



“第2編集室・国際部”の大川慶三郎は、時計を見ながら、タバコをもみ潰した。編
集長の津田は、ゆっくりと湯飲み茶碗を脇へ押しやった。
「さて、始めるかね、」津田が言った。「それでは、秋月さん、お願いします」
「はい!」秋月茜は、やや緊張して、小さくうなづいた。赤いメモ帳を開いて横に置き、
ノートパソコンにそっと手をかけた。
「ええ...
この国は、明治維新で、“士・農・工・商”という身分制度が撤廃されました。そし
て、皆が“平民”になりました。ですが、その際、“新平民”などという新たな言葉が作ら
れたのです...そして、このことが、その後も長い差別が続く芽を作ってしまったの
です。つくづく人というのは、差別することが好きなのでしょうか...何故、仲良く出来
ないのでしょうか...
ええ...この差別が、つい最近まで国会などでさかんに取り上げられてきた、“部
落解放”問題です。皆が“平民”でよいものを、“新平民”などという差別用語を残した
ために、大変な歴史的苦労と、労力を費やしました。また、関係者には、大変なご迷
惑をかけてしまいました。このことは、私たちの世代においても、深く反省したいと思
います...」
「うむ、」津田は、うなづいた。
「ええ...
それから、日本における“最後の差別問題”の残滓(ざんし/残りかす)として、“官・民の
格差”がありました。“官民格差”とは、公務員と民間人の様々な格差です。というの
も、公務員というのは、昔は武士階級の独占的な仕事でした。今では、事務方の役
人と、軍事組織とは分かれていますが、昔は“文武両道”が尊ばれるなどして、一緒
のものだったのです。それが、いわゆる“武士道精神”を育んできた、支配階級なので
す。
その気分が、明治以降も、ずっと伝統的に残って来たわけです。しかし、それも最
近では、“国民の側の意識”としては、すでに“官民格差”は解消されました。このこと
は、当ホームページでも、“日本に残った最後の身分格差、“官”と“民”の差別解
消を”として取り上げているので、私も読んおります...
ただ、いわゆる“官僚の側”には、依然としてその気分が残っているようです。しか
も、この社会混乱と不景気の中で、その“ワル”ぶり目立って来ているようです...
編集長...厚生労働省や社会保険庁は、あれだけの年金や失業保健料の使込
みをやり、誰も責任を取らないと言うのは、いったいどうなのでしょうか?」
「うーむ...確かに...
ここに来て、国がぐらつき、官僚の悪さが目立っています...“世襲政治”と、“天
下り官僚”が、この国を喰いものにし、国の屋台骨をメチャメチャにしたわけですが、
それが咎められることがない...いや、むしろ、その張本人の彼等だけが、この混乱
の中で、税金から高給が支払われているのです...」
「はい、」
「これは、国民としては、たまらないですねえ...
誰も、この未曾有の大混乱の、“責任を取ろうとしない!”モラルハザードを、“正そ
うともしない!”これでは、社会は良くなるわけがありません!こんな、“悪事が、堂
々とまかり通っている”のです...」
「はい、」
「これは、小泉・内閣の、性格的な欠陥”を反映しています。小泉・内閣に、最初から
あった欠陥です。それでも、人気があり、この国を変えてくれると思えばこそ、国民は
それを許して来たのです。
例えば...自分の息子を芸能人にしてみたり、自分のアルバムを出してみたり
と...まあ、詳しいことは知りませんがね...これは、政治家というよりも、芸能人
がやることでしょう。
総理大臣という、この国を背負って立つ、重席の公人である以上は、国民のことを
常に考えているべきです。日本のこと、社会が安定して立ち行くことを、常に第一に考
えるべきです。そして、公人の立場から身を退いた時、初めて自分の身の回りのこと
や、回想録を書くのが普通です。
それを、何も成果が上がらないうちから、そんなことをやっているわけですから、性
格的な欠陥というのです。そんな芸能人のような事をしていて、この国の“モラルハザ
ード”や“社会の大混乱”を放置していたことが、大問題なのです。しかし、何故、あえ
て、放置なのでしょうか...ここが、普通の感覚では、分らないわけです...」
「はい。景気対策だけで、何故、それに手をつけようとしないのか...私もずっと不思
議に思っていました...」
「うむ...
社会全体が、圧倒的に支持し、小泉・首相に期待していたのは、社会の大混乱を
静めてくれることでした。まあ、それには、野党である民主党が、対立軸を与野党間
に取り、“反・小泉”に回ってしまったことが、民意を裏切ったことになり、非常に大き
かったと思っています。
しかし、小泉・内閣の“性格的な欠陥”というのも、もともと確かにあったのです。公
平に、日本の国全体の器を、大事に扱ってもらいたかったですね」
「はい...本当にそう思います...
でも...小泉・首相は、もともと3世議員ですよね。産まれた時から、とっぷりと、そ
の自民党的体質の中に居るわけですね...そういう人は、やはり無理なのではない
でしょうか...庶民の本当の気持ちを理解するというのは...」
「うーむ...」
<1>
“テロ社会”への警告!
「ええ...
私たちは、日頃、あまり“人権”について真剣に考えたことはないと思います。それ
はこれまでは、ごく当然に、空気のように存在していたからです。しかし昨今、その様
相が激変してきました。
政治家の“世襲”は、政党によって放置され、ますます深刻になっています。また、
伝統芸能にのみ、特別に認められていた“芸の世襲”は、全ての芸能人に拡大されて
います。そして、そこにはもはや“政治的資質”や“芸の継承”はなく、空洞化し、その
身分だけが継承されています。
これが、“新たな差別”を作り出している現実があります。これが、この国の政治を
弱体化させ、文化をシラケさせ、国家全体を空洞化させている、要因になっているの
ではないでしょうか...」
「うーむ...」津田は、腕組みをした。「...私も、実は、しばしばそのことを考えてき
ました...この国ではどうやら...時代に逆行するとんでもない“悪事”が、戦略的
に進行しているようです...
長年の、“差別をなくす努力”の半面、“新たな身分差別を創出する動き”があるよう
です...」
「うーん、はい...
そのことは、私も、非常に気になっていました。津田さんは、それは、どのようなこと
だとお考えでしょうか?」
「私個人では、その全貌を知るすべはありません...
しかし、この国の改革を遅らせ、極端な金持ち層と、極端な低賃金労働層に分離し
ようとしている意図が、明らかに感じられます。その証拠に、テレビや新聞などで、この
国をどうしようという“国民的大討論”が、全く無くなってしまいました。時代の背後で、
そのような意図が、着々と進行しているようです...
まあ...私個人では、全貌は知りようもありませんが、この国の主権者である国
民は、各自、しっかりと監視して行って欲しいと思います」
「うーん、私たちも、何か異常なものを感じますよね!」
「そこには、マスコミを巻き込んだ、戦略的な意図があるのを感じます。日本に、“新た
な支配階層”が形成しつつあるのでしょうか。また、“勝ち組”と“負け組”に分れて行
き、そこには“構造的なインチキ”が仕掛けられている気がします。
やがて、“努力”をしても報われない、“身分差別の社会”がやって来るようです。す
でに、“良いものを良いと評価しない”、一部の人だけが独占的に決める、硬直した
社会になりつつあります。社会の上の方で、また下の方で、“公然と悪事やインチキが
まかり通る世の中が来た...”そんな、非常に強い危惧を感じます。
つまり、“小泉・政権の罪深さ”は、建国以来かってなかった、“慣習法を放棄”した
ことにあります。人間社会のシステムが壊れていくのを、それを無視し続けることによ
って、“容認”して来たのです...」
「あの、“慣習法の放棄”を、ですか?」
「そうです...
“勇気”、“勤勉”、“努力”、あるいは“誰に対しても優しい心”...そういうものを大
切にする慣習法は、法律以前の法律です。動物も含め、あらゆる社会の中で、自然
法的に、社会慣習として成立するものです。
そうしたものまで、小泉・政権の治世では、“悪事を容認”することによって、放棄し
てしまったのです。ここが、非常に大きな問題です。教育改革以前の問題として、子供
たちは、“何のために勉強するの?何のために努力するの?”という事になってしま
うわけです...
それは、まさに正直な所で、“努力が報われない社会”がやって来るわけですから
ねえ...これは、大人にとっても、社会全体にとっても、まさに大問題です...“慣
習法”という“社会の大前提”を、崩してはいけませんねえ...」
「そういう、“新たな身分差別の社会”が、本当に来るのでしょうか?」
「このままでは、そういう社会に突入してします。ま、半分、突入していますがね...
しかし、そうした試みは、実際には、成功はしないと思います...」
「何故でしょうか?」
「そうなった場合、日本は確実に、“テロ社会に突入”するからです。国際テロ組織の
動向を見ても分るように、テロは国際的な流れになっています。まあ、このままで行け
ば、日本はそうした“対立抗争の社会”に突入していきます。血みどろの、“テロ社会
に突入”して行きます。
しかも、テロは、これから“大量破壊兵器”を使ってくると考えられます。大量破壊
兵器は、まさに少人数で、大被害を与えるのにぴったりなのです」
「大量破壊兵器というのは、核兵器でしょうか?」
「うーむ...これは、軍事関係を担当の、大川が詳しいでしょう...」津田は、タバコ
を吹かしている大川の方を見た。
「まあ...“核兵器”もそうだ...それに、サリン、VX、などの“化学兵器”...炭疽
菌(たんそきん)など諸々の“生物兵器”。それから、今後は、“遺伝子兵器”なんかも想
定されている...」
「遺伝子ですか??」
「そう...遺伝子です。例えば、ヒトゲノムの中の、民族特有のSNP(スニップ/単一塩基変
異多型/個人差)のような特異部を見つけて、その遺伝子を持つものに対し、遺伝子攻撃
を仕掛けることも可能です...あるいは、作物を遺伝子攻撃するなどということも、可
能ですね。こうしたものは、防ぐのは不可能に近いですねえ...
穏やかなものから、過激なものまで...場合によっては、遺伝子攻撃を仕掛けら
れていることすら分らない...」
「まあ、そんなことが...」
「いいですか...生態系というのは、もともとミクロのレベルでは、膨大な“遺伝子の
抗争の世界”なのです。それから、あらゆる“化学戦の世界”なのです。もちろん、敵ば
かりではないですがね。ともかく、濃密な世界です...人類が遺伝子兵器を手に入
れるということは、それがマクロ世界に拡大して来るだけのことです...
まあ、そうしたところから、生き残る方策も見つけられるというものです...」
「うーん...日本は、本当に“テロ社会”になっていくのかしら?」
「このまま行けば、そうなる。最悪は、ロシアのチェチェン共和国のような、血みどろの
抗争になるねえ...」大川は、タバコの煙を吐いた。「日本の社会も、“新たな身分差
別”に対し、おとなしい国民ばかりではないということです。羊のようにおとなしい国
民もいれば、中には狼もトラもライオンもいるということです...このまま“貧富の差
が固定”される様なら、まさに国民は黙ってはいないでしょう...」
「はい...“人権格差”も、ますます開いてますよね...」
「何故なのかねえ...これまで通り、日本全体が1つにまとまり、心豊な平和な社会
を、何故、維持して行けないのか...」
「はい、」
「何の対策もとらず、これを黙認している小泉・内閣は...歴史的大罪を犯していま
す。何故、同じ日本人の中に、対立を作り出すのか...かっては、みんなで一緒に歌
をうたって、楽しかった...そういう時代も、確かにあったのです」
「うーん...テロは、それだけの価値のあるものなのでしょうか?」
「無いね...」津田が言った。「しかし、誰かが“新たな身分差別”作り出した場
合...“極端な富裕層”と“極端な低賃金労働層”に日本の社会を分断場合...日
本も確実に“テロ頻発社会”になるだろうということです...
今は、自殺が急増していますが、それは自らの内側に向かったテロです。しかし、
それが外側に向かった時、恐いものがあります。“引ったくり”や、重機による“CD(キ
ャッシュ・ディスペンサー)あらし”から、次へエスカレートした時です。その暴発が起こ
る前に、是非、日本の社会を、元の穏やかな海に戻すべきです。まだ、間に合いま
す!」
「恐いですね...」
「ある意味では、日本の社会は、暴発の“臨界点”に近づきつつあります...このま
では、非常に危険ですね...
政権交代とか、NHKを解体再編成するとか、国会へデモ行進をかけるような大衆
行動が起こるとか、ともかく希望の持てる、劇的変化が必要です...このままでは、
いずれ何らかの暴発は、確実にやって来ます」
「この日本の公然とした“ワル”を...」大川は、眼鏡を拭きながら言った。「世界は呆
れながらも、ジッと注視しています。バカさ加減には呆れても、実際に日本が、“戦前と
同じ道”を歩み始めたら、大変だからねえ...その前科がある国ですから...そして
まさに、日本はその方向へ歩み出しているのです...
ブッシュ大統領のアメリカが、国際世論から見て悪くなっている以上に...日本は
急速に悪くなっているねえ...ま、アメリカも日本も、それぞれ軌道修正しないと、大
変なことになる。まさに、日本の国民は、この事態を甘く見ない方がいいと思います。
すでに、非常事態に突入しています。
2期目のブッシュ政権は軌道修正が必要ですし、小泉・政権は、やはり退陣するべ
きでしょう...
次は、気の抜けた妥協の政権ではなく、しっかりとこの国を建て直してくれる人を
選ばなくてはなりません。それこそ、国が崩壊してしまいますからねえ。本当に良い
人が選ばれたら、また必ず大多数の国民が、圧倒的に支持します...」
「うむ...」津田は、深くうなづいた。
「あの、“人権指数”の話に戻ってもいいでしょうか?」
「ああ、うむ...」
〔2〕 人
権 指 数 と は、


<2>
“世襲”について
「ええ、では、具体的な、“人権指数”の話に話に入りたいと思います...」中西茜
が、ノートパソコンに目を落した。「まず、政治家や芸能人の、“世襲”が進んでいま
す。そしてその分だけ、国民にとっては、社会構造的に“人権が侵害”されています。
一方の人権指数が増えれば、他方で自動的に人権が減少するわけですね。これ
が、人権の基本です。それにしても、いったい、どうしてこんな事態になったのでしょう
か?何がこんな事態にさせているのでしょうか?
ええ...社会の最も表舞台になる、民主主義政治と芸能・芸術の現場で、“世襲”
が顕著になり、社会の硬直化が深刻になっています。職業選択の自由や、自己実現
の場が明確に失われているのです。社会のトップレベルの仕事の寡占化(かせんか/独
占してしまう事)は、国民に対する心理的圧力が非常に強いと思われます。
つまり、事実上、ごく普通の人は、政治家になる道は閉ざされます。芸能・芸術のス
ターになる道も、閉ざされています。むろん、参入の道は無いわけではありませんが、
その地位にない人々にとっては、非常に狭き門になっています。ということは、良いも
のが良いと、“正しく評価”されないということです。これは、“正義”が執行されないと
いうことであり、“努力”が評価されないということです。
では何が評価されるか?“新しい身分制度”によって評価されるのです。“評価”自
体は、本来国民が、“基本的人権”によって自由に選ぶ権利を有するものです。その
基本的な権利が、事実上奪われています...
例えば、芸能や芸術関係では...公正なオーディションが行われ、努力や才能が
報われような、オープンな社会システムにはなっていないということです。それらしい
ものはあっても、実際には参入はきわめて難しいわけです。これは、他の多くの分野
についても、言えることです...」秋月茜は、メモ帳に手を置き、津田の方を見た。
「うむ...」津田は、うなづいた。脚にまつわりつくミケを、膝の上に乗せて、撫でた。


「...私たちは、“公正で、開かれた、自己実現の機会”を失ってしまうこと...それ
と、私たちの代議員や、芸能・芸術の作品を、“自分で選べない”という二重の意味
で、“基本的人権”を侵害されています。
そもそも、国民主権の日本の社会で、“新たな特権階級”を作るという社会情勢に
は、ないと思うのですが...津田さんのご意見は...どうでしょうか?」
「うーむ、それは私も感じています...
国民としては、黙ってはいないだろうねえ...もし、こうした事態が続くようなら、確
実に“テロが頻発する社会”になります。何故、そこまでして、“特権階級”などというも
のを、を作りたいのでしょうかねえ...非常に危険なことです」
「はい...
ともかく、そのことで、“国民の持つ平均的な人権”は、2割は削れれていると考えま
す。その他に、政治家の様々な利権や不正、官僚や公務員の天下り、談合等で、さら
に平均1割は消滅していると考えます...」
「うむ、」
「このあたりの数値の取り方は、大雑把で主観的なわけですが、私は数学的な解を
求めているわけではないので、正確な所は許して欲しいと思います。それに、社会的
なコンセンサスを得られるような...もっと開かれた、本格的な研究があってもいの
ではないかと思います...」
「そうだね、」
「ええ、そういうわけで...平均的な日本国民は、7割の人権...“人権指数70”で、
この日本の社会を生きていくことになります。むろん、“世襲”できるような人は、“人権
指数200〜700”に達する人もいるわけです。これは、もちろん、不当なものです。
世襲3世議員で、“人生色々”発言のあったあの方(小泉首相)などは、若い頃にゴロゴ
ロとしていても、周りの会社がちゃんと面倒を見てくれるわけです。前・自民党幹事長
の安部さんも、3世議員なのでしょうか。麻生・総務大臣は、吉田茂・総理大臣の孫だ
とか...いずれも、日本において、“人権指数”がトップクラスの人たちですね...」
「ふーむ、なるほどねえ...」大川が、ほくそえんだ。
「はい...
いずれの“世襲議員”も、私たちとはこの国における“人権指数”が、雲泥の差にな
っています。本来、あってはならないことです。“人権”は、憲法で保障された“基本的
人権”によって発生するものであって、“人権指数100”が理想なのです」
「ふーむ、」大川が、うなづいた。
「もちろん、私的な資産を受け継ぐのは、法律によって保証されているわけですが、
“議席の世襲”というのは、問題です...民主主義の名のもとに、一見合法的に、事
実上の“世襲”が行われているのが問題なのです...これを許してしまえば、全てが
“世襲”になってしまうほどの勢いです...だから、当然、これはおかしいのです」
「うむ...」津田が言った。「政治家の“世襲”が、そもそもこの国の“混乱の元凶”に
なっているような気がするねえ...この国に、“新しい支配階層”が形成されつつあ
るというのも、1つはここに行き着くような気がする...」
「はい、」
「それから...この国の右傾化に、急速に舵を切ろうとしている勢力が、存在すると
いうことです。ともかく、そういう問題では、政治は国民と十分に対話して欲しいです
ね。
まあ...いわゆる“普通の国”になるのはいいのですが、急速な右傾化は、戦前
の道を歩むのを感じさせます。これは、避けるべきだと思います。まず、現状では、“国
内を固めること”が、何よりも大事です。それには、21世紀型の“新・民主主義社会”
を創出し、その上で、“独自の国際平和戦略”を打ち出して行くということです...」
「はい...
今、編集長たちが、“21世紀・日本の社会の器”として、“ロードマップ”を進めて
いますね。私も、お手伝いできれば、と思っています」
「もちろん、大歓迎です。1人でも多くの知恵を結集したいですからねえ...
そもそも、“世襲”も“天下り”も、構造的なものです...だから、“悪”なのです。
“既得権集団”を丸ごと背負い込み、それをそっくり代々受け継いでいくわけです。だ
から小泉さんの“人生色々”発言のようなことになるわけです。
クリーン・イメージの小泉さんにして、そうした構造的なものをそっくり背負い込ん
で、“世襲・人生”をやってきているわけです。それが、染み付いているのです。そうし
た政治家は、“既得権グループ”のことを第1に考えるわけですね。それが、絶対な
のです...」
「はい...その“利権構造”の分も、私たちの“人権”が、削られているわけです、」