(2003.03.24)
国家大改造
は、 NHK
が 油圧ジャッキ!


公共放送・NHK
は、日本のミニチュア!
NHKの健全化は、日本健全化のバロメーター!
<1>
『金色夜叉』の“お宮” /
  /
今、日本の国が、未曾有の大混乱に陥っています。政治、経済、金融、教育、文
化、そしてモラルハザード、失業の増大、株価の暴落...この状況は、あらためて
説明するまでもないと思います。
さて、それでは私たちは、この窮状を誰に訴え、どう切り抜けたらいいのでしょう
か。政治は陳腐化してダメ...官僚機構も縦割り・硬直化・天下りでダメ...マスコ
ミも、“文化の原理”から“経済の原理”にシフトし、多少のお金のために、その本来
の力を失っています...
共通しているのは、『金色夜叉』(尾崎紅葉の小説)の、“お宮”が、金のために“貫一”
の純情を裏切った構図でしょうか...要するに、政治家も官僚もマスコミも、“お宮”
のように、金とダイヤモンドに目がくらみ、日本国家・日本文化・日本国民の信頼を、
大きく裏切ってしまったということです。最も大切なものが、金のために見えなくなって
しまっていたということです。
そして、目覚めてみれば、それはシャボン玉のようなバブルであり、ビールのジョッ
キの泡のように、消えてなくなっしまったというわけです...しかも、その弊害は産業
界や社会全体にも及び、壮大なモラルハザードを引き起こしていたわけです...
さらに、まさにこうした風景の中で、今の青少年達は育って来たわけです。むろ
ん、彼等は、“援助交際”“オヤジ狩り”“ひったくり”“万引き”と、事態をさらに悪化さ
せ、暴走しています...
さて、それで...では、どうしたらいいかということです。私は、ここはやはり、公共
放送であり、国民の浄財で運営されている、NHKに期待すべきだと考えています。
また、NHKは最近では、見ごたえのある番組も増え、日本文化を支えているとい
う観もあり、国民の期待に必ず答えてくれるものと思っています。むろん、そのために
は、国民の全面的なバックアップに加え、“超えなければならない大きな山”も、ある
かと思います。NHKにも、実に様々な人がいるわけですから...
それから...言いにくいことですが、NHKにも、問題点は多々あるように思いま
す。しかし、それを言う前に、一言、断っておきます。それは、
<私は、人脈もなく、何の組織にも属さず、たった一人で遠くからNHKを眺めている、
ごく平均的な1国民だということです...>
さあ、そこで問いたいのですが、この未曾有の大混乱の現状を、公共放送である
NHKは、どう認識しているのでしょうか。つまり、政治・官僚・産業界からの影響を完
全に排除し、直接国民の聴視料で運営されている、この国で唯一の公共放送とし
て、これまで十分にその役割を果たしてきたのかということです。これは、別の言い
方をすれば、NHKは国民を啓蒙し、“社会正義の守護神”として、“民主主義の牙
城”として、本当に有効に機能してきたかどうかということです...
確かに、これは誰もが認める所だと思いますが、公共放送として、立派な番組も多
くありました。また、その文化的貢献も、大きかったと思います。そして、まさにその面
で、この日本の国を支えて来たのも確かだと思います...
しかし、国民一人一人の聴視料/浄財で運営されてきた、その中立的で非常に
特殊な任務とは、まさに“社会を正しくし、国難を回避すること”にこそ、あったのでは
ないでしょうか。つまり、私は、この日本の未曾有の大混乱は、NHKにも非常に大き
な責任があったと考えているわけです...
これは、あの“薬害エイズ事件”のように、その担当する部局が、いざコトに当っ
て、“何もしなかった”という罪です。しかも、あの“薬害エイズ事件”と同様に、結果は
非常に残酷なものであり、国家衰亡という、取り返しのつかない事態を招いているこ
とです...
むろん、陳腐化して歯車の噛み合わない政治や、一連の狂牛病問題を引き起こし
たような、いわゆる官僚機構的な無責任体質が、最も悪いのは言うまでもありませ
ん。これらは、はっきりと言って、“ガン細胞”であり、外科手術や放射線治療、抗がん
剤や遺伝子治療が必要な部位です。
こうした巨大な構造的死病に対し、全く別の立場から、厳しく“社会正義を執行”す
るのが、NHK創設当初からの主要任務だったはずです。ところが、NHKは、文化面
の方にのみ走り、本来の任務である、“社会秩序の守護神”の仕事は、放り出してし
まっていたようです。その証拠に、日本社会のこれほどまでのモラルハザードの進行
を、真剣に止めようとさえしてこなかったわけです。私は、NHK内部のことは何も知り
ませんが、諸々の状況から、むしろそうした流れを助長してきたのではないかとさえ
思っています...
一方、この国の展望などについても、1週間に一度の“日曜討論”や、たまに特集
される“NHKスペシャル”だけでは、とうてい全ての問題に対処できないことは、分り
きっていたはずです。少なくとも、毎日数時間の娯楽番組を潰しででも、こうした国家
存立の大問題を討議してくるべきだったと思っています...
政治の問題、教育の問題、農業と食糧の問題、有事と危機管理の問題、憲法の
問題...数え上げたら切りがないほど難問が山積しています...それを国民全体
で語り合える場を、NHKはもっと積極的に提供してくるべきだったのではないでしょ
うか...
その一方で、NHKテレビの政治ニュース、スポーツ報道、娯楽番組等は、次第に
民放テレビに似てきている観があります。しかし、国民にとっては、民放のようなチャ
ンネルが1つ増えても、何の益もないわけです。
この、国家大混乱の折、私たちは聴視料を払ってまで、そんな娯楽番組を見たい
とは思わないわけです。わざわざ聴視料を払って、私たちがNHKに期待しているの
は、どのような圧力にも動じない“社会秩序の守護神”、“民主主義の牙城”として
の、“国民のためのマスメディア”です。その本来の任務をすっぽかして置いて、民放
なみに娯楽番組やスポーツ番組を充実されても、それはまさに本末転倒の所業では
ないでしょうか...
もちろん、これは私の個人的意見です。しかし、こうしたNHK設立の本来の任務と
逆行するような流れに対しては、私と同意見の人も多いと思います。したがって、こう
した反対・賛成を議論する前に、NHK運営委員会は、しっかりと国民に説明してほし
いと言うことです。
また、こうした基本的とも言える方針の軌道変換は、NHK運営委員会だけで行う
のではなく、もっと国民の意見も聞くべきだと言うことです。そうでないと、NHK自体
が、聴視料だけを要求し、何処かとんでもない所へ流れて行くように思えます...
<2>公共放送・NHKは、日本のミニチュア!
さて、そこで、NHKというものを、あらためて眺めてみます。すると、この組織は、
まるで“日本全体のミニチュア”のように思えてきます...
NHKは、日本の政治・行政・経済から完全に独立しているわけですし、独自の聴
視料は国の税金に相当します。したがって、NHKだけで、国家のような1つの独立し
た開放系システムを形成しているわけです。むろん、日本という国家も、開放系シス
テムであり、外国に対して開かれているわけで、非常によく似ています。
さらに検討してみると、日本の国と同じように、資金は聴視料で潤沢...それから
官僚的非効率の支配...?...そして、日本の国と同じように、どこかが陳腐で、
全体がズレていて、非常に高い能力を持ちながら、自浄能力がない...?...
(まあ...遠くから、たった一人でブラウン管を見ているだけでは、これ以上のことは分りません)
さて、そこで、私はいいことを思いつきました...
それは、公共放送であるNHKの透明化・健全化を、日本社会全体の透明化・健
全化のバロメーターに使えるということです。“日本のミニチュア”であるNHKが、真に
透明化・健全化していけば、NHK本来の任務が発動し、日本の社会全体もまた、透
明で健全な、21世紀型の新しい民主主義社会へ移行して行くということです...
しかし、こう言うと、全体を計るバロメーターというよりも、動力を伝達するエンジン
のような感じもします...が、ここに、“国民”という1億人余の主権者を流し込むと、
非常にうまく連動してきます。論理回路も双方向でスムーズに接合し、日本という国
家全体の健全化が、“公共放送・NHKの健全化”というバロメーターに、敏感に連動
してくるわけです。
まあ...これを、コンピューターのソフトウエアーに例えれば、まだまだバグ(プログラ
ムの誤り)があるかも知れません。しかし、これを戦略的風景を検証するツール(道具)とし
て利用するのであれば、十分に使えます。また、戦略を見るには、あまり細部にこだ
わり過ぎると、全体を見誤ることがあります。したがって、この程度が、実際に使える
社会的ツールなのではないでしょうか...
また、この仕掛けを、中学生・高校生向けに説明するなら、“連通管”のアナロジー
(類似、類推)がいいかも知れません。電気ポッドなどは、中の水の量を測るのに、外側に
見えるようにゲージがついていますが、そのゲージの部分がNHKと言うわけです。非
常に良く見えて、全体も分かると言うわけです。
そして、この“連通管”に油を満たして密閉すれば、パスカルの法則で“油圧ジャッ
キ”になります。したがって、NHKという細い管に圧力を加えれば、その力は数十倍
にもなって、日本全体を動かせます...この“NHK・油圧ジャッキ”は、社会工学の
ツールとしては、非常に有効なものだと思います...
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さて、この“バロメーター”を凝視していて...NHKの“情報公開”が一向に進ま
ず、“社会正義の守護神”、“民主主義の牙城”としても活性化して行かないようであ
れば...日本の国全体もまた、モラルハザードからの脱出は、一向に進んでいない
ということになります...
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この場合、聴視者は“唯一の権利”である、“聴視料の支払い拒否”に動かなけれ
ばなりません。これは、国家レベルにおける、“選挙権”や裁判官の“信任投票”と同
質の、“日本のミニチュア”における、“聴視料の権利”です。
そして、NHKが、日本の“社会ツール”として、まともに機能しないのであれば、私
たち国民は、だらだらと聴視料だけを払いつづける必要はないわけです。この時は、
“キッチリと拒否”することも必要です。
これまでの長年の経緯、国家がモラルハザードに陥った推移を考えれば、ハード
ルはそれ程高くする必要はありません。公共放送・NHKに苦言を呈したいことがあ
り、それを一向に聞き入れてもらえないのなら、聴視者にも“反発する権利”があると
言うことです。それは非常に小さな権利ですが、集まれば選挙権と同様に、“非常に
大きな力”になります。これは、NHKに対する“信任投票”と同じ意味を持つわけです。
NHKは、聴視料の支払いの徹底を、ことあるごとに喧伝していますが、その前に、
自らの“社会秩序の守護神”としての仕事を徹底するべきです。その本来の仕事をお
ざなりにしておいて、聴視料だけを義務づけるようなやり方は、国民を愚弄するに等し
いのではないでしょうか。
かつては、テレビ技術全体はヨチヨチ歩きのヒヨコでも、その放映されるものには、
よほど心がこもっていました。当時は放映する側も、非常に国民を大切に扱っていた
からです。また、折り目正しく、礼を尽くしていたからではないでしょうか...
ところで、日本の“国家予算”と公共事業の関係のように、“NHK予算”にも、どこ
か空虚な一面が感じられます。むろん、テレビのデジタル化等でインフラの整備が必
要な事情も分ります。しかし、それならば、NHK運営委員会等を全面公開し、広く国
民の意見を求めるべきではないでしょうか。それこそ、聴視者が求めるものであり、納
得のいくものであれば、喜んで聴視料も支払います...
これは、一言で言えば、いったい誰のためのNHKなのか、ということです...
<3>バロメーターの監視と解析
まず、NHKは、人事、予算、運営委員の選出等、その骨格を分りやすく“情報公
開”すべきです。それが、国家大改造の第一歩になります...
それから、現在問題となっている、政治ニュースの“切り口”や構成は、適正なもの
か。その報道内容にブレはないか。違和感のある政治家が登場したり、特定の政治
家だけが、頻繁にニュースに取り上げられる傾向はないか...
さらに、省庁関係や、産業界のニュースは、NHKとして公平公正なものか。各組織
や団体の、モラルハザードへの対応を適切に評価しているか。
さらに、NHKの社会正義の執行は、公共放送として、適正に実施されているか。
また、NHK自身の情報公開と透明性は、着実に進んでいるか...等々...
/ /
私たちは、バロメーターの動向を、しっかりと凝視して行かなければなりません。ま
た、NHK運営委員会の放映は必須です。それに加え、インターネット等での完全公
開も、バロメーターのゲージに反映させる必要があります。
くり返しますが...“NHKの健全化”は、“日本社会全体の健全化”の、バロメータ
ーとして使えます。当面、私たち国民は、NHKの透明化・健全化に的を絞り、この強
力な“ツール(道具)”を使って、国民世論を盛り上げ、社会正義を執行し、この“モラル
ハザード時代”を、克服していかなければなりません。
この未曾有の国家大混乱を収拾し、21世紀の日本社会を建設するには、NHK
の活性化・正常化が、カギになります。巨大な国家全体を、一気に立て直すのは容
易ではありません。しかし、NHKを立て直すのなら、比較的容易だと思います。そし
て、このツボをおさえれば、日本という国家全体の健康が、急速に回復して行くもの
と思います...
さて...この方法が、国家再建の最も近道なのではないでしょうか...もし逆に、
NHKが一向にその本来の任務に目覚めず、健全化して行かないのであれば、日本
の21世紀社会は、まさに絶望的だということになります...
<4>NHKの組織と運営を、透明なガラス張りに! 
最近、“テレビ放送開始50年”ということで、NHKは、様々な催しを行っています。
しかし、私のように、ひとり遠くからそれを眺めていると...何故でしょうか、国民と
は乖離(かいり)しているようで、かすかな違和感を覚えます。放送文化賞、放送事業
賞、そしてNHKに出演したり、番組制作に携わった人たちの表彰の連続...
それから、農業賞といって、NHK会長が賞を授与しているのも、違和感がありま
した。NHKが主催しているということですが、NHKが主催しているものだけを、優先
的にニュースで流すのでしょうか...
これは、一体、どういうことなのか...私たち国民は、一体何のために聴視料を納
め、NHKの放送を支えているのか分らなくなります。NHKは、聴視料を支払ってい
る、国民のためのものではなかったのでしょうか。聴視料だけを取り、そこには排他
的な内輪のサークルでもあるのでしょうか。
また、これは前にも書きましたが、何故、真冬の1月から、連日野球のニュースで
あり、松井選手なのか...これも、国民に納得のいくように、キッチリと説明すべきで
す。私も松井選手は好きですが、それは民放テレビで十分だと思っています...
公共放送であるNHKには、もっと他に重大な任務があるのではないでしょうか。結
局、その分、これまであった重要な何かを削ったわけであり、その説明もなされてい
ません。もちろん、私としても、賛成も反対も、NHK運営委員会の説明を聞いてから
ということになりますが...
国や社会が、うまく行っているのであれば、私もあえてこんなことは言わなかった
と思います。しかし、現状は、その規模と深さにおいて、日本の歴史始まって以来の
大混乱だと言います。こんな折に、“社会秩序の守護神”であるNHKは、本来の任務を
投げ出しておいて、何故、真冬の1月から、連日野球のニュースだったのでしょうか。
ともかく、NHK運営委員会は、国民に納得のいく説明をするべきです...
また、こうしたことと関連しますが、私はNHKの運営は、“全て透明なガラス張り”
にするべきだと思っています。むろん、NHK運営委員会によって、国民の意見も入
れられているのでしょうが、上記のような基本的な説明不足も痛感しているわけです。
つい先日も、平成15年度のNHK予算が国会を通過しましたが、内容はほとんど伝
わってきませんでした...
また、放送法によって国民から直接、聴視料/浄財を徴収し、政治や行政や産業
界から、完全に独立しているわけですが、このあたりも現状はどのようになっている
のか、しっかりと説明してほしいと思います。人事や予算に、政治や行政は本当に影
響していないのでしょうか。また、非常に大きな事業や研究開発を展開しているわけ
ですが、産業界とはどのようにして一線を画しているのでしょうか...
それから、収益を上げているNHK事業とは、どのような会計になっていて、それ
はどのように使われているのか、聴視料を払っている国民に、納得のいくように、キ
ッチリと説明するべきです。これは、野球の話よりも大切な、公共放送の基本的な義
務なのではないでしょうか...
<5>NHKの機能を使い、国民的な大討論の開始を! 
現在の日本は、司法・立法・行政が求心力を失っています。また、マスコミも、文化
の形骸化・空洞化に拍車をかけています。こうした中で、国民が最後に頼れるのは、
国民自身が直接浄財で支えてきたNHKなのではないでしょうか。そしてまた、NHKに
は、公共放送としての義務と責任があるはずです。
さて、そこで...国家再生の大戦略は、NHKを中核として利用し、他のテレ
ビ局や新聞、雑誌、インターネット等も総動員し、この国はじまって以来の、国民
世論を盛大にもり上げていくことにあります...
また、その国民的な盛り上がりによって、政治・行政・社会慣習を動かし、モラ
ルハザードを克服し、理想の“21世紀社会”に、大改造していくということにあり
ます...
それには...先ほども述べたように、まず、NHKの1日数時間の娯楽番組を、“国
民的な大討論の場”に再編成していくことが必要です。むろん、いずれは、他のチャン
ネルや民放テレビ、新聞等も活用し、こうした建設的な討論の場をどんどん増やして
いくべきです。現在の、この国の大混乱を静めていくのは、こうした“真剣な大討論の
場”しかないのではないでしょうか...
そしてまた、コトは、すぐに実行しなければならない段階にあります。一刻の猶予
も、ない状況に来ています。しかし、それでも、NHKの動きが鈍いのであれば、聴視
料の流れていくバルブを閉め、10%、20%をカットしてみるのも一考です。
それで、NHKも国民も目覚め、本格的な議論が沸き起こり、この国が救われるの
なら、安い労力なのではないでしょうか...
My Weekly Journal
編集長: 津田 真
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