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        胚性幹細胞/ES細胞(万能細胞)に似た・・・人工・多能性幹細胞/ iPS細胞

                     

 トップページHot SpotMenu最新のアップロード                                           担当: 厨川アン

  INDEX                                                 

No.1  人工・万能細胞の登場・・・・・受精卵を使わずに、多様に分化 2007.11.29
No.2  ガン遺伝子抜き・・・安全性向上に成功 2007.12. 2
No.3  マウスの肝臓胃粘膜からも、人工・万能細胞 2008. 2.19
No.4  新世代のiPS細胞/ガン化回避に、道・・・ 2008.10.11
No.5  iPS細胞で、病気の再現に成功 2009. 1. 8

        

                       <1>                  (2007.11.29)

  人工・万能細胞の登場・・・・・        

          受精卵を使わずに、多様に分化

         wpe67.jpg (8822 バイト)       

「ええ、厨川アンです...

  暗いニュースばかりが続く中で、驚くべきビッグ・ニュースが飛び込んできました。“胚

性幹細胞/ES細胞”に似た、ヒト“人工・多能性幹細胞/iPS細胞”が作り出された

というニュースです。

  これは...日本/京都大学/再生医科学研究所中山信弥・教授らが、2007年

11月21日の、≪米科学誌/セル/電子版≫に発表したものです。

  また、同日...米/ウィスコンシン大学ジェームズ・トムソン教授らも、≪米科学誌

/サイエンス/電子版≫に発表しています。ジェームズ・トムソン教授らは、1998年

に、世界で初めて、ヒト受精卵からES細胞を作ったことで知られています」

「この...」外山が言った。「京都大学ウィスコンシン大学の内容は...少し違ってい

るようですね...この実験は、大人ヒトの皮膚細胞に、4種類の遺伝子を導入するだ

けで、ほぼ無限に増殖し、神経筋肉などあらゆる細胞に変わる、万能細胞を作り

出すというものです。

  ええ...京都大学ウィスコンシン大学のものでは、4種類の遺伝子半数が違って

いるようです...速報なので詳しい事は分りませんが、今後はっきりとしたことは、研究

論文で伝えられると思います」

 

「そうですね...」アンが言った。「ええ、ともかく、背景概略を説明しましょう...

  こうした万能細胞は、すでに“胚性幹細胞/ES細胞”として、よく知られているわけで

すね...ところが、倫理的問題のある受精卵を使うES細胞ではなく...人工的に遺伝

子導入という方法で作られた、“人工・多能性幹細胞/iPS細胞”であるという所に大き

な意義があります...つまり、“いくらでも作ることが可能”ということです...」

「そうですね...

  まあ、それはそれで、次なる倫理的問題も浮上してきそうですが、それは今後検討

れて行くでしょう」

「はい...

  ええ...脊髄損傷などの再生医療の実現には...これまで、ES細胞を使う方法が

有力視されて来たわけですね。ところが、赤ん坊にまで成長する受精卵を壊し、ES細胞

を作ることには、そもそもの倫理問題があり、世界的に反対論研究規制があったわけ

です。その、そもそも問題は、この“人工・多能性幹細胞/iPS細胞”で、クリアされたこ

とになります...

  また、ES細胞では...再生医療で、神経などに分化させた細胞を、患者に移植させ

た際、異物としての免疫拒絶反応があります。これを避けるためには、患者の体細胞核

卵子を組み合わせた、いわゆるクローン胚から、ES細胞を作る必要がありました...

  ええ...韓国/ソウル大学教授らの、“論文捏造(ねつぞう)事件”のあった所ですね。こ

免疫拒絶反応に関しては...“人工・多能性幹細胞/iPS細胞”では、最初から患者

の細胞を使うことにより回避されるわけですね」

「そうですね...」外山が言った。「ええ...

  京都大学中山教授らは...昨年8月...マウス皮膚の線維芽(せんいが)細胞に、

遺伝子全体司令塔役となる...“Oct 3/4”や、“Sox 2”など...4種類の遺伝子

レトロウイルス(RNAウイルス)を使って導入し、“人工・多能性幹細胞/iPS細胞”“初め

て作成”、と発表しています...

  ええ、その後...培養法添加物を工夫するなどして、ヒトでも成功したということの

ようです。これらをマウスの皮下に移植するなどして...神経腸管...それから、

動する心筋細胞等に変えることに、成功しているようです...

  ただ、再生医療に応用するには...遺伝子導入の際...“ガンの原因”になる、レト

ロウイルスを使っているわけで...これを使わない方法を開発する必要があるようです」

「はい...」アンがうなづいた。「逆転写酵素を持つ、RNAウイルスを使わないで導入す

る方法を、開発する必要があるわけですね」

「そのようです...」

 

      <人類の夢・・・再生医療の足音>       

「ええ...」アンが言った。「やや興奮気味だったので...ごく大雑把に説明になってし

まいました...ここで、もう少し補足して説明しましょう...

  外山さん...“人工・多能性幹細胞/iPS細胞”は、再生医療を飛躍的に発展させる

可能性を秘めていると言われますが...再生医療とは、そもそもどういう医療なのでしょ

うか?」

「まあ、とりあえずは...

  “パーキンソン病”“脊髄損傷”“重度の糖尿病”...それから、“心臓や肝臓など

の移植希望患者の治療”などに、役立つと言われています...患者自身の細胞から作

る組織を使うわけですから、まず免疫拒絶反応などがクリアでき、症状の大幅な改善

期待されますね...

  それから、PS細胞”から、精子卵子を作ることもできるようです。これは、不妊治

療への応用が期待されています...ただ、ここで問題になるのは...原理的には、

分と全く同じ遺伝子を持つ人を作ることも可能だということです...これは、新たな倫理

として浮上してくるでしょう...」

「極端な話...クローン人間を、大量生産も可能、ということですね?」

「その、可能性があるということです...

  研究の暴走に、歯止めをかけて置かなければならないでしょう...倫理面安全性面

でも、国内的・国際的な枠組み作りが、非常に重要になって来ると思われます...

  いわゆる、“神の領域”には踏み込まないことが...結局は、長い目で見て、“私たち

自身を守る”ことになると思われます。私としても、あまり進んで欲しくはないのですが、

こうした流れは止められないでしょう。まあ、ともかく、倫理面・安全面での議論を、注視

して行きたいと思います...」

「そうですね...私も、ほぼ同じスタンスです...

  また、その一方で...再生医療の進展に、大きな期待をかけている難病患者や、

の家族は大勢いますわ...それから、私たちにしても、いつそうした再生医療を必要と

するかも知れません。

  ですから...人類文明を信じ...透明性の高い、しっかりとした研究体制のもとに、

再生医療の研究を進めて欲しいと思います。すでに、“文明の折り返し”も始まっている

ようです。世界標準も、経済至上主義から“エコ”/“地球温暖化対策”にシフトしつつあ

ると、高杉・塾長も言っておられますね...

  こうした、新しい価値観流れ...“存在の覚醒”という新しい価値観の中で...“地

球社会から祝福される医療技術”になって欲しいと思います...“推進べき医療”“禁

止すべき研究領域”を、明確に、透明性を持って管理して行って欲しいと思います...」

     <参考文献: 東京新聞>                  

                     2007年11月21日/ ヒトの皮膚から人工「万能細胞」 

                 2007年11月22日/ 社説 /現実味帯びた再生医療

 

                        <2>                  (2007.12. 2)  

  ガン遺伝子抜き・・・安全性向上に成功!      

       4つの遺伝子のうち...ガン遺伝子をのぞく、3つの遺伝子でも作製可能に

              wpe67.jpg (8822 バイト)          

「ええ、厨川アンです...

  2007年11月21日の、≪米科学誌/セル/電子版≫および、≪米科学誌/サイ

エンス/電子版≫に...ヒトの皮膚から、“人工・多能性幹細胞/iPS細胞”が作製さ

れたと発表したばかりですが、早くも次のニュースが上がって来ました。

  日本/京都大学/再生医科学研究所中山信弥・教授らが、早くも作製法を改良

し、より安全な、iPS細胞”を作ることに成功したようです。これは、2007年11月30日

の、≪米科学誌/ネイチャーバイオテクノロジー/電子版≫に発表されたとのことで

す。

 

  ええ、これまでは...ガン遺伝子を含む、合計4つの遺伝子ヒト皮膚細胞に組み

込んでいたわけですが...このうち、ガン遺伝子を除いた3つの遺伝子でも、可能なこと

を確認した模様です。

  依然として...“ガンの原因”になるレトロウイルスを使って組み込んでいるようです

が、4つの中からガン遺伝子を除いたことは...より安全性が向上したことになり...

問題の1つがクリアしたことになるようです。

  再生医療の実用に向けて、また1歩前進したわけですね...中山・教授は、“ゴール

は先だが、1歩1歩着実に前進している”と話しています。今後は、細胞作製の効率をい

かに向上させるかが課題だとしています。

 

  ええと...同教授らは、成人女性の顔から採った皮膚と、マウスの皮膚で...それ

ぞれ“iPS細胞”を作りました...マウスの実験によると、3つの遺伝子を組み込む改良

では...“iPS細胞”ができるまでの日数は、2〜3週間かかると言います。これは、

従来法の2倍以上かかり、細胞の量大幅に少ないようです...

  うーん...そういうことなのだそうです...研究現場の息遣いが感じられますね。

 

  ええ...ガンの危険性比較する実験も行われています...従来法(/4つの遺伝子)

改良法(/3つの遺伝子)で作ったマウス“iPS細胞”を...それぞれ別々の受精卵に入

れ、赤ちゃんマウスを誕生させました。

  この実験では...従来法ガン遺伝子入りの細胞を持つマウスは、37匹のうち6匹

(16%)ガンになり、100日以内に死にました...一方、改良法ガン遺伝子なしの細

の方のマウスは、26匹でしたが...同期間内には1匹も死ななかったようです。

  この実験によって...ガン遺伝子除去したことで、“安全性がより高い”ことが、確

認されたようです...」

 

            ****************************

「ええ、さて...

  “人工・多能性幹細胞/iPS細胞”の作製に成功したことで、世界中の研究体制がトッ

プギアに入ったようです...ところが、先陣を切って“iPS細胞”を作製した日本の研

環境は、決して十分なものではないようですね。

  日本の研究をリードする、京都大学/再生医科学研究所/中辻憲夫・教授(所長)は、

これまでの日本の状況を、“歴史的な失策”危機感を持って警告しています...問題

は、日本過剰な倫理規制にあったようです...“iPS細胞”で、それがクリアされた

今、日本の研究体制は、非常に立ち遅れた状態にあるようです...

 

  でも、国家間の研究競争...特許の争奪戦などの観点から見れば、そうかも知れま

せんが...私たちは、やがて“文明の折り返し”が来るという立場です...素直に研究

の進展を見守りたいと思います。

  もちろん、日本の研究も、大いに頑張ってほしいと思います...やがて、“病気になっ

臓器を、新品の自分の臓器と交換する”という、夢の医療を可能にするものです。大い

に、期待したいと思います...

 

  それから...ガン化する危険性のあるレトロウイルス(RNAウイルス)を使うという問題で

すが、中辻憲夫・教授によると...“ここ数年で、ウイルスによる遺伝子導入ではなく、

化学物質などを使って、ES細胞と同程度に安全な、iPS細胞ができるだろう”...との

ことです...

  大いに期待したいと思います。重ねて言いますが、日本の研究体制も万全のものに

し、是非、頑張ってほしいと思います。また、研究をオープンにし、安全性倫理面でも、

しっかりとした体制を構築して欲しいと思います...」

          <参考文献: 東京新聞>                       

                    2007年12月1日/万能細胞・・・がん遺伝子なしで作製   

                    2007年12月2日/ 核心/ 過剰規制の教訓生かせ   

 

 

                        <3>                  (2008. 2.19)

マウスの肝臓胃粘膜からも     

              人工・万能細胞! 

 

               

「厨川アンです...

  また、京都大学山中伸弥・教授らが、“人工・多能性幹細胞/iPS細胞”の作製に

成功したようです。今度は、皮膚ではなく、マウス肝臓胃粘膜の細胞からの作製だ

ということです...ええと、このニュースは、2008年2月14日付/≪米科学誌/サイ

エンス/電子版≫に発表されたたものです...」

  

「ええ...iPS細胞”の作製は...

  発ガン性が否定できない、特殊なウイルスを使うわけですね...でも、肝臓の細

胞から作製したiPS細胞”は、皮膚から作製したものよりも、ガン化の危険性が低いこと

が判明しました。“細胞の種類”“手法の工夫”によって、この特殊なウイルスを使わな

い道も開けそうだということです...

  山中・教授は、“臨床応用に向けて前進した”と話しています。ご存じのように、これま

で同・教授らは、人やマウスの皮膚からの“iPS細胞”の作製に成功しています。そして今

度は、マウス肝臓胃粘膜の細胞に、4種類の遺伝子ウイルスを使って組み込み、

“iPS細胞”を作製することに成功しているようですね...

  このiPS細胞”では...皮膚由来“iPS細胞”と比べると...ウイルスが、細胞の染

色体入り込む箇所が、少なかったようですね...

  それから...iPS細胞”マウス受精卵に混ぜて成長させる実験では...皮膚由

のものでは約4割に腫瘍(しゅよう)ができたのですが...肝臓iPS細胞”では、ほ

とんど腫瘍はできなかったようです...

 

  うーん...これらの断片的なニュースでは、実験の詳細は分からないのですが、今、

この分野で何が起こっているのかという、全体的な雰囲気は分かっていただけると思い

ます...ええ、今後も、注目していきたいと思います」

            <参考文献: 東京新聞>            

                     2008年2月15日/ 肝臓と胃からも万能細胞    

 

                         <4>                  (2008.10.11)

  新世代のiPS細胞ガン化回避に、道・・・

          中山伸弥・教授の研究グループ世界で初めて成功

                   


「外山さん、お忙しい所をすみません...」アンが、作業テーブルで外山を見上げた。「ご気分

はいかがかしら?」

はは...」外山が、開け放された窓の方を見、ゆっくりと椅子に掛た。「いい日和(ひより)なの

で、ちょうど散歩に出かけようと思っていた所です。気分はいいですよ」

10月10日は、晴れの特異日だそうですわ」アンも、髪をすきあげ、窓の外を眺めた。「かつて

の、体育の日ですわ。やっぱり晴れるんですね。

  ええ、早速ですが、外山さん、iPS細胞”ビッグ・ニュースがありました。ご存知かしら?」

「ええ、先ほど新聞を読みました...」外山が、作業テーブルの上の東京新聞を引き寄せた。

「はい...」アンがうなづいた。「ええと...

  京都大学/中山伸弥教授の研究グループが...ベクターウイルスを使わず...プラスミ

を使って、“人工多能性幹細胞/iPS細胞”の作製に成功した模様です。もちろん、これは、

ウスを使った実験ですね。この実験に、世界で初めて成功したということです。

  ええと、これは、アメリカの科学雑誌/サイエンス電子版/9日付けに発表されたようです。

私はこれを、TV報道と、東京新聞/2008年10月10日/トップニュースで知りました」

「うーむ...」外山が肘を立て、両手を組み合わせた。「世の中が、騒然としてきました...

  そうした中で、日本人4人も、ノーベル賞同時受賞(物理学賞/南部陽一郎、益川敏英、小林誠の各

氏...化学賞/下村脩氏)しましたねえ。ともかく、久々の明るい話です。そうしたホットな中で、また

またiPS細胞”クリーン・ヒットですか...

  まあ、この再生医療の分野でも、将来のノーベル賞が予想されますね」

「そうですね...」アンが、明るくうなづいた。「何よりも、大勢の患者を救うことになりますわ」

日本は、政治・経済・文化大混乱な中で...学術分野スポーツ分野のように、“厳格なル

ールが敷かれている世界”では...それなりに、良い実績を上げているようです。キッチリとし

夢の描ける世界が、そこにはあるのでしょう。

  しかし、相撲のように、そこに曖昧さが入って来ると、とたんに既得権で囲い込んでしまうわ

けです。政治・芸能・マスコミ文化と、全てが特権意識を持ち、社会的公器私物化してしまっ

ています...と、まあ、秋月茜さんが憤慨していました...私たちの担当外のことですが、」

はい...」アンが、優しく目を細め、ため息を漏らした。「でも、ノーベル賞は明るいニュースで

すわ...

  そして今回の、iPS細胞”のホット・ニュースも、再生医療にとっては、将来展望の開けてくる

明るいニュースです。iPS細胞”安全性が大幅に高まり臨床応用へ向けての、大きな前進

になりそうですね、」

うーむ...」外山が、新聞を眺め、顎を撫でた。

 

ええ、本題に入ります...

  これまで、遺伝子を導入するベクター(運び屋)は、主としてレトロウイルスが使われていました。

山中教授の研究グループでは、これをプラスミドと呼ばれる環状DNAに代え、iPS細胞”

製に成功したようですね...世界で初めての成功ということです」

4つの遺伝子を...3つ1つに分け、2種類のプラスミドに組み込んだようですねえ...それ

を、マウスの胎児皮膚細胞に導入したわけですか...ふーむ...」

「従来に比べて、効率は100分の1以下に下がるようですわ...

  でも、iPS細胞”は作製できるということです。従来と同様に、様々な細胞に分化することも

確認できたようです。従来のレトロウイルスを使った場合は、導入する遺伝子が、染色体その

ものに組み込まれるために、細胞がガン化する可能性がありました。これは、臨床応用に向け

て、大きな障害になるものでした。

  ところが、プラスミドを用いた“iPS細胞”では...半数以上で、遺伝子が染色体へは組み込

まれず...プラスミドも、数日で分解されることが確認できたようです...素晴らしいですわ。

詳しいことは分かりませんが、画期的な前進があったようですね。

  ええと...安全性も、飛躍的に高まることになるようです。同時に、実験時の危険性や、コス

ト問題も、改善されるようです。封じ込め機能を備えた設備での作業が、大幅に改善されるとい

うことでしょうか。これは、次の大きな飛躍につながる、ステージそのものを拡大することになる

のかも知れませんね」

「うーむ...まあ、だんだん安全なものになって行き、それだけヒトに、臨床応用に近づいて行

くということでしょう」

「はい...

  山中教授も...“新世代のiPS細胞! 細胞移植治療に向けた大きな1歩! ...と話し

ているようですわ。現在、ヒトへの応用や、さらなる安全性の確認を進めているということです」

「ふーむ...」外山が、新聞を見ながら言った。「名古屋大学/大学院/室原豊明・教授も...

  “これまでのiPS細胞の中で1番安全!画期的な成果!”と評価していますね。同教授は、

“iPS細胞”から、血管心筋への分化や...臨床応用を目指して研究されている方ですね、」

「はい...」アンが、小さくうなづいた。「ええと...

  これも、同じ名古屋大学/大学院/上田実・教授の話ですが...“iPS細胞の、最大の弱点

の1つを・・・解決する1歩!”、と高く評価しています...でも、実用化に向けては、“iPS細胞”

“本当に有効か?”“本当に分化誘導できるのか?”といった問題が、まだたくさんあると指

摘しています...また、研究が進み、1日も早く、患者の治療に適用されることを願う、とも言っ

ておられますわ...」

 

************************************************

                  〔用語の解説〕 

<ベクター>             

「ええと...少し専門用語と、その周辺を解説しておきます...

  ベクター(運び屋)とは...本来は、感染症の病原体を媒介する動物の総称です。

1例をあげれば、マラリアにおけるなどのことですね。遺伝子工学においては、

ローニングDNAを増殖する際に用いる、クローニング・ベクターと...今回のよう

に、クローニングした遺伝子細胞に導入するための、発現ベクターがあります。つ

まり、ベクターとして、プラスミドレトロウイルスを使うというわけです。

  “iPS細胞”の研究では、レトロウイルスから、プラスミドに変えたわけですね。ま

ず、“iPS細胞”の扉を開き、それから、ガン化の脅威を排除するために、プラスミド

に切り替え、それに世界で初めて成功したというわけです」

<レトロウイルス> 

レトロウイルスというのは、これまでにも何度か説明して来ていますが、DNAでは

なく、RNA遺伝情報をもつウイルスです。

  つまり、逆転写酵素を持つRNAウイルスです。ウイルスの遺伝情報が逆転写

れ、宿主細胞のDNAに組み込まれます。そして、細胞のタンパク質合成機能を借用

し、増殖するというわけですね。

  ええ...このレトロウイルスには、悪名高いヒト後天性免疫不全ウイルス(HIV)

成人T細胞白血病ウイルス(HTLV)も含まれるわけですね。

  ともかく、遺伝子操作では...細胞に対して、効率よく遺伝子を導入するための、

ベクターとして優れているわけです。でも、予期せぬ突然変異が起こる可能性がある

ということです。したがって作業も、一定の封じ込め機能を備えた設備が必要になり、

危険性コストがかかるという話です。

  今回の飛躍的な前進で、そうした状況が大幅に改善されるということでしょうか、」

<プラスミド>  

プラスミドというのは、細菌核外遺伝子のことですね...

  このプラスミドというのは、細胞質の中で自律的に増殖します。でも、通常は生育

には必須のものではありません...代表的なプラスミドには、大腸菌F因子

因子(薬剤耐性因子)などがありますね。

  ええ、ともかく...プラスミド大腸菌酵母などの細胞質などに存在し...

色体とは独立して増殖・機能する、小さな遺伝子の集合体です。2本のDNAが、

状につながった構造が、一般的ですわ。

  プラスミドは、今回の“新世代のiPS細胞”の研究開発にも使われたわけですが、

医薬品産業バイオ研究の分野では、標的となる遺伝子細胞に組み込むベクタ

として、広く用いられているものです。

  それから、ええと...プラスミドそのものは...大腸菌などを使って、安全かつ

につくることが可能ですね。また、冷凍すれば、長期の保存も可能です...

  今回の研究開発では...ベクタープラスミドが、数日で分解されることも確認

れたようですね。“iPS細胞”ができ上がってしまえば、後は余分な危険因子は存在し

ない方がいいわけです」

 

************************************************

 

「ええ、厨川アンです...

  ご静聴、ありがとうございました。どうぞ、次の展開にご期待下さい...」

            <参考文献: 東京新聞>              

                     2008年10月10日/・・・iPS細胞 がん化回避/山中教授が新手法    

 

 

                        <5>                  (2009. 1. 8)

   iPS細胞で、症気の再現に成功      

 

         病気の原因解明・新薬開発に強力な武器 

            アメリカウィスコンシン大学ジェームズ・トムソン教授らのチーム

                 

「明けましておめでとうございます!厨川アンです!」

「外山陽一郎です!大変な年になりそうですが、今年もよろしくお願いします!」

 

「ええ...」アンが、片手でファックス・メモを取り上げながら言った。「さっそくですが...

  これは、昨年の年末に入って来た、“iPS細胞”に関するニュースです...

  内容は...神経難病の患者皮膚からつくった“iPS細胞”を...神経に成長させた後...

病気のために神経が死ぬのを...試験管内で再現することに成功した、というものです。こ

うした成果は、かねてから予想されていたものですね...?」

「そうですね...」外山が言った。「ええと、これは...

  アメリカ/ウィスコンシン大学ジェームズ・トムソン教授らのチームが...2008年12月30

までに...成功したものです...“英科学誌ネイチャー”に発表したようですね

「はい、」アンがうなづいた。「患者由来“iPS細胞”を使い...“症状の再現”にまで到達できた

のは、“世界初”ということですね。これは、病気の原因解明や、新薬の研究開発などで、“強力な

武器/・・・強力な道具の1つ”になると期待されています」

  外山がうなづき、顎に手を当てた。

「ええと...」アンが、“参考文献”東京新聞を脇へやった。「これは...

  京都大学/中山伸弥教授の研究グループの成果とは違うものですが...同グループが開発

した“iPS細胞”が、いよいよ世界の最先端領域で、その威力を発揮し始めているものですね。そ

れにしても、この方面の研究開発というのは、やはり資金質・量ともに、アメリカが最も進んでい

るのでしょうか?」

「うーむ...そういうことですねえ...

  しかし、もともとそうした状況の中で、“iPS細胞”という大ホームランを打ったのは、日本/京

都大学なのです...まあ、これからはそうもいかないでしょうが...良い成果というものは、単

なる資金力とは違うものです。そういうわけですから、日本も頑張ってほしいですね」

「はい、」アンが、コクリとうなづいた。「そういうことですね」

「ええ...ちなみに...

  この、ジェームズ・トムソン教授らのチームの実験は、もう少し詳しく説明すると、こういうことで

す。まず、遺伝性“重症型・脊髄性・筋委縮症(SMX/運動神経が徐々に減り、乳幼児期に死亡することが多い

男児の皮膚から、“iPS細胞”を作製し、運動神経を分させました...そして、病気のた

に神経が死ぬのを...試験管内で再現することに成功した”...ということの様です」

「はい...」

「それから...

  発症していない母親の皮膚からも、同様に運動神経を作製し、両方を別々に培養して、これら

状態を比較したようですね...遺伝性の難病ですから、母親からの“iPS細胞”も作製したの

でしょう...“参考文献”は、新聞ですから、現在の所、これ以上の詳しい状況は分かりません」

「途中までは...」アンが、言った。「両細胞に、差は見られなかったわけですね?」

「うーむ...そうらしいですね...

  約6週間培養を続けると...患者由来の細胞は、数が減り始めたとあります。同チームは、

時間の経過に伴い、神経に異常が出ることが明らかになった。患者の体内で起きるため見え

かった現象を、試験管内で再現できるようになった...としています」

「はい...」アンが、考えながらうなづいた。「ええ...今後、関連した成果が、続々と広がって行

くものと思います...どうぞ、ご期待下さい」

「そうですね」外山が、顎をなでた。

       <参考文献: 東京新聞 2008年12月31日           

                  iPS細胞で症状再現...病気の原因解明に道(米大チーム)  

 

「厨川アンです。ご静聴ありがとうございます。

  新年ですので、引き続き、この大恐慌時代の中での医療研究、再生医療、

ガン医療等の展望について考察してみます。私たちは、むろん経済専門家

ではありませんから、経済原理のことは申しません。したがって、より大きな、

“パラダイムシフトの中での将来医療”を、少し展望してみます。

  ええ...あまり準備のない中での考察ですが、どうぞご期待下さい...」

 

 

                        

  

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