弁護士(ホーム)法律事務所離婚/婚約不履行 > 子どもの環境を変更するような親権者指定
2013.11.13mf更新

子どもの環境を変更するような親権者指定

相談:離婚に際し親権を取りたい

私も離婚したいのですが、子供を夫にとられるのではないかと、そればかり不安で踏み切れません。今、2回目の別居中で、1月過ぎました。1回目のときは、3か月別居して戻りました。
親権のことで確実に調停、裁判になるのです。夫は、はっきりと、「親権が決まるまで、自分が子供を預かる」と、言っています。「小さい子供は、だいたい母親に親権が決まる」と聞いていたのですが、「裁判をしている時点で子供を育てている方に親権が決まる」と、いうのを聞いたことがあります。
離婚が決まった時点で、夫が子供を無理にでも連れて行くのは目に見えています。やはり、離婚が決まった時、そして、裁判中に子供が手元にいないと親権をとるのも難しいでしょうか。子供は2歳です。
相談者は、弁護士のアドバイスを求め、法律事務所を訪ねました。

回答:こどもを現実に監護していると有利

親権者指定は、手続き的には 家庭裁判所 の調停、審判、あるいは、離婚に伴い判決で決まります。その場合、子供の監護教育のために誰が親権者に適当であるかが判断されます。親のために親権者指定が必要かは、考慮されません。
子供の教育監護の現状に問題がない場合、他の人が親権者に指定される可能性は少ないでしょう。子供が現在の環境で幸せに暮らしていれば、普通は、そのままの状態が子供にとってよいといえるからです。他の親の下で育てる方が幸せとは判断できないからです。
子供の教育監護の現状に問題がある場合に は、他の人が親権者に指定されるでしょう。

従って、通常は、親権者指定の際には、現実に子供を育てている親が有利です。あなたが親権者に指定されたいのなら、今から離婚が決まるまでも、子供を手元で育てる必要があります。

参考判例

昭和47年9月7日大阪家庭裁判所審判(家庭裁判所月報25巻9号91頁)
この事件では、当事者双方の家庭環境、扶養能力、性格、事件本人(子ども)に対する愛情等のほか、心理テストの結果等を考慮して、相手方(父)を親権者と定めた。

申立人(母)、相手方の条件を検討したが、双方とも事件本人に対する愛情や努力は充分認められ、智的能力、生活態度においても事件本人を監護養育していくについて特に支障があると思われるような点は見受けられず、その差も余りない。
ただ強いていえば、性格的に申立人はやや未成熟な依存的なところが見受けられ、困難な問題にあえば行動が混乱し現実的な問題解決能力に不安がみられることと、現在発作はないがぜん息の持病がありその点が事件本人の将来の監護養育について支障とならないかという不安がある位である。
事件本人については2歳という年齢からみて母親との接触の必要性ということが考えられるが、相手方のもとでは相手方の母、姉に母親としての役割を充分期待できるし、現在の養育状況から見て充分その任務が果されるものと思われるので強いて考慮に入れる必要はないものと考える。

関連質問

離婚裁判で高裁までいき、判決の言い渡しがありました。調停の時、調査官の調査結果と一審判決での結果は、全面的に私(母親)の請求、離婚請求と2人の子どもの親権者指定は認められたのですが、相手(子どもの父親)が不服で控訴し、特別な証拠調べもなく、1、2回の準備書面のやり取りと和解があっただけで、2審判決になりました。
2審判決では、長男の親権者は相手と言うことになりました。とても納得がいきません。
私は子供2人連れて実家に戻ったのですが、相手が、「保育園で、強引に、嫌がっている子供(長男)を抱き、連れ去った」と先生から聞きました。
すぐに弁護士に相談しました。それからいろいろ捜したですが、子供と相手方は数ヶ月行方不明であって会うことができませんでした。私の弁護士は、幼児引渡しの請求などの対応をしてくれませんでした。私も法律のことがわからなく、弁護士さんにお任せしていましたら、弁護士は他界してしまいました。
次の弁護士に依頼したときに、とても後悔しました。引渡しの請求をしておけばよかったのにと。子供を無理矢理連れて行かれたときから約2年半たちます。
高裁で、長男の親権者が相手になったと言うことは、長男が今の現状ですくすくと育ち、特別な問題などないことと、おとなしい性格のため、小学校が変ったら保育園から一緒の時の友達と離れるので、そういう子の福祉を考えての判決なのか。私は納得ができません。

上告したいのですが、最高裁ではどうなりますか。

私は子に対する愛情は人並み以上にあります。しかし、子供は相手方の下で生活させる事は心配でたまりません。
控訴審での相手方の便箋書面に、「○○は○○小学校に行きます。お友達とたくさん勉強します。ママの所には行きません。12月17日 名前 ○○」と子供に書かせ、裁判所に提出しています。
子供は精神的に不安定で、子供らしさを失っており、内にこもっている様子です。友達にも話していない様子です。そんな子供に書かせる環境のもと元気な子供が育ちますでしょうか。
だから、私は親権者より、監護権でもほしいと思っています。私なら子供に遠慮させ育てません。のびのびと育てる自身はあります。どうか良い方法を教えてください。最後まであきらめきれません。世の中真実が嘘になる事もあるんですね。

回答

上告理由は、原則として、憲法違反、判例違反しか許されません。通常は、事実誤認は上告理由として許されず、極端な事実誤認だけが、判決の理由不備として許されます。貴方の場合も、上告で判決を覆すことは難しいと予想できます。
実力で子どもを連れ去られたら、すぐ、仮処分で子どもの引渡し請求をすべきでした。これを放置すれば、裁判所は、子どもの現状に問題なしとし、父親を親権 者と指定します。子どもの環境に問題なければ、裁判所は、子どもの現状を変更するような親権者指定はしませ ん。

港区虎ノ門3丁目18-12-301(神谷町駅1分)河原崎法律事務所 弁護士河原崎弘 03-3431-7161