Menuクラブ・須弥山2005年

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   <2005年>                     db3542.jpg (1701 バイト)  

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No.1 早春符・・・春は名のみの風の寒さよ 〜 2005. 3. 4
     

  

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 早春符 ... 春は名のみの風の寒さよ...wpe8B.jpg (16795 バイト) wpe89.jpg (15483 バイト) 

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「ウーム...かっこいいぜ...」ブラッキーが、テレビを見ながら、グラスを傾けた。

「また、卓球かよう...」ポン助も、壁の大型スクリーンを眺めた。

  愛ちゃんが、スマッシュが決まるたびに、カー、カー、とないた。それを、以前から、

ブラッキーがいたく気に入っていた。そのビデオを見ているのだ...

「おれには、カー、とは聞こえないよな、」

「フフフ...タヌキには分らんぜ...」ブラッキーは、グラスを置き、タバコを取り上げ

た。ブラッキーは、プカリとタバコの煙を吹かした。

「ま、どうでもいいけどよ...」

  弥生が、むこうでピアノを弾き始めた。“早春符”だ。窓の外はどんよりと曇り、春一

番の温かさから一転して、ここ数日は真冬の寒さがぶり返している。

 

  マチコと支折が、外のドアを押して入ってきた。その後から茜も入ってきた。コートを

脱いで壁にかけた。それから、3人は窓際のテーブルに荷物を下ろした。

「おーい、ポンちゃん、オイモ、オイモ!」マチコが手を振った。

「おう!今もって来るよな!」

「うーん、何を食べようかしら...、」支折が言った。「あ、こんにちわ、マスター。今日

はお寿司ね」

「はい。いいネタが入っていますよ」

「まず、お茶をもらおうかしら、」茜が言った。「寒いわねえ、」

「今、お持ちしまーす!」ウエイターのサブローが、それに答えて言った。

  茜は、ノートパソコンを取り出し、さっそく打ち合わせの準備をはじめた。マチコはク

ラブの中を見回した。

「うーん、塾長は、まだ来ていないわねえ...」

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  ポン助は、外にとび出した。冷たい風がピューと吹いている中を、庭の隅に止めて

ある軽トラックへ行った。今にも、雨か雪が降りそうだった。

  石焼きイモの釜は、まだ火が赤く残っていた。ポン助は、保温の所から、大きなホカ

ホカのイモを2本とり出した。それを、新聞紙で作った紙袋に入れた。また蓋をし、少

し考えて、薪を1本残り火の上につぎ足した。

「おう、ポン助!」コートの襟首を押えながら、高杉が声をかけた。もう一方の手は、ポ

ケットに突っ込んでいる。「まだ、あるか?おれにも頼む!」

「おう!あるよな!」

「これから、商売に出るのか?」

「もう少ししたら、出るよな、」

「ポン助は、感心だなあ、」高杉は、ポケットに両手を突っ込んだ。

「お得いさんが、待ってるよな、」

「そうか...手頃なのを1本頼む」

「おう、」

  高杉は、先にクラブの中に入った。