認知症の父の財産を守るには成年後見人

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2018.9.2mf
弁護士河原崎弘

相談:父が認知症

父親が認知症です。兄が父を東京の老人ホームに入れています。父には、家(時価1億円くらい)、預金1億円くらい、株式8千万円くらいありますが、預金は兄が自由に出し入れし、株式も兄が売買しているようです。このままでは、父の財産は兄が使ってしまうおそれがあります。
私(長女)、次男がいますが、父の財産を守るために何か法的にできないのでしょうか。
相談者は、弁護士事務所を訪れ、相談しました。

回答:後見開始の審判の申立をする

本来、判断能力のないお父さんの資産を長男が処分することはできないのですが、後になって判断能力がなかったとの証明をすることは難しいでしょう。このような場合は、あなたが、「父には判断能力がないので、成年後見人を選んでください」との、後見開始の審判の申立を家庭裁判所にするとよいでしょう。
成年後見人(民法7条)は、兄から、父の財産の管理権を取り上げ、成年後見人自身が父のために管理します。成年後見人は、家庭裁判所の監督を受けます。
申立の前に精神についての鑑定が必要ですが、掛かり付けの主治医、あるいは、別の医師に頼んでもいいです。 申立には、予納金10万円が必要です。これは、裁判所が精神鑑定を依頼する費用です。
申立をして3か月から4か月位で、成年後見人が選ばれます。 成年後見人は、配偶者や子供など、親族がなることが多いです。しかし、本件のように子供たちの間で争いがあると、第三者である弁護士が成年後見人に選任されます。
成年後見人は、成年被後見人(父)に不利な財産処分はできません。裁判所も、成年被後見人に不利な財産処分を認めません。成年被後見人の財産は守られます。

なお、事理の弁識能力を欠くほどに至らない場合、すなわち、事理の弁識能力が著しく不十分な場合は、保佐人(民法11条)の制度があり、事理の弁識能力が不十分な場合は、補助人(民法15条)の制度があります。
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登録 2007.5.1