっているのだ!」
という思いです...そんなことは、国会で論争する以前の問題です。こんなことをし
ているようでは、難問山積の金融、環境、福祉等の政策も、信用できるわけがあり
ません。
いったい、このような力不足、失政状況下で、あえて橋本内閣と自民党を支持す
る人々は、どこに望みをつないでいるのでしょうか...
結局、白票を投じるしかないのでしょうか...
決断
さて、いよいよ投票の時がきました。我々国民一人一人の決断が、この国を大き
く動かします。この、何気ない倦怠感の漂う今回の投票が、将来非常に大きな歴史
的意味を持つ重要な選挙になるような気がします。うまくいけば、日本は生まれ変
わり、失敗すれば、この国はまさにタイタニック号のように沈んでいくかもしれませ
ん。あの巨大で豊かで安定したタイタニック号が、ふとした手違いで沈没していく様
は、まさに現在のこの国の状況に当てはまるのではないでしょうか。
歴史の上で、数多くの繁栄した国家や民族が、どのような衰退の経路をたどった
のか...その、衰退や敗北のきっかけとは、この現在の日本のように、ふとした不
注意と驕りから始まっているのではないでしょうか...私の感じるところでは、事態
は予想をはるかに越えて深く進行しているように思えます...
我々は今、非常に謙虚に耳を澄まし、目を凝らし、歴史の瞬間の流れを見極めな
ければなりません。まだ、この全体的なぬるま湯の中で甘えていられるのか...そ
れとも、すぐに露天風呂から上がり、身支度を整え、その向こうの林に向かって装
備を展開しなければならないのか...
しかし、時代が要求しているのは、軍事的展開ではありません。“産業・技術”、
“経済・金融”の展開です。しかも、全てがグローバル化しつつある現在、日本とい
う一国家が敗北してすむというような状況でもなくなってきているのです。日本がつ
まづくということで、21世紀の人類文明全体がしぼんでしまう危険性すらあるので
す。我々はまさにここで、国家と人類の未来を託すべく、真のリーダーを選ばなけれ
ばならないのです。
いずれにしても、自由党も民主党も、現状ではどうにもなりません。また、公明は
主張ははっきりしているのですが、政権を奪取するという意志が感じられません。そ
の意味では、共産党も同じでしょうか...
こんな状況下で、この国を変えるには、どうしたらいいのか...
結局、“白票”しかないのでしょうか...“白票”の山で、国民自らがこの国家の現
状を再認識する必要があるということでしょうか...
さて、その“白票”ですが、ある政治評論家が、テレビでこんなことを言っていまし
た。
「“白票”というのはいけません。それは結局は無効票であり、死票です。それなら
ば、少しでもいい人を、よりましな人を選んで投票して下さい。」
この評論家の言われたことは、一見いかにも正しいように聞こえます。しかし、そ
んなことは言われるまでもなく、我々はこれまでに何十回となくやってきたことです。
まさにその思いで、よりましな人を選挙で投票してきたのです。しかし、それにもか
かわらず、政治の状況は益々悪化し腐敗し、もはやよりましな人は誰もいなくなった
のです。
誰も信用できなくなったのです。
科学的な表現を使えば、よりましな人を送り込む速度よりも、腐敗と汚染の速度
の方が確実に速いのです。医学的に言えば、放射線治療や抗ガン剤の投与はも
はや効かず、ガン細胞はすでに国家の骨格を侵し始めているということでしょう
か...
このような状況下で、事態を逆転し、平成維新の車輪を動かし得るのは、“白票”
の山という大爆発しかないのではないでしょうか...国民は真に怒っているのだと
いうことを、一度具体的に示す必要があると思います...
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