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《最新/クォークの世界》・・・(4) Twitter ( 1~99/完) |
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2015年10月~ 2016年1月 |
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10月29日 |
《 最新/クォークの世界・4
》・・・(250)
特集/クォークの世界 『エキゾチックな新粒子』 中島林彦 ( 編集部 ) 協力: 堺井義秀 ( 高エネルギー加速器研究機構 )
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(251)
「高杉・塾長…」支折が言った。「エキゾチック新粒子/<エキゾチック・ハドロン>とい うのは…<テトラ(4を意味するギリシア語)・クォーク・ハドロン>や<ペンタ(5を意味するギリシ ア語)・クォーク・ハドロン>などの事ですよね?」 「そうです、」高杉が言った。「通常の物質(/クォーク・反クォークの2個で形成される中間子/メソンと・・・ クォーク3個で形成される陽子・中性子のバリオン)とはタイプの異なる、粒子の候補(/クォークが4個や5 個からなる複合粒子/ハドロン)です…」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(252)
「エキゾチックの意味は…」支折が言った。「異国風、という様な意味でしたね?」 「そうです… SERN(/欧州原子核研究機構)のLHC(/Large Hadron Collider/大型ハドロン衝突型加速器)や、KEK (/高エネルギー加速器研究機構)のKEKB(/KEKB加速器/Bファクトリ)などでは…【標準モデル】で は説明できない、未知の現象を探索していますが…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(253)
…これらエキゾチック新粒子の探索も本格化しつつあります。こっちの方は理論的枠外 で、物質世界の多様性という、<博物学的興味・・・から探索>が進められています」 「でも…」支折が言った。「そこに存在するなら、理論に組み込まれますよね?」 「いずれそうなりますが、まずは、データの蓄積です…」
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11月 4日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(254)
「そういう事です…」高杉が言った。「エキゾチック粒子の全容が見えてくれば、新たな 法則性や秩序が見えて来ます」 「はい…」支折が言った。「ええと、少しまとめます。簡単に言うと…物質粒子/ハドロ ンは…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(255)
…クォークと、その反粒子の反クォークから、なっているのですね?」 「まあ、そうです…」高杉が言った。「加速器実験で、様々な物質粒子が発見さていま すが…それらは、クォーク・反クォークのペアからなる<中間子/メソン>と…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(256)
…3つのクォークからなる<陽子・中間子/バリオン>…そして、その反粒子の<反 バリオン>です。 ところが最近…クォーク・反クォークの総数が4個や5個からなる、<エキゾチック・ハ ドロン>の候補が、続々と見つかって来ています」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(257)
「はい…」支折がうなづいた。「これは、どういう事なのでしょうか?」 「一口で言えば…」高杉が言った。「この物質世界というのは、これまでの理論的予測 を超えて…<はるかに・・・多様性に富んでいる!>…という、可能性があります、」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(258)
「うーん…」支折が言った。「益々、複雑化すると…」 「うーむ…」高杉が、微笑してうなづいた。「そういう事ですねえ。その方が面白いでしょ う… これは日本がリードして来たのですが、欧米でも本格化しつつあます。そして、アジア では、いよいよ中国が台頭してくる様ですねえ、」 「はい!」支折が、コクリとうなづいた。
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11月 5日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(259)
「さて…」高杉が言った。「第2次世界大戦後、各地の加速器実験で… 140種類以上の<バリオン(/陽子・中性子・・・他に、ラムダ粒子、シグマ粒子、グザイ粒子、オメガ粒子 などがあり、これらは第2世代のストレンジ・クォークを含みます。)・反バリオン(反陽子・反中性子・・・中性子と 反中性子は磁気モーメントの符号で区別されます。反中性子は、質量は中性子と同じであり、電荷も中性子と同じゼロ ですが、バリオン数は中性子の+1に対して-1を取ります。 これは、中性子がクォークから出来ているのに対して、反 中性子は反クォークから出来ているためです。)>… 180種類以上の<中間子(メソン)>が発見されています。これらのバリオン・反バリオ ン・中間子を合わせて<ハドロン>と総称します」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(260)
「うーん…」支折が言った。「そんなに多いんですか?」 「まあ… ほとんどは現在の低エネルギー宇宙では不安定で、実験後、直ぐに崩壊してしまいま す。現在の宇宙で安定なのは、<バリオンの中で・・・最も軽い・・・陽子・中性子> だけです」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(261)
「それから…」高杉が言った。「<飛び抜けて軽い・・・パイ中間子>だけは…核子ど うしを結びつける粒子として、原子核内部で、頻繁に出現している様です…」 「あ…」支折が言った。「湯川秀樹・博士の、【中間子論】のパイ中間子ですね?」 「そうです!」高杉が、大きくうなづいた。
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11月10日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(262)
「<ハドロン>(/バリオン・反バリオンは140種類以上、中間子は180種類以上)の…」高杉が言った。 「種類の違いは、1つには構成するクォークの種類の違いによります。クォークには、物 理特性が同じで、質量だけが違う、3つのペアが存在します」 「あ、世代ですね、」支折が言った。「あの…3世代ある?」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(263)
「そうです…」高杉が言った。「最も軽い、第1世代ペアのアップ・ダウン…第2世代の チャーム・ストレンジ…第3世代のトップ・ボトムですね。 そして…安定な、核子/陽子・中間子とパイ中間子は…第1世代のクォークと反クォ ークだけから、なるわけです…」 「はい、」支折が、うなづいた。
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11月12日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(264)
「前にも触れましたが…」高杉が言った。「第2世代のストレンジを含む粒子も、時折、 自然界に出現します。しかし…第2世代でもストレンジの10倍以上の質量のチャーム や、第3世代を含む粒子は、観測は難しい様です」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(265)
「また、」高杉が言った。「同じクォークの組合せでも、クォークのもつスピンの合算値な どが違っていれば、粒子の特性が違い、質量も異なるので、別種のハドロンになります …」 「うーん…」支折が、うなづいた。
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(266)
「例えば…」高杉が言った。「<電荷0の・・・デルタ粒子>は… 中性子と同じクォークの組み合わせですが…スピンは3/2で、中性子の1/2とは異 なり…質量も中性子よりは大きくなります。 このデルタ粒子は、核子とパイ中間子に崩壊します…」 (/★ デルタ粒子のファミリーは・・・ 電荷が異なる4つの粒子で構成される。これらは、デルタ粒子を構成するアップクォークとダウンクォークの電荷を足し合 わせた値になる。また電荷が反対の、アンチクォークから構成される4種類の反粒子も存在する。)
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11月13日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(267)
「もう1つ…」高杉が言った。「<ハドロン>が多様性をもつ要因は、クォークなどの運 動エネルギーです。ハドロン内で、クォークや反クォークは振動運動や回転運動をして いて、激しくなれば運動エネルギーが増加します」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(268)
「はい…」支折が言った。「励起(れいき)状態ですね。すると、どうなるのかしら?」 「エネルギーと質量は等価です…」高杉が言った。「ハドロン内部でクォークなどが、激 しく運動している場合は、質量の大きいハドロンとして認識されます…」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(269)
「そうかあ…」支折が言った。「その質量の違いからも、多様なハドロンになるわけね… それと、クォークの物理特性や、第2世代の質量の小さい、ストレンジクォークなども絡 (から)むわけよね?」 「まあ…全てではないですが、そういう事です」
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11月24日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(270)
「さて…」高杉が言った。「量子色力学/QCDが、ハドロンを構成するクォーク・反クォ ークの総数に、枠をはめています。新たなハドロン候補が、見つかって来ているわけ ですが…理論的には、バリオンや中間子の様に…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(271)
…3~2個の縛りは無く…4個以上のクォークからなる複合粒子というものを…否定し てはいないのです」 「うーん…はい…」支折が、うなづいた。「それは、理論的には、どの様に説明されてい るのでしょうか?」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(272)
「くり返しになりますが…」高杉が言った。「<強い力>というのは… クォークと反クォークが、それぞれ1個づつ持っている…<色荷>と<反色荷>によ って生じます」 「もちろん…」支折が言った。「QCDによれば…ですね?」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(273)
「そうです…」高杉が、うなづいた。「色荷は…3原色になぞらえた、赤・緑・青の3種類。 反色荷は…3原色の補色になぞらえた、反赤/(シアン)・反緑/(マゼンタ)・反青/ (黄色)の3種類…になります」 「はい…」支折が言った。
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11月25日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(274)
「量子色力学/QCDによれば…」高杉が言った。「<強い力>は…色荷や反色荷を 合わせて<無職/白色>になる様に、クォークや反クォークを結びつけます。 <無色/白色>になるのは…3種類の色荷を合わせたバリオン(/陽子、中性子)…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(275)
…または、3種類の反色荷を合わせた反バリオン(/反陽子、反中性子)…そして、ある色荷 とその反色荷を合わせた、中間子(メソン/パイ中間子など・・・)になるわけです」 「はい、」支折が、うなづいた。「存在するのは…<バリオン>、<反バリオン>、そし て、<中間子>ですよね?」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(276)
「そう…」高杉が言った。「ただし…<無色と・・・無色>を合わせても…<無色>にな るわけです。 例えば…色荷・反色荷の組み合わせを2組み持った…複合粒子/ハドロンも、理論上 は可能/無理がない…のです」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(277)
「うーん…」支折が言った。「それが、クォーク2個と反クォーク2個からなる、<テトラク ォーク>いうわけですね?」 「そうです、」高杉が言った。「無色の、中間子が2個くっついた様な形ですが、1個の複 合粒子になります。他にもありますね…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(278)
…無色の中間子と、無色のバリオンの組合わせです。そして、反バリオンの組合わせ もそうです。こっちの方は、合計5個のクォークからなります…」 「うーん…」支折が言った。「5個ですか、複雑そうですね…」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(279)
「まあ…」高杉が言った。「これは… クォーク4個・反クォーク1個と、クォーク1個・反クォーク4個の…型があると言います」 「うーん…」支折が、頭を傾げた。「クォーク4個からなる、<テトラ(/ギリシャ語で、4 )クォ ーク>と、クォーク5個からなる<ペンタ(/ギリシャ語で、5 )クォーク>ですね…」
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11月26日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(280)
「さらに…」高杉が言った。「3種類の色荷を、2組合わせても無色になります」 「それも、無色と無色を合わせるのかあ…」 「そうですが…この場合はクォークが6個からなる複合粒子になり、<ダイバリオン> と呼ばれます」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(281)
「<ダイバリオン>ですか?」支折が言った。 「そうです。ダイは2重を意味します」 「うーん…バリオンが2個分だから、2重か…」 「これらはいずれも、従来のハドロンの枠から、はみ出しているわけです」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(282)
「だから、」支折が言った。「<エキゾチック・ハドロン>と総称されるのですね」 「まあ…理論上のみの存在、と考えられていた様です。しかしKEKB(ケックビー/高エネル ギー加速器研究機構(KEK)に設置されている電子・陽電子衝突加速器・・・衝突部にはベル測定器が置かれ、CP対称 性の破れの研究が行われている。 B中間子が大量に生成され、別名で Bファクトリー)で発見されると、候補 粒子が続々と見つかり始めた、と言います」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(283)
「理論的に余分、なものが、続々と…」支折が言った。 「嬉しい悲鳴でしょう… QCDでは、他に未確認の…グルーオンだけが集まった<グルーボール>(/実験では、 最も軽いグルーボールの有力候補が発見されていますが、グルーボールと特定する決定的な証拠がない。)や、クォ ークとグルーオンの<ハイブリッド粒子>(/KEKBで発見されていますが、まだハイブリッド粒子とし ては確認されていない。)も、許容されます…」 「はい!」支折が、うなづいた。
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12月 4日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(284)
★ KEKB → 小林・益川理論の検証 ★ (★ KEKBとは・・・ケックビー/高エネルギー加速器研究機構(KEK・・・大学共同利用機関法人)に設置されている <電子・陽電子衝突加速器>・・・衝突部には<ベル測定器>が置かれ、<CP対称性の破れの研究>が行わ れている。 B中間子が大量に生成され・・・別名で <Bファクトリー>・・・)
「あ、はい…」支折が、うなづいた。「これは、『小林・益川理論』の検証を主目的に、建 設された加速器ですね?」 (★ 『小林・益川理論』・・・1973年(/昭和48年)、小林誠と益川敏英が提唱した素粒子物理学に関する基礎理論。 基本粒子クオークが、少なくとも3世代(6種類)以上存在することを予言。 それらの世代間混合を導入すると、<CP対称性の破れ>を説明できることを示した。2000年代に、高エネルギー加 速器研究機構のベル実験などで、理論の正しさが検証され、2008年(平成20年)に・・・ノーベル物理学賞を受賞。 )
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(285)
「そうです…」高杉が言った。「理論は<PC対称性の破れ>を理論的に証明しました が、これを実験的に検証するものです。 当時、クォークは…アップ(/第1世代クォーク)、ダウン(/第1世代クォーク)、ストレンジ(/第2世代
クォーク)の、3種類しか見つかっていなかったのです」 物理学の大前提となるCP対称性に従わない事象のこと。宇宙論において、現在の宇宙で物質が反物質よりもはるかに 多いことは、<PC対称性の破れ>に依存すると考えられています。 Cは・・・荷電共役変換(Charge Conjugation/粒子を反粒子へ反転する)、Pはパリティ変換(Parity/物理系の鏡像を 作る)を意味し、CPは・・・これら2つの演算子の積です。 <強い相互作用>と<電磁相互作用>はCP変換の元で不変であると考えられていますが、<弱い相互作用>に よる崩壊では、この対称性がわずかに破れています。)
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(286)
「はい…」支折が、うなづいた。 「粒子と反粒子の、振る舞いの違いは…」高杉が言った。「1964年に…K中間子(/ 第2世代のストレンジ・クォークを含む中間子)と反K中間子の崩壊現象を調べる実験で発見され… 1973年発表の同理論/『小林・益川理論』で説明されたわけですね…」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(287)
「それで、次に…」支折が言った。「KEKBの、検証実験になるわけですね?」 「まあ…」高杉が言った。「簡単に実験が出来るわけではありません。 20年も後の1990年代に…KEKB/Bファクトリー(/膨大な数のB中間子と、反B中間子を生み 出します。B中間子は、第3世代のボトム・クォークを含む中間子)が構想され、稼動したのは1999年で す…」
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12月15日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(288)
「KEKBは…」高杉が言った。「膨大なB中間子と反B中間子のペアを生み出し…そ れらが崩壊する様子を<Belle/大型検出器>(仏語:ベル/美しい・・・ベル実験は、B中間子の 崩壊で現れるCP対称性の破れの研究 )で測定し…崩壊パターンに表れた粒子と反粒子の振る 舞いの違いを調べるわけです、」
高さ10m幅7mの大型検出器BELLE
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(289)
「塾長…」支折が言った。「B中間子とは、どういうものでしょうか?」 「B中間子は、」高杉が言った。「第3世代の、ボトムクォーク/bottom quark を含む 中間子です」 「あ…それを大量に作り出すから、別名で<Bファクトリー/工場>と呼ばれるわけ ですね?」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(290)
「おそらく、そうでしょう…」高杉が言った。「同時期に… アメリカでも<同型加速器(/Bファクトリー)/PEP-II>(アメリカ/カリフォルニア州/メンローパークの スタンフォード線形加速器センターにおける PEP-II 加速器 ) が稼働し、激しい実験競争が展開しまし た。2002年には双方の実験データが蓄積し、<粒子と反粒子の・・・振る舞いの違 いが・・・
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(291)
・・・【小林・益川理論】の予想範囲内と確認>…されました。この検証を踏まえ… 小林・益川両博士は2008年にノーベル物理学賞を受賞しています」 「2つの<Bファクトリー>は…」支折が言った。「目的を果たした、わけですね!」
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12月16日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(292)
「そうですが…」高杉が言った。「検証の精度を上げるために、実験が続けられました。 そして2003年、膨大な量のB中間子の崩壊データから、<未知の崩壊パターン> が発見されました」 「それが…」支折が言った。「<エキゾチック粒子>ですね?」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(293)
「そう…」高杉が言った。「<エキゾチック・ハドロン>候補の、発見ということです… まず…B中間子が崩壊して新粒子が生じ…それが、それぞれ正と負の電荷を持つパ イ中間子のペアと、<チャーモニウム中間子>の1種へと…崩壊していました。」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(294)
「はい…」支折が、顎に手を当ててうなづいた。 「<チャーモニウム中間子>は…第2世代のチャームクォークと反チャームクォーク からなる中間子の総称で…これらはスピンや質量などが異なる複数種類があります」 「ふーん…」支折が言った。「<チャーモニウム中間子>かあ…」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(295)
「チャームクォークというのは…」高杉が言った。「同じ第2世代でも、ストレンジクォーク の10倍以上の質量をもちます」 「それが、」支折が言った。「B中間子の崩壊で、現れるわけですね?」 「そうですね…ともかく、B中間子の崩壊でできる新粒子の質量は…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(296)
…3872MeV(メブ/メガ電子ボルト=100万電子ボルト)なので、新粒子は<Ⅹ(3872)>と命 名されています。陽子の質量が938MeV、チャームクォークの質量が1290MeV、ス トレンジクォークの質量は100MeV…新粒子の質量が、いかに大きいかが分かりま す」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(297)
「あ…」支折が言った。「トップクォークの質量は、どのくらいだったかしら?」 「ええと…」高杉が言った。「172900MeVですね。これだけは、2桁も違う、ズバ抜け て大きいクォークです」 「うーん…ついでに、ボトムクォークは?」 「うーむ…これは、4190MeVですね、」 「はい、」支折が、コクリとうなづいた。
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(298)
「ともかく…」高杉が言った。「この新粒子/<Ⅹ(3872)>は… アメリカの<大型加速器/テバトロン>(/トップクォークの発見に初めて成功。アメリカ/イリノイ州/ バタビアにあるフェルミ国立加速器研究所が有する衝突型粒子加速器。2008年にCERNのLHCが稼動開始するまでは 世界最大の衝突型加速器)でも…KEKBのライバルの<Bファクトリー/PEP-II>でも、追 試確認されました。 新粒子/<Ⅹ(3872)>は、一体何者なのか?…ということですねえ…」
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12月17日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(299)
「質量が…」高杉が言った。「一般的ハドロンから外れていることや、崩壊パターンか ら…<第2世代のチャーム・反チャームと・・・第1世代のアップ・反アップ>からな る…<テトラクォーク>の可能性が高いと見ています」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(300)
「うーん…」支折が、髪を撫で上げた。 「実は…」高杉が言った。「30年以上もの間…様々な実験でも<テトラクォーク>は 見つかっていなかったので、これは予想外の発見となった様です」 「あ、そういう事ですか、」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(301)
「Bファクトリーの…」高杉が言った。「KEKBとPEP-2 が、桁違いの量のB中間子と その崩壊データを提供したことで…出現頻度の低い<エキゾチック・ハドロン>の崩 壊パターンの存在が、ほの見えて来たわけです」 「うーん…」支折が、ゆっくりとうなづいた。
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(302)
「KEKBが…」高杉が言った。「3億個のB中間子の崩壊データから発見した… <Ⅹ(3872)>は、たったの36個です、」 「カミオカンデ(/最初の型。現在は取り壊され、跡地には<カムランド>が作られています。)も、捕捉した 超新星(/超新星1987A)のニュートリノは、わずか11個(/・・・後で確認したら、アメリカでも 8 個、 ロシアでも 5 個の反ニュートリノを・・・少なくとも 13 秒間続いた超新星のバーストから検出した。)よね…膨大な 数なのに…よく似ているわよね?」 (★ <カムランド>・・・東北大学の反ニュートリノ検出器。<カミオカンデ>や<スーパー・カミオカンデ> とは違った検 出方法により、より低いエネルギーのニュートリノを検出することができる。)
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12月18日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(303)
「うむ…」高杉が言った。「さて…<テトラクォーク>は3タイプが予想されます。<Ⅹ (3872)>は、そのどれに当たるのか。 1つ目は…4つのクォークと反クォークが強く結びついて、一体となったタイプです。」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(304)
「2つ目は…2つの中間子が、緩やかに結びついた<中間子分子>の様なタイプで す。 3つ目は…ユニークです。中間子は色荷・反色荷からなる無色の粒子ですが…理論 的には、異なるカラーのクォーク2個からなる…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(305)
…<ダイクォーク(/バリオン内の2個のクォークの仮想の結合状態)>や<反ダイクォーク>も考 えられます。 これは、いずれも無色ではないので、単独では存在し得ないわけですが…両者が結合 して…無色の<テトラクォーク>を構成する可能性はあるのです…」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(306)
「それで…」支折が言った。「<Ⅹ(3872)>は、3つの内のどのタイプなのかしら?」 「2つ目の…」高杉が言った。「<中間子分子>タイプ…の可能性が高い様です。手 掛かりの1つは…質量ですね」 「うーん…質量ですか。3872MeVですよね?」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(307)
「そうです…」高杉が、うなづいた。「この<Ⅹ(3872)>の質量は… チャームクォーク・反アップクォークのペアからなるD中間子と、その反粒子/反D中 間子の質量の合算値に、極めて近いと言います」 「ふーん…」支折が、口に指を当てた。「じゃあ…D中間子と反D中間子が緩やかに結 合したもの…という?」 「そうです…」
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12月25日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(308)
★ カギとなるのは・・・<電荷>を持つ新粒子の存在! ★ 「その後の…」高杉が言った。「数年間で、<テトラクォーク>候補の新粒子が、続々 と見つかります。それらも<Ⅹ(3872)>と同様に、質量値にちなんで…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(309)
…<Ⅹ(3930>)、<Y(3940)>、<Y(4260)>、<Y(4360)>、 <Y(4008)>、<Y(4660)>と命名します」 「ⅩとYの違いは?」支折が言った。 「あ、これは発見者の好みで、特に意味はないと言います」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(310)
「物理学者は…」支折が言った。「そんな事を、するのですね?」 「はは…」高杉が笑った。「これらの多くは…KEKBで最初に発見されていますが、同 じBファクトリーのPEP-II が先に発見し、KEKBが追試に回ったものもあります」 「はい…」支折が、頬に手を当ててうなづいた。
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(311)
「質量や…」高杉が言った。「崩壊パターンの解析などから、<Ⅹ(3872)>と同様 に、ええと…<チャーモニウム中間子>を出発点に形成された、<テトラクォーク> と考えられる様です」 「あ…」支折が、手を唇にやった。「これらは種類が近いのですね?」 「まあ、そうですね…」
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12月27日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(312)
「その様です…」高杉が言った。「<チャーモニウム中間子>を構成するチャームクォ ークと反チャームクォークが、高い運動エネルギーをもつ<励起状態>になると…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(313)
…そのエネルギーを元手に第1世代の<クォーク・反クォークのペア>が<チャー モニウム中間子>の内部に生じ…<テトラクォーク>になったと思われる…と言い ます」 「うーん…」支折が、宙を仰いだ。「はい…」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(314)
「ただ…」高杉が言った。「いずれの新粒子も<テトラクォーク>とは断定されていま せん。新粒子は<チャーモニウム中間子>と同様に電荷0…質量も<チャーモニ ウム中間子の励起状態>…とは思えないのですが…」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(315)
「はい…」支折が、頭を傾げた。 「<未知のメカニズム>が働いて…<チャーモニウム中間子>がその質量になる 可能性は、ゼロではないのです」 「うーん…?」 「ただ…新粒子が電荷を持つ場合は…事情が一変します」 「あ…はい!」
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12月28日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(316)
「その場合…」高杉が言った。「<チャーモニウム中間子>がベースとしても、新粒子 に電荷をもたらすクォークや反クォークが、別に少なくとも2個は必要になります。クォ ークと反クォークの電荷は、1/3か2/3で…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(317)
…電荷が整数値になるには最低2個は必要です。従って、電荷を持つ新粒子は、<エ キゾチックハドロン>を意味する様です」 「そんな新粒子は…」支折が言った。「あったのかしら?」 「2007年に、発見されました」
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12月30日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(318)
「KEKBで発見されました…」高杉が言った。「<B中間子の崩壊で生じた新粒子> で…正電荷のものは<チャーモニウム中間子>と正電荷のパイ中間子に…負電荷 のものは<チャーモニウム中間子>と負電荷のパイ中間子…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(319)
…に崩壊します。この新粒子の質量は4430MeV程度と見積もられ… <Z+(4430)>と命名されました」 「はい、」支折が言った。 「正電荷の<Z+(4430)>は…」高杉が言った。「…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(320)
…チャーム・反チャームと、アップ・反ダウンから成り…負電荷のものは、まだ発見され ていないのでしょうが、チャーム・反チャームと、反アップ・ダウンから成るとみられてい ます」 「うーん…」支折が言った。「負電荷の方は、第1世代の…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(321)
…アップとダウンの反粒子が、入れ替わっているのですね?」 「まあ、」高杉が言った。「そう見られる、という事ですねえ… しかし…新粒子/<Z+(4430)>は、KEKBのライバルのPEP-Ⅱでは発見され なかったのです」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(322)
「うーん…」支折が、指先で髪を払った。「これも、片手落ちな話よねえ…」 「うーむ…」高杉が、うなった。「データ解析の手法が異なることや、実験データ量が KEKBよりも少なかった事もありますが…ともかく追試で証明されなければ、新粒子は まだ、確実に存在する、とは言えないのです」
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12月31日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(323)
「ちなみに…」高杉が言った。「PEP-II は2008年に実験を終了しました。総データ 量はKEKBの6割程度でした。KEKBも2010年に実験を終了…データ解析作業が 続きました。 そして、2012年に…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(324)
…<Z+(4430)>を構成するチャーム・反チャームを、第3世代クォークのボトム・反 ボトムで置き換えた、<Z+b(10510)>と<Z+b(10560)>を発見しましたが… これも、追試待ちです…」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(325)
「あ、そうか…」支折が言った。「PEP-II は終了しているから、追試ができないですよ ね」 「そういう事です…」高杉が言った。「しかし、2014年にスイス/SERN(欧州原子核研究 機構)のLHC(Large Hadron Collider/大型ハドロン衝突型加速器)で、<Z+(4430)>が再発見さ れました。つまり、追確認されたわけです」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(326)
「うーん…意外と早いですね、」支折が言った。「SERNのLHCでですか?」 「LHCには…」高杉が言った。「<B中間子の崩壊>にターゲットを絞った、 <LHCb>という大型検出器もあるのです。その実験データの解析の結果、見つかっ た様ですね」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(327)
「色々あるのですね、」支折が言った。 「<LHCb>は…」高杉が言った。「日本のKEKBの、約10倍のB中間子の崩壊デ ータを扱うので、確度は高いという事です。 これで、<テトラクォーク>の実在が明確になりました」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(328)
「はい!」支折が、口元で微笑し、強くうなづいた。 「また…」高杉が言った。「続々と見つかっていた<電荷0のテトラクォーク候補>も、 実在する可能性が強くなったわけです」 「うーん…そういう事ですよね!」
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1月 4日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(329)
「さて、ここまでは…」高杉が言った。「第2世代クォーク/チャームをベースとしたタイプ を中心に見て来たわけですが、第1世代の軽いクォークをベースとした、<エキゾチッ クハドロン>もあり得るわけです」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(330)
「<テトラ(/4を意味するギリシャ語接頭辞)クォーク>ではなく…」支折が言った。「<ペンタ(/ 5を意味するギリシャ語接頭辞)クォーク>ですね?」 「そうです…」高杉が、うなづいて、頭を傾げた。「ただ…第1世代は、真空に潜むクォー ク・反クォークとの混合が強く、真空との分離が難しい様です…」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(331)
「うーん…」支折も、頭を傾げた。「<クォークの海>かあ…」 「これは…」高杉が言った。「いわゆる<クォーク凝縮>のことです。クォーク全般に質 量を与えるものですね、」 「<ヒッグス粒子/ヒッグス機構>とは、別のものですね?」 ( ★ “クォーク凝縮”・・・ 量子色力学/QCDにおける、“カイラル凝縮”のことです。これはQCD真空の持つ性質で、“グル ーオン凝縮”のような他の凝縮とともに、ハドロンに質量を与える役目の一部を担っています。 クォークは電子と同じフェルミ粒子です・・・したがって、“フェルミ凝縮”であり、これは物質の第六の状態であると言われ ています。ボース粒子からなる、“ボース=アインシュタイン凝縮”よりも低温度において実現します。“フェルミ凝縮”は超 流動の一種です。)
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(332)
「そうです…」高杉が言った。「そうした中で… <エキゾチックハドロン>の可能性が高いのが、1961年に発見された<Λ(ラムダ) (1405)>と言います。この粒子は…アップ・ダウンと第2世代/ストレンジからなる…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(333)
…バリオンの励起状態の内部に、第1世代のクォーク・反クォークが生じた…<ペンタ クォーク>の可能性があると言います」 「うーん…」支折が、微笑した。「クォーク5個からなる、<エキゾチックハドロン>ので すかあ…面白そうですね…」 「はは…そうですね、」高杉が、顔をほころばせた。
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1月 7日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(334)
「<ペンタクォーク>も…」高杉が言った。「<テトラクォーク>と同様に3タイプが想 定されます。 <Λ(ラムダ)(1405)>は…バリオンと中間子が緩やかに結合した分子タイプと提唱さ れています。しかし、電荷0であり…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(335)
…ストレンジの含み方(/反ストレンジではなく、ストレンジをもつ・・・) も考え合わせると、<ペンタ クォーク>と確定するのは難しい様ですねえ、」 「うーん…」支折が言った。「また、ですかあ…」 「まあ、」高杉が言った。「他の<ペンタクォーク>の候補は…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(336)
…2003年に、SPring-8(/兵庫県西播磨にある大型放射光施設・・・名前の“8”は、電子の最大加速 エネルギーである、8GeV にちなんで付けられました。)の実験施設/LEPSで…質量が1535MeV の<Θ+(シータ・プラス)>と呼ばれる新粒子が発見されました。プラスと呼ばれるように 電荷を持ち、ストレンジの含み方も、反ストレンジとして持っています」 「あ…」支折が言った。「<Λ(1405)>の方は、反粒子の方ではなく、ストレンジを持 っていましたね?」 「そうです…」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(337)
「すると、」支折が言った。「<ペンタクォーク>の可能性があるわけですね?」 「そうです…」高杉が、うなづいた。「これは、アップとダウンが2個づつと、反ストレンジ からなる<ペンタクォーク>の可能性が高いと言います。しかし、問題は追試です。」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(338)
「うーん…」支折が言った。「今度はそっちですかあ…」 「はは…」高杉が、かるく笑った。「質量/1535MeVの<Θ+(シータ・プラス)>は… 内外の加速器施設で追試されましたが…高統計実験(/データを大量に取得し、信頼性の高い結 果を得る実験)では…存在が確認されていません…」 「うーん…」支折が、肩を落として見せた。「それも、ですか…」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(339)
「まあ…」高杉が言った。「SPring-8/LEPSは、精度を高め、データを積み増した 実験を、2015年2月まで実施して…現在、データを解析中と言います。また、パワー アップしたLEPS2の整備も進んでいる様です」 「はい…」支折が、コクリとうなづいた。
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1月 8日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(340)
★ まとめ・・・★ 「<エキゾチックハドロン>の研究は…」高杉が言った。「日本がリードする形で進み ましたが、欧米も本格参入し、中国も台頭しています」 「中国も、ですか?」支折が言った。 「中国は、あなどれません…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(341)
…2013年、KEKB/Belle 実験は…<Z+(4430)>と同様に…<チャーモニウ ム中間子>をベースとした、電荷を持つ<テトラクォーク>候補/<Zc+(3900)> を発見しましたが…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(342)
…これは、中国/北京の新鋭加速器/BES-III 実験グループと同着だったのです」 「ふーん…」支折が、神妙にうなづいた。 「中国グループは…<Zc+(4020)>という新粒子も同年に発見しています…」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(343)
「強敵ですね、」支折が、顔を輝かせた。 「追われる立場になった日本は… Super KEKBで、<エキゾチックハドロン>の探索を加速させる予定です。KEKB の大改造が、2015年内に完成し…
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(344)
…翌年(2016年)、試験稼働。改造Belle検出器/Belle-II の稼働は2017年。全体の 本格稼働は、2018年の予定です…」 「うーん…」支折が言った。「続々と、発見されそうですね、」 「まあ…平和であってこそです。世界中が、きな臭い臭いになって来ました…」 「はい、」支折が、うなづいた。
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1月 9日 |
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(345)
「はい…」支折が言った。 「現在の宇宙は…」高杉が言った。「物質粒子は第1世代クォークからなる中間子(/ クォーク2個)かバリオン(/クォーク3個)しか存在しませんが…<エキゾチックハドロン>の 研究の進展を考えると、様相が異なって来ます…」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(346)
「つまり…」支折が言った。「量子色力学/QCDを通して考えると…と言う事ですね?」 「そうです…」高杉が、うなづいた。「QCDは、我々が考えているよりも、豊かな多様性 を物質世界にもたらしている様です」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(347)
「宇宙誕生初期の…」高杉が言った。「高エネルギー状態では…<第2世代や第3世 代クォークが・・・様々な個数集まった粒子>や…<中間子やバリオンからなる ・・・分子の様なもの>…も頻繁に出現していた可能性もあります」
《 最新/クォークの世界・4 》・・・(348)
「その前は…」支折が言った。 「それ以前は…全てが融解した<クォーク・グルーオン・プラズマ>の状態だったと 考えられます。<エキゾチックハドロン>の研究は、現在と誕生直後の宇宙の、橋渡 しの位置にありますね」 「はい!」支折が言った。「今後の展開が楽しみですね!」
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