My Weekly Journal /辛口時評辛口時評・2002

                                           辛 口 時 評   wpeC.jpg (18013 バイト)   

     2002年           wpe4F.jpg (12230 バイト)  

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    INDEX                    wpeC.jpg (18013 バイト)   

No.1 今こそ、小泉内閣を支える時  2002. 2. 4
No.2 日本の人口は、増やすべきなのか、減らすべきなのか?

                                              回想録/“詰めの甘さ”の考察      

2002. 3.10
No.3 “国家大改造”の推進!!!!! 2002. 4. 4
No.4

国家の混迷は、“国民主権”“情報公開”で突破を

                                              新・民主主義社会への展開          

2002. 7. 6

  

                         <辛口時評・2002/No.1>  .....(2002. 2. 4)

  今こそ、小泉内閣を支える時       

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My Weekly Journal 編集長の、津田真です...

  ええ、支折さん、久しぶりの辛口時評になりますねえ。まあ、ひとつ、よろ

しくお願いします」

「はい。こちらこそ、よろしくお願いします...

  ええと、今回のテーマは、何でしょうか?」

「まず、小泉内閣ですね。ガタガタと、騒々しくなってきました、」

「はい、」

「まあ、私はここで、細かなことを色々と言うつもりはありません。ただ、これ

だけは言って置きたいと思います。

  小泉さんはこれまで、私たちが当初期待した以上に、改革を推し進めて

来てくれたのではないでしょうか。そして、ここに来て抵抗勢力の猛烈な圧

力に屈し、一頓挫してしまった。つまり、それほど、この新世紀・維新の大

改革というのは膨大な難事業なのです。

 

  私たちは、今こそ、これまで以上に小泉内閣を支え、何とかこの国の改

革を軌道に乗せるべきです。ただ、附和雷同的に、人事におけるミスを大

袈裟に取り上げ゛、国家の進路を誤るべきではないと思います。

  小泉首相は、少なくとも私たちに、この国は変わるんだという夢を見させ

てくれました。したがって今、窮地に陥っている小泉首相に、今度は私たち

が、その恩義に報い、元の軌道に戻すべきだと思います。

  ともかく、これだけの国家大改造を行おうというのですから、多少の混乱

や、数々のエピソードも、当然あってしかるべきです。あの明治維新の時の

新撰組や勤皇志士は、日々命がけで戦い、数々の英雄をうみ、今も語られ

る多くのエピソードを残しています。

  あの当時の人は、皆、偉かったと思います。私たちも、今まさに、そうし

た維新革命の真っ只中にあるのです。私たちは、どうしても、この国をまと

もな国家に再生しなくてはなりません。したがって、ここで諦めるのではな

く、私たち国民が再度、より深く目覚め、ここで踏ん張ることこそが大事なの

だと思います...

 

  結局、小泉首相も、私たち国民も、“この国を何とかしたい”という思い

は、1つなのです...」

「はい...結局、思うんですけど...この国を変えるのは...本当の意味

でこの国を変えるのは...小泉首相ではないと思います。それは、私たち

国民が、変えて行かなければならないのだと思います。

  アフガニスタンは、アフガニスタンの国民自身が変えて行かなければなら

ないように、日本の国は、私たち日本の国民自身が、変えて行かなければ

ならないのだと思います」

「その通りです!まさに、その通りだと思います!国民と、文化が変わらな

ければ、いくら政治や行政のシステムを変えても、それは絵に書いた餅の

ようなものです。そこに魂を入れるのは、まさに国民の覚醒と文化なのです

から。

  ともかく私は、窮地に立っている今こそ、より一層、小泉首相に声援を送

るべきだと思います」

「はい!」

「私は、橋本元首相の“失政”は、あれは首相候補としては、プラス要因に

はならないと言ったことがあります。橋本さんと、小泉さんが、自民党の総

裁選で争っていた時のことです」

「はい、」

「しかし、今度の小泉首相の“失策”は...小泉首相にとっては、非常に大

きな教訓になったと思います。現在、自分の置かれているスタンスを知ると

いう意味において、です。まあ、その他、非常に多くのことを学ばれたので

はないでしょうか...これは、今後、必ず役に立っていくと思います」

「はい!」

「ともかく、小泉首相には、今後とも、より純粋に、改革に邁進していって欲

しいと思います。国民も、そうした小泉首相を、しっかりと支持していって欲

しいと思います」

「はい!そう思います!この日本は、私たちの国なのですから!」

「あ、それから...民主党は、相変わらず、戦略を間違えているのではな

いでしょうか。私の目には、そう映ります。党の内部が整理されていないの

で、難しいのは分りますが、野党第1党として、是非しっかりして欲しいと思

います」

「はい!ともかく、小泉首相には、是非頑張って欲しいですね!」

「そうですね!」

 

 

 

                <辛口時評・2002/No.2>  .....(2002. 3.10)

 日本の人口は、    

    増やすべきなのか、減らすべきなのか? 

  house5.114.2.jpg (1340 バイト)wpeA.jpg (42909 バイト) wpe7.jpg (30778 バイト)    

 (1)風通しの良い国家体制       

            創造的で気品のある文化      

 

「よ!」津田が、マチコの肩をポンと叩いた。「すまん、すまん...少し遅れ

たようだな、」

「あ、いいんです。私も今、ニューフェイスのミーコちゃんを紹介していたとこ

ろですから、」

「ほう、ニューフェイスか。いいねえ、誰だって?」

「ミーコちゃんです...あそこのブロック塀の上、」

               house5.114.2.jpg (1340 バイト)   <ミーコちゃん>      

「おお...可愛いネコちゃんじゃあないか、」

「こんにちわ!ミーコちゃんでーす!よろしくお願いしまーす!」

「おう、こちらこそよろしくな!」

「はい...えーと、津田・編集長...今日のテーマの、

 

“日本の人口は、増やすべきなのか、減らすべきなのか?” 

 

というのは、どういうことなのでしょうか?」

「うむ...この間、日本の人口は、2006年でピークに達して、それから減

少局面に入るという統計結果が出ただろう、」

「ええ、はい、」マチコは、両手をテーブルに置いた。「テレビのニュースで見

ました。日本の人口は、2006年から減少していくんですよね?」

「うむ...それは、まず間違いはあるまい...」津田は、ゆっくりと椅子を

引き、腰掛けた。「まあ、急速に“高齢化社会”に突入していくわけだな。そ

れも、これまで世界中が経験したことのないような、急激な超高齢化社会

になっていくようだね」

「はい、」マチコは、真剣な顔でうなづいた。「どうしてこんなことになったの

でしょうか?」

「うむ。つまり、こういうことだ...

  まず、日本の社会は、成熟期に入り、“少子化傾向”になった。つまり、子

供の出生率が落ちて来ているわけだ。まあ、難しい理屈は省くが、成熟社

会の一般的傾向で、統計的にもそうなっている。

  一方、医学の発達で“日本人の寿命”がどんどん伸びて来ている。そし

て、この相乗効果で、日本人全体の“平均寿命”が、非常に高くなって来て

いるわけだ。

  したがって、この結果、若者の数は相対的に減少し、老人の多い典型

的な高齢化社会になってくる。それも、急激に、そうなって来るようだねえ」

「うーん...」

「まあ、戦後の“ベビーブーム世代”が老人世代になり、この人たちが今度

は日本の超高齢化社会を形成するわけだね。しかし、いずれ、これも世代

交代が進み、みんな死んでしまえば、高齢化社会というのは自然に解消し

ていくはずです」

「そうかあ...つまり、色々な事が重なってしまったわけですね。日本の場

合は、」

「まあ、そういうことだね。専門的な統計数字は手元にないが、おそらく、

30から40年もすれば、日本の超高齢化社会は、徐々に正常な姿に戻って

いくはずです。

  したがって、その後、日本の人口は、急速に減少していくはずです。ま

あ、本来多過ぎたわけだから、非常にいい事だと思うね。これで何とか、国

土風土にに見合った人口まで、減少していって欲しいものです...」

「はい...うーん...だいたい様子はわかりました...」

「さて、ここで...この超高齢化社会をどう乗り越えていくかが課題にな

るわけです。こうした急速な高齢化社会の年齢構成比率を考えると、“年

金”“老人医療”の問題が、まず大きくクローズアップしてきます。

  ここの予算が、いっきに膨れ上がってくるのわけですねえ。今、国会など

で大問題になっているのは、まさにここらあたりの問題です。“消費税のア

ップ”の問題も、こうした財源確保の側面があるわけです...」

「はい、」

「まあ...高齢化で、年金や老人健康保険を受ける人口がいっきに拡大す

るということです。この支出に対し、これを支える労働人口が減少傾向にあ

るわけです...」

「...」

「まあ、本来なら、自分が支払ってきた年金や保険料が、積み立てられてい

ればよかったわけです。ところが、実は、そうはなっていないわけですね。こ

うしたした社会福祉の制度は最近スタートしたもので、最初の人達は年金も

保険料も支払わずに、給付金だけを受けたわけです。それで、順次、世代

間で負担する制度になってしまった。まあ、本来なら、徐々に自分の負担金

でまかなう制度に修正しておくべきだったのですがね、」

「そこは、いわゆる日本的な官僚仕事で、サボったわけですか?」

「まあ、そういうことでしょう」

「あの、では、どうしたらいいのでしょうか?」

「何とか、知恵を出し合い、助け合い、我慢するものは我慢し、この構造的

な国難を、乗り切っていかなければならんということでしょう。そのために必

要なのは、

   スッキリとした風通しの良い国家体制と、  

                        創造的で気品のある文化 

ではないかな...」

「うーん、そうかあ...だから、年金や健康保険の問題が、国会で大騒ぎ

になっているわけね、」

「そういう事です...そして、この段階で、日本の人口は今、増やした方が

いいのか、それとも自然に減らしていった方がいいのか、ということです。

つまり、2006年から人口が減少していくのを、受け入れるべきかということ

です。

  まあ、減少した方がいいのは分っているのですが、急激な減少は、社会

大きな歪(ゆが)みを作ります。いずれにしても、急激というのは、何事に

いても、いいことではないからねえ、

「うーん...」

「さて、そこで...この問題を所管する厚生労働省が、少子化対策に乗り

出したわけです。産め、増やせ、移民も受け入れろ、というわけですね。ま

あ、正確なことはよく分りませんが、現実の風景を見ていると、こんな方向に

あるようです。

  しかし、私は、この政策には反対なのです。いや、反対というよりは、しっ

かりと国民的な合意がなされていないという意味において、まずは反対

いうことです。いずれにしても、しっかりと議論をして欲しいですね」

                                    wpeA.jpg (42909 バイト)    

「うーん...むずかしい問題ねえ...」マチコは、片手でミケの腹をすくい

上げ、トン、と膝の上に乗せた。そして、頭をキュッと撫でた。「でも、私も、

人口を増やすのは、反対です...何となく...」

「そう...人手が足りないのなら、まずは“定年を延長”したり、無くしたりと

いう制度面での抜本改革もあるずです。また、いわゆる“専業主婦”を、大

幅に労働力人口として投入する事も可能なはずです。他の国でもやってい

ることですから。したがって、ここは、人口を増やすのではなく、知恵を出し、

国民全体で乗り切っていくべきだと思いますね」

「はい、」マチコは、ミケのヒゲを指で引っ張った。

「まあ、何にしても、“働くこと”や、“社会活動をしていること”が、美徳である

ような社会や文化であることが大事ですね。また、かっての純朴だった頃の

日本のように、“勤勉”“努力”というものが評価され、報われる社会である

ことも、非常に大事だと思います」

                                      

 (2) 国家を危機に陥れている、日本の農業政策  

                             

「さて...日本の国土は、7割以上が山岳地帯です。平地や農地が少ない

のが特徴ですね。したがって、この国にはもともと、1億2000万もの人口

を養えるスペースはないのです...

  では、実態はどうなっているかというと、“食糧自給率”が極端に低くなっ

ているわけです。そして、かって“ウサギ小屋”と言われたような、きわめて

狭い住宅にギュウギュウ詰めになっている。まあ、こうした異常な状態は、

相当に改善されてきたとはいえ、依然として続いています。

  ま、住宅はともかくとして、当面問題なのは、食糧自給率ですね。これは、

危機管理上、緊急の大問題だと思います」

「はい...」

「正確な数字は、常に変動するわけですが、この国の食糧の約半分は、海

外からの輸入に頼っているのが実状です。また、主要穀物では、唯一自給

できているのは、米ぐらいでしょうか。大豆などは9割以上が輸入になって

いますね。

  したがって、何かコトがあった場合、日本の国はあっさりと“飢餓モード”

に突入してしまいます。まあ...それが、何処かの国の戦争かも知れませ

んし、エボラ出血熱や狂牛病の様な、“バイオハザード”かも知れません。

あるいは、世界的な気候変動による、恒常的な食糧不足が原因となるのか

もしれません...これは、程度の差はどうあれ、いずれ確実にやって来る

危機の1つです」

「ふーん...そうなんですか。日本は、ずいぶんとのんびりしているのかし

ら?」

「ともかく、備蓄もなく、海外から大量の食糧を輸入している国家というの

は、きわめて歪(いびつ)であり、脆弱です。国家戦略的な見地から見ても、何

故こんな状況が許容されているのか、理解に苦しむ所です。

  これはまさに、“日本の農政”は、国家や国民を大事には思っていない

との証明ではないでしょうか。このことは、最近の一連の“狂牛病騒動”や

“ニセラベル騒動”でも露呈されましたが、私は非常に大きな憤りを感じて

います。

  いや、すでに憤りを通り越しています。まさに、恐ろしい状況です。いった

い誰がこんな事態にしてしまったのか。キッチリと責任を追及し、“農政の

抜本改革”を進めなければならないと思いますね。

  現在、外務省が問題になっていますが、より深刻なのは、農水省厚生

でしょう。それに、巨大官庁の国土交通省でしょう。こうした所は、外務省

のように、族議員がごく少数というような単純な構造ではないし、凄まじい利

権構造があるのでしょうねえ、」

「うーん...恐いわねえ」マチコは、肩を縮めた。

「ともかく、こんな食糧自給率の状況で、さらに人口を増やす政策をとるとい

うのですから、私は反対するわけです。地球は、長期的な気候の変動期に

入りつつあると言われます。世界的な食糧危機、食糧戦略の時代が、もう

すぐそこまで来ているのです

「はい、」

「 くり返しますが、食糧はもうお金を出しても買えない時代が、すぐそこまで

来ています。世界的な不作が2、3年も続けば、世界各地の飢餓は、深刻な

状況に陥ります。

  こうした状況下では、国際機関による食糧支援も、当然不可能になりま

す。また、日本のような国でも、食糧の確保に非常に苦労するようになりま

す。そして、世界では億単位の人々が、深刻な飢餓に陥って行くことになる

のです。

  日本も、国家としての危機管理戦略から言えば、全食糧の自給率は最

低でも75%以上は確保しておくべきです。そうでなければ、その時が到

来しても、国家の食糧計画が立ち上がらないのではないでしょうか...そ

うなれば、まさに私たち日本人全体が、“飢餓状態”に陥ってしまうのです」

「はい。今は、休耕田も多くあるし...野菜なども自給率を上げて、長期的

な備蓄もしっかりと確保して、」

「そういうことです...まさに、そういう事ですね...

  それから、あまり気候に左右されない農業なども、しっかり確保しておくこ

とも大事です。温室やビニールハウス、モヤシやウドなど、色々なものがあ

りますが、非常事態に備えて、しっかりと研究して行って欲しいですね」

「はい、」

「ともかく、日本の現状は、きわめて異常だと思います。戦後の日本には、

長期的な農業政策というものが無かったわけですから。農業政策の周囲に

は、いわゆる“族議員”は山ほど排出しましたが、ほとんど国家のためには

役立っていなかったわけです。彼等はみんな、口では色々と言ってきたので

しょうが、結果として、こんな危機的な農業の現実を残してしまったわけで

す。

  いや、問題は“食糧自給率”だけではありません。彼等は、その一方で、

狂牛病問題やその他の食肉の不祥事の風景に見られるような、“モラルハ

ザード”をも引き起こしていたのです」

「うーん...どうすればいいのでしょうか?」

「まあ、ともかく、当面の問題としては、しっかりと責任追及をし、2度とこうし

た事態が起こらないように、情報公開をし、責任を明確化することです」

「はい、」

「まあ、ここは国家戦略としての農業政策や、社会基盤政策としての都市と

農村の関係、それから税負担としての消費税の増額等、まさにしっかりとし

た国家戦略を描いていくことが急務でしょう。小泉総理大臣には、ぜひ頑張

って欲しい所です...」

「うーん...何とかなるのでしょうか...」マチコは、首を傾げた。「日本は、

本当に、大丈夫なのでしょうか?」

「そうですねえ...極端な言い方をすれば、国家や社会が正常に、公正に

動いているのであれば、私たち国民は、多少の我慢は元々受け入れる覚

悟はあるのです。

  年金のカットも、消費税の負担増も、“やむなし”と受け入れてもいいので

す。ただ、それには、この日本の国の姿が、本当に自らが誇れる、“愛せる

国家”なのかどうか、ということです...」

「あの、それで、どうなのでしょうか?」

「まあ、そう願っている国民は多いわけですから、“新世紀・維新”を達成す

るという意思統一ができれば、難しくはないと思います。日本は、国民主権

国家であり、曲がりなりにも成熟した民主主義国家なのですから、」

「はい!」

「つまり、そのような、真に愛せる国家が実現するなら、国民は大概のことは

受け入れるし、我慢もするし、そのための努力もするのです。まして、自分

の年金を維持するために、外国から移民を受け入れろなどとは言わないは

ずです。最近は、外国人による犯罪が急増していますしねえ。それに、移

民は、後々、多くの難問を引き起こしますから、」

 

 (3)移民について       wpeA.jpg (42909 バイト) wpe7.jpg (30778 バイト)    

「あの、津田・編集長は、日本に“移民”を受け入れることには、反対なので

しょうか?」

「そうですねえ、2つ理由があります...

  まず、私は、“移民そのもの”に、反対だと言っているのではありません。

日本人もかっては、北米や南米に移民しているわけですし、その辺の様々

な事情は理解しています。

  しかし、日本への移住は、食糧自給率から言っても、すでに人口が多す

ぎると言っているのです。だから、“産め”、“増やせ”というのも反対なわけ

ですし、労働人口調整のための、“政策的な移民”も、必要ないということで

す。日本はもう、十分すぎるぐらい人間で溢れているのですから...

  それから、もう1つの理由は、全世界が巨大な単一社会になる“グローバ

ル化”には反対という立場から、移民には反対なわけです。文化や人種を

かき混ぜ、不必要な摩擦を生むのは、果たしていいことかどうかということで

す。文化的な摩擦から、新しい創造性が生まれてくるのは確かです。しか

し、現在見られる“グローバル化”の現象は、全ての色を混ぜて、たった一つ

の色である“灰色”にしているように思えるのです...」

「うーん、“灰色”ですかあ...」

「もちろん、私は、差別的な気持ちは全くありません。ただ、私が思うのは、こ

れから、50年100年という未曾有の困難な時代を乗り切っていくには、やは

り民族的にも文化的にも、統一が取れていた方がいいだろうということです

ね。まもなく、そうした大艱難(だいかんなん)の時代がやって来ます...」

「はい。それは、よく分ります...」

「中国などでは今、消費文化が爆発し、人々は目を輝かせて豊かな社会の

建設に邁進しています。しかし、我々日本人はもう、そうした物質的な豊か

さを求める時代は、通り過ぎてしまったのではないでしょうか...

  今は精神的な豊かさと、より深い文化、そして落ち着きのある宗教性

求めているのではないでしょうか。したがって、こうした方向で充実した社会

を建設していくべきであって、ただやみくもに景気や経済成長だけを求める

状況ではないと思います。

  今、どんな新産業を興せばいいのかという議論があるわけですが、まさに

“この方向”に新規の大展開を求めることが出来るのではないでしょうか」

「はい!ええ、是非、小泉総理大臣には、この国難を乗り切って欲しいと思

います!」

「そうですね...かって日本新党の細川内閣をぶち壊したようなマネだけ

は、やめて欲しいと思います。今そんなことをしていたら、日本がダメになっ

てしまいます」

「はい、」

「それから、今は、野党も与党も、厳しい国民の眼にさらされていることを自

覚して欲しいと思います。小泉首相が正しいことを言っているのに、ただ足

元を救うようなことを言っているのであれば、国民はそれをもしっかりと見抜

いているということです。国民はもう、言葉だけが上滑りしているような馴れ

合い政治にはうんざりなのです」

「はい...」

回想録/“詰めの甘さ”の考察      

 

「本来...こうした大改革は、中曽根内閣の時代に、もっと突っ込んでやる

べき仕事だったと、私は思っています。それが、国鉄と電電公社(NTT)と専

売公社あたりの改革で、お茶を濁してしまいました。私は、それが非常に悔

しかったのを覚えています。

  あの頃は、アメリカではレーガン大統領がアメリカを再生し、イギリスでは

サッチャー首相がイギリスを建て直しています。そして、日本では中曽根首

相が抜本改革を行ったのですが、日本を再生するまでには至りませんでし

た。どうも、リンゴを1口か2口かじっただけで満足し、それで矛をおさめてし

まったようです。まあ、非常に残念でした...

  私は、あの時点で、多少の改革ではなく、まさに“昭和・維新”まで持って

行って欲しかったですね...まあ、それが出来たと思えるだけに、返す返

すも残念だったのを記憶しています。一度、潮が引いてしまえば、再びその

大波を起こすのは、まさに不可能に近いわけです。ましてや、それが命が

けの国家大改造となれば、なお更のことです...

 

  それから、これと同じ様な印象を受けたのは、その後のブッシュ大統領の

湾岸戦争の時でした。戦争で圧勝し、大挙してイラクに攻め込み、そこであ

えて最後の詰めに甘さを残しました。むろん、今も、大きな反省材料になっ

ているのだと思います...

  あの時、イラクを完全に制圧し、フセイン大統領を捕縛しておけば、その後

の展開は全く変わっていたはずです。私は、その時も、“ああ、ここでやめて

しまうのか...”と、素人(しろうと)ながら、首をかしげたのを覚えています。む

ろん、ブッシュ大統領の側近には、軍事戦略のプロ中のプロがズラリといた

わけですし、第一級の外交戦略家も大勢控えていたわけですが...

 

  それにしても、“維新革命”や“大戦争”という歴史的な場面では、指導者

の側近には、切れ者や知恵者や頭脳集団がいるのでしょう...そして、そ

の一方では、

  “そろそろ、これぐらいにしておかないか。もう、これで、十分だろう”

というような“仲介者”も現れてくるのだと思います。そして、この妥協で、旧

勢力が生き残り、維新革命も戦争も一頓挫...まさに、全体としては“骨抜

き”になり、不完全燃焼となるわけです...」

「うーん...“骨抜き”ですかあ...そこで、“骨抜き”になるのですかあ、」

「そこにも、よく言われる、“落とし穴”があるわけです。やれば簡単に出来

たのに、全体の勝利の状況に満足し、詰めの甘さを残すわけです。

  日本の“維新”も、あの時、中曽根内閣で実行していれば、アメリカやイギ

リス以上に、日本を再生できたはずなのですがね...中曽根首相にそれ

だけの意気込みがなかったのか、当時の頭脳集団に、国家戦略に対する甘

さがあったのか...」

「ふーん...」

「私が今、何故、こんな過去の問題を引きずり出して言及しているかといえ

ば、あえて“辛口”で指摘することで、同じ轍を二度と踏んで欲しくないと願う

からです。

  客観情勢として、小泉首相も、二代目の現・ブッシュ大統領も、そのために

非常に苦労をしているわけです...」

「そうねえ...」  

「まあ、小泉内閣の現状では、日本はすでにバブルが崩壊し、体力も衰え、

ギリギリの維新革命になっています。しかし、二代目の現・ブッシュ大統領

が、“対イラク戦”で、再び意欲を駆り立てています。日本も再度、今度こそ、

本物の“維新革命”にして欲しいものです...」

 

「はい!是非、そうして欲しいと思います!

        もう、日本には、後がないのですから!

                  ええ、今回は、ここまでとします...」

                              wpe7.jpg (30778 バイト)    

 

 

             <辛口時評・2002/No.3>  .....(2002. 4. 4)

 “国家大改造”の推進!!!!!    

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            折原マチコ    津田・編集長    星野支折      

  今回は、マスメディアの考察・・・        wpeC.jpg (18013 バイト)  

 

「ええ、津田・編集長...」星野支折が言った。「最近、政治の流れが、幾

つもの小さな“淀み”に入ってしまったような気がするのですが、」

「そうですね。鈴木宗男・代議士や外務省のスキャンダル、それから政治家

の秘書のスキャンダルに、マスコミの関心が集中していますね。ここは、マ

スコミが、いま日本に必要なのは何かを、しっかりと見極めて報道して欲しい

と思います。

  確かに、鈴木宗男・代議士や外務省の問題を正すのも大事です。しか

し、こんなことは、マスコミと政治が、表舞台で主要議題のように議論する必

要が、はたしてあるのでしょうか...」

「はい、」支折は、うなづいて、津田を見つめた。

「今、日本にとって一番大事な事は、“国家大改造の推進”であり、“構造改

革と景気の浮揚”であり、“新しい日本文化の創出”のはずです。むろん、外

務省の改革もその一環ですし、政治の一新もその流れの中にあります。

  しかし、支折さんの言うように、今は“淀み”にはまり込んではいけない時

です。フルパワーで、この国難を両断し、押し流されながらも向こう岸へ突っ

切る時です。今は、パワーと、スピードと、時間との勝負ですね」

「はい...」支折は、マチコの方に目をやり、小さくうなづいた。

「ええと、どうしたら、いいのでしょうか?」マチコが言った。

「まず、今こそ、マスコミにしっかりしてもらいたいと思います。マスコミは、そ

の本来の義務と責任を、しっかりと果たすべきです。今、日本に必要なのは

かを見極め、“1段高いステージ”から報道して欲しいですね...

 

  この国が、今のように活力をなくしてしまったのは、確かに政治や行政に

問題がありましたしかし、それ以上に問題だったのは、マスコミが主権者で

ある国民の側に立ち、しっかりと批判・啓蒙してこなかったことにあるのでは

ないでしょうか。

  マスコミが、第4の権力になってしまい、かつ、経済原理で動く企業集団に

なってしまったことが、日本をここまで衰弱させてしまったように思います。

したがって、現在の日本は、まずマスコミが覚醒し、その本来の姿を確立す

ることにあると思います。私は、マスコミ内部のことは何も分らないのです

が、“世代交代”、“新しい血の導入”等、人事一新も一考すべきではないで

しょうか...

 

  ...」

「うーん...マスコミというのは、難しいわねえ、」マチコが、首を斜めにした。

「確かに、マチコさんの言う通りです」津田は、深くうなづいた。「マスコミが、

“文化の原理”ではなく、“経済の原理”で暴走していくと、国家そのものが危

うくなってしまいまね。現在の日本は、まさにそんな状況なのではないでしょ

うか。

  政治が悪いのは、確かに国民の政治意識が、その程度のレベルだという

ことは出来ます。しかし、マスコミが悪くなった場合、国民のコントロールが

効かなくなってしまいます。したがって、彼等は、司法・立法・行政に続く、第

4の権力機構のようになってしまったわけです。むろん、悪い意味での、第4

の権力ということです。

  また、NHKのように、国民から“浄財”を集めて運営している中立の組織

でも、マスコミ全体を浄化する力はないようです。そのために、国民から“浄

財”を集めて運営しているわけですが、巨大化した自らの組織運営がせい

ぜいで、他のマスメディアを公然と批判する姿を、見たことがありません。

 

  “NHK・運営委員会”というのは、一体何をやっているのでしょうか。こう

した本来の任務に関して、批判というものはないのでしょうか...

 

  確かに、最近は、NHKスペシャルや特集などで、非常にいいものも多くな

ってきました。また、民放テレビが低調なだけに、NHKの文化的貢献は、非

常に大きなものがあると思います。

  しかし、その一方で、国家が次第に衰弱して来ているのも、眼前の事実

なのです。政治、行政、文化が益々荒廃し、教育も依然として荒れたままで

す。しかも、急激にこうなったわけではありません。10年、20年、30年とい

う、時間経過があったわけです...」

「はい、」マチコが、うなづいた。

「戦後、NHKを設立する際に、政治から完全に独立した機関行政から

も完全に独立した機関を創設するということで、非常に苦心したというエピ

ソードを聞いたことがあります。それほど、国民の側に立った、中立性という

ものが求められたわけです。

  そこで、そのために“放送法”というもので、国民から直接“浄財”を集め、

予算面でも人事面でも、完全に独立したのです。そして、ここが、“国民主

権”の象徴であり、“民主主義社会の牙城”となったわけです。

  したがって、NHKは本来、政治に対しても、行政に対しても、他の各民間

のマスメディアに対しても、“国民の立場から”、ガンガンものが言えるはず

なのです。また、NHKの創設の主旨から言っても、この部分が最も重要な

任務だっのではないでしょうか...

  それが、いつの頃からかは知りませんが...文化を主導する方がメイン

になり、肝心の“浄財”を集めている意味が無くなってしまったのではないで

しょうか。文化面だけの貢献なら、“浄財”を集めて、独立予算で運営する必

要はないのです。それなら、文化庁の管轄下に入ればいいわけですから。

  つまり...私が言いたいのは、ここの所を、“NHK・運営委員会”は、どう

国民に説明してきたのかということです...少なくとも、私は、納得の出来

る説明を聞いた覚えがありません...」

「NHKですかあ...」支折が言った。「最近は、いい番組も多くなってきた

けど、民放に毒されたような映像も、少しづつ混じってきたのじゃないかし

ら、」

「そうそう、」マチコが、口を尖らせた。「そんなのがあるわよねえ。でもさ

あ...」

「民放テレビも、見るのがないのよねえ。タレントも見飽きたわよね...あと

は、食べ物の話と、野球の話と、芸能ニュースだけでしょ、」

「そう...」

   ≪国民による、マスメディアのコントロール≫  wpe4F.jpg (12230 バイト)  

 

「うーん...それで、どうすればいいのでしょうか?」マチコが、腕組みをし

て言った。

「まあ...こうした肥大化したマスコミをやっつけるのは、実は非常に簡単

なのですよ...」津田は、肩を後ろに引き、二人にニッコリと笑って見せた。

「あの、どういうことでしょうか?」支折が聞いた。

「それは、つまり、“拒絶”すればいいわけです。今はインターネットの時代

ですから、非常に大勢で拒絶することも可能ですし、きわめて容易です」

「うーん...拒絶ですかあ...」マチコは、津田の真似をし、椅子の背にそっ

くり返った。

「まあ、こんなことは、言いたくはないのですが...1つの新聞社、1つのテ

レビ局を、1週間も拒絶すれば、その“経済的破壊力”は凄まじいものにな

ります。場合によっては、会社が潰れることもあるかも知れません...」

「うーん...潰しちゃうんですかあ...」マチコが言った。

まあ...つまり、マスメディアというのは、大衆である国民に大きな影響を

与える反面、大衆の側の集団的反発には、非常に脆弱だということです。

かもこれは、非常に機動的、かつ大きな力を発揮できます。まあ、行き過ぎ

のあるようなマスメディアは、日常的に“完全に拒絶”していくことですね。そ

して、いいものを育て、残していくことです...それが、主権者である国民の

力です。まあ、立法・行政に対しても、そうですがね、」

「はい!」支折が、テーブルに両手をついて、うなづいた。

「うーん...」マチコの方は、腕組みをした。

「すると、編集長...」支折が言った。「この国の文化を立て直すには、マス

メディアに対しても、“国民主権”を主張できるということですね、」

「そういうことです。まさに、“国民主権”です。まあ、こうした国民主権の力

を背景にして、国民とマスメディアとが、非常に良い関係を構築して行くこと

が理想ですね。

  つまり、国民の手で、マスコミを“経済の原理”ではなく、“民主主義の原

理”“文化の原理”に軌道修正することです。そして、この国の文化を、より

高いステージへ導いていって欲しいものです」

「“国民主権”がキーワードですね。現在の日本は、」支折は、確かめるよう

に聞いた。

「そうですね。まさにそういうことです。国家大改造は、“国民主権”がキーワ

ードです!日本では何故か、司法・立法・行政/マスメディア・財界等の人

々が、特権意識を持ち、かつ既得権構造を形成してしまっています。

  したがって、これを破壊し、真の“国民主権”を実現し、“新・民主主義国

家”を建設することが、“新世紀・維新”という国家大改造なのです」

 

「はい!ええ...“国民主権”がキーワードだということです!」マチコが言

った。「うーん...構造改革の方程式が解けない時は、このキーワードで解

けるということでしょうか?」

「はい!」支折が言った。「そういう事だそうです!」

「ええ...是非、みんなで、実現したいと思います!」

           room12.982.jpg (1511 バイト) wpe7.jpg (30778 バイト)         

 

 

 

 

 

         <辛口時評・2002/No.4>   .....(2002. 7. 6)

       国家の混迷は、

             “国民主権”“情報公開”で突破を

            wpe4F.jpg (12230 バイト)     

              津田・編集長                星野支折      

〔1〕 武士道が完遂した明治維新

〔2〕 “白羽の槍”を喉元に当てて!

〔3〕 国会議員の、“全活動状況”の開示を!

        新・民主主義社会への展開      

〔4〕 地方政治の考察

〔5〕  政治、社会、文化の活力      

  

  wpe44.jpg (7720 バイト)       

 

  支折は、テレビの大雨警報を見ていた。ひとしきり、激しい音のする窓の

方を眺める。窓ガラスにザーッ、ザーッ、と強い雨が吹きつけていた。彼女

は、カウチから立ち上がり、ゆっくりと窓の方へ歩いた。

  雨飛沫(あめしぶき)で霞む窓の外に、紫陽花(あじさい)の花がボンヤリと見え

た。その先の方は、白い雨糸で何も見えない。薄暗い空の下で、雨だけが

激しく降っている...

「やあ...」津田が、部屋に入ってきた。「よく降るねえ...」

「はい...今年は、梅雨らしい梅雨ですわ」支折は、振り返って言った「こ

れで、夏の渇水が乗り切れるんじゃないかしら、」

「うむ...まあ、これだけ雨が降れば、水が足りんということはないだろう」

  二人は、雨音の響く窓辺のテーブルに席を取った。時折、ザーッ、と雨が

強く吹きつけてくる...

「さてと...前回はマスメディアについての考察だったな、」津田は、窓から

テーブルのノートパソコンに眼を落とした。

「はい...」

「今回は、政治の混迷について、全般的な考察をしようと思う」

「はい」

 〔1〕 武士道が完遂した明治維新       wpe54.jpg (8411 バイト)house5.114.2.jpg (1340 バイト)      

 

「ええ...まず...戦後、マッカーサー元帥がもたらした“民主主義”は、本

当に日本の社会に根付いていたのか...」

「はい、」

「まあ...ある意味では、大きな成果があった。これは間違いないがね。

“日本の第2の奇跡”と言われた、“経済大国”へのサクセスストーリイを描

いた時代だ。これを、否定するわけには行くまい...」

「はい、」

「また、“農地解放”“財閥解体”“教育の普及”等は、戦後の日本社会

に、維新革命のような劇的な変化をもたらした。そして、そこに、“民主主

義”という、新しい社会的パラダイムの種が蒔(ま)かれていったわけだ...

  さあ...そこでその種は、立派な苗に育ち、鬱蒼とした成木に成長した

のだろうか?日本の民主主義は、古い社会の慣習を完全に打ち破り、真に

“国民主権”の国家となったのか?問題は、まさに、ここにある...

「はい、」支折は、深くうなづいてから、やや首を横にした。「あの、津田・編

集長...すると、“日本の第1の奇跡”というのは、何なのでしょうか?」

                                 house5.114.2.jpg (1340 バイト)   

「うむ...世界史の中で、最初に“日本の奇跡”と言われたのは“明治維

新”だ。二百数十年の鎖国の惰眠(だみん)から目覚め、社会が大転回した時

代だ。日本の社会が、中世の江戸時代から、近代の明治時代へと大変身

した革命は、世界史的に見ても、非常にうまくいった革命だと言われてい

る。

  明治維新というのは、支配階級であった、武士社会の革命だった。それ

も下級武士による革命だった。したがって、庶民はそれに、ほとんど巻き込

まれることはなかった。“サムライ”が、武士道精神のもとで、ある意味で整

然と完遂した革命だったわけだ。

  しかし、その結果、日本は思いもよらぬほどの、強大な近代国家へと驀

進することになった...当時、アフリカやアジアの諸国は、西欧による植民

地化の辛酸をなめていた。だが、そうした中にあって、日本はうまく独立し、

近代社会へと脱皮できたわけだ」

「ふーん、そうかあ...それが、“明治維新”なのね、」

「まあ、日本の政治は、今でこそこんなロクでもない状態になっているが、

我々はあの、“明治維新”を完遂した国民なのだということだ

「はい

「それから、その維新革命から、三十数年後...日露戦争が勃発した。こ

の大国ロシアとの全面戦争で、新生の明治維新政府は、運命的な大勝利

をおさめたわけだ。

  海軍は、当時世界最強といわれたバルチック艦隊を、日本海で迎え撃

ち、これを撃破した。この歴史的な大海戦のニュースは、たちまち世界中に

打電され、日本の予想外の大勝利は、世界を震撼させたという。

  それ以後、日本は名実共に、世界の列強と肩を並べるようになって行く

わけだな...つまり、これが、最初に“日本の奇跡”といわれた時代だ」

「はい

「うーむ...明治は、私の最も好きな時代だねえ...開けっぴろげで、何も

かもが輝いていた時代だ...全てに、純朴で、真剣な時代だった...

  そうそう、バルチック艦隊を撃破した日本艦隊の提督は、東郷平八郎

...そして、幕僚に秋山真之(さねゆき)がいた...

 

“舷々相摩す...”

“天気晴朗なれども波高し...”

 

などと、海戦の状況を打電したのは、幕僚の秋山真之と言われる...日本

中...いや世界中が、その快晴で波の高い日本海での激闘に、思いを馳

せた。それは、西欧を追いかけ、近代化途上の明治政府にとっては、まさ

に国家の命運を左右する大決戦だった...

  乃木希典(のぎまれすけ)の率いた陸軍第三軍が、ロシア艦隊の軍港だった

旅順を陥落。東郷平八郎が率いた日本艦隊が、日本海においてバルチッ

ク艦隊を撃破。それからさらに、大陸の“奉天の会戦”においても、日本陸

軍は大勝利を収めた...」

「はい...」支折は、楽しそうに話している津田を眺め、頬を崩した。

「...そして、あの太平洋戦争の大敗北だ。それで、戦争は全て悪と決め

付けられてしまった。その時代の青春も、冒険も、男達のロマンも、全てま

とめてゴミ箱にブチ込まれてしまった。しかし、確かに、その時代はあった

のだ。むろん、私は、その敗戦の後に生まれた人間だがね...」

「はい...」

「しかし、男の子というのは、いつの時代でも、戦争ごっこが好きなものさ。

そして、それが生きる力にもなる。将来、それが正義のための戦いになる

かも知れないし、スポーツになるかもしれない...あるいは、もっと違う形

の、生きるための力になるのかも知れない...

 

  そうした人生の戦いの中から、ロマンが生まれる。苦しい状況の中から、

豊な芸術や文学が生まれてくる...

  人生とは、その中で、もがき苦しむのではない...一歩引いて、自分を

も含めて、その全体を観察するのが楽しいものだ...首を2センチほど引

き、斜め上あたりから見下ろすのがいい...

 

...」

「はい...」支折は、あごを引いて、津田の顔を見上げた。

「はっはっ...おっと...脱線してしまったな...

  ええと、つまり...戦後の民主主義が、本当に日本の社会に根付いた

のかどうかということだったな...まあ、確かに、日本の国力は見事に復

活し、社会は再び安定し、民主主義も定着した...

  しかし、真の意味で、日本の社会は、民主主義というものを理解していた

のかどうかが問題なわけだ...」

「はい...どうだったのでしょうか?」

「うーむ...経済分野で大成功を収めただけに、民主主義の本質が無視さ

れ、見落とされ、ひたすら突っ走ってきたような感じがする...政治や官僚

機構のギアチェンジも、あのバブルの狂乱の中で押し流されてしまったよう

だ...」

  支折は、テーブルの上に目を落とし、強くうなづいた。

 〔2〕  “白羽の槍”を喉元に当てて!   wpe4F.jpg (12230 バイト) 

                  <国家再生のカギは・・・ 国民の怒り 

 

「ええと...それで、津田・編集長...まず、私たちは、何をしたらいいの

でしょうか?」

「そうだねえ...それで、みんな悩んでいるわけだ...

  かって、細川・元首相が、日本新党を率いた総選挙で、“政治家総とっか

と訴えたものだった。これは、今でも的を射た言葉だと、私は思って

いる。その細川・内閣から、すでにだいぶたつわけだが、自民党に政権が

戻ってしまったからねえ...すっかり、元の木阿弥になった...」

「はい...」支折は、静かにうなづいた。「そして、とうとう行き詰まってしま

いました...」

「うむ...まあ、分かっていたことだが、そうなったな、」

「はい、」

「公明党も、保守党も、かっては自民党政治を批判し、国民に向かって大改

革を訴えていたのだがねえ...その、彼等は今、旧体制の自民党を支え

る側に回っている...何故なのか...これが、国家や国民のためになると

は思えないのだが...」

「あ、でも...今は、小泉内閣を支えているし、」

「彼らが、与党に参加したのは、その前の橋本・内閣の時からさ」

「はい...うーん...その時、 この2党からは、ちゃんと説明はあったので

しょうか?」

「まあ、多分、説明はあったのだと思う。無いはずはない。しかし、何を言っ

たのか、覚えてないな。ともかく、私はいまだに、納得のできる説明を聞い

た覚えが無い」

「うーん...」

「今、この時点からでも、公明党と保守党が、国家大改造の方向に舵を切

れば、“新世紀・維新”は大車輪で動き始めるんだがね。むろん、これは小

泉改革の方向でもあるわけだし、」

「はい...でも、編集長、この2党の真意は、いったい何なのでしょうか?

“利権”が欲しかったということなのでしょうか?」

「うーむ...まあ、それが知りたいわけだ。納得のできる説明というヤツを

ね。今まで、自民党政治を批判してきたわけだし...」

「はい、」

 

「それにしても国民は、これからはこうした問題で、もっと真剣な“白羽の

槍”を、各政党の喉元に突きつけるべきです。最後まで、ごまかしたり、お

茶を濁したりするのではなく、膝詰で、本音で話し合うべきです。

  また、政治家や政党も、自分たちの言動が、著しく社会的信用度が低い

ということを、もっと自覚すべきです。政治家が嘘つきだという事は、残念な

がら、小学生でも知っているのではないでしょうか...こんなことで、いい

はずがないのです

 

  また自分の支持する政党であるなしにかかわらず、“抜き身の刀”“白

羽の槍”を持って、私たちは真剣な話し合いをする時に来ているのではな

いでしょうか。これは、“政治”に対してばかりでなく、行政である“官僚機

構”に対しても、また文化を担う“マスメディア”に対しても同じだと思いま

す。何事に対しても、本音で、真剣に話しを詰めて行かなければ、この国の

再生は不可能なのではないでしょうか。

 

...」

「はい。まさに、私もそう思います」支折は、強くうなづいた。「政治も、官

僚機構も、マスメディアも、この現実を真剣に受け止めるべきだと思いま

す。そもそも、こうした国家の動脈が硬化したから、国全体が循環器系の

重病にかかってしまったわけですから、」

「うーむ。そのとおりだ。まさに、支折さんの言うとおりですね」

「はい族議員の跋扈する自民党に対しては、利益代表の考えは排除し

て欲しいと思います。国会議員として、国民全体の利益と国家運営の観点

から、議論すべき課題は山ほどあると思います」

「うーむ...自民党も、そういう政党になってくれれば、魅力はあるんだが

ねえ。民主党は、どうかな?」

「はい。民主党は、何をやっているのかしら、と思います...それから、社

会民主党は、“机上の空理空論”で、さまよっている感じがします」

「うーむ...これも、いつまでもこんなことを放置しておくわけには行かない

ねえ。“白羽の槍”を前にした、真剣な議論の末、不要なものは始末しない

といけない。ま、最終的には、以下のような、実力行使が必要になると思う。

 

【1】メディアや集会で、徹底的に議論する。

【2】デモ行進等で、直接圧力をかける。

【3】選挙権による“主権”の行使で、完全に排除する。

 

  まあ...選挙権を行使できない“官僚機構”“公団”に対しては、マス

メディアやデモ行進等で、直接圧力をかける手段を発掘していくことが必要

だね。つまり、農水省や厚生省や道路公団の体質が、一新されないのな

ら、そのつど、デモ行進や集会等で、国民が直接圧力をかけていくべきだと

いうことです」

「インターネットは、利用できないかしら?」

「ああ、それも、いいかも知れませんね」

 〔3〕 国会議員の、“全活動状況”の開示を   

 

          新・民主主義社会への展開                

                インターネットによって、議員活動/政治状況を詳細

           に開示して行けば、政治にお金はかかりません。今こそ、

           21世紀型の、“新・民主主義社会”へ移行する時 ...

 

「さて、次は、国会議員全員の活動状況を、インターネットで公することで

す。これは、各政党・各議員が、責任を持って行うべきだと思います。また、

衆議院と参議院も責任を持って公開し、NPOがそうした情報を再構成し、

国民にわかりやすいデータを作り上げていくことも必要だと思います。

  また、各選挙区ごとに、こうしたデータを並べ替え、日常的に検索できる

ことも必要ですね。私たちが選出した議員が、日ごろ何をやっているのかを

知ることは、政治意識を高めるという観点からも、非常に重要です。

  むろん、ガラス張りにするということは、プラスとマイナスの両面があると

思います。しかし、原則開示が民主主義の基本だと思います。すでに、イン

ターネット時代が進行し、少しづつこうした流れは始まっていると思うのです

が、しっかりとした信頼の出来るフレームを構築して行くことが望まれます。

 

  こうした、しっかりとしたデータが常時公開されていれば、各議員は選挙

区のことは気にせずに、本来の政治の仕事に没頭できるのではないでしょ

うか。また、こうした確かなシステムが確立されて行けば、いわゆる“金集

め”に奔走する苦労もなくなると思います...

  どの議員が、どのような政策に対し、どんな意見をもって活動しているの

か...すべて国民にわかるようにすることが大事です。そうすれば、本来、

“ねじれ現象”などは無いはずなのです。また、いつ、何処で、何をしていた

のかも、原則としてキッチリと公開すべきだと思います。

 

  したがって、こうした全面ガラス張りの情報公開に応じられない議員であ

れば、国民はそうした議員は必要ないということにしたいですね。評判の良

くない“族議員”は監視できるし、仕事をしない議員も、能力の欠ける議員も

不要だということです。また、国会は国家の最高意思決定機関であり、これ

からボツボツ勉強しますというような人物も、当然いらないわけです。国会

は、国家が必要とする、最高の人格が求められている場なのですから...

 

...」

「うーん...はい...非常に厳しい内容ですが、実現できるでしょうか?」

NPOを組織し、まず民間で出来ることから、フレームを作っていくべきだと

思います。それから、各政党や各議員の協力も得られると思います。また、

各ホームページともリンクさせればいいわけです。さらに、衆議院と参議院

でも、院としてのシステムを作って行くことが不可欠の時代が来ると思いま

す。まあ、難しいことは、何も無いですね...

  溢れるほどの情報があれば、あえて大金をかけて宣伝する必要も無い

わけですし、真意というものも、この場で伝えていけるはずです。国民は、

それが例えば、NPOのデータだけだとしても、それを信じて選挙をすると思

います。金を集めてパーティーをするのと、どっちがいいのか、それは国民

が選択して行くのではないでしょうか...

  もちろん、議員にも基本的なプライバシーはありますし、その部分まで公

表する必要は無いわけですが、一般の人よりも、その領域は狭くなるのは

確かでしょう。

  また、私はかって、あえて言ったことがあるのですが...国会議員は、

希に見る犯罪発生率の非常に高い集団です。こうした観点からも、あえて

ガラス張りにしておくことは、盛り場に監視カメラを置くようなものであり、非

常に有効だと思います。是非、犯罪の発生を、ゼロにして欲しいものです。

  何しろ、あの辻本清美・議員でさえ、形はどうあれ、犯罪性を問われたわ

けです。鈴木宗男・議員が疑惑の総合商社(辻本清美・議員の言葉)なら、辻本清

美・議員は、祭りの出店での、“疑惑の金魚すくい”のようなものですかね。

しかし、まあ、タモの紙が破れてしまい、金魚が落ちてしまったわけですか

ら...」

「はい。でも、私は辻本さんの気持ちは良くわかります」支折は、髪を撫

で上げた。「本当にお気の毒だと重います。あれは、手違いだったのだと思

います...」

「うむ...まあ、いずれにしても、今までのままでは、ダメだということです。

今、ここで述べたような、“新・民主主義の胎動”が始まってこないと、“地球

社会のパラダイムとしての民主主義”が、今後、閉塞状況に陥って行きま

す。インターネット時代の到来が、“新・民主主義の時代”を招来する事を、

私は強く期待しています」

「うーん...いいかも知れませんね

「私は、このホームページのトップで、こう主張してきました...

 

     国家大改造は、 “国民主権” がキーワードです!       

     司法立法行政マスメディア文化 の大改造は、“国民主権”のスタンスで

 

  まさに、立法府である政治の改革も、“国民主権”がキーワードだと思い

ます。そして、これと連動するわけですが、次に重要なのは、国民に対する

“情報公開”です。情報がしっかりと公開されれば、次のステップは、おの

ずと見えて来るのではないでしょうか。

  ま、このぐらいの意気込みでやらないと、日本の政治は浄化できないの

ではないでしょうか。いずれにしても、ひとこと言っておきますが、お金儲け

をしたいのなら、官僚や政治家になるべきではないのです。そういう人は、

最初から民間で事業を起こせばいいのです。また、現在の日本のように、

大混乱に陥っている国家の運営では、これは権力闘争の場と考えるべきで

はないと思います。ここは、

 

聖域における聖職...聖職における聖断

 

...と考えて行動して欲しいですね。抵抗のための抵抗勢力などは、言語

道断です

「ええと...はい

 〔4〕 地方政治の考察       

 

「ええ、津田・編集長...それでは、地方政治の方は、どうなのでしょう

か?」

「そうですねえ...地方政治も、状況は中央とそれほど変わらないと思い

ます。したがって、ここでも、NPOによるインターネットの場での公開がい

いと思います。

  まあ、地方政治の場合、中央よりも、さらに“泥臭いもの”が残っています

からねえ...NPO政党議会等が連携し、しっかりとしたフレームを作っ

て行くことが大事だと思います。これが、21世紀の民主主義の、新しい形

を作っていくことになると思います。

  “ムラ社会”や、“仲良しクラブ”的な、明らかに“ヘンな意見”は、こうした

公開フレームの中で明らかにし、排除して行くべきです。こうした民主主義

の原則が、21世紀型の透明・公正な法治国家を作り上げていく上で重要

です」

「はい、」

「したがって、地方政治でも大事なことは、“国民主権”と、“情報公開”

すね。それが、社会の活力を生み出します。不正や偏見や独断専行の中

からは、活力は生まれてこないですからねえ、」

「はい」支折は、テーブルに両手をついた。「今回の、日韓共催のワール

ドカップが、私たちにそれを教えてくれたのではないでしょうか

「うむ。これは今後、若い世代に引き継いでいってもらいたいね。これから

の若い人たちが、スキンシップの中で、理屈抜きに、一緒にやって行って欲

しい」

「はい」

 〔5〕 政治、社会、文化の活力    house5.114.2.jpg (1340 バイト)     

 

「さて、そのワールドカップも、ついに終わってしまった...」

「はい。まだ、その余韻が残っていますけど...」

「うーむ...しかし、よくあれほど国民が一体になり、盛り上がったものだと

思う...政治も、あれぐらい盛り上がってくれればねえ...」

「サッカーが盛り上がるのは、共通のルールがしっかりと守られているらだ

と思います」支折は、テーブルの上で、両手を固く握り締めた。「日本の

政治や、社会や、文化が、活力をなくしているのは、そのルールが消えてし

まい、見えなくなり、国民の支持を失ってってしまっているからではないで

しょうか?」

「うむまさに、そのとおりだと思う国民の支持を失った政治や文化と

いうのも、何処か間の抜けた、寂しいものだねえ...」

「はい。でも、何故、それが壊れないのでしょうか?私は、それが不思議で

す」

「まあ、既得権を主張する者が居るからだろう。北朝鮮の体制がぶっ壊れな

いのと同じだ。しかし、こんなことでは、日本という国が、ちっとも面白くない

ね。それに、活力も出てこないし、衰退の一途だ...」

「はい」

「まあ、こっちの方も、何とかしないとね」

「はい

 

                                             

「ええ...今回は、ここまでとします

  あ、それから...煮え切らない国会や政党に、デモ行進をかけると言う

のなら、私も是非参加してみるつもりです...」  ...星野 支折...

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