最終更新日: 2004/11/23
![]() 西伊豆、戸田(へだ)港の遠景 |
第67話『みのりの秋! みかん狩りでドッキリ』では、野山家が西伊豆に遊びに行く。なぜか、そこは香月先生の実家のみかん園でもあったりするのである。(笑)
そんなわけで、我々も車に乗って一路、西伊豆に向かうことになるのであった。 西伊豆で、富士山が見えて、ということで、戸田村か土肥町の海岸線と目星をつけて探すこと数時間。 仙台編や都電編のように目印になる有名スポットがないため、捜索は難航を窮めた。 しかし、戸田港の灯台を発見してからはかなりいろいろな場所が発見できた。
結論を先に言うと、この話の脚本と作画は、西伊豆の適当などこかというわけではなく、はっきりと戸田(へだ)村周辺を舞台に作られているようです。以下、詳細に見ていくこととしましょう。
![]() 西伊豆に向かう途中 |
西伊豆に車で向かうためには、大瀬崎を通る海岸沿いの県道が一番近いようです。 ところが、ここは海岸の崖に設けられた道路で、道幅も狭くブラインドコーナーばかりの登り下りの多い道路です。 伊豆長岡町から大瀬崎に向かう、西へ向かう道路では右手に富士山が望め、景色はいいのですが、駐車スペースがほとんどなく、写真を撮る余裕はありませんでした。 野山家が西伊豆に向かう左の画像は、この付近の雰囲気はよく出ているのですが、崖の方向(右側)が完全に逆です。 実際には、左手に崖、右手に海をずっと見ながら走ることになります。 こんな細い道を走れるようになったあずきのお父さんは、かなり運転が上達したと言えましょう。 探索に訪れたときは夏の台風の爪跡がまだ残っていて、至るところ崖崩れで片側通行になっていました。 |
![]() 民宿みよし屋 |
野山家が泊まった民宿「みよし屋」。伊豆でもよく見られるらしい「なまこ壁」の高級そうな造りである。 探した範囲ではそっくりな民宿は見つからなかったが、灯台のすぐそばということで、写真1の民宿と食堂がなんとなく気にかかった。 この2軒をドッキングさせて、なまこ壁にしたら、こんなふうになりそうな… 民宿の2階の窓、食堂の看板、食堂の入り口のひさしが、なんとなく受け継がれているような気がするのだが。 場所も灯台のすぐ前ということで、客室の窓に灯台の明かりが通過するという描写と一致しているし。でも自信なし。 |
![]() 写真1: 戸田港前の民宿 |
![]() 民宿の窓から見た灯台 |
野山家が泊まった民宿の窓から、港の灯台が見えている。 まぶしくて眠れなさそうなので、海でない側は遮光されていそうな気がするのだが、夜の状態は不明である。 写真2は、戸田港の灯台を港から見たものである。 ちゃんと左に90度折れ曲がっていて、灯台の設置場所は多少ずらされているものの非常によく似ている。 対岸に見える街の風景は、別な景色(おそらく港の左側)を持ってきたもののようだ。 |
![]() 写真2: 戸田港の灯台のある埠頭 |
![]() 灯台で釣りの野山父 |
灯台の細部は微妙に違っているが、この辺の他の灯台と比較すると「これ以外にない」と断言できるくらいは似ている。 また、バックにある山の形を見てほしい。全くそっくりである。(笑) なお、この埠頭は漁船の停泊にも使われていて、漁業関係者以外立ち入り禁止であるため釣りはできないようである。 |
![]() 写真3: 戸田港灯台 |
![]() まことの乗った船 |
まことが船で西伊豆に来るというストーリーや、乗っていた船がかなり小型だったのを見て、どうして船の苦手なまことがわざわざ船に乗ったのかと疑問を感じていました。 また、航路を調べたところ、フェリーは清水−土肥間(放送当時は富士−土肥間か?)に運航されているのみで、まことが電車を乗り過ごしたとしてもわざわざ船に乗るのは変なような気がしたのです。 ところが、なんと驚いたことに、戸田港には沼津から小型の高速船が運航されているのです。 しかも、沼津から修善寺経由でバスに乗るより船に乗る方が時間がかからないのです。 戸田村観光交通案内でも、東海道線からの交通として高速船が案内されているくらいです。 なんと、まことは単なるストーリーの都合ではなく、おそらく沼津駅で戸田村への行き方を聞いて、案内されるがままに高速船に乗ったのだ。 脚本の雪室さんの土地勘には驚かされてしまった。 なお、どんな船かは確認できなかったが、発着場の小ささは左の画像の船にぴったりという感じである。 |
![]() 写真4: 戸田港高速船発着場 |
![]() 海沿いのバス停 ![]() とその向かいの釣具店 |
戸田村では修善寺、土肥方面にバスが運行されている。勇之助とケンはこのバスに乗ったようだ。 バス停は左の画像のように小屋の付いたタイプが結構あったが、海岸沿いで、この画像にそっくりなものは残念ながら発見できなかった。 しかたなく、帰路の伊豆長岡町付近で似たようなバス停の写真を撮影した。 なお、バス停の向かいには釣具店と酒屋があるはずなのだが、戸田港の周辺で似たような店は見つからなかった。 ただ、港町らしく、釣具店はぱっと見ただけでも数軒はあり、港付近の雰囲気とはよくあっている。 |
![]() 写真5: 伊豆長岡町付近のバス停 |
![]() 港の右手 |
港の地形、係留用の柱(?)の形、対岸の山の輪郭、対岸の家屋の配置、どれを取っても似ていて、ここに間違いないと言えるだろう。 |
![]() 写真6: 戸田港の右手 |
![]() 港の左手 |
こちら側も、山の輪郭、対岸の家屋の配置がよく一致している。 |
![]() 写真7: 戸田港の左手 |
![]() みかん畑からの富士山 ![]() みかん畑からの夕焼け |
香月先生の実家のみかん畑は、富士山の絶好の展望台のようだ。 このように富士山の全景が海の背景に見えるのは戸田村以北で、土肥町まで行くとどうしても陸地にかかってしまうことが今回判明した。 さすがにみかん園めぐりはできなかったので、このみかん園の場所の特定はできなかった。 しかし、戸田村は基本的に西向きなので、こういうように山から海を見下ろして港と富士山が同じ方向に見える場所は限られると思う。 写真8は戸田村北部、井田の煌きの丘から見た富士山であるが、眼下に見える埠頭の位置関係なんかはちょっと似ているような気もする。 驚くべきは、みかん狩りのシーズンである10月〜11月に合わせて、富士山に雪が積もっていることである。 作画の取材に行くのは放送の数ヶ月前だろうから、そのときは雪のない富士山だったはずで、しっかり適切な量の雪が描いてあるのはいい仕事と言えるだろう。 その反面、ちょっとした矛盾点も見つかった。 西伊豆から富士山が見えるのは基本的に北の方角なのだが、最後の夕焼けのシーンを同じ構図で書いてしまっている。 さすがに夕焼けの絵に富士山を出さなかったのは、このことをわかっていたからではなかろうか。 ともかく、西伊豆の海は西向きで、海に沈む夕陽はとてもきれいだった。 |
![]() 写真8: 戸田村煌きの丘からの富士山 |
![]() ガソリンスタンド |
香月先生が給油して電話を使ったガソリンスタンド…見つけてしまいました。(笑) 戸田港前の出光ガソリンスタンドです。 天井と地面の両方に給油装置があるのは変な気がしますが、おそらく意図的に似ないようにしているのだと思います。 しかし、建物の構造のそっくり加減といい、戸田港の正面にあることといい、ここがモデルになったと見て間違いないでしょう。 |
![]() 写真9: 戸田港前出光ガソリンスタンド |
撮影日: 2004/11/20