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2011.3.2mf更新
弁護士河原崎弘

手切れ金に対し、贈与税が課せられるか

相談
3年間交際した彼と別れることになりました。示談で彼から200万円もらうことになりました。受けとった場合、贈与税の申告をするのでしょうか。文書は残したくありません。お互い独身です。
相談者は、弁護士会のテレフォン相談で、弁護士の意見を聴きました。

回答
弁護士の意見は次の通りでした:手切れ金の性質は何でしょう。あなたが受けた精神的打撃に対する慰謝料であることもあります。彼が、好意で、あなたに贈与したとも考えられます。
別れるのですから、通常は、前者でしょう。

法律の規定
法律を見てみましょう。
非課税収入として、所得税法9条1項16号に次のような規定があります。

損害保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの

所得税法施行令30Bは、次のように決めています。

心身又は資産に加えられた損害につき支払いを受ける相当の見舞金(2記載の収入金額に代わる性質を有するものその他役務の対価たる性質を有するものを除く)

結論
要するに損害賠償金に対しては課税されないのです。慰謝料(慰藉料)は、精神的打撃に対する損害賠償ですから、課税されません。
この規定に該当するには、相当、すなわち、妥当な金額である必要があります。金額があまりに過大なら、贈与税を課税されます。贈与税の対象は、110万円を越える部分です。
200万円は、妥当な金額ですので、課税されません。